フランチャコルタとはどういうワイン?


フランチャコルタ(Franciacorta)は、ロンバルディア州東部のフランチャコルタ地域造られる瓶内二次発酵方式のDOCGスパークリングワインです。

イタリアワイン法では、最高峰のクラスDOCG(イタリアで最も厳しい規定)認定の、限られた生産地域内で、定められたブドウ品種を使い、瓶内二次発酵によって造られます。その他、ブドウの収穫量や瓶内熟成期間など細かい規定があります。1995年にDOCGに昇格。ピノ・ビアンコ、シャルドネ、ピノ・ネーロが主要品種です。品質は世界的にも認められています。

日本では、「シャンパン(シャンパーニュ)」と言う呼び名があまりにも有名なために、泡の出るワイン(スパークリングワイン)の総称のように使われることが多いです。しかし、フランスのシャンパーニュ地域で造られたスパークリングワイン以外は、「シャンパン(シャンパーニュ)」と名乗ることが許されていないのです。

また、イタリアで造られるスパークリングワインは「スプマンテ」と呼ばれますが、そのうち、限られた生産地内で、多くの条件を満たして初めて「フランチャコルタ」という名称をエチケットに表示できます。なので、イタリアのフランチャコルタ地域で、厳しい規定のもとに造られたスパークリンワイン以外は、「フランチャコルタ」と名乗ることができません。

フランチャコルタとシャンパーニュの違い


製造方法は、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵方式です。

まずは、ブドウ収穫後、空気圧を利用した機械でゆっくりブドウを絞り、通常17度から19度に温度管理されたステンレスタンクで第一次発酵を行い、スティルワインを作ります。

その後、瓶内二次発酵に入ります。できたスティルワインを瓶詰めするときに、新たに酵母(イースト菌)と糖分を添加します。瓶の中でさらに発酵が起こるため、アルコールと炭酸ガスが発生します。その炭酸ガスが瓶内に封じ込められ、ワインに溶け込むことにより、発泡酒特有の泡の成分になります。

フランチャコルタは、品質至上主義です。


フランチャコルタは、シャンパーニュより非常に厳しい製造規定で造られています。

瓶内熟成期間 最大収穫量
(1haあたり)
搾汁率 生産者数
フランチャコルタ 最低 18ヶ月~ 9.5t 65% 120軒強
シャンパーニュ 最低 15ヶ月~ 12t 66% 5,000軒強
カバ 最低 9ヶ月~ 14t 65%

フランチャコルタ 種類 瓶内熟成期間 収穫年度表示義務
フランチャコルタ ブリュット 最低 1年6ヶ月 無し
フランチャコルタ サテン 最低 2年 無し
フランチャコルタ ロゼ 最低 2年 無し
フランチャコルタ ミッレジマート 最低 2年6ヶ月 有り
フランチャコルタ リセルヴァ 最低 5年 有り

*瓶内熟成期間: 長く寝かせることで、泡がきめ細かくなり、味わい深くなります。
*最大収穫量・搾汁率: 良質のブドウのみを選別・使用することで、雑味がなくなります。

■フランチャコルタは、シャンパーニュより、瓶内熟成期間が長期間にわたります。

 造る手間がかかっています。

■フランチャコルタは、シャンパーニュより、収穫量・搾汁率が少ないです。

 ぶどうの最高の部分だけを用いて造られています。

■フランチャコルタは、シャンパーニュより、生産者数が少ないです。

 フランチャコルタ生産者協会による統制が取りやすく、生産者が一致団結しています。




フランチャコルタは、ブドウの成熟度が違うため、シャンパーニュより飲みやすいです。


フランス・シャンパーニュ地域は、イタリア・フランチャコルタ地域に比べて北に位置します。そのため、ブドウ自体の味が薄く、ピノ・ネーロを混ぜる、リキュールを加えるなど、技術面で味を深めてきました。対してイタリアは南に位置するため、ブドウが完全に成熟します。

さらに上記の収穫量・搾汁率から分かるように、本来の味がすでに深いので、余分なものをわざわざ足す必要がありません。そのため、シャンパンのような重厚感はなく、すっきりとしてフルーティーな味に仕上がっています。酸が控えめで、非常に柔らかく、調和がとれた味わいなので、飽きることなく、一杯、もう一杯とつい飲めてしまいます。

シャンパーニュは複合的な味を楽しみ、フランチャコルタは素材の味を楽しむという方向性で考えて頂ければと思います。

単独 乾杯 食前 前菜 主菜 菓子
フランチャコルタ
シャンパーニュ


フランチャコルタは、世界で唯一の「サテン」という種類があります。


白ブドウだけで造るやさしい味わいです。

通常は6気圧ですが、サテンのガス圧は5気圧以下。口あたりがとてもクリーミーでなめらか。1995年に商標登録されています。

ペアリングワインとしてのフランチャコルタ


フランチャコルタは、繊細な和食にも非常によく合います。ペアリングワインとして、イタリア料理はもちろん、寿司や懐石料理、天ぷら、甲殻類、中華、エスニックにも合います。

既存のメニューでも料理が合うので、ワインにあわせて新たに料理を考える必要がありません。

フランチャコルタで使用するぶどう

フランチャコルタで使用するぶどうは、4種類のみです。カンティーナ(ワイナリー)が選定した品種や配分によってフランチャコルタの味わいや個性を左右するので、どのようなものを使用しているかを知ることは、重要なポイントになります。

使用するブドウによって、それぞれ色や風味に特徴が出ますので、予めブドウ品種の知識があれば、好みのフランチャコルタを見つけやすくなるかも知れません。

1. シャルドネ
2.ピノ・ビアンコ(ピノ・ブラン)
3.ピノ・ネーロ(ピノ・ノワール)
4.エルバマット


1. シャルドネ

シャルドネは白葡萄の高級品種でフランチャコルタでは何十年も前から栽培されています。現在、総面積の約80%に相当する2,000haを占めています。

シャルドネの樹の生長力は早すぎず遅すぎず、葉は明るい緑色、丈夫で部厚い果皮に包まれ、実の粒は中ぐらいの密度、黄色みを帯びた緑色で房を形成しています。

このブドウ品種から作られたワインは、優れた質感、豊潤で香り高く複雑なアロマ、フルーティーでフローラルな鼻に抜ける香り、しっかりとしたストラクチャー、心地良い酸味が特徴です。


2. ピノ・ビアンコ(ピノ・ブラン)

ピノ・ビアンコはフランチャコルタで三番目に多く栽培されている品種です。フランス原産でピノの系統に属します。現在、総面積の約5%を占めています。

ピノ・ビアンコの樹は生長力が旺盛で、葉は濃い緑色、房の色はシャルドネほど金色の色調を帯びず、サイズも小さくて実の粒の密度が高いです。

ピノ・ビアンコはフランチャコルタのベースワインまたクルテフランカ・ビアンコのスティルワインにも、純粋にそれだけで使われることはあまりありませんが、キュヴェに最大50%の比率でブレンドされ使用することができます。

ワインはしっかりとしたボディーで、エレガント、しっかりとした酸味が鮮やかで、焼きたてのパンの皮を思わせる香りがします。香りが開くにつれ、アーモンドっぽい香りが際立ちやすくなります。


3. ピノ・ネーロ(ピノ・ノワール)

ピノ・ネーロはフランチャコルタで二番目に多く栽培されている品種で、総面積の約15%を占めています。

フランスのブルゴーニュ地方原産のこの品種は植樹された環境により、時には予測不可能な反応を見せる変異性を持っていますが、赤ワイン醸造にも、発泡性ワイン醸造にも素晴しい結果をもたらしてくれます。

ピノ・ネーロの樹はしっかりしていて素朴、葉は裂片状および/もしくは5つの切り込みがあり深緑色、葡萄の房は松かさ状でサイズが小さく、実の粒がびっしりと詰まっているのが特徴です。

ピノ・ネーロは主にフランチャコルタのロゼ、ブランドノワール、ミッレジマートとリセルヴァに使われ、ストラクチャーがしっかりした寿命の長いワインになります。

また、ピノ・ネーロはフランチャコルタ・ロゼのキュヴェにも欠かせない構成要素となる品種で、最低25%以上の使用比率が義務付けられています。


4.エルバマット

フランチャコルタ地域があるブレーシャ県の白ブドウの土着品種であり、長年忘れられていた品種ですが、6世紀の記録に既に存在したブドウ品種です。

シャルドネやピノ品種に比べ、土壌においての熟成が長く、収穫が約1か月遅くなります。しっかりした酸味やフレッシュさを備えますが、これまでの各フランチャコルタのカテゴリのベースワインの味わいを損ねることなく、綺麗に調和することができ、サテン以外のカテゴリに最大10%までの使用が許されています。

現在、幾つかの生産者だけが栽培しており、商品化・出荷されているフランチャコルタには、まだブレンドされていません。

フランチャコルタの種類・タイプ


フランチャコルタ

■使用品種

シャルドネおよび/もしくはピノ・ネーロ。
50%を上限にピノ・ビアンコの使用が認められています。

■特 徴

瓶内二次発酵と酵母の澱を入れたままの熟成期間は最低18ヶ月。収穫期から数えて、醸造と熟成期間は最低25ヶ月に及びます。 ボトルの内圧は5~6気圧。

■テイスティング・ノート

金色の反射を見せる麦わら色がかった黄色。泡立ちはきめ細かく持続性があります。瓶内二次発酵特有のブーケにはパンの皮、酵母の香りに、デリケートな柑橘類やアーモンド、ヘーゼルナッツ、干しイチジクのような木の実やドライフルーツの香りが華を添えます。
ミネラルの風味、爽やかな酸味、洗練された上品さと調和の良さが特徴です。

■ドザージュのタイプ

パ・ドゼ、エキストラ・ブリュット、ブリュット、エキストラ・ドライ、セックもしくはドライ、ドゥミセック。


フランチャコルタ サテン

■使用品種

シャルドネ(主な品種)および50%を上限としてピノ・ビアンコの使用も認められています。

■特 徴

厳選されたベースワインのブレンドと5気圧以下の内圧による滑らかな口当たり。ブリュットのタイプのみで造られます。

■テイスティング・ノート

極めて細かく持続性のある泡立ちはクリーミーと表現したいほど繊細です。麦わら色がかった黄色に薄緑色も交ざる深みのある色。 完熟した果実の香りが変化につれてはっきりと感じられ、白い花、ドライフルーツや炒ったナッツ(アーモンドやヘーゼルナッツ)の香りが伴います。
ほどよいミネラルの味と心地よい酸味がシルクのデリケートな肌触りを思わせる滑らかな口当たりに調和します。

■ドザージュのタイプ

ブリュット

フランチャコルタ ロゼ

■使用品種

シャルドネ、ピノ・ピアンコ(50%を上限とする)、ピノ・ネーロ(最低25%)

■特 徴

ピノ・ネーロの葡萄は望む色調になるまで果皮を入れたまま発酵させます。ピノ・ネーロで造ったロゼをベースワインとして ピノ・ネーロ100%で造るか、ピノ・ネーロのロゼにシャルドネおよび/もしくはピノ・ビアンコのベースワインをブレンドして造ります。フランチャコルタ ロゼの製造方法で認められているのは、セニエ方式のみです。

■テイスティング・ノート

ピノ・ネーロの存在がこのフランチャコルタに葡萄品種特有の香りに加え、ボディと独特の活力を与えます。

■ドザージュのタイプ

パ・ドゼ、エキストラ・ブリュット、ブリュット、エキストラ・ドライ、セックもしくはドライ、ドゥミセック。ランチャコルタ、フランチャコルタ・サテン、フランチャコルタ・ロゼはより長い熟成期間を経ると、個性、複雑さ、優雅さがいっそう際立って行きます。長期熟成するタイプはフランチャコルタ・ミッレジマートとフランチャコルタ・リゼルヴァです。

フランチャコルタ ミッレジマート

■使用品種



■特 徴

“ミッレジモ”という言葉はワインが単一の収穫年度の葡萄だけで造られている事を意味します。
ミッレジマートは作柄の品質が特に良く、キュヴェ(収穫年度表示無しのフランチャコルタに使われるブレンド)よりも長い熟成期間を経るとワインの価値が高まる収穫年度に造られます。収穫の時期から市場に出荷されるまでに最低37ヶ月かかります。

■テイスティング・ノート

フランチャコルタ ミッレジマートは、当該収穫年度の天候やその年の作柄の品質を鮮やかに映し出す香りや味の個性を持っています。

■ドザージュのタイプ

パ・ドゼ、エキストラ・ブリュット、ブリュット、エキストラ・ドライ。
ただし、サテン・リゼルヴァはブリュットのタイプのみです。

フランチャコルタ リゼルヴァ

■使用品種



■特 徴

フランチャコルタ・リゼルヴァは極上の品質のミッレジマートで、その香りと味わいを最大限に際立たせるために、
酵母の澱を入れたまま何年間も熟成させて造ります。生産規則では最低熟成期間を5年と定めています。
つまり、フランチャコルタ・リゼルヴァは収穫から市場に出荷されるまでに最低67ヶ月(5年半)かかります。

■テイスティング・ノート



■ドザージュのタイプ

パ・ドゼ、エキストラ・ブリュット、ブリュット、ただし、サテン・リゼルヴァはブリュットのタイプのみです。

フランチャコルタという料理に合うワイン

当店取り扱いのフランチャコルタ最大の特徴は、料理に合わせやすいワインという事です。食前・乾杯用だけでなく、食事中にも楽しんで頂けます。

イタリア料理や西洋料理はもちろん、寿司や懐石料理、天ぷら、甲殻類など、繊細な和食にも非常に良く合います。お好み焼きやたこ焼きでも大丈夫です。守備範囲が広くお料理の邪魔をしないフランチャコルタは、様々なお料理とあわせることで、楽しみが1つ増えると思います。

フランチャコルタは、和食の繊細かつ奥深い味わいに最も良いパートナーとなるワインです。
米や麺類をよく食べる事やパルジャーノチーズや生ハムなどに含まれる”旨味”を日常的に感じている事など、イタリア料理との類似点があることから、それらを多用している和食に合わせやすいので、いちどお試しくださいませ。

いろんな食事と合わせて飲むワイン

  • 乾杯・アペリティーボ
  • 和食・家庭料理
  • スープ・パスタ・リゾット
  • 鶏・豚・牛などの肉料理
  • 魚・甲殻類などのお料理
  • 寿司・刺身・生ガキ

ワイナリーから選ぶ

    [赤][白][甘]以外は、全てフランチャコルタ [泡: スパークリングワイン] です