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世界三大高級腕時計といえば?
世界三大高級腕時計といえば、皆様は何を思い浮かべますか?
正解は、
・ヴァシュロン コンスタンタン 『Vacheron Constantin』
・パテック・フィリップ 『Patek Philippe』
・オーデマ・ピゲ 『Audemars Piguet』
とされています。
この3社いずれもスイスの高級時計メーカーなのです。
ではなぜ、スイスに高級時計メーカーが多いのかご存知でしょうか。
一番は歴史的な背景が非常に大きな影響を及ぼしていると言えるでしょう。
また、地理的な要因もすくなからず影響を与えていると考えられています。
地理的特徴
まずは地理的特徴です。
スイスはヨーロッパ中央部に位置する内陸国でドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、リヒテンシュタインに囲まれており、 日本の九州よりもやや小さな国で、アルプス山脈とジュラ山脈が国土の約70%を占めています。
スイス中南部にはアルプス山脈が広がりアイガー、メンヒ、ユングフラウというスイスが誇る3名峰と、アルプス最大最長のアレッチ氷河が存在します。
「スイス アルプス ユングフラウ - アレッチ」が2001年にアルプス初の世界遺産として登録されるほどの貴重な大自然に恵まれた国となっています。
また、スイスの南西(ジュネーヴの北)からフランスとの国境沿いに広がるジュラ山脈も歴史的特徴とあわせて大きな影響を与えているでしょう。
これらの恵まれた自然環境は、時計だけではなく精密機械の製造には欠かせない、キレイな空気と、キレイな水が豊富な証です。
スイスとフランスの歴史的特徴
スイスの宗教改革とフランス宗教革命
フランス出身の神学者ジャン・カルヴァンは1536年に『キリスト教綱要』を発表し、スイス ジュネーヴで改革を開始。
ジュネーヴ周辺は、彫金やエナメル細工など宝飾細工品が多く作られ、すぐれた職人たちが多くいたが、 宗教改革によりビロードの服や金の装身具、大食いなどの贅沢は禁じられ職人たちは職を失っていきます。
カルヴァン派の影響は非常に強く、隣国フランスへとも広がり、フランスのプロテスタントは ユグノーと呼ばれ、カトリックとの衝突が始まります。
フランスでは1562年からユグノー戦争と呼ばれる断続的な内戦が36年にも及び、 カルヴァン派は迫害から逃れるために、カルヴァンの町スイスのジュネーヴへと逃れていきます。
カルヴァン派は勤労や貯蓄を善とし商人に広がり、その多くは手工業者で、その中には優秀な 時計職人も含まれていたようです。
亡命先のジュネーヴでは職を失った宝飾職人達がおり、もともと手先が器用だった彼らと出会い、 宝飾と時計、互いの高い技術が融合し、時計作りが発展していったと言われています。
その後、1685年にもフォンテーヌブローの勅令が公布されプロテスタントは最終的に非合法化され、 ユグノーたちは国外へと散っていく中、ジュネーヴへと逃れるものもおり、時計産業の発展の契機となったと言われている。
18世紀にはジュネーヴからフランス国境沿いを北へと拡大していく。19世紀にはスイスの時計産業は家内工業から工場生産へと移り、 この時期に現代の高級ブランド時計の創業が相次ぎ、スイスの時計産業を確固たるものとする。
世界三大高級腕時計の創業
このような時代背景の中、世界三大高級腕時計が創業されていく。
1755年 世界最古の時計メーカーとして、ヴァシュロン・コンスタンタンが創業
1839年 2人のポーランド人アントニ・パテックとフランチシェック・チャペックによってパテック・フィリップ創業
1875年 ジュール=ルイ・オドマールとエドワール=オーギュスト・ピゲによってオーデマ・ピゲを創業