2022.07.07

Joshin 試用レポート

超高ゲイン出力が可能になったDAP Astell&Kern KANNシリーズ4代目「KANN MAX」

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アステルアンドケルン デジタルオーディオプレーヤー(アントラシットグレー) 64GBメモリ内蔵+外部メモリ対応 IRV-AK-KANN-MAX-AG

高出力と低ノイズの両立が人気のAstell&Kern(アステルアンドケルン)のKANNシリーズ。
2017年発売の初代KANNから5年の歳月をかけて、4代目となる「KANN MAX」が登場しました。
『Engineered to Powerful Perfection』をスローガンに超高出力化と小型化の両立を実現し、KANNシリーズで初めてのクアッドDAC構成、最大768kHz/32bit、DSD512のネイティブ再生にも対応したKANN MAXをレポートします。 ライター:すいか

Astell&Kern KANN MAX

外観/付属品

  • シックで落ち着いたパッケージ
    シックで落ち着いたパッケージ
  • 付属品一覧
    付属品一覧
  • KANN MAX本体 前面・背面
    KANN MAX本体 前面・背面

KANN MAXのパッケージは、グレーの箔押しデザインに黒文字記載でとてもシックなデザイン。
箱を飾るだけでも、インテリアとして映えそうです。
付属品は、microSDカードスロットカバー、QUICK START GUIDE、WARRANTYカード、USB Type-Cケーブル、 画面保護シート。
持ち運ぶDAPなので、画面保護シールがついているのはとてもありがたいです。

MAXのデザインはKANNシリーズの特徴を継承しつつ、スポーツカーのような力強さとスピード感が感じ取れます。
本体の素材はAluminum製、手に取ってみるとずっしりと重さを感じますが、重量は約305gと持ち運びに困る重さではありません。
サイズは約68.3x177x23.6mm(幅×高さ×奥行)、前モデルのKANN ALPHAより少しだけコンパクトになりました。
タッチスクリーンのサイズは4.1inch、解像度は720x1280となっています。
前モデルからコンパクトになったにも関わらず、バッテリー容量は同一の5,600mAhを搭載。
余裕の約13時間再生が可能です。
※(FLAC, 44.1KHz/16bit, アンバランス, Vol.40, LCD Off, LED On, Low Gain)
小型化に伴い電源関連部品をすべて解析し、電源回路を何度も設計し直したそうです。

歴代KANNシリーズ サイズ/再生時間比較表

KANN MAX KANN ALPHA KANN CUBE KANN
サイズ(約)
(幅×高さ×奥行)
68.3x117x23.6mm 68x117x25mm 87.7x140x31.5mm 71.2x115.8x25.6mm
重量(約) 305g 316g 493g 278g
再生時間(約) 13時間 14時間30分 8時間 15時間
  • 右側面 ボリュームダイヤル
    右側面 ボリュームダイヤル
  • 左側面 ボタン類
    左側面 ボタン類
  • 底面 microSDカードスロット・USB Type-Cポート
    底面 microSDカードスロット・USB Type-Cポート

右側面には特徴的なボリュームダイヤル、操作時には適度なトルクがあり使いやすいです。
ボリュームダイヤルにはLEDインジケーターを搭載し、再生中の曲の音量レベルやビットレートなどによって色が変わります(設定で消灯する事が可能)。
左側面の操作ボタンは上から、前へ/巻戻し、再生/一時停止、次へ/早送りとなっており、KANN MAXを手に持った際に指が自然とかかるようなデザインになっています。
底面部にはmicroSDスロットと、充電/データ転送用のUSB Type-Cポートを搭載。
microSDカードを利用しない場合には付属のmicroSDカードスロットカバーが装着できます。

性能/出力端子

KANN MAXはESS社のDAC「ES9038Q2M」を左右2基ずつ、計4基搭載したクアッドDAC構成。
最大PCM768KHz/32bit、DSD512(2.4MHz/1bit)までのネイティブ再生に対応しています。
内蔵メモリは64GB+microSD(最大1TB対応)と容量に不満はありません。
対応フォーマットはWAV/FLAC/WMA/MP3/OGG/APE/AAC/ALAC/AIFF/DFF/DSF/MQAとなっています。

  • 上面 電源ボタン 各種出力端子 端子には一般的なリングではなく、ゴールドPVDコーティング方式を採用
    上面 電源ボタン 各種出力端子
    端子には一般的なリングではなく、ゴールドPVDコーティング方式を採用
  • 上面の端子類は左から2.5mmバランス出力端子(4極)、4.4mmバランス出力端子(4極)、3.5mmアンバランス/OPTICAL OUT ポート、電源ボタン。
    豊富な端子類は使用しているイヤホン・ヘッドホンをリケーブルせずに利用できるのが魅力です。

    端子のアウトプットレベルは以下の4段階で設定が出来ます。
    [Low] Unbalanced 2Vrms / Balanced 4Vrms (負荷無し)
    [Mid] Unbalanced 4Vrms / Balanced 8Vrms (負荷無し)
    [High] Unbalanced 6Vrms / Balanced 12Vrms (負荷無し)
    [Super] Unbalanced 8Vrms / Balanced 15Vrms (負荷無し)
    KANN MAXでは、同社が販売している据え置き型超高出力ヘッドホンアンプ『ACRO CA1000』と同等の超高ゲイン[Super]が新たに搭載されました。

歴代KANNシリーズ アウトプットレベル比較表

Output Level KANN MAX KANN ALPHA KANN CUBE KANN
Super
-Unbalanced
-Balanced
8Vrms
15Vrms
- - -
High
-Unbalanced
-Balanced
6Vrms
12Vrms
4.1Vrms
8.1Vrms
Mid
-Unbalanced
-Balanced
4Vrms
8Vrms
-
Low
-Unbalanced
-Balanced
2Vrms
4Vrms
2.1Vrms
2.1Vrms

DAPのKANN MAXに超高ゲイン設定が搭載された事で、様々な場所で高インピーダンスのヘッドホンをドライブする事が出来るようになりました。
超高ゲインとなるとノイズが気になりますが、アナログボリュームコントローラーの採用やオーディオブロックごとに電源ICを構成する事で、干渉リップルノイズを除去、OP-AMPで増幅されるノイズを最小限に抑えています。
また、前モデルであるKANN ALPHAと同じサイズの限定基板を作成して12層に分割し、アンプ回路に適用するデバイスの物理サイズを見直すことで、より超高出力と低ノイズを実現。
今までは難しかった、自宅と同じように"外出先でもより良い音で音楽を鑑賞したい"が叶います。

有線接続だけではなく、Bluetoothを利用したワイヤレス接続にも対応。
BluetoothはVer5.0を搭載し、 豊富なコーデックでの接続が可能です。(A2DP/AVRCP/Qualcomm® aptX™HD/LDAC)
通勤時など、有線接続が難しい環境でもaptX™HD/LDACで接続すれば高音質で鑑賞できますよ。

音楽を聴いてみた

KANN MAXを実際に試聴してみました。
音への味付けは少なく、全体的にフラットでクリアなサウンドという印象です。
情報量は非常に多く、小さな音までしっかりと解像し、中低域の厚みが非常に印象的でした。
音質はたいへん良く、音像定位はかなりしっかりとしています。
全体的にとても繊細で解像感も素晴らしいです。
ゲインを調整すると、勢いのある音圧でパワフルなサウンドが味わえました。

道 / 宇多田ヒカル

イントロからとてもクリアで、ボーカルの息遣いや曲の広がりがはっきりとわかります。
サビの部分は、細かい楽器の音まで解像しており、低音もしっかりと出ていました。

ミックスナッツ / Official髭男dism

立体感の良さでジャズ調の音が動き回る感じがしっかりと表現されています。
Aメロに入る前のドラムサウンドはパワフルながら心地よい低音です。
ラストのボーカルの高音は、他プレイヤーと違い無理に調整した感じが無くとても素晴らしいです。

KANNシリーズ ALPHAと比較

オーディオ担当スタッフより、歴代のKANNシリーズ(私物)をお借りしました。
前モデルのALPHAと比べてMAXがどう変わったか聴き比べてみます。

  • 左からALPHA、CUBE、初代KANN
    左からALPHA、CUBE、初代KANN
  • KANN ALPHAと聴き比べてみると、MAXはよりフラットなナチュラル感を感じました。
    どの曲も真面目に表現しているな、と言った感想です。
    ジャンルを問わず曲の持つ良さをそのまま表現しています。
    定位感や広がりはALPHAよりさらに向上しているように思えます。
    ALPHA自体も同じくフラットな印象なのですが、比べると少しだけ低音が強いかなと思いました。
    筆者は普段はドンシャリ系に鳴らす製品をよく使いますが、KANNシリーズの純粋にとても良い音を素直に楽しめる事と、聴き疲れしない事に感動しました。
    その時の気分や雰囲気に合わせてイヤホンを変えるように、プレイヤーを変えるのもとても良いと思います。

まとめ

  • MAXと歴代のKANNシリーズ
    MAXと歴代のKANNシリーズ
  • シリーズの特徴である、音の良さと多機能性がさらに進化した『KANN MAX』。
    機能面ではUSB-DACやUSBデジタル出力、Bluetoothレシーバー機能、ワイヤレスデータ転送機能、DLNAネットワーク機能、リプレイゲイン機能と、1台でなんでも出来てしまいます。
    あらゆるヘッドホンがドライブできる、超高ゲイン出力も備えました。
    KANN MAXはDAPとしてだけではなく、持ち運べる高性能アンプとしても非常にオススメです。
    2022.07.07 (すいか)

スタッフが使ってみました

今回使用した音源 ※別カートです

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