えっ、これアジアンタイヤなの!? ラリー王者がワインディングで絶句!! コスパ高すぎ“ミネルバ”タイヤってなんだ
全日本ラリー選手権の元チャンピオン、新井大輝がオートウェイで絶賛売り出し中のSUV用タイヤ、MINERVA(ミネルバ)をテストドライブ!プロの厳しい目は、ベルギーブランドのアジアンタイヤをどう評価するのか?今回は動画も合わせてご覧ください!
文/新井大輝 写真/西尾タクト 車両協力/富士スバル格安アジアンタイヤ「MINERVA」を装着した新型フォレスターで赤城山へ
家族連れが数多く観光に訪れるそんなお盆休みの真只中、富士スバルさんで借りた新型フォレスターで赤城山を訪れてみました。初めて1.8Lターボエンジンを搭載する新型フォレスターSPORTを試乗しましたが、快適な空間と長距離移動をしても苦にならない乗り味は、とても乗りやすくていいクルマだと思います。
さて、今回はタイヤのネット通販大手のオートウェイで購入できる格安なミネルバのタイヤとホイールを装着し、二日間で合わせて100km近く運転させていただきました。昨今のアジアンタイヤがどれほどのパフォーマンスなのかについて忖度なしで色々語っていければなと思います。
かつてはロールス・ロイスに匹敵する高級車を製造していたMINERVA
まず初めにミネルバというタイヤについて。ブランド自体はベルギーですが、製造は中国国内で行われています。いわゆる格安アジアンタイヤに分類されるタイヤになります。
ミネルバはベルギーの高級車ブランドで、1902年から1938年までロールス・ロイスに匹敵するブランド力を持ち、ヨーロッパの政治家や著名人が、好んで選んだといいます。
戦後自動車会社としては倒産してしまうが、ミネルバブランドのタイヤを販売。現在では欧州やアジアなど世界52カ国に展開するグローバルブランド。
今回テストしたECOSPEED2 SUVはミネルバの最新SUV向けプレミアムハイパフォーマンスタイヤで、ハイグリップかつコンフォートとバランスのいい乗り味が特徴だ。16インチから22インチまで幅広いタイヤサイズを持ち、ハリアーやCX-60、メルセデスGLEなど国内外のプレミアムSUVとのマッチングがいい。
MINERVAとにかく普通に走り、普通に曲がってくれる
いきなり結論から言ってしまうとこのタイヤの性能はすごくまともで、アルミホイールとセットでなんと9万3,240円!タイヤ単体だと1本8,910円(255/55R18)と激安。
価格を考えるとコストパフォーマンスは抜群です。安いタイヤはほかにもありますが、同じ価格帯のタイヤのなかでも頭一つ抜けている印象を受けました。ミネルバを含め、この価格帯のいくつかは僕も普段から使っていたりするタイヤ銘柄だったので、パフォーマンスは勝手知ったるところであります。
まず感じたのはタイヤのサイドウォールの硬さです。普通7,000円~8,000円台のタイヤに履き替えるとサイドもヘニャヘニャで柔らかく、不安になるほど腰砕けのフィーリングになるのが常なのですが、ミネルバではそんなことはなく、ワインディングでもハンドルを切れば素直にボディが応答してくれて自然なフィーリングです。
もちろん、全開走行をすれば大手ブランドに比べると少し劣る部分があるかもしれませんが、普通のスピードで乗っているぶんには、気になるところはありません。うれしいことにタイヤがまともすぎて格安タイヤということに気づくことができませんでした。
私自身普段から使っていると書いたのもこの「普通に走れる」ということが、何よりこの価格帯のタイヤとしてはとても価値があるものだと思います。
実際にラリーをはじめる若い子達にも練習用としてオススメしているタイヤです。一本あたりのランニングコストとパフォーマンスを考えるとこのタイヤに勝るものはない気がします。
ECOSPEED2とECOの名のとおり、今回アップダウンのある、きつい赤城山のワインディングロードを走って、燃費は11.8km/lと予想以上にいいものでした。
セダン、ミニバンなどの乗用車からSUVに乗り換えたドライバーは、車両を購入した時にはまったく気にしないが、いざタイヤを交換する時に、その価格を聞いてびっくりする人がほとんど。
このタイヤとアルミホイールのセットなら10万円を切るし、車検ごとに新品タイヤに交換しても、18インチの55扁平サイズで1台4本で4万円程度と、とにかくコスパが素晴らしいと思います。
毎回車検のたびにタイヤとホイールをすべて交換しても、10万円以内に収まるのは恐ろしいほどの安さだと思うので、タイヤの摩耗を気にせずに積極的に新品に変えて気持ちよく運転してみてはいかがでしょうか?
SUVのタイヤの価格が高すぎると悩んでいる方がいらしたら、一度でいいのでミネルバタイヤを履いて「驚くほどの普通さ」を体感してほしいと思います。
※価格はいずれも税込、取材当時のものです。
新井大輝(あらい・ひろき)
1993年、群馬県に生まれる。父はPWRCで2度チャンピオンに輝く新井敏弘。20歳からラリーを始め2016年から3年間トヨタの若手育成プログラムのドライバーに選ばれ、ヨーロッパで活躍。帰国後全日本ラリー選手権のトップカテゴリーを走り、2019年はシリーズ2位、2020年はシリーズチャンピオンを獲得。今年11月に開催されるWRCラリージャパンにプジョー208ラリー4で参戦予定