2023.12.08
Joshin 試用レポート
“Compact”を引き継いだソニーのフルサイズミラーレス一眼カメラ「α7C Ⅱ」と「α7CR」をレポート!



ソニー フルサイズミラーレス一眼カメラ「α7C II」/「α7CR」
コンパクトボディにフルサイズセンサーを搭載した「α7C」を引き継いだモデル、『α7C II』と『α7CR』が同時に登場!
「α7C」の後継モデルを期待されていた方はたくさんおられると思いますが、2機種同時に発売されることは予想できたでしょうか。
どちらも従来モデルから圧倒的進化を遂げているようなので、「α7C」や「α7R V」との比較を交えてレポートします! ライター:くっきー
ソニー フルサイズミラーレス一眼カメラ「α7C II」ズームレンズキット(シルバー)
セット内容 | 本体、レンズ「FE 28-60mm F4-5.6(SEL2860)」リチャージャブルバッテリーパック NP-FZ100、ショルダーストラップ、ボディキャップ、アクセサリーシューキャップ、レンズリヤキャップ |
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「α7C II」は、“Compact”をコンセプトに2020年に誕生した「α7C」の2世代機として誕生。
「α7C」のコンセプトである小型・軽量を受け継ぎながら、「α7Ⅳ」と同等の有効最大約3300万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーExmor Rを搭載しています。
フルサイズならではの高画質と浅い被写界深度によるぼけ表現で、表現のクオリティーが圧倒的に高められました。
さらに最新の画像処理エンジンBIONZ XRが採用されていますので、「α7C」と比べ静止画・動画撮影における画像処理能力が約8倍と大幅に向上しています。
α7C(前機モデル)との違いをチェック
α7C(前機モデル)と並べて、外観やスペックをチェックします。
正面から見たサイズは変わりません。
細かいところをよく見ていくと、シャッターボタンが大きくなって押しやすそう!
またシャッターボタンとグリップの間に好みの機能を割り当てられるダイヤルが1個増えました。
ここはかなり有難いポイントです。
上面を見比べるとモードダイヤルの下部に「静止画/動画/S&Q切り換えダイヤル」が搭載されました。
モードダイヤルから動画とS&Qの切り換え項目が分割され使いやすくなっています。
側面にはSD (UHS-I/II対応)カード用スロットや各種ケーブルの差し込み口が設置されていて、若干場所が変わっています。
背面のメニューボタンの横にはCボタンが追加されました。
グリップ上部のダイヤルと合わせ、自分好みの設定領域が大きく広がっています。
α7C II | α7C | |
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本体サイズ(約) | 幅124.0x高さ71.1x奥行63.4mm | 幅124.0x高さ71.1x奥行59.7mm |
質量(本体のみ) | 約429g | 約424g |
センサーサイズ | 35mmフルサイズ(35.9x23.9mm)、Exmor R CMOSセンサー | 35mmフルサイズ(35.6x23.8mm)、Exmor R CMOSセンサー |
画像処理エンジン | BIONZ XR | BIONZ X |
カメラ有効画素数 | 静止画時: 最大約3300万画素、動画時: 最大約2760万画素 | 約2420万画素 |
AIプロセッシングユニット | 〇 | × |
オートフォーカス | 静止画時: 最大759点 (位相差検出方式) / リアルタイム認識AF | 静止画時: 最大693点 (位相差検出方式) / リアルタイム瞳AF |
手ぶれ補正 | 7.0段 イメージセンサーシフト方式5軸補正 | 5.0段 イメージセンサーシフト方式5軸補正 |
ファインダー倍率 | 約0.7倍 (50mmレンズ、無限遠、-1m-1) | 約0.59倍 (50mmレンズ、無限遠、-1m-1) |
バッテリー | リチャージャブルバッテリーパック NP-FZ100 |
本体サイズや質量はほとんど変わらないものの、スペックが大幅に向上しています。
画像処理エンジンが最新のBIONZ XRに変更されたことで画像処理能力が大幅に向上されました。
これにより高解像度イメージセンサーの解像性能を最大限に引き出すことができるので被写体の質感やディテールを忠実に再現することができます。
カメラの有効画素数は最大約3300万画素まで向上し、その高い解像度に驚かされました。
当ページの最後の方に作例を掲載していますのでご覧ください。
高度な被写体認識を可能にするAIプロセッシングユニットが搭載されたことで、これまでのリアルタイム瞳AFがリアルタイム認識AFとなり、静止画、動画を問わず幅広い被写体を認識して撮影できるようになりました。(認識対象:人物、動物/鳥、動物、鳥、昆虫、車/列車、飛行機)
ボディ内手ぶれ補正は5.0段から7.0段まで一足飛びに向上されています。
EVF(電子ビューファインダー)の倍率も0.59倍から約0.7倍に改善されましたのでピント合わせなどが見やすくなり非常に助かります。
撮影の幅が広がる交換レンズ
標準ズームレンズ FE 28-60mm F4-5.6「SEL2860」 -
広角ズームレンズ FE 16-35mm F2.8 GM II「SEL1635GM2」 -
望遠ズームレンズ FE 70-200mm F4 Macro G OSS II「SEL70200G2」
標準ズームレンズ FE 28-60mm F4-5.6「SEL2860」
軽量・コンパクトと高画質を両立し、使用頻度の高い28-60mmの焦点距離をカバーしたフルサイズ対応の標準ズームレンズ。
持ち運びに便利で静止画・動画を問わず日常のさまざまなシチュエーションで撮影を楽しめます。
広角ズームレンズ FE 16-35mm F2.8 GM II「SEL1635GM2」
G Masterならではの高い解像性能と美しいぼけ描写性能を両立した大口径F2.8広角ズームレンズ。
風景や夜景、さらにはスナップ、ポートレートまで、幅広いシーンで表現者のこだわりに応えてくれます。
望遠ズームレンズ FE 70-200mm F4 Macro G OSS II「SEL70200G2」
高い描写性能とAF性能、操作性を小型・軽量デザインで実現し、さらにハーフマクロ撮影、テレコンバーターに対応したズームレンズ。
風景やポートレート、スポーツに加え、植物・昆虫・物撮りのマクロ撮影など幅広い撮影領域で活躍します。
「SEL2860」はコンパクトで使いまわしが良く、ペットの一瞬の表情も見逃さず瞳にピントが合った撮影ができました。
毛の一本一本が見て取れるその解像度も大満足です。
「SEL1635GM2」はさすがG Masterといった感じで、暗所にもかかわらず光を取り込んだ撮影が出来ました。
後方に偶然にできたシャボン玉のような「玉ボケ」がたまりません。
「SEL70200G2」でハーフマクロ撮影にチャレンジしてみました。
いかがでしょうか?自宅の玄関に咲いていた見知らぬ花を撮影したのですが、筆者のような素人でもこれだけの写真が撮れましたよ。
動画撮影で強力な手ぶれ補正「アクティブモード」を検証
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「α7C Ⅱ」にシューティンググリップを取り付けて撮影に出かけました。
動画用の手ぶれ補正を検証するため、ジンバルは使用せず「α7C Ⅱ」のカメラ内手ぶれ補正「アクティブモード」だけで撮影。手持ち撮影で、どれだけの映像が出来上がったのか、ぜひ動画をご覧ください。
使用したレンズはコンパクトなキットレンズ:FE 28-60mm F4-5.6です。
大袈裟なジンバルを持ち出すことなく手軽に撮影を楽しむことができました!
動画撮影には別売の「シューティンググリップ(GP-VPT2BT)」が便利
動画撮影をするなら、別売のワイヤレスリモートコマンダー機能付き「シューティンググリップ(GP-VPT2BT)」がおすすめです。
高性能な手振れ補正によるアクティブモードを使えば手持ちでもブレを抑えた滑らかな映像が撮影できるので、シューティンググリップを装着して動画撮影を楽しみましょう!
Bluetooth接続をおこなえばグリップを持ったまま親指1つでカンタンに手持ち撮影ができます。
グリップの脚を開けばミニ三脚にもなるので、カメラを固定した撮影にも便利ですよ。
ソニー フルサイズミラーレス一眼カメラ「α7CR」ボディ(ブラック)
セット内容 | 本体、リチャージャブルバッテリーパックNP-FZ100、ショルダーストラップ、ボディキャップ、アクセサリーシューキャップ、グリップエクステンション |
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「α7CR」は、「α7C」のコンセプトである小型・軽量を受け継ぎながら、圧倒的な解像力と正確な色再現性を誇る「α7RV」と同等の有効最大約6100万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを搭載したモデルです。
最新の画像処理エンジンBIONZ XRがセンサーの描写性能を最大限に引き出し、被写体のディテールまで忠実に描ききることができます。
また、AIプロセッシングユニットにより認識性能を向上させた高速・高精度なAF、高性能な手ブレ補正など、持ち運びしやすいコンパクトなボディに、ソニーが培ってきた最先端技術が惜しみなく取り込まれています。
α7RVとの違いをチェック
「α7RV」と並べて、外観やスペックをチェックします。
上位機種の「α7RV」と比べて、優れている点は軽量・コンパクトなところ。
正面から見るとサイズの違いがハッキリと分かりますし、質量は200g以上の差があります。
上面を見比べるとファインダーの位置や大きさが異なります。
ファインダーは中央にあったほうが見やすくて良いように思うのですが、それでは「α7CR」のようなコンパクトボディには収まらないのでしょう・・・。
側面のインターフェースを確認すると「α7RV」にはHDMI端子(タイプA)とシンクロターミナルが備わっています。
またグリップ側の側面にはデュアルスロットが搭載されていますので、シングルスロットの「α7CR」とは大きな差となります。
トラブルにあったときでもデュアルスロットだと安心ですからね。
出来れば「α7CR」もデュアルスロットにならなかったのかな・・・と思うところです。
背面の大きな違いは、モニターの鮮明度と回転方式で「α7CR」は約103万ドットのバリアングル、「α7RV」は約209万ドットの4軸マルチアングルとなっており、背面モニターの鮮明度と稼働領域では「α7RV」に敵いませんでした。
また、好みの機能を割り当てられるボタンの数も「α7RV」の方が若干多いという結果でした。
α7CR | α7RV | |
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本体サイズ(約) | 幅124.0x高さ71.1x奥行63.4mm | 幅131.3x高さ96.9x奥行82.4mm |
質量(本体のみ) | 約430g | 約638g |
センサーサイズ | 35mmフルサイズ(35.7x23.8mm)、Exmor R CMOSセンサー | |
画像処理エンジン | BIONZ XR | |
カメラ有効画素数 | 約6100万画素 | |
AIプロセッシングユニット | 〇 | 〇 |
オートフォーカス | 静止画時: 最大693点 (位相差検出方式) / リアルタイム認識AF | |
手ぶれ補正 | 7.0段 イメージセンサーシフト方式5軸補正 | 8.0段 イメージセンサーシフト方式5軸補正 |
ファインダー倍率 | 約0.7倍 (50mmレンズ、無限遠、-1 m-1) | 約0.90倍 (50mmレンズ、無限遠、-1 m-1) |
バッテリー | リチャージャブルバッテリーパック NP-FZ100 |
「α7C」と比べるとほとんどのスペックが向上した「α7CR」ではありますが、上位機種の「α7RV」と比べると手ぶれ補正やファインダー倍率、モニターの鮮明度や回転方式など劣っているところも多くあります。
ただ有効最大約6100万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーや高い処理能力を持つ画像処理エンジン「BIONZ XR」は同等で、α7シリーズの性能が片手で軽々持てるサイズ感は「α7CR」の方が圧倒的に優れていますので明暗は別れるところ・・・。
携帯性が良く、気軽に持ち運び出来つつも高画質な写真を求められる方には、断然「α7CR」がおすすめです!
撮影の幅が広がる交換レンズ
標準ズームレンズ FE 24-70mm F2.8 GM II「SEL2470GM2」
静止画・動画を問わずG Masterならではの高い描写性能を軽量・コンパクトなサイズで実現された標準ズームレンズ。
高推力なXDリニアモーター4基とフローティングフォーカス機構が採用されており、AFも非常にはやいです。
静止画・動画の両方で、表現者のこだわりに応えてくれるレンズです。
望遠ズームレンズ FE 70-200mm F2.8 GM OSS II「SEL70200GM2」
G Masterならではの高い描写力に加え、進化した新次元のAF性能や高い操作性を備えつつ、軽量化された望遠ズームレンズ。
1.4倍、2.0倍のテレコンバーター(別売)にも対応し、装着すると最長400mmまでのAF撮影が可能です。
最大撮影倍率0.3倍の優れた近接撮影能力も魅力で、1本で幅広い表現を楽しめます。
作例
カメラ:α7C II
レンズ:FE 70-200mm F4 Macro G OSS II
絞り:f4
シャッター速度:1/4000
ISO:320-
カメラ:α7C II
レンズ:FE 70-200mm F4 Macro G OSS II
絞り:f4
シャッター速度:1/2000
ISO:100 -
カメラ:α7C II
レンズ:FE 16-35mm F2.8 GM II
絞り:f4
シャッター速度:0.4
ISO:100
-
カメラ:α7CR
レンズ:FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
絞り:f2.8
シャッター速度:1/80
ISO:2500 -
カメラ:α7CR
レンズ:FE 24-70mm F2.8 GM II
絞り:f2.8
シャッター速度:1/1250
ISO:100 カメラ:α7CR
レンズ:FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
絞り:f2.8
シャッター速度:2
ISO:320
まとめ
α7C IIとα7CRは、えっ?このサイズでここまでの性能が?と驚くほどの進化を遂げましたので “Compact”と高性能を両立したこれまでにない自由な撮影スタイルをご体験いただけます。
「α7C II」は「α7C」と比較しほとんどのスペックが向上しています。
また「α7CR」は無謀にも上位機種の「α7RV」との比較となりましたが、全くかなわないというわけではなくほぼ同等レベルに近いスペックになっていたのには驚かされました。
抜群の高画質を期待しつつ持ち運びは便利な方が良いという方はぜひチェックしてみて下さい! 2023.12.08 (くっきー)