■読書の秋の由来は? 秋の夜長(あきのよなが) とよくいいますよね。夏至(6月21日頃)を過ぎると、日の出の時間が少しずつ遅くなり日没の時間も少しずつ早くなり、だんだんと夜の時間帯が長くなります。立秋(8月7日頃)を過ぎて秋分(9月23日頃)も終わりを告げると、まさに「秋の日はつるべ落とし」。午後7時頃でも明るかった夏に比べると、格段の違いです。秋が深まるにつれ、陽が沈むのが早くなるので、夕方の5時6時でも薄暗くなってきます。そんな秋の夜長を有意義に過ごそうと、古代の中国では、「灯火(とうか)親しむべし」という言葉が広まりました。これは、「秋は過ごしやすい季節なので、夜には灯りをともして読書をするのに最適だ」という意味合いです。「灯火親しむべし」にはベースとされる漢詩があります。8世紀、唐時代の中国の詩人、韓愈(かんゆ 768年-824年)が書いた『符読書城南詩(ふしょをじょうなんによむ)』という詩です。『符読書城南詩』は学問をすることの大切さを詠んだ詩で、その中に「灯火稍(ようや)く親しむべく/簡編卷舒(けんじょ)すべし」という節があります。意味は、その節の前の流れから「涼しい秋になり、ようやく灯火の下で読書を勤しむ」といったところです。この詩は詩人の韓愈が、当時18歳だった息子に、読書の大切さを教えるために詠んだものだとされています。この漢詩をモチーフにした「灯火親しむべし」という言葉がやがて日本に伝わって、日本では秋が読書にふさわしい季節であるというイメージになったといわれています。 |