お歳暮は、江戸時代の盆と暮れに決済をする商習慣から生まれたもので、
一年間のお付き合いに感謝して贈られるようになったものです。
これが明治時代に、商人だけでなく、広く一般に行われるようになりました。
一般的にお歳暮は、目下の人から目上の人に贈るものです。
目上の方へ贈るときは、
まず、先方との関係や日ごろの交際から、白分か贈る立場にあるか、
贈った場合は喜んでもらえるか、迷惑に思われることはないかなどを考え、贈るかどうか判断します。
親しい人へ贈るときも、ひとりよがりで押しつけがましい贈り方は、人間関係にも悪影響を及ぼしかねません。
双方に噛み合わない部分かあると、せっかくのギフトチャンスを、有効に生かすことかでかなくなってしまいます。
▼贈る相手 対象
・夫婦双方の実家や親戚、仲人
両親や親戚に対しては、省略する申し合わせをして、
代わりに母の日や父の日、誕生日などに贈る方法もあります。
・仕事の取引先
職場の取引先へのお歳暮は、儀礼的な要素の強いものですが、 贈る場合は、それぞれの慣例に従います。
・勤務先の上司
会社で習慣があるならば上司などにも贈りましょう。
贈る場合は、職場内の雰囲気、同僚とのバランスを配慮します。
社内での贈答を禁じている会社もありますが、
とくに定められていないときは、親しい先輩や同僚に相談して決めるのも一つの方法です。
また上司に贈ることは、見返りを期待していると勘違いされるかもしれないので、
社内にそういった風習がないのなら控えましょう。
・かかりつけの医師や稽古や習い事の先生・恩師など
医師や公務員の場合は、業務の規定によって
受け取りが禁止であることもあり、事前に確認しておく必要があります。
・日ごろお世話になっている人や感謝したい人、義理のある人など
全国的に12月初旬から20日くらいまでと言われています。
最近は、11月中旬ごろから贈ることもあります。
いずれにしても、季節感が重視されるもので、遅れると意義が薄れます。
時機を逸した場合は、少しずらして、お年賀や寒中お見舞いとして贈る方法もあります。
また、先方へ直接持参するのが正式ですが、持参すると相手に気をつかわせることになります。
今日では、メッセージを添えて託送や郵送にするのが一般的で、双方ともそのほうが負担が少ないものです。
品選びばかりでなく、届ける方法についても、相手の立場に立って考えます。
お歳暮は紅白蝶結びの水引きでのしを付けます。
ただし、生ぐさものなど、のしをつけない品物もあるので、かけ紙には注意しましょう。
表書きは御歳暮・お歳暮と書き、その下に差出人の名前を書きます。
贈り主の名前は、表書きよりもやや小さめに書き文字の大きさにも気配りを。
また、崩し文字や略字は使わず、文字は丁寧に書きましょう。
予算は、毎年予算の水準を保ちましょう。
一見して高価すぎるものは、相手の負担になります。贈る方との関係を考慮しましょう。
また、お歳暮は、お中元よりやや高価な品物を選びましょう。
▼予算の目安
相手が喜ぶものを、誠意を込めて選びましょう。
先方の好みや、年齢、職業、家族構成、健康状態、居住地、勤務先などを考慮し、
役に立ったり喜んでもらえそうなものを選びましょう。
会社あてに贈る場合は、小分けになったお菓子など口に入れるまでに相手の手をわずらわせないものが理想です。
また、年齢が自分より上の方には、「量より質」と心がけましょう。
色柄のあるものを贈るときは、相手の好みや性別も考慮して。
相手の好みがわからない場合は、
食品やジュースセット・ビールセットなどの飲食物や、
重なっても困らない消耗品やタオル・石けんなどの実用品がおすすめです。
その際、季節感のあるもの(お歳暮なら年末年始やお正月に使えるもの)や日持ちのするものを選ぶなどの配慮をしたいものです。
いずれにしても、現金は贈らず、趣味的なもの、手作りのものはあまり向きません。
また、近しい間柄でなければ、「下着」や「靴下」などの肌着類や踏みつけることを連想させるマットやスリッパは避けましょう。
お中元を贈ったら、必ずお歳暮も贈りましょう。
お中元のみ贈ることはしてはいけません。一方だけなら、1年の締めくくりという意味でお歳暮を優先します。
また、一度だけ贈るのであれば、「お礼」としましょう。
中止については、一般的には、次の機会に品物は贈らず、
代わりに季節の挨拶状だけにして意思表示するというのが無難です。
親しい間柄なら直接申し出てみるのもひとつの方法です。
喪中の方へのお歳暮は、お祝いを表す年賀と違って、感謝の気持ちを贈るため、
例年通り贈っても問題ありません。
ただし四十九日が過ぎていないときには、相手の心情を気遣い、時期をずらすとよいでしょう。
時期がはずれてしまった場合は、「御年始」「寒中お見舞い」といった形にしましょう。
また、派手な包装や水引、おめでたい内容のものは避け、品物の包装紙も地味なものにして、
紅白の水引の印刷された契斗紙を使わないなど、体裁にも配慮が必要です。
贈る側が喪中でも同様です。自分が喪中の場合は、四十九日の法要までは贈らずに時期をずらしましょう。
贈り物に一筆添えて感謝の気持ちを表すとよいでしょう。
たとえ短くても素直な気持ちをしたためた手紙を添えて贈れば、その後のおつきあいもより円滑になるはずです。
▼添え状のポイント
時候のあいさつ
▼前文
▼末文
お歳暮は、目下から贈るものなので、基本的にお返しは不要です。
ただし、着荷報告も兼ね、お礼状を出すのが礼儀です。
お礼状は、品物を確かに受け取ったという報告も兼ねていますので、できるだけ早く送りましょう。
ただし、親しい間柄であれば、ハガキやメール、電話でお礼を述べてもよいでしょう。
またお礼をしたい場合は、折をみて、さりげなく『松の葉』などとして贈りましょう。
― お礼状について
感謝の気持ちと品物についての感想を礼状で表しましょう。
取引先からもらった場合は、会社名義で礼状を出します。
また会社で個人あてにもらった場合、上司に報告し相手に礼状を書きます。
贈答品は会社で分けるのが適当です。自宅に直接贈られてきたら、個人負担で礼状を。
あげていない相手から贈られてきた場合にも、お礼状を書き、さらに次回会ったときにお礼を言いましょう。
― お礼状 文例
今年も残すところあとわずかとなりましたが、お元気でお過ごしのことと拝察いたします。
さて、このたびは、お心のこもったお品をお届けいただき、恐縮いたしております。
いつもながらのお心配りに感謝の言葉もございません。厚く御礼申し上げます。
向寒の折りから、ご自愛ください。
よいお年をお迎えくださいますよう、お祈り申し上げます。
とり急ぎ、御礼のみにて失礼いたします。