千年ジュエリーの店長のTorre del grecoレポート
トーレ デル グレコはナポリの南部、地中海沿岸に位置し、気候も温暖で、過ごし易い街です。 また、ポンペイの遺跡で有名なベスビィオ火山や海岸線の美しさで有名な観光地ソレントがすぐ近くにあり まさに海と山に囲まれた風光明媚な場所です。 現在シェルカメオのほとんどの彫刻家達が同市を活動拠点としており 市内にはカメオ彫刻などを教えるアートアカデミーもあります。
トーレデルグレコでよく滞在するホテルです。
小さなホテル(部屋が5つしかありません)ですが、静かできれいなので過ごしやすく、気に入っています。
さすが南イタリアのホテルだけありワインセラーは充実しています。
好きなワインをプールサイドで楽しんだりできます。
ホテルのすぐ後ろにはベスビオ火山が見えます。
(左側の緩やかな山がベスビオ火山です)
ベスビオ火山の噴火で遺跡になったポンペイも車で30分くらいです。
トーレデルグレコ市内では、いたるところで写真のような大きな松の木とレモンを見かけます。
ナポリといえばやはりピッツァですね。日本とは違い厚焼きでしっとりしています。
さすがはシェルカメオの街だけあり、お店の中にインテリアとしてシェルランプがあったりします。
遠くに見える街がナポリです。
ナポリの港は歌で有名なサンタルチアです。
ナポリからトーレデルグレコまでは車で20分くらいです。
下に見える木はオリーブです。
オリーブの実からは、皆さんご存知の通りオイルが取れますが、南イタリアは特に良質なオイルの産地として有名です。
海岸につきました。
トーレデルグレコは海に面しているので、このような砂浜の海岸線が続いています。
地中海の青と、空の青がきれいですね。
トーレデルグレコの産業としてはシェルカメオの他には漁業が盛んでこうした港から新鮮な魚介類がナポリなどへ運ばれてゆきます。
トーレデルグレコのダウンタウンです。
一般的なアパートメントでご近所同士の皆さんは気さくに声を掛け合って暮らしています。
イタリアでは敬虔なカソリックの方が多いのでこうした教会も市内に多くあります。
写真の右側の3階建ての建物がトーレデルグレコのアートアカデミー(School of arts of carving)です。
現在の生徒数は約200名ほどで、そのうち約9割はカメオ彫刻を学んでいます。残りの1割の生徒さんは彫金やデッサンを学んでいます。
現在のカメオ彫刻の講師としては「クレセンツォ・ガリオーネ」氏が担当しており生徒さんは皆さん明日の芸術家、巨匠を目指して日夜制作に励んでいます。
(左側の建物は教会です)
ここからはいよいよトーレデルグレコのシェルカメオについてお話させていただきます。
トーレデルグレコの一大産業といえばやはりシェルカメオ。
こうしたシェルをカリブ海沿岸などから輸入し、カメオの素材とします。
左からコンクシェル、右下がコルネリアンシェル、上がサードニクスシェルです。
大きさは30~40cmくらいで様々です。
輸入されたシェルは半年~1年かけて天日で干され乾燥させます。
各シェルカメオの工房でこのようにシェルをカットしてゆきます。
シェルは大型で厚みがあるので、カットは集中力と経験が必要な力仕事になります。
この最初のカットで大体の大きさに小分けしてゆきます。
カットしたシェル素材の面取りを行っているところです。
大まかにカットされたシェルを作家さんが彫りやすいようにある程度決まった大きさ(50x40mmなど)に整えます。
素材は色合いや厚み、白黒のコントラスト、キメの細かさや内包物の有無などランクがあり、大体4~5段階くらいでそれぞれの品質ごとに分けてゆきます。
その後はシェルカメオの作家さんへ届いて、いよいよカメオとして彫刻されます。
カメオの素材は暖めた松脂(マツヤニ)で短い棒に固定され利き腕でブルーノと呼ばれる手刀で彫りこまれ行きます。
モチーフなどを見ながら彫ることが多く、こちらからモチーフをお渡しして彫っていただくオーダー作品もよくあります。
若手の作家さんは、アートアカデミー卒業後にペルニーチェ氏のような有名な作家さんの工房で修行したりして更なる経験と技術を習得してゆきます。
世界的に有名な作家となり、自分の工房まで持てるような人はごく小数で本当に狭き門です。
そしてやっとシェルカメオの完成です。
その後、作家さんから譲っていただいた作品を、日本の皆様へご紹介することとなります。
このような凹凸のある硬い素材のシェルをここまで彫れるようになるには本当に長い年月をかけた経験と技術が必要です。
(最後に)
完成したシェルカメオにブローチなどのジュエリーとして最後に枠付けをすることとなります。
イタリア国内でフレーム枠を取り付けることもありますがその枠の厚み、純度などの品質や、金具や仕上げの綺麗さでは現在では日本の方が優れていますので、
千年ジュエリーでは基本的にカメオのまま買い付け、日本で高品質な枠付けを行っています。