ちょっと喋らせてもらっていいですか?

RYE TENDER
ライテンダー

残糸・残布をアップサイクルするプロジェクトとしてスタートしたニットブランド、RYE TENDER。
ちょっとお堅い話を背景に持ちつつもどこか茶目っ気のあるRYE TENDERならではのニットたち。
アパレルの世界でファッション性を維持しながらどうサスティナブル化と関わっていくのか…。 今回は24FWから取り扱いをスタートしたRYE TENDERについてちょっと喋らせてください。

遊び心と探求心

RYE TENDERのニット製品を手に取った時、その色遣いや質感、ユニークなフォルムなど、その「デザイン」に興味を持ちました。 かわいい!
インポートアイテムのようなPOPな色使い、なじみのあるニット製品でありながらもどこか癖のある雰囲気が何とも新鮮で魅力的だな、と。

そんなデザイン性が魅力のRYE TENDERですが、ブランドのスタートは残糸・残布のアップサイクルプロジェクト。 原料と出会い、「どんなデザインのものがどれくらい作れるのか」と、そこから商品のイメージを膨らませていく… デザインありきではなく、まずは余った素材との出会いありきで製品化が始まっていたそうです。

素材が持つ個性の魅力を活かして生まれる遊び心のあるデザインたち。この糸はこの編み方にしてみたら面白いんじゃないか、この色はこう活かしたい…と、作り手のお題を与えられたような素材相手に実験するような「わくわくする気持ち」が伝わってくるように思います。

当然ながら、残糸・残布等の原料は限られたものなので同じアイテムを同じカラーで再生産することは難しく、量産できないことも多いので "出会い"を感じられるのも魅力のひとつです。

ただ、残糸・残布と聞くと品質が気になるところでもあります。
服を生産する際、裁断で出る端切れや縫製時に出る余り糸。 残量もまちまちなため廃棄されることも多いそれらを活用しているので、中にはカシミアやメリノウール、上質なコットン素材などの素材も。

「素材のまま眠っている品質の良いものでファッション性の高いアイテムを生み出す」というブランド発足の背景を知っているかどうかでプロダクトの見え方も少し変わるような気がしています。

現在はすべての製品がアップサイクルで生産されているわけではないそうですが、 残糸のみで作られたものから一部分に取り入れたものなど、素材の特徴と品質を生かしながら製品化への昇華に今も取り組み続けているそうです。

…昨今サスティナブルを謳うアパレルブランドも多くなり、直接的なものから間接的なもの、他業種を巻き込んでいくもの…と、その捉え方や取り組み方は千差万別。
そういった作り手のお話を伺う度に思うのは、サスティナブルへの取り組みはなかなか挑戦するには勇気のいる分野であるということ。私たち消費者が望む品質、望む価格、望む流通で…と、なかなかにハードルが高いのです。

そんな中、作り手がチャレンジを楽しみながら、素材を面白がりながら製品を生み出している様子にブランドが持つ軽やかな雰囲気を感じました。 課題は課題。でもお堅く考えすぎず、楽しみながらチャレンジしてみようよと背中を押してもらっているよう。

そんな魅力あふれるRYE TENDERのニットたち。 もちろん、着心地・可愛さの面でもお勧めなのでぜひ手に取っていただけると嬉しいです◎