わたしたちが生活するうえで肌に触れない日は無いほど身近な存在のコットン。じつは五千年以上も前から人類に親しまれているもっとも古い繊維のひとつなのです。今回はそんなコットンについてのお話です。

着心地のよさに優れたやさしい素材

コットンは、どんな性質を持っているのでしょう?コットンは他の繊維と比べても特にやわらかく、繊維の先端が、丸みを帯びているためやさしい肌触りが特徴です。そのためチクチク肌を刺激することもありません。また植物の繊維から生まれる天然素材のため水分を吸う特性があり、汚れや汗を吸い取り快適な環境を保ってくれるのです。水分を吸い込み外に放出する際に熱を奪うため汗をかくシーズンには涼しく着ることができます。

カカオやコーヒーのように個性を持っています

綿は、綿花畑で育てられ、綿花の花が咲き実がはじけた後、ふわふわした綿毛が取り出され紡績工場に運ばれます。そして様々な工程を経て糸に生まれ変わります。一口にコットンと言っても、もちろん全てが同じではありません。実は生育した土壌や環境によって個性が生まれ、質感も着心地も異なるのです 。まるでカカオやコーヒーのようですね。最近注目の「ビーントゥバー」や「スペシャルティコーヒー」のように、それぞれ産地の特性を生かした、素敵な3つのコットンを次にご紹介します。

「シーアイランドコットン」英国王室が愛した最高のコットン

JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)

世界でもっとも優れた綿、それが”シーアイランドコットン”です。 長い日照時間や、雨期と乾期のバランスなどいくつもの条件が重なった、 カリブ海西インド諸島の限られた5つの地域でのみ生育されるコットン。 年間の生産量は綿全体の10万分の1というとても希少なものなのです
このコットンの最大の特徴は世界中のどのコットンよりも細く長い繊維であること。 (繊維は長ければ長いほど、細ければ細いほど、しなやかな風合いと強さを生みだします。) カシミヤのようなふっくら柔らかな肌触りと抜群の吸湿性を発揮します。 他の綿に比べ1.5倍もの光の反射度があり絹のような美しい光沢を持っています。
16世紀後半に西インド諸島を領有していた英国女王エリザベス1世や王室貴族たちを魅了し、 以後200年もの長い歳月英国が栽培から船積みまで厳しく管理し、門外不出にしていたとういう 逸話も残されています。

JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)

このシーアイランドコットンを使用しているのがジョンスメドレー。30Gと、とても細かく編み立てられています。

「タンギスコットン」世界最古の綿花栽培の地でつくられるやさしい風合いのコットン

世界最古の綿花栽培の地、ペルーの高地で育てられる「タンギスコットン」 昔ながらの方法で自然の肥料だけを使用し、農薬も周辺の環境を汚さない ものを使用するなど環境にも配慮した栽培方法をとっています。 更に品質の良い綿だけを選ぶために、手で摘んで収穫しているそう。
繊維は短いものの、繊維が太く、コシ・伸縮性があり、さっぱりした肌触りが特徴的です。 また、バルキー性が高く、汗吸収が良く爽やかなタッチ。柔らかく、ウールのような肌触りで、洗うたびにふんわり柔らかくなり、インナーにも最適な着心地のコットンです。

KINOTTO(キノット)アイテムイメージ

タンギスコットンを使用したKINOTTO(キノット)のカットソー。一枚でもインナーとしても使いやすい一着です。

「スーピマコットン」しなやかさと強度に優れた優秀なコットン

アメリカ南西部で作り出される長い繊維のコットンをピマ・コットンと呼びます。 ピマは、産地であるアリゾナ州ピーマ郡からきたもの。その中でもピマ・コットンを100%使用した高級コットンは「スーピマ・コットン」と呼ばれます。
見た目に大きな特徴はありませんが繊細で、硬さが無い手触り。それでいて強度は、通常のコットンより40%ほど強い事も特徴。 また色を吸収しやすいので染色が美しく、着用を繰り返した後の色落ちも良いです。美しさ、着心地の良さ、耐久性のバランスの取れた優れたコットンです。

強度が高く細かく織りあげてもハリがあるためタイプライターシャツなどにも用いられています。

こまめに洗う事が長持ちさせるポイント

コットンは吸湿性が高く汗を吸ってくれる反面、マメに洗いにかけることが大切。水に濡れると繊維の強度が増す特性があるため、洗濯を繰り返しても素材が痛みにくく、服が長持ちします。洗いを繰り返すことで生まれるふんわりとした質感もまた魅力の一つ。大切に着続けて風合いの変化を楽しむのもコットンの醍醐味のひとつですね。

いかがでしたか。身近な素材だからこそ、それぞれの生産地や特徴を知って違いを楽しんでみるのもおすすめですよ。
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