それぞれ違うライフステージ

フードを購入される際に「成犬用」「高齢用」などの記載をご覧になったことはあるでしょうか？
わんちゃんは大きく、「哺乳・離乳期」「成長期」「成犬期」「中高齢期」「高齢期」というライフステージを経て年をとっていきます。
そのライフステージごとに求められる栄養成分や配慮しなければいけないことは移り変わってくるため、一般的なフードではライフステージにあわせたものが用意されています。

例えば小型犬は成長期が短く、早く成犬になりその後ライフステージが長くなります。
筋肉の成長を健康に維持する成長期のためのごはんを成犬になってもあげていると、太りやすくなるなどのトラブルが起こる可能性も。

大きく変わる必要なカロリー量

4.5kgの成犬のミニチュアダックスフンドの必要カロリー量は約400kcal/1日に対して、45kgのジャーマンシェパードの必要カロリー量は約2,100kcal/1日になります。

体重が10倍にも関わらず、必要カロリーはおよそ1/5。

理由は諸説ありますが、一因としてカロリーの消費にかかわる代謝量が体重に比例するのではなく体表面積に比例することや、体重が重くなるほど筋肉・骨・脂肪など代謝量が低い組織の割合が増える傾向が知られています。

「乳歯遺残」で高まる
口のトラブルリスク

犬では通常生後5~10ヶ月の間に永久歯に生え変わります。しかし、小型犬では永久歯が生えても乳歯が抜けずに残る「乳歯遺残」と言われる状態になることがあります。

「乳歯遺残」により嚙み合わせが悪くなったり、食べかすが挟まることにより歯垢や歯石がたまりやすくなるというリスクがあります。

においへの敏感さを決める
「嗅上皮」の面積

鼻が利くかどうかは、嗅上皮の面積と嗅細胞の数に関連しているため、犬の場合、嗅覚はマズルの大きさ・長さに比例すると言われています。

人間ではこの嗅上皮がわずか3~4平方センチメートルの面積しか存在しないのに対し、犬の嗅上皮は約18~390平方センチメートルと非常に広く、においを嗅ぎ分けるための嗅細胞は約2億5千万個以上と推定されています。

この嗅上皮の面積が広ければ広いほど嗅細胞は多くなり嗅覚が鋭くなります。そのため、マズルの面積が少ない小型犬や短頭種は比較的嗅覚がにぶく、食欲や好みにムラがでやすい傾向があります。

また、嗅上皮を構成する嗅細胞は老化に伴い再生能力が落ちます。結果として歳をとると嗅覚がにぶり食べムラの一因になる場合があります。

それぞれ異なる抗酸化物質の活動場所

活性酸素の作用に抵抗する働きのある抗酸化物質。

緑黄色野菜に含まれる橙色の色素であるβ-カロテンをはじめとしたカロチノイド色素、植物が光合成によって生成する抗酸化物質であるポリフェノール、ビタミンの中でも強い抗酸化作用で知られるビタミンEなど様々な種類が存在します。

それらの抗酸化物質は体内の同じ場所で活動しているわけではなく、異なる活動場所・異なる作用機序で働いています。

そのためどれか一種類を偏って摂取するのではなく、組み合わせて摂取することで相互に作用し、より効率的に働くことがわかっています。

大型犬に多い「関節炎」

関節とは骨と骨の連結部分。

骨の先端には関節軟骨があり、ヒアルロン酸を豊富に含む滑液が潤滑油として関節の動きをなめらかにしてます。

健康な関節軟骨を維持するためには、軟骨を構成するコンドロイチン硫酸やそのもとになるグルコサミンを摂取することが重要となります。

大型犬や中高齢期の犬は特に関節の健康維持に配慮が必要なため、毎日の食事が重要となります。

室内犬で大切なタンパク質の消化性

雑食性の人間に対して、犬は「肉食よりの雑食」という分類をされています。

人間と比較して、肉や骨なども消化できるように胃酸の働きが強い、腸が短い、腸の内容物の通過速度が比較的早いなど様々な特徴があります。

人と比べると腸の内容物の通過速度は早いのですが、おうちでのお留守番が多いなどの原因により運動不足になると消費カロリーが少なくなり、腸の運動が不活発になりやすくなります。

そうすると腸内で未消化のタンパク質が多くなり、悪臭のもとが増えたりうんちがやわらかくなったりします。

タンパク質は種類により消化性が異なるため、可能な限り高消化性のタンパク質をあげることが室内犬にとって重要になってきます。