メメントモリ

メメント・モリ が意味するメッセージとは

メメントモリ、「死を思え」最近では歌や本のタイトルで使われたり、タトゥーでよく使われたりと目にすることが多くなったこの言葉のその真意とは?

骸骨など「死」を連想させるモチーフを身近においた

メメントモリ…これはラテン語で、直訳すると「死を思え」。 最近では歌や本のタイトルで使われたり、タトゥーでよく使われたりと目にすることが多くなったこの言葉。古代ローマではメメント・モリという言葉と共に、骸骨の絵や本物の遺骨を飾り、常にメメント・モリを心に刻んだ。しかし「死を思え」ってどういうことなんでしょうか。

明日死ぬかもしれないんだからパァっと踊ろう

死を思い浮かべた時、陰鬱で空虚なイメージがほとんどかと思う。
「人はいずれ死んでしまうのだから、富や名誉は空虚なものだ」といったように、 来世観のあるキリスト教で「メメント・モリ」はこのような解釈となっている。

しかし「メメント・モリ」という概念が生まれてすぐの頃は今とは少し違った考え方であった。それはいつ死ぬかわからないのだから今日を楽しもう!といった前向きな捉え方。

「メメント・モリ」を常に思い起こさせる為に、古代の人々はさまざまな場所に死に直結する骸骨のモチーフを置いた。でもそれらは暗くて静かなイメージというよりはどこか明るく楽しいものが多かった。

メキシコには現代にも続く「死者の日」という祭りがある。日本のお盆のようなものなのだが、色とりどりの花やおどけたようなスカルに囲まれた非常に明るいお祭りだ。古代に派生した「メメント・モリ」はそのお祭りの感覚に近かったように思われる。

一瞬にして死が襲った古代の町

死が現代よりも色濃く身近に存在した古代。一昼夜にして町が死に飲み込まれた都市がある。ローマのポンペイだ。
起源79年に火山が噴火し、火山灰が降り続け町が覆い隠されてしまった。その後1500年ほど経って遺跡が発見された時、当時死んだ人たちの体は腐敗してなくなり、積もった火山灰の中に空洞として残っていた。そこに石膏を流すことで死の間際の街の様子が生々しく再現されている。

ポンペイ

ポンペイにも「メメント・モリ」の思想があった。骸骨のモチーフと共にその言葉が刻まれた場所がいくつも見つかっている。古代のポンペイの人々は死を思いながら、生を謳歌していたんだろうか。それでもまさか、逃げ出す暇もなく噴煙で死んでしまうことになるなんて夢にも思っていなかっただろう。
日々、死を思えと言われてもいまいちピンとこない現代。筆者は「メメント・モリ」の言葉を思う時にこのポンペイの町の人々にも想いを馳せてしまう。

死を連想するものを身近に。

死を思え

いつ死ぬかわからないのだから、日々をパァっと楽しく生きるのか 現世の富や名声は来世に持っていけないのだから、慎ましく生きるのか、 どういう考え方で生を捉えるかは自分次第だ。
ただ一つ言えるのは人生は有限であるということ。限られた時間、しかもその期間がいつ終わりなのかはわからない中で生きていかなくてはならない。
つい、日々を惰性で過ごしてしまうこともある。でも古代の人と同じように身近に「メメント・モリ」を思い起こさせる文字やモチーフを身につけることで、時折自分の生について振り返ることが出来ればより良く生きられるかもしれない。

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