競泳メーカーの高速水着徹底比較
2023年版

   by MIHORO 2023.9 update(随時更新)

2020年は世界的な感染症の拡大によって五輪は2021年へと延期され、日本で開催される世界水泳は2021年から2023年へと延期がされました。
選手の多くはここに照準を合わせてトレーニングする一方で、競泳メーカー各社も同様に開発をしているという背景がありましたが、色々と事情が変わったというのがここ最近の高速水着(競技水着)事情でした。
水泳用品の業界で一番衝撃的だったのはasicsの水泳からの撤退だと感じる人も多いでしょう。歴史的な円安によって日本での販売価格が高騰しすぎたことで、TYRもまた日本市場からの撤退となりました。
2023年にはFINAがWORLD AQUATICSへと名前を変え、認可の流れ(時期)も少し変わり、新しい認可新作水着(やゴーグル)は9月1日以降でないと使えないという新ルールも設けられました。
一番注目を集めるべき大会が多い夏場に新作の高速水着を含む競技水着を使えないのは各メーカーにとってかなりの痛手になっているのは間違いありません。
泳ぎの技術は革新的に変わり続け、水着もまたその選手に寄り添うように開発を続けられています。この選手ありきの寄り添い方を見ていると、2010年頃の高速水着の規制は大事だったのだと改めて思わされます。
そんな中で発売されている各社の高速水着も進化しています。この記事が相性の良い水着を探す、良いヒントになれば幸いです。




arena AQUAFORCE STORM
(アリーナ アクアフォース ストーム)


主幹機能:長く改良を続けてきたULITMATEシリーズの名前からSTORMへと名前が入れ替えられました。
今までの水着の良さを残しながらも、革新的な変化として足の内旋を追求しています。
バタ足をただ縦方向に動かすだけでなく、足を内旋させる事で渦を作り推進力を生む泳ぎ方を目指したものです。
arenaさんは過去にアップキックサポートによって泳ぎが早くなるというコンセプトからinfinityシリーズを生み出し、それは現在世界中の水着づくりに影響を与えるほどでした。泳ぎの理想形から逆算して水着を生み出す技術が今回も発揮されるか、気になるところです。
その機能を発揮するために着用の仕方が少し特殊な点も注目



 
アクアフォース CP
男女それぞれに違う形状に配置されたテープによって、男女の体格やボディポジションの違いに対応したサポート
グリップテープでアップキックをサポートさせる事に加えて、ねじり構造によって、キックの推進力を向上させた強いサポートタイプ
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  アクアフォース MF
一枚布で作られることで軽量化と動きの自由さを実現した一枚。
動かしやすさを残しながらもねじり構造によってキックの推進力を向上させる。
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男性用女性用
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男性用女性用

 

arena POWERSKIN CARBONシリーズ

少し混在しやすいかもしれないが、POWERSKIN CARBONシリーズはアリーナ海外選手も多く愛用するグローバルモデル
ポリエステル素材にカーボンというハイパワーな素材を含有した意図を入れる事で、丈夫な生地を実現している。

POWERSKIN CARBON CORE FX


FEEL THE POWER
TIGHT FEEL AND CORE SUPPORT
Our most compressive race suit: locked-in feel and strong all over compression.

「力を感じる。最も強いコンプレッション、コアサポート」

  POWERSKIN CARBON GLIDE


FEEL THE GLIDE
UNPARALLELED GLIDING UNDERWATER
Our most sophisticated race suit yet: a combination of lightness and compression.

「グライドしやすさ。軽さとコンプレッション」







mizuno GX SONIC 6
(ミズノ ジーエックス ソニック シックス)

主幹機能:一時的にNEOシリーズなどを挟み、久しぶりに発売されたGX SONICのナンバリングを持つ新作です。フラットスイムが泳ぎを早くするという考え方からGX SONICの初代から常に前作をベースに改良を続けてきた本作。
GX-6で大切にしたのはゼロベース開発です。あらゆるスイマーの試泳を繰り返しながら、今の泳ぎに合わせて必要な機能はどれかという事を何十、何百の試作を繰り返すことで地道に理想形へと近づけた本作 スイマーひとりひとりに対応すべく生まれたのは以前のように硬い柔らかいの2択ではなく、3択(NV、CR、ET)でした。
全てのシリーズに共通して言えるのは、女性は肩のストラップが非常に伸縮が良く、伸びが良い。伸びが良いために以前よりも何もしていない時は短い設計。そして男女の体格差や泳ぎに合わせてカスタマイズされた男女の仕様の違いです。

 
GX SONIC 6 NV(Noble velocity)
シリーズはSTの継続と言える硬くて力強い速さを実現するシリーズ
後ろにクロステープを付けてアップキックを強くサポート。 姿勢を整えるホールド感で、浮き感を出す
捻転(捩じり)によるパワーを最大化
一言で言ってしまえば「速くするための全乗せ豪華セット」です。
硬い水着にはなるので選手は選びますが、とても魅力ある逸品です。
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  GX SONIC 6 CR(衡)(Compressive release)
GX-SONIC5でいうMRの守備範囲からSLあたりまでをカバーする水着です。
珍しい仕様として、足元の内ももに裏地を配置し、足元の脂肪のゆれを防ぐ効果を狙っています。
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男性用女性用
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男性用女性用ジュニア用

 
 
GX SONIC 6 ET(柔らかい)

ET(emotional technique)は、最も着易く作られたシリーズです。
着易く動きやすいとは言っても機能は高速水着として必要なものを兼ね備えており、お尻のラインにテープが入っていることによってフラットスイム(姿勢保持での浮き感)も実現させています。
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男性用女性用
   



speedo FASTSKIN LZR Pure(ファストスキンレーザーピュア)

LZR RacerシリーズからPureシリーズへ名前変更 根幹となる名前が変更され、新しい発想へと切り替えられたことへのメッセージとも言えるPureシリーズで大事にされたのがサメ肌
以前にもサメ肌と言われる水着(アクアブレード)はあったが、その頃からさらに水中での分析が進んだ。
サメの鱗には大小があり、その違いがシャープな泳ぎにつながっているとの研究結果がが今作に生かされている。
Speedoは他社に比べてボンディング(圧着)部分が多い為、ホールド感が強く、硬いと言われている。

(何人かの着用者からの感想では、硬さでは X>GX4 ST>INTENTという意見がある)


 
FASTSKIN LZR Pure Intent
Xの純粋な後継とは言えず、全く新しい発想で作られた水着
例えば、Xの時はテープがクロスしていたが、今は並行している。
→これによって着やすさがUP
前と後ろのテープの太さが違う。
・サメの鱗を参考に作られた水着で、流水抵抗が大きい所と小さい所はのうろこの大きさにも着目されている。
横の黒い部分にはストレッチ性が設けられており、今までのXでは着用に30分だったのが10分ぐらいの着用時間に減った。
生地が厚くなり重くなったが、浮き感は大幅に上がったとの声が多い
全体的に着やすくした分、コアな部分に硬さを持たせ、性能を向上させている。

着用している人の割合
  ハイウエストジャマー ジャマー
LZR Racer X
LZR Racer Pure

  FASTSKIN LZR Pure Valor
薄くて軽いストレスフリーの水着

エリートとの違い
コアの部分(裏地)のサポート部分が広くなり、コアサポートが高まった。
・Valorは内股の裏地が2枚になっており、2枚になることで戻りやすい。
・中にバンドが入っているためターンに力が入るようになった。
・股上が以前より長くなった。(それによってきついと感じてエリートより小さいと感じる人がいた)
・股下も長くなったことによって、裾部分も若干細くなった。
     
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男性用女性用
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男性用女性用



asics
骨盤サポートを重視しており、骨盤を前傾させる方向に強制させる。これによって浮き感を実現している。骨盤周りに関しては他社よりきついというお声が多い。それに対して脚や身体に関してはストレスを感じるというお声は少ない印象です。

※asicsの試合用水着は2023年に開発・販売終了


◆gilde
3つの中では柔らかく動きやすいタイプ
  ◆stream
3つの中では硬いホールド感で機能的には良いが、骨盤周りは他社に比べてもきつめというお声も多い。
     
◆SiN2020
上記の2つを受けて、着圧を維持しながらも、骨盤サポート、骨盤直立(ストリームラインをまっすぐにする)機能を重視させたタイプ どちらかというとStreamの着心地に似ていますが、女性用などは着心地がStreamより改善されているように思えます。
 





Jaked
2008年の高速水着時代に一気に名を上げた実力派イタリアの競泳ブランド イタリア独自の発想によって今までにない発想で切り開く発想力を、最先端の圧着技術工場からスタートしている技術で裏打ちしている。

 

Jaked JK-ONE
JK-ONE、J-Katanaよりは硬いが、J-keelよりは着やすい 1番の特徴と言えるのが前側にある2本のテープ、前側にサポートテープがあるのは他社ではあまり考えられないが、そこは流石発想力のJaked 前側のテープによって流水の流れを作り、体を押し上げる構造が作られており、実際に泳いだ人からは不思議に感じるような浮力が感じられる。 生地自体も非常に高い撥水効果を持っている。 後ろ側(裏側)には縦方向にテープが入っており、ここでアップキックのサポートをする。


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男性用女性用
  Jaked J-KOMP

海外でも人気が高かったが、試した選手から非常に評判が良かったJ-KOMP
日本国内では流通が難しかった関係で扱いはありませんでしたが、新たに扱いが増えました。
伸縮性の違う生地が混在し、泳ぎを適切にサポートしてくれます。画像からもうっすらわかる縞模様で生地の違いが可視化されています。
着心地が良くKatanaを好んだ選手に人気で、バッタやバックといった泳法で人気を集め、ブレストとも相性が良いとして人気が高い。

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男性用女性用


TYR
注目度の高いデザインに目が行きがちだが、理論を突き詰めて開発をされている。 短距離用のVENZO、中長距離用のAVICTORというように使われそうだ。 海外モデルの輸入品のため、非常に高価な価格帯になりがちだが、その使い勝手の良さには評判が集まる

VENZO Phantom genesis(2021~NEW)

骨盤周りの締め付けがあるため、浮き感や骨盤のホールド感を得られ、理想のフォームを作る 適度な生地感と、太もも部分の作りを変える事によって、今までのVENZOの機能を維持しながらも、足回りの動かしやすさへと改善。 着用テストをした方々からは、「ドルフィンキックが打ちやすい」という驚きの声が寄せられています。 VENZOとAVICTORの良い部分を集めた水着とイメージすると良いようです。


各社が発表をし、当社に情報が入りましたら情報を追加していきます。(公開可能情報に限ります。)

現在の競泳技術とその高速水着事情について(2023/8/31)

2009年頃の高速水着の規制によって世界記録は当面は出ないであろうと言われましたが、競泳の技術は革新的な進化を続けています。

世界の競泳レベルは本当に格段に上がったと感じさせられます。これはもしかしたら競泳だけに限られた変化ではないのだと感じさせられます。

今までの技術向上のための情報というと誰か身近なコーチや、限られた教材、写真や文言が中心でした。

それが今では動画の質は上がり、動画の数も種類も飛躍的に上がり、世界中のトップアスリートがリアルタイムで最新技術を語り、多面的な情報が手に入り、分かりやすく動画で解説してくれる人も増えました。

分かりやすいYouTubeなどの動画では言語の壁を軽く超えます。そうやって切磋琢磨が世界レベルで行われているのが現状です。

情報が双方向になったからこそ、競泳各メーカーはより選手に寄り添う。そんな状況で生み出されていく水着はどれも魅力的なものが多いとは思います。

改めてになりますが、ぜひとも良い水着を見つけてください。



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