冷蔵庫選びをする際には、@設置スペース、A容量、Bドアの開き方とレイアウト、C省エネ性能、D便利機能の5つのポイントを押さえればご家庭にぴったりのモデルが見つかります。詳しく見ていきましょう。
冷蔵庫を設置する場所の広さを計測して、どのサイズの冷蔵庫が置けるか検討しましょう。
冷蔵庫を設置するには、本体サイズに加えて放熱スペースと、冷蔵庫の扉をスムーズに開閉するためのスペースが必要となります。必要スペースはモデルによって異なるので、購入前に確認してください。
さらに、大きな冷蔵庫は搬入経路の確保も重要です。設置場所までのドアや廊下、階段、エレベーターなどの経路の幅を計測しておきましょう。搬入には、冷蔵庫本体の幅プラス10cmが必要とされています。
冷蔵庫の容量は、上記の計算式から算出した数値を参考にしましょう。
しかし、まとめ買いや作り置きをするご家庭や、食べ盛りのお子さまのいらっしゃるご家庭、お料理や製菓作りが好きな方などは、設置スペースが許す限り大容量の冷蔵庫がおすすめです。また、設置スペースがない場合は、セカンド冷蔵庫・冷凍庫と組み合わせてもよいでしょう。反対に、自炊を全くしないご家庭では、算出値より小さな容量の冷蔵庫でも大丈夫です。
ご家庭のライフスタイルに合わせた容量を算出してみてください。
容量の目安は、1人暮らしは80〜299L、2人暮らしなら300〜349L、3人家族は350〜449L、4人家族は450L以上です。
しかし最近は、お米や小麦粉、しょう油、スパイスなど、これまで常温で保管していた食品でも冷蔵庫で保管するようになったり、冷凍食品を多用したりするなど、冷蔵庫の使い方に変化が出てきました。さらに、食品のまとめ買いをするご家庭が増えたこともあり、前述した計算式で算出した容量より大きな容量を求める方が増えています。その場合は、目安の容量より100Lほど余裕を持った容量がおすすめです。
冷蔵庫の設置場所や家事導線から、ドアの開き方を決めましょう。
冷蔵庫の右側に壁がある場合は右開きが、左側に壁がある場合は左開きが良いでしょう。また冷蔵庫の前の空間が狭い場合は、ドア幅の小さい観音開きタイプがおすすめです。引っ越しが多い方は、どのような環境でも便利に使うことができる両開きタイプか観音開きタイプを選ぶと良いでしょう。
また、冷蔵室、冷凍室、野菜室などのレイアウトは使い勝手に影響する重要なポイントです。使用シーンをイメージしながら使いやすさを意識して選んでいきましょう。
特にモデルによって大きく異なるのが野菜室と冷凍室の位置です。野菜を頻繁に使うなら野菜室が、冷凍食品を頻繁に使うなら冷凍室が真ん中にレイアウトされていると使い勝手が良いでしょう。中には、冷蔵室と野菜室、冷凍室を切り替えて自由に使うことができるモデルがあります。
冷蔵庫は、365日24時間、休みなく稼働しています。冷蔵庫を選ぶ際には、「省エネ性能」もチェックしましょう。グリーンのラベルに記載された、★の数が多いほど省エネ達成率が高いモデルです。特に節電を意識して選びたい場合は、「年間消費電力量」の数値を参考にすると良いでしょう。
また、大きな冷蔵庫ほど消費電力が多いイメージがあるかもしれませんが、食材をギュウギュウに詰め込んだ小さな冷蔵庫より、余裕を持って入れた大きな冷蔵庫の方が冷却効率が良く、省エネになることがあります。また、小さな冷蔵庫より省エネ性能の高い大きな冷蔵庫の方が、消費電力が少ないというケースも。ちなみに最新のモデルは、10年前と比べて約43%も省エネだといわれています。
そのため冷蔵庫の買い替えだけでも、これまでより省エネになるケースがほとんどですが、この先10年使うことを考慮して、「省エネ性能」と「消費電力」を意識して選ぶことをおすすめします。
※年間消費電力量×27円(新電力料金目安単価) ※しんきゅうさん(環境省)調べ
次に紹介するような、使い勝手や食材保存のためのさまざまな最新技術や便利機能にも注目!ご家庭の生活スタイルに合わせて、必要な機能や欲しい機能を選んでいきましょう。
冷蔵庫の人気メーカーと、各メーカー独自の機能を紹介していきます。気になるメーカーや機能から冷蔵庫選びを始めるのもおすすめです。
※紹介している機能はモデルによって異なるためご注意ください。
パナソニックの冷蔵庫には、食材の鮮度を保ちながらおいしく保存する機能として、業務用レベルの急速冷凍「はやうま冷凍」や、−3℃で食材を保存して解凍不要で調理が楽な「微凍結パーシャル」、約1週間野菜をおいしく新鮮に保存する「シャキシャキ野菜室」などがあります。
さらに便利機能では、粗熱取りや、熱いものを急速冷凍する際に活躍する「冷ます・急冷・急凍」の3モードが使える「クーリングアシストルーム」、引き出しが100%全開して奥まで使いやすい「ワンダフルオープン」、除菌ができるイオン「ナノイー」で冷蔵庫内を清潔に保つ機能、スマホと連携してGPSによる位置情報や、各部屋の使い方、運転状況を見極めるセンサーにより省エネ運転する「AIエコナビ」など。
三菱の冷蔵庫は、家事を楽にする機能が充実。解凍なしですぐに使える「切れちゃう瞬冷凍A.I.」は、肉・魚だけでなく野菜もおいしく冷凍できます。さらに肉・魚を生のままおいしく長持ちさせるチルド機能「氷点下ストッカーD A.I.」なら、まとめ買いをしても安心です。
また、三菱の冷蔵庫は野菜室を真ん中に配置しているモデルが多く、「真ん中クリーン朝どれ野菜室」は、3色のLED光を使って保存している間に野菜の緑化を促進し、ビタミンCや糖量もアップさせるユニークな仕組みです。
製氷機は、製氷皿からポンプまで給水経路を丸洗いできる「まるごとクリーン清氷」、野菜室の底面は抗菌のクリーントレイで、簡単に取り外しができるなど、お手入れの簡単さも魅力です。
東芝の冷蔵庫「VEGETA(ベジータ)」シリーズは「真ん中野菜室」をメジャーにした、野菜の保存にこだわった冷蔵庫です。「もっと潤う摘み立て野菜室」は、湿度95%以上のうるおい冷気と、触媒でエチレンガスを分解しUV-LEDで野菜室を除菌することで、10日経っても野菜の鮮度をキープ。
他にも、野菜の細胞を壊さないようにゆっくり冷凍する「野菜そのまま冷凍」や、煮物や揚げ物用には水分量を減らしながら凍らせて旨味を凝縮させる「野菜冷凍ドライ」などの機能も、ベジータならでは。
「うるおい冷蔵室」は、湿度を約85%に保ち、光触媒を使った除菌・脱臭システムで庫内をクリーンに保つことで、食材の風味や食感をキープ。肉や魚の保存は氷の膜で生のおいしさを長持ちさせる「氷結晶チルド」や、食品の細胞をほとんど傷めずに一気に凍らせる「一気冷凍」など。
シャープの冷蔵庫の特長は、大容量の冷凍室「メガフリーザー」と「プラズマクラスター」です。たっぷり冷凍できる「メガフリーザー」は、上段冷凍室と3段構造の下段冷凍室で使いやすい工夫が。また、シャープ独自の「プラズマクラスター」イオン発生ユニット搭載で、庫内全体を除菌したきれいな冷気が循環します。
野菜室では、プラズマクラスターが野菜の表面に付着した菌を除菌、老化の原因であるエチレンガスも分解して鮮度と栄養素を守ります。さらに「プラズマクラスター雪下シャキット野菜室」では、冷凍室に囲まれた独自スタイルを活かして、雪下の環境を再現。野菜を低温で5面輻射冷却、高湿環境でうるおいをガードしながら保存することで、雪下保存した野菜のように甘味成分をアップします。
なお、左右どちらからでも扉の開閉ができる「どっちもドア」はシャープ独自の機能です。
アクアは、もともとは日本の三洋電機の子会社でしたが、現在は中国資本のハイアールグループの傘下にある家電メーカーです。アクアの冷蔵庫は、手頃な価格帯とシンプルでスタイリッシュなデザインで人気です。左右に分かれた6ボックス仕様の冷凍室といった珍しいレイアウトや、冷蔵室の底面が透明ガラスになっていて下段の野菜室がのぞける「上から見渡す旬鮮野菜室」など、海外の冷蔵庫のような設計が特長です。
機能面では、旬な食材の鮮度を守る「旬鮮チルド」、おいしさを長期間守る「おいシールド冷凍」など。最新上位モデルには、北海道電力との共同開発による機能で、LEDライトと半密閉構造で野菜の鮮度とおいしさを保つ「ツインLED野菜ルーム」や、オゾンの力で冷蔵庫内を除菌・消臭する「マイクロオゾン除菌」などを搭載。
容量別におすすめモデルを紹介していきます。
1人暮らしにおすすめの200L以下の容量の冷蔵庫は、シンプルでスタイリッシュなデザインのものが人気です。
また、容量100L以下の冷蔵庫は、ドリンク類を入れるベッドサイド冷蔵庫や、セカンド冷蔵庫としておすすめです。
2人暮らしには200L以上の容量がおすすめです。2ドアで200Lほどの小型タイプから、300L以上になると3ドアタイプとなり、自動製氷機能やチルド機能などが付いたものが増えます。ふたりのライフスタイルに合うサイズ、機能を考慮して選びましょう。
このサイズの冷蔵庫には、冷蔵室、チルド室、野菜室それぞれに各メーカーのこだわりが見えるモデルが多いのが特長です。まとめ買いをするご家庭では特に、野菜や肉・魚をおいしさや鮮度を保ちながら保存できる機能に注目して選びましょう。
大型冷蔵庫は、4人以上の家族だけでなく、大量のまとめ買いをするご家庭にもおすすめです。また、設置場所と搬入経路の計測を忘れずに行っておきましょう。
冷蔵庫の買い替えは、およそ10年に1度の頻度といわれています。しかも冷蔵庫は高価な買い物なので、冷蔵庫選びは慎重に、準備もしっかりしておきましょう。
まず、お得に冷蔵庫をお求めになりたい方には、おすすめの購入時期があります。突然の故障でない限り、冷蔵庫の購入はモデルチェンジ期を狙うとお得に買うことができそうです。ほとんどの場合、各メーカーから新モデルが発売される直前に、現行モデルの価格が下がります。
冷蔵庫の選び方や、人気メーカーの最新機能、おすすめモデルなどを紹介してきました。共働き世帯の増加で、週末に買い溜めをしたり、作り置きをしたりするようなライフスタイルが増加したことや、昨年からのコロナ禍で自炊する機会が増えた影響から、大型冷蔵庫への買い替え需要が高まっています。
最新の冷蔵庫は、食材の鮮度やおいしさを保ちながら長く保存できる機能を備えているので、生鮮食品のまとめ買いも、総菜の作り置きも安心ですね。冷蔵庫は10年前後使い続けることになるので、使い勝手や機能、省エネ性能などを良く検討して、ご家庭にぴったりなモデルを見つけましょう。