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1セメントって何?

簡単に説明すると、コンクリートになる前の材料がセメントです。
石灰岩などを焼いて粉末状にし、その中に固まる速さを調整するために若干の石こうや
その他の材料を加えて固まる性質を持った接着性のある材料のことを言います。
一般的なセメントは「ポルトランドセメント」と呼ばれているものです。
※セメントが硬化した後の色合いが、イギリスのポートランド島で採掘される
ポルトランド石 に似ていることから名づけられました。
セメントは単体で使われることは殆ど無く、水をはじめ、砂・砂利などの骨材を混ぜて使います。

2セメント、モルタル、コンクリートって何が違うの?

・セメント=コンクリート、モルタルの材料のこと。
・モルタル=セメントに水+砂を混ぜたもの。
・コンクリート=セメントに、+水+砂+砂利を混ぜたもの。

3セメントはどう使うの?

セメントは配合することで配合物の呼び名や用途が変わります。

乱形張りやタイル張りの下地の施工の際に
セメントと水だけを混ぜ合わせペースト状にした
「ノロ」とよばれるものを使うことがあります。

ノロ(セメントペースト)=セメント+水
レンガ敷きの下地の施工の際に
水を混ぜずにセメントと砂だけを混ぜ合わせた
「バサモル」とよばれるものを使うことがあります。

バサモル=セメント+砂
(基本>セメント:砂=1:3)
レンガ積みの目地、コンクリート壁の仕上げなどの施工の際に
セメントと砂と水をバランスよく混ぜ合わせた
「モルタル」とよばれるものを使います。
※砂も粒度の細かいもの(細目砂)を使う事で表面の仕上げがより滑らかになります。

モルタル=セメント+砂+水
(基本>セメント:砂:水=1:3:適量)
玄関やガレージの土間などの施工の際に
セメントと砂と砂利、水をバランスよく混ぜ合わせた 「コンクリート」とよばれるものを使います。
※コンクリートは、圧縮力には耐えられるが引張力には弱いため
鉄筋をいれた鉄筋コンクリートとして使われることが多いです。

コンクリート=セメント+砂+砂利+水
(基本>セメント:砂:砂利:水=1:3:6:適量)

4セメントはどうやって作られるの?

セメントの原料には、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄原石、石膏が使われます。
セメントがどのように作られるのか、簡単にご説明いたします。

  • 1:原料調合工程
  • 2:焼成工程
  • 3:仕上工程
1:原料調合工程

石灰石・粘土・ケイ石・酸化鉄原料を適切な比率で混ぜ合わせ、細かく微粉砕にします。

2:焼成工程

調合原料に化学変化を起こさせ、
セメントに求められる水硬性の化合物に変えてしまうことが この工程での目的です。
この化学変化は調合原料を高温(約1450°)で焼くことによって起こり、
この工程により「クリンカー」と呼ばれる黒い大粒な塊が作られます。

3:仕上工程

焼成工程によってつくられたクリンカーを、粉砕機を使い適切な細かさに粉砕して3〜4%の 石膏を添加することでセメントが完成します。

5どうしてセメントは固まるの?

時間経過と共に化学変化を起こして別の物質になるからです。
セメントに水を加えてよく練り混ぜてから放置しておくと、最初のうちは指で押せば形が変わりますが、
時間が経過するにしたがって形を変えることができなくなります。
セメントの中の化合物が水と化学反応をして新しい化合物を作ったからです。
この反応を『水和反応』と呼びます。水和反応時に発生する熱を水和熱と呼びます。
水和反応をし、次第に変形することができなくなる過程を凝結と言い、
さらに時間が経過すると固まりが強固なものになる過程を硬化と言います。

水和熱:セメントが水と反応して水和物をつくる際に生じる熱のこと。
※セメントや石膏など、水と反応して固まる材料のことを水硬性材料と言います。
また、「しっくい」のように、空気中の炭酸ガスと反応して固まる材料を気硬性材料と言います。

6セメント自体にも種類があるの?

普通ポルトランドセメント

一般にセメントと呼ばれるもので、現在国内で使われているセメントの約80%がこのセメントです。

早強ポルトランドセメント

短期間で高い強度を発現するセメントです。
普通ポルトランドセメントが3日で発現する強さを1日で、
また、7日で発現する強さを3日で発現します。

白色ポルトランドセメント

一般に白セメントと呼ばれ、普通ポルトランドセメントと性能は変わりません。
白色の為、顔料を混合することでカラーのセメントを作ることができます。

その他

高炉セメント、シリカセメント、アルミナセメントなどがあります。

7セメントをパワーアップさせる(硬化時間、防水力、接着力)

そのままでも十分使えるセメントですが、作業時間の短縮など、その用途によって
セメント製品の品質を改善する目的で加える「混和剤」と呼ばれる材料を使うこともあります。

・セメント急結剤:セメントの硬化を促進するもの
・セメント防水材:セメントの防水効果を高めるもの
・モルタル接着剤:下地との接着効果をたかめるもの

8セメントはどれくらいで硬くなるの?(硬化時間)

水分と化合することで固まるので、水分が無いと固まりません。内容によりますが、早ければ数秒〜24時間となります。
セメントが硬化する時間を決定する要因は、練り水比、セメント砂比、温度(外気、下地)です。

練り水比

・大きい時:効果時間は長くなる。
・小さい時:効果時間は短くなる。

セメント砂比

・砂比が大きい時:効果時間は長くなる。
・砂比が小さい時:効果時間は短くなる。

湿度

・湿度が低い時:効果時間は長くなる。
・湿度が高い時:効果時間は短くなる。
※温度が高い時は水和反応に必要な水分が蒸発してしまい、低い時は水和反応が遅くなり、強度のでないまま、水分が蒸発してしまうからです。

というわけで、目的の比率にもよるし、環境にもよるので、正確な時間というのを答えられないのがセメントなんです。すいません。

施工時のポイント

・外気温が30℃以上5℃以下の時の施工は避けるのが望ましい。
・夏場にセメントを施工する場合の水量は多い目、冬場にセメントを施工する場合は少ない目が望ましい。

9モルタル、コンクリート施工時に注意することは?

・下地面が適しているか確認を確認しましょう。
※ベニヤ、タイル、クロス、壁紙等水分の吸収の無い所や激しすぎる所には施工はできません。

・セメント製品のPHは強アルカリ性のため、素手での作業は避け、ゴム手袋等を着用しましょう。
※素手で作業をすると後でガサガサに手荒れします。

・下地面のホコリ、油、コケ等をきれいに取り除き、湿潤状態にしましょう。

・小さな固まりが残らないように、練り合わせは丁寧に。練り合わせ後は、空気が入らないようにコテ圧を強くかけ作業しましょう。

・施工後は直射日光や急激な乾燥を避けるため十分な養生(ビニールシート等で表面を覆う)をしましょう。

・池等で施工した場合、必ずアク抜き作業を行いましょう。

施工したモルタル・コンクリートが完全につかるように、水をはり約1週間放置します。
水をはった表面に白い浮遊物(セメントの灰汁)がでてきます。
この灰汁をまず取り除き、水を入れ替えましょう。(この作業を4回〜5回約1ヶ月の期間を要します。)

10白くなるのはどうして?(白華現象)

ブロックやレンガ、モルタルの表面部で集中的に蒸発が起こることで、
結晶化した白い物質が浮きでてくることがあります。
これは、モルタル中の水酸化カルシウムが、浸入した雨水、雪、霜などに
溶けて表面に移動し、空気中の二酸化炭素などと反応し、
炭酸カルシウムになる現象で、「白華現象」とよばれます。
梅雨や秋の長雨などの湿度の 高い状態が続くときに発生しやすい現象です。
コンクリートの性質上、今のところ完全に防ぐことができないのが現状です。
白華を落とすには、白華部分に十分水を含ませ、スクレーパーなどで削ぎ落し、
トイレ用洗剤などの希釈酸で洗い、十分に水で洗い流しましょう。