2022.06.30
Joshin 試用レポート
スマホがオーディオプレーヤーになる!?4.4mmバランス出力を搭載した Astell&Kern 『AK HC2』
Astell&Kern ポータブルUSB-DACケーブル AK HC2
スマホに接続するだけでストリーミングサービスの音も高音質になる、Astell&Kern のUSB-DACケーブルに、第2弾となる『AK HC2』が登場しました!
Lightning変換アダプターがついてiPhoneにも対応、4.4mm5極バランス出力を搭載し、前モデル「PEE51」から大きく進化した様子。
早速iPhoneとウォークマンに接続して、解像度が増してさらに力強くなった音を、じっくり聴きこんでみます! ライター:もあ
スマホで手軽に高音質を楽しめる Astell&Kern 『AK HC2』
セット内容 | 本体、USB Type-C to Lightning変換アダプター、取扱説明書 |
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サイズ(W×H×D) | USBプラグ部:約12.0×21.0×6.5mm ヘッドホン出力部:約22.8×60.0×12.1mm |
重量 | 約29g |
ストリーミングサービスの普及で音楽の楽しみ方は大きく変わり、今はスマホがデジタルオーディオプレーヤー(以下:DAP)の代わりという方が多くなりました。
CDよりも高音質で再生するロスレスオーディオや、ハイレゾ音源に対応したストリーミングサービスも増えて、気軽に良い音を楽しめるようになったけれど、さらに音質を追求するなら有線イヤホンは必須。
「でも自分のスマホ、イヤホンジャック非搭載なんだよなあ・・・」
そんな方におすすめなのが、Astell&Kern のUSB-DACケーブル『AK HC2』です!
USB-DACケーブルは、スマホの端子に直接挿すだけで音の解像度が大きく上がり、DAPで聴くような高音質を楽しめるオーディオアイテム。
手のひらサイズで、操作ボタンはなく、充電も必要ないという手軽さも注目され、2021年に発売された前モデル「PEE51」は入手困難になるほどの人気っぷりを見せました。
AK HC2は、PEE51の手軽さという長所を活かしつつ、さらに高音質を求めて進化したモデルです。
PEE51と同じく手のひらで収まる小型設計ですが、DAC※部にはAstell&Kern のハイレゾDAP「A&normaシリーズ」でも使われている「CS43198」チップを左右1基ずつ配置する、デュアルDAC構成を採用。
これにより、スマホではなかなか味わえない、ノイズが少なく左右で歪みのない安定した音の再生を実現しています。
※DACとは:デジタル信号をアナログ信号に変換する機器
「PEE51」と外観を比較
本体は、PEE51と比べるとひと回り大きくなりましたが、まだまだ手のひらで収まる小型サイズです。
PEE51の表面は、4つの面が1点で重なって、光のあたり方で各面が反射する設計でしたが、AK HC2は光を反射しないアルミボディで、ズッシリとした重みの中にシャープさも見えるデザイン。
スマホ接続時もいい意味で目立ちすぎず、使いやすそうな印象です。
ケーブルはPEE51同様、取り外し不可能な一体型。
ノイズを最小限に抑えて、原音に忠実なサウンドを作るために、デュアルノイズシールドケーブルを採用しました。
さらに銅芯線には腐食を抑える錫コーティングも施され、耐久性も高くなっています。
4.4mm5極バランス出力を採用
AK HC2の最大の特徴が、接続端子に4.4mmバランス出力端子のみを搭載したこと。
そのため、一般的な3.5mmミニプラグのイヤホンやヘッドホンは使用できません。
現在(※2022年6月)発売のUSB-DACケーブルは、ほとんどが3.5mmアンバランス出力で、バランス出力に対応していても、DAPのように複数端子を搭載しているものが多いです。
AK HC2はPEE51よりさらに高音質にこだわったと聞いていましたが、4.4mmバランス接続専用とは、あまりにも潔い。
接続時のアウトプットレベルは「A&norma」と同じ4Vrms(無負荷時)と、小型サイズとは思えない高出力を実現しています。
このスペックなら、本来アンプがないと充分な音質を得られない、ハイインピーダンスヘッドホンや高感度イヤホンでも、スマホでパワフルに鳴らせます。
大きなDAPは持ち歩きにくいから、基本家でしか使わないという方は多いと思いますが、AK HC2ならポケットに軽々入れられるので、外でも高音質を楽しめますよ。
Lightning変換アダプターで、iPhoneでも使える!
PEE51はUSB Type-C端子接続専用でしたが、AK HC2にはLightning変換アダプターが付属し、iPhoneなどのiOS端末でも使えるようになりました。
接続端子がUSB Type-CとLightningの2パターンになったことで、iPhone・Androidスマホ・DAP・ウォークマンなど幅広い端末で使えます。
ボリュームを調整できるAndroid専用アプリ
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PEE51を使うときの注意点として「1部のデバイスでは、本体接続時に端末のボリュームが最大になることがある」というものがありましたが、これを解消すべく、Android専用アプリが用意されました。
アプリでできることは、ボリュームのアップ/ダウンを細かく調整するだけですが、筆者のウォークマン『NW-A100シリーズ』のように、デバイスの音量調整では1度に大きくなりすぎたりと、ボリューム調整が上手くいかない機種には必須のアプリです。
接続する端末によって音量設定が異なるので、Androidデバイスとの接続時には、音量を小さくして再生し、アプリで少しずつボリュームアップしていくと安心です。
iOS端末では、音量が不安定になりにくいため、アプリはありません。
iPhoneとウォークマンで音楽を聴いてみた
まずはiPhoneに接続して、ストリーミングサービス「Amazon Music HD (※定額課金制サービスです)」の音楽を聴いてみます。
イヤホンは、いつも使っているリケーブルイヤホン「AZLA HORIZON」に、4.4mm端子ケーブルを接続したものを使用しました。
PEE51を試した時も、音の細かさが大きく変わることに驚きましたが、AK HC2ではバランス接続になることで音の粒がより良くなったように感じます。
音の定位感がハッキリすることで、音にメリハリと立体感が生まれ、音の表現力が一変しました。
音作りは原曲に忠実ですが「この曲、こんなに中低域の厚みあったっけ?」と、想像以上の迫力に驚くこともありました。
音場が広く、埋もれがちな低音の楽器や高音域の細かなビブラートなど、今までは気に留めなかった音がどんどん前に出てくるような音作りは「A&normaシリーズ」を思い出します。
高出力を持っているため音量を上げても音が破綻せず、スマホが充分DAPになるのではと思わずにはいられませんでした。
- Pirates of the Caribbean / 2CELLOS(iPhoneで試聴)
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入りだしの1音を聴くだけで、音の重さが大きく変わり、音が濃くなったのが分かります。
弦楽器の強弱が特に色濃く、グッと音に力が入る感覚は、スマホではここまで表現しきれないだろうと断言できるほどでした。
- コールド・コールド・ハート / ノラ・ジョーンズ(iPhoneで試聴)
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ライブ音源だけあって、艶やかなボーカルと生々しい楽器の音が、すぐそばで鳴っているような臨場感です。
AK HC2なしの状態では、ボーカルの高い声が少しサウンドに埋もれているように感じましたが、AK HC2を接続すると声とサウンドが分離したように、どちらもハッキリと聴こえるようになりました。
次にソニーのウォークマン「NW-A100シリーズ」に接続して、ハイレゾ音源を聴いてみます。
NW-A100シリーズもAK HC2のように原曲をそのまま素直に鳴らすタイプなので、違いが分かるか少し不安でしたが、音のキレと中低域の厚みが全然違います。
単調でスッキリした印象の曲にもメリハリが生まれ、空間オーディオ再生でなくても楽器がどこから鳴っているか分かるような、立体感のある音になりました。
- Face My Fears / 宇多田ヒカル(ウォークマンで試聴)
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低域から高域まで音が複雑に変わり続ける、音の情報量が多いと感じる曲ですが、こもりや詰まりがなくキレイに表現しています。
ボーカルの声がとてもクリアで、サビの遠くへ伸びていくような高音も余韻まで充分に楽しめました。
まとめ
最近はストリーミングサービスでも高音質再生や空間オーディオ再生ができるようになりましたが、スマホにイヤホンジャックがなくて楽しめないという方は多いと思います。
『AK HC2』は有線イヤホンで聴けるだけでなく、数々のDAPを手がけるAstell&Kern による、高音質再生のための設計が盛り込まれているので、スマホとは思えない音のキレと拡がりを実感できます。
筆者はスマホで曲をダウンロードして、Wi-Fiでウォークマンに同期するというスタイルでしたが、スマホ+AK HC2の音質に文句のつけどころがなく、手軽さも相俟ってスマホで聴くことが多くなりました。
ただ、ウォークマンに接続しても、ハイエンドモデルに進化したのではと思うほどの音を味わえたので、お手持ちのDAPと合わせてもまた違った音楽を楽しめると思います。
出力端子が4.4mmバランスのみなのでオーディオ上級者向け感はありますが、スマホの音では物足りなさを感じる方、初めてAstell&Kern の音に触れる方にぜひおすすめしたいです。 2022.06.30 (もあ)