2022.12.29
Joshin 試用レポート
“ながら聴き”の常識を変える「軟骨伝導」とは・・・!?オーディオテクニカ『ATH-CC500BT』をレビュー!
オーディオテクニカ 骨伝導ワイヤレスヘッドホン ATH-CC500BT
耳を塞がず、周囲を音を聞きながら音楽も楽しめる「骨伝導イヤホン」に、オーディオテクニカが参入!
・・・と思ったら、骨伝導ではなく世界初※の「軟骨伝導」を採用した、これまでにない新しいイヤホンとのこと。(※2022年12月現在)
骨伝導と何が違うの?装着感やサウンドはどう?
謎だらけの『ATH-CC500BT』を、じっくり見ていきましょう! ライター:もあ
世界初のワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン!オーディオテクニカ『ATH-CC500BT』
2022年は、音楽を聴きながら同時に周りの音も確認する"ながら聴き"スタイルが大流行!
「急に声をかけられてもすぐに反応できる」「環境音も聞こえるから屋外でも安心」という声が多く、在宅ワーカーやアウトドアを楽しむ方を中心に、どんどん広がっていきました。
そんな中、日本の老舗音響機器メーカー オーディオテクニカから、"ながら聴きの常識を変える"をコンセプトとした、世界初のワイヤレス軟骨伝導ヘッドホン『ATH-CC500BT』が発売。
骨伝導イヤホンは使ったことがあるけど、軟骨伝導とはいったい・・・?同じ「骨」では・・・?
初めての単語にいきなりハテナがいっぱいなので、骨伝導も含めどういったものかまとめてみます。
第3の聴覚経路「軟骨伝導」とは?骨伝導イヤホンとどう違う?
普段何気なく音を聞いていますが、音や声が耳に伝わる経路には、空気の振動で伝わる「気導音」と、骨からの振動で伝わる「骨導音」の2種類があると言われていました。
しかし数年前に第3の聴覚経路「軟骨伝導経路」が発見され、研究を重ねる中で効率よく音を伝えられることが判明。
ATH-CC500BTはこの経路を使い、音楽の再生や通話を可能にしたヘッドホンです。
骨伝導イヤホンとの大きな違いは、装着感とステレオ感。
■ 装着感
骨伝導・・・本体をこめかみ付近に当てて頭蓋骨を直接振動させるため強い圧迫感があり、長時間の使用では痛みが生じることも。
軟骨伝導・・・⽿の軟⾻部に触れる程度の装着で充分⾳が伝わるため、頭部への圧迫が少ない。
■ ステレオ感
骨伝導・・・ステレオ音声が頭蓋骨の中でミックスされるため、左右の内耳に入る音情報に差が生じにくい。脳内で直接音が鳴っている感覚。
軟骨伝導・・・左右の内⽿に到達する⾳が別々になるため、気導経路と同様にステレオ感が得られる。スピーカーで聴く音に近い。
さらにATH-CC500BTは独自開発による振動ドライバー(PAT.P)を搭載し、外部振動による音質劣化や低音再生時のくもりを低減。
一般的なイヤホンと全く違うスタイルでありながら、オーディオテクニカらしい原音に忠実な音が期待できます。
外観と付属品
セット内容 | 本体、専用ポーチ、充電用USBケーブル(長さ:約30cm、USB-A to USB-C)、取扱説明書 |
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質量(約) | 35g |
対応コーデック | Qualcomm aptXTM HD audio、Qualcomm aptXTM audio、AAC、SBC |
防水性能 | IPX4相当 ※IPX4:いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない |
ATH-CC500BTは、左右のイヤホン本体をバッテリーなどが内蔵されたバンドで繋いだ「ネックバンド型」。
質量は他の似たような形状の骨伝導イヤホンと比べると少し重めです。
シリコン製のバンド部はとてもしなやかで肌触りも良く、装着感はかなり良さそう。
カラーバリエーションはベージュとブラックの2色です。
バンド部が短めなので、本体をそのままバッグに入れても絡まったりはなさそうですが、汚れが気になる方は付属の専用ポーチに入れて持ち運びましょう。
操作ボタンはしっかり押し込むタイプなので、バッグの中で誤操作が起こる心配もなさそうです。
音質を特徴としているだけあって、対応コーデックは原音の再現性に優れたaptX HDを始め、iPhoneとAndroidの両方で高品質な音を楽しめるよう豊富にサポート。
コーデックは専用アプリ「Connect」から切り替えできます。
最大約20時間使えるロングバッテリーを実現
連続再生時間(約) | 最大20時間 |
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急速充電(約) | 10分の充電で120分間の連続再生が可能 |
本体の操作は左右1つずつあるマルチファンクションボタンと、左側面の少し分厚くなった箇所にある+/-ボタンで行います。
左側面には充電端子(USB Type-C)があり、フル充電時には最大約20時間再生可能!
骨伝導イヤホンは一般的なバンド型イヤホンと電力の使い方が違うのか、バッテリー時間はあまり長くないイメージなので、このロングバッテリーには驚きました。
フル充電にしておけば1日余裕で使えるので、在宅ワーク中にずっと付けていたいという願いも叶いますよ!
さらに急速充電にも対応していて、バッテリー面はとても優秀です。
快適な通話を実現する「AIノイズリダクション技術(AIVC)」
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ATH-CC500BTは、通話中に話し声のみを抽出して相手に届ける、intelliGo社の「AIノイズリダクション技術(AIVC)」を搭載。
数多くの騒音データを学習したAIチップが細かなノイズも逃さず抑制することで、まるで対面で会話しているような快適なコミュニケーションを実現しています。
周囲の音も自然に聞こえるので、イヤホンを付けているときによくある「無意識に大声で話していた」ということもなくなりますよ。パソコンとスマホなど2台の端末に同時接続できるマルチポイント機能にも対応しているので、在宅ワークのお供としても手放せなくなりそうです。
音楽を聴いてみた
装着イメージ
耳穴の横にある軟骨部に、本体のドライバー部分があたるように装着します。
フィット感が良く、締め付けがほとんどないのに多少頭を振ってもズリ落ちてこなくて、とても快適!
ただ、数時間連続して使うとドライバー部の重みが気になり始め、"装着しているのを忘れてしまうほど"という感覚になるのは難しかったです。
メガネをかけた状態で装着すると、イヤーフックがフレームに被さることで軟骨部から少し浮いてしまったので、メガネはATH-CC500BTを装着した後からかける方が良さそうです。
マスクは付けた状態でも干渉はありませんが、マスクだけを外すことはできず、ATH-CC500BTも一緒に取り外す必要があります。
これは耳に引っかけるタイプのイヤホンでは仕方ないですね。
本体操作方法
電源オン/オフ | 右側ファンクションボタンを長押し |
音声認識機能 | 左側ファンクションボタンを長押し |
音楽の再生/一時停止 | 左側ファンクションボタンを1回押す |
ボリューム(+/-) | +ボタンを1回押す/-ボタンを1回押す |
曲送り/曲戻し | +ボタンを2秒長押し/-ボタンを2秒長押し |
本体操作は左右のファンクションボタンと、左側の分厚くなった場所にある+/-ボタンで行います。
全て物理ボタンなのでしっかりと押している安心感はありますが、どのボタンも小さくて装着しながらだと思った位置に押し込めないことが多々ありました。
操作ボタンが多いのもあって、慣れるには少し時間がかかる印象です。
個人的にイヤホンで1番使う操作が曲送りなので、長押しではない方がスムーズで良かったなと思うところ。
アプリのアップデートで操作のカスタマイズができるようになればいいなあ。
ペアリング方法
右側のファンクションボタンを長押しして電源をオンにして、端末のBluetooth設定で「ATH-CC500BT」を選択して接続します。
【音質レビュー】“本気聴き”できるレベルのクリアな高音質
iPhoneに接続してAACコーデックで音楽を聴いてみましたが、耳を塞いでいないとは思えないほど音がとても鮮明!
骨伝導イヤホンだけでなく、オープン型イヤホンでもここまで高域から低域までしっかり聴こえることはなかったかもと、とても驚きました。
ジャズミュージックを聴くと音の強弱やスピード感もしっかりあって、ながら聴きのつもりでもついつい曲に入り込んでしまうくらい、聴き応え抜群です。
オーディオテクニカらしいバランスの取れた聴きやすいサウンドで、原曲に忠実なのでどの音楽ジャンルも楽しめました。
聴こえ方は耳に小型のスピーカーをあてているイメージで、骨伝導イヤホンの独特な鳴り方とは違い、一般的なイヤホンを聴いている感覚に近いです。
しかし、屋外で使うと周囲の騒音に曲がかき消されてしまい、曲をしっかり聴くには端末の音量設定をMAX近くにする必要がありました。
耳を塞がないイヤホンの特性上、どうしても音は小さめに聴こえてしまうのですが、ATH-CC500BTは他のオープン型や骨伝導イヤホンと比べても音は小さめなのかもと感じます。
音量を80%近くにして、イコライザーを「ClearVoice」に設定すると、中音域がさらに強調されて歌詞も聴き取りやすくなりました。
耳を塞がないイヤホンで気になる音漏れを、室内で1mほど離れた場所にいるスタッフに確認してもらうと「iPhoneの音量70%くらいでは全く聴こえず、MAX近くなると大きな楽器の音は聴こえる」とのこと。
人の多い電車などでは気になるかもしれませんが、仕事や家事、スポーツ中に鳴らす分には問題なさそうです。
まとめ
周囲の音を遮断する強力なノイズキャンセリング機能の付いたイヤホンが次々と発売される裏で、着実にシェアを伸ばしている「耳を塞がないイヤホン」。
耳を塞がない快適さと、周囲の音が自然に聞こえ会話も安定することで使えるシーンはかなり多く、ながら聴きには最適です。
今回登場した『ATH-CC500BT』は、使用感は骨伝導イヤホンとよく似ていますが、音の聴こえ方は全然違う!
「ながら聴きならそこまで気にならないかな」と思っていた少しこもり気味の音も、ATH-CC500BTはバランスのとれたクリアな高音質で、音楽に充分集中できるレベルです。
装着時も圧迫感がなく快適で、今後は軟骨伝導が主流になっていくのではと思いました。
一般的なカナル型イヤホンやスピーカーの音に近いので、耳を塞がないイヤホンは初めてという方も違和感なく使えると思います。
ながら聴きイヤホンをお探しの方は、ぜひチェックしてみてください。 2022.12.29 (もあ)