籐って何?

籐(ラタンについて)

籐(ラタン)って何?

籐、ラタンの原木成形前の自生写真

籐は日本に自生していません。
インドネシア・マレーシア・フィリピンなどの東南アジアやアフリカ、オーストラリアの熱帯・亜熱帯などのジャングルに自生します。
ヤシ科のツル性植物で、節があり、棘を持った表皮につつまれています。
その繊維は植物中最長にして最強といわれ、長さが200mを超えるものもあります。
籐には200以上の種類があり、葉の片面、或いは両面に棘のあるもの、着葉状態の荒いもの細かいもの、直径においても1mmの細いものから60mm以上に及ぶものもあります。
籐の実は球状で、つやのある三角状の鱗のようなものに被われていて赤、緑、黄色いものがあります。
実には、甘味があり、マレー人などは好んで食べているらしいです。
10年ほどかけて家具などに使用できる大きさに成長します。
樹木に比べて非常に成長が早く、5〜10年で用材となるラタンは、とっても地球にやさしいエコな素材です。

『強い!』

籐は、『強さ』『軽さ』『柔らかさ』という家具の材料としては最高の特徴を持っています。
その耐久性は、お手入れをこまめにする事により半永久的に何世代にもわたって使用できます。
人の手によって丹念にしっかり造られた籐の家具は一生のパートナーとしてご使用いただけます。

『軽い!』

籐の家具は軽量の為移動が楽にできます。
軽くてとても丈夫なラタンで作られた家具は、高齢者にとても扱いやすい物です。

『柔軟!』

籐の柔軟さは椅子の背もたれなどに使用した場合、程良いしなり具合を与えてくれます。
また、その柔軟さから、自由自在に曲げられるのは籐だけの特性です。
曲げたり、編んだりと使い勝手がよく、様々なデザインの家具を自由自在に制作することができます。

『豊かな情緒』

豊かな情緒溢れる籐家具、ラタンインテリア

籐は天然素材100%で、熟練の職人が1つ1つ手作りで作っています。
天然素材がもつ繊細な質感とナチュラルな色合いが調和された籐家具は
使っていくうちに生まれる絶妙な味わいが空間にさりげない気品をもたらします。

籐、ラタンの断面図

『夏は涼しく、冬はぬくもりを』

籐の表面はホーロー質と呼ばれる象牙質に覆われていて、熱伝導性が良く、
湿気を繊維の内側に吸収するので表面はいつもサラッとしたひんやり感があります。
汗ばむ真夏でもベタつかず快適です。
また、自然の素材を生かしている為、暖かみのある家具となっており、
冬でも暖かくご使用いただけます。
実際、北海道などの寒い地域でも人気があり、一年を通してお使いいただけます。

『湿度調整』

籐は繊維の内部に湿気を吸収するため、表面はサラッとしていて熱を必要以上に奪いません。
また、内側に吸収した湿気は乾燥すると発散されます。
「籐は呼吸している」といわれるのはそのためです。
籐は天然のすぐれた調湿器です。

『安全性』

素材の安全性は歴史が証明しています。
家具や敷物として近畿地方を中心に百数十年も前から使用されているほど古い伝統に支えられています。

『人にやさしい』

最近の研究ではホルムアルデヒドなどのVOC(有害物質)を吸着する事がわかってきました。
その吸着力は最新の光触媒よりも桁違いに優れています。
ラタンは自然の素材なので アレルギー体質の方、シックハウス対策におすすめです。

地球と環境に優しい籐ラタンインテリア

『地球にやさしい』

最近ではエコロジーへの関心の高まりとともに注目を集めています。
樹木に比べて非常に成長が早く、5〜10年で用材となるラタンは、
軽さ、しなやかさ、強さを兼ね備えた家具素材として、最高の性質を有した高級素材です。
するどいとげに覆われたラタンを用材にするまでの手間は想像を絶するものがありますが、
職人が作り上げた製品はきちんとお手入れすれば、何世代にも渡ってお使い頂けます。
伐採してもすぐに成長し、伐採された家具も長く使用できる。
加工もほとんど手作業のため温室効果ガスや環境循環に影響のある物質の排出がありません。
やがて土に帰るラタンはとても地球にやさしいエコな素材といえます。

だから、籐は愛され続けているのです!!

ATTENTION

性質上のご注意
  1. 籐は東南アジア諸国をはじめ、熱帯・亜熱帯の国々で採れるヤシ科のツル性植物です。
    籐製品は温度や湿度により伸縮する性質上、また、1点1点手作りの為、寸法に若干の誤差がでる場合があります。
  2. 籐にはとげ状のささくれができることがあります。
    体や衣服などを傷つけないようにご注意ください。
    ささくれはハサミやカッターナイフ等で、取り除いてください。
  3. 籐には竹のような節があります。
    製品加工時に節を削った後や、自然の黒斑が残る事がありますが、これは品質不良ではございませんのでご了承ください。
籐家具・籐敷物のお手入れ方法

◎普段のお手入れ

乾いた布でカラ拭きしてください。
また、ホコリなどはブラシや掃除機で取り除いてください。

◎シミや汚れがついた場合

家庭用中性洗剤を薄めてから、柔らかい布につけ、軽く拭き取り、乾いた布で洗剤と水気を丁寧に拭き取ってください。
(特殊な洗剤・ワックス・シンナー等のご使用はさけてください。)

◎使用場所

籐は天然素材ですので、乾燥や直射日光を嫌います。
そのような場所でのご使用はなるべく避け、時々濡れた雑巾を固く絞って拭いてください。
また、多湿化では、通風・換気を行ってください。

ご家庭でできる簡単補修

籐は性質上、とげやささくれができることがあります。体や衣服なでを傷つけないようご注意ください。
ささくれはハサミやカッターナイフ等で、取り除いてください。

◎ピール(皮籐)のほつれの応急処置

ほつれ部分と整え、木工用ボンドで止めた上から、ビニールテープなどで一晩ほどしばっておいれおいてください。

◎ピール(皮籐)が外れた時の処理

あらかじめ皮籐を水に漬け湿らせておいてから、下記の順にしっかり巻いてください。
乾燥すると皮籐は縮んでしっかりと締まります。

籐家具、ラタンインテリアの補修方法

材料としての籐

家具に使用する主な籐の種類
 セガ 表面にホーロー質があり、みごとな艶で象牙にも近いという人もいます。
硬くて丈夫なのでその用途も多彩です。比較的山の高いところカリマンタンの奥地が産地として有名です。
太さ3〜15mmのツルで高い木にまつわりながら成長します。日本では籐といえば艶のいいセガのことをいうといっても過言ではありません。
中国語では色冴籐と記します。
 ロンティ 表面にホーロー質がありません。
そのため日本で上等とされてきた美しい艶はありませんが着色が可能なため、艶に重点をあまり置かないヨーロッパで編み籐として広く受け入れられています。
弾力性があり濡らすとやわらかくなり柔軟性に富んでいます。
商人の間でまだ名前がなかったときは、セガ籐の一種としていたらしいです。
 ウンプル 軽くて柔らかい素材。
地位としては、フレームには柔らかすぎ、編み芯にするには繊維が粗いためきめの細かい丸芯にはなりません。
皮籐も利用できませんが、安価でトヒチほどの太さがあるためマルチにつぶしののきく籐として利用されています。
屋外でも使える塗装の厚い家具などにも用いられます。
 マナウ 太く強靭な籐とされ、節目は低く太さも均等で繊維が細かく、硬くて美しいホーロー質で覆われています。
味わい深い籐で、ヨーロッパでは、皮付きの状態で家具として利用されることも多いです。
スマトラ島、マレーシアなどに生息しています。
 トヒチ 硬くて重い籐です。加工性に優れていて、曲線をきれいに表現できます。
染色すると、細かい繊維がくっきりと浮かび上がり、籐の特徴を表します。
スワウェシなどインドネシアに広く分布しています。
 バタン 柔軟性があまりなく、曲がりにくく比較的まっすぐな籐です。
真っ直ぐなフレーム、ゆるやかな曲線を出す部分に使用します。

火であぶりながらまげてみました
材料としての籐の種類
同じ種類の籐でも、太さ・部位によって硬さも違えば太さも違います。
当然使用用途がちがいます。巻材・編材に使用する籐と家具のフレームに使用する材料にわかれます。
種類 太さ(直径) 部位・状態 主な用途
セガ 4−6mm 0.45−3mmの皮籐 特殊な筵、網代、竹・籐細工用材料
1−2mmの丸芯 工芸品
6−8mm 3−6mmの皮籐 筵、高級家具の編材
2−4mmの丸芯 家具の編材(ウィッカー)
8−10mm 5−6mmの皮籐 筵、高級家具の編材
4−6mmの丸芯 家具の編材(ウィッカー)標準サイズ
10−12mm 5mm以上の皮籐 業務用籐筵(頑丈)
6−8mmの丸芯 家具の装飾材料
ロンティー 4−6mm 1mm−3mmの皮籐 着色編材、竹・籐細工用材料
1−2mmの丸芯 超小物細工の材料
6−8mm 3mm−6mmの皮籐 家具の着色編材
2−4mmの丸芯 カーブのきつい細工の編材
8−10mm 5mm−6mmの皮籐 家具の着色編材
4−6mmの丸芯 高級バスケット等
10−12mm 5mm以上の皮籐 家具の着色編材
6−8mmの丸芯 高級家具の編み材縦芯
ウンプル 10−35mm 丸芯 安価な編み芯やフレームの補助
マナウ 16−60mm 皮付/皮なし節あり 高級家具のフレーム
トヒチ 10−35mm 皮・節なし棒状(丸芯) 曲線を表現する家具のフレーム
バタン 15−35mm 皮・節なし棒状(丸芯) 真っ直ぐ・緩やかな曲線のフレーム
巻材・編材の太さは、棟(カン)という単位で表します。
棟とは1寸角(3cmx3cm)に何本の籐がはいるかです。
例えば3本入ればその籐材は3棟ということになります。ですから3棟の籐一本の太さは約10mmです)。
フレーム材の太さは、10−14mmを幼民、14mmから24mmを中民、24−30mmを太民、30mm以上を太太民と呼んで、材料の取引をしています。 籐一本一本の太さが違うため、こういった単位が生まれたようです。
※業務用・手芸用の籐材料も販売いたします。詳しくはこちらからお問い合わせください。
籐の等級
籐の種類で用途がちがいますが、それ以上に籐家具の良し悪しを決めるのは材料一本一本の質といっても過言ではありません。
一般にセガ籐は一番艶がある籐ですが、セガ籐でも質の悪いものは艶がそれほどありません。
逆にロンティーでもセガ籐にみえるほどの艶があるものもあります。
昔、ロンティーは病気になったセガだと思われていたそうです。ここではセガ籐について等級を記します。
特級 硬くて艶があり繊維がつまっています。色は最初は薄黄色です。
一本の長い籐を3分割した一番下(根っこに近い部分)に多い材質です。
年々色に深みを増して行きます。艶はほとんど変わることなくぴかぴかしています。
明治時代からしかれている敷物なんかはワニの鱗のようなすごみがあります。
細いものは網代、太いものは筵をつくります。
一級 硬さ、艶、繊維は特級と遜色ないですが、色合いが特級ほどではないものが一級です。
硬いしっかりした籐は漂白をしてもしっかりした艶が残ります。
20年後、30年後にも修理して使用する価値がある敷物になります。
二級 硬さ、艶、繊維、色合いで一級に合わないものです。ほとんど漂白をして色を整えて使用します。年々増す色の深みは一級ほどではありません。二級品といってもさまざまで、材料自体が二級のものはほとんど敷物に使用することはなく、一級の材料でも仕上がりの色にバラつきがあれば製品としては二級品として特価ででまわっています。
等外 黒かったりやわらかかったりと敷物をつくれない材料で、丸芯として利用します。
ボケ籐 等級とは関係ありません。一本の長い籐の先端部分です。まだ若い籐で、敷物にはむきません。皮付きで巻材等に利用します。
材質表記について
比べてください。らんどまーくの家具は品質を材料から考えています。
家具使用材料一覧 : 材 料
弊社が88年にわたって使用してきた主材料。用途に合わせて最適な籐の種類を選んでいます。椅子等の太いフレーム部分は、マナウ籐トヒチ籐を使用しています。丸い芯で編んであるものは、ロンティー籐またはウンプル籐を使用しています。フレームを固定する巻材や背もたれ等の張材にはセガ籐を使用しています。籐敷物に使用しているのも、艶が最高のセガ籐です。パーティション籐の曲線が比較的ゆるやかな商品に使用するのはバタン籐です。
パイン材 松です。長さ約30cmの松をジョイントして使用するサイズにカットしています。
天然木 天然の木材です。ベッド、ダイニングテーブル等に使用しているのはニヤトー(赤松系)です。固くて頑丈ですが、木そのものが赤みを帯びているため、塗装をする家具に使用します。チェストの引出等にはファルカタ(南洋桐)を使用しています。
ウォーター
ヒヤシンス
布袋葵(水草の一種)の茎です。草ですので木と比べて成長が早いです。ねじって綱状にしたものを編みこみます。日本には主にタイ、マレーシアとインドネシア産のものが出回っています。インドネシア産の方が質はよいとされています。
MDF 木材から植物繊維を抽出し、圧力をかけて固めた集成材です。主に廃材を使用しており、資源の有効利用という意味で環境にやさしい素材をいうことができるかもしれません。みためがきれいですが、強度は合板ほどではありません。また水に弱い性質もあります。弊社ではチェストの引出の底板等に使用しています。
合板 天然木を薄くスライスしたものを表面材として使用しています。MDFより強度がありますが、みためのきめ細かさはありません。弊社では回転椅子の基盤等に使用しています。
ガラス 強化ガラスを使用しています。弊社では、強度重視の5mmを標準としています。ダイニングテーブルには、最厚8mmの強化ガラスを使用しています。
ミラー 厚さ5mmです。
家具使用材料一覧 : 塗 装
ウレタン樹脂 コーティングが比較的厚く、光沢がでます。耐久性に優れていて素材の保護性もあります。におい残りが少ない塗装で、比較的高級なものに使用します。乾燥に8時間以上かけています。籐家具は、ほとんどウレタン樹脂塗装を採用しています。ウレタン樹脂塗装は、厚い保護膜ができるため、失敗すると二度塗りできません。
ニトロセルロースラッカー ラッカー塗装といわれている塗装で、速乾性があり、においの残りが少ないです。塗膜が薄く、補修が行えます。乾燥に4時間かけています。