2021.04.09
Joshin 試用レポート
暗いシーンにも強い!静止画・動画も優秀な「LUMIX DC-S5」
パナソニック フルサイズミラーレス一眼カメラ「LUMIX DC-S5」標準ズームレンズキット DC-S5K
LUMIXからユーザー待望の小型・軽量フルサイズ機「DC-S5」が登場。
そのコンパクトボディには、パナソニック製シネマカメラ「VARICAM」にも採用した「デュアルネイティブISOテクノロジー」を搭載し、高感度でもノイズの少ない美しい世界を写します。
パナソニックの技術をギュッと詰め込み、上位機種の機能をいいとこどりしたDC-S5をレビュー! ライター:あんまん
独自の先進技術「デュアルネイティブISOテクノロジー」を搭載した「LUMIX DC-S5」
セット内容:ボディキャップ、ホットシューカバー、バッテリーグリップ接点カバー、ショルダーストラップ、バッテリーパック、バッテリーチャージャー、ACアダプター、USB接続ケーブル(A-C)
パナソニックのフルサイズ機「LUMIX DC-S5」は、上位機種のS1シリーズの特徴を継承した、静止画・動画の両方を得意とするカメラです。
DC-S1Hはボディだけで約1,052gと1kgを超えますが、DC-S5はボディのみで約630gと、手持ち撮影も可能な小型軽量サイズです。
シネマカメラ「VARICAM」にも使われている「デュアルネイティブISOテクノロジー」を搭載し、1画素ごとに「低ISO回路」と「低ノイズ・高ISO回路」の2系統を、ISO感度の設定に応じて自動的に切り換えるため、高感度時もノイズを抑えます。
急な暗いシーンでも自然光を生かした撮影が行え、ノイズリダクションなどの編集工程がほとんどいりません。
S1シリーズと比較
DC-S5 | DC-S1 | DC-S1H | DC-S1R | |
---|---|---|---|---|
外形寸法 (約)幅×高さ×奥行mm(突起部を除く) |
132.6×97.1×81.9mm |
148.9×110×96.7mm | 151.0×114.2×110.4mm | 148.9×110×96.7mm |
質量(本体のみ) | 約630g | 約899g | 約1,052g | 約898g |
カメラ有効画素数 | 2420万画素 | 2420万画素 | 2420万画素 | 4730万画素 |
ISO感度 | 100〜51200 (拡張50〜204800) |
100〜51200 (拡張50〜204800) |
100〜51200 (拡張50〜204800) |
100〜25600 (拡張50〜51200) |
デュアルネイティブISO | 〇 | - | 〇 | - |
ローパスフィルター | - | - | 〇 | - |
ボディ内手ブレ補正 | 5.0段 | 6.0段 | 6.0段 | 6.0段 |
イメージセンサー | ヴィーナスエンジン |
S1シリーズはボディ内手ブレ補正が6.0段、ステータスLCDがあるなど、上位機種ならではの違いがあります。
モアレを低減させるローパスフィルターはDC-S1Hのみ搭載ですが、イメージセンサーのヴィーナスエンジンが元々モアレを除去する機能が強いので、ローパスフィルターレスのDC-S5は高解像度のまま撮影できます。
デュアルネイティブISOを継承しているDC-S5は、高解像モデルのS1Rより、動画に強いDC-S1Hをキュッとコンパクトにしたイメージです。
ファインダーを覗きながらの操作がしやすい
シャッター速度5.0段分のボディ内手ブレ補正
ファインダーを覗いた状態でもグッと握りやすいグリップは、重い望遠レンズの装着時でも、しっかりホールドできて安心です。
ボディ内手ブレ補正は、高精度ジャイロセンサーで検出したシャッター速度5.0段分でブレを軽減し、6.5段分のレンズ内手ブレ補正(O.I.S.)も連動するので、ローアングルなどの不安定になる手持ちでも、思いのままに撮影できます。
撮影中も操作がしやすいボタン・ダイヤル部
シャッターボタンの前にWB・ISO・露出補正がボタンとして独立。
フォーカス位置を決めるジョイスティックは、ファインダーを覗きながら親指で操作がしやすいように配置されています。
右のダイヤルにはLUMIX G100で採用された「S&Qモード」を搭載し、クリッと回すだけで動画スピードをキュッと縮めたクイック録画と、スロー録画ができます。
C1〜C3まで任意の設定を行えるカスタムポジションは、必要なときにあらかじめ設定しておいたモードにすぐに切り替えられるので、瞬間的なシーンでも設定を変えやすいです。
バリアングルモニターと高精細 236万ドット OLEDファインダー
ローアングルや、手をのばしたハイアングルでもラクな姿勢のまま確認できるバリアングルモニターを採用。
ファインダーも高精細な約236万ドットの有機ELパネルを採用しているので、被写体の細部に至るまで階調豊かで、暗い場所でも視認性が高いです。
ダブルスロットなので、メモリー容量を気にせず撮影できるほか、バックアップ記録すると、書き込みエラーなどによるデータの破損やカードの紛失などのリスクを抑えられます。
バッテリーは付属のバッテリーチャージャーで充電しましょう。
USB充電/給電に対応しているため、ACアダプターやパソコンに付属のUSB接続ケーブルで本体とつなぐと充電できるほか、長時間の動画撮影でバッテリーが交換できないときには撮影しながらの給電が可能です。
各レンズを装着してみた
・LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6
・LUMIX S PRO 50mm F1.4
・LUMIX S PRO 24-70mm F2.8
・LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.
・LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.
ライカカメラ社のLマウントを採用したパナソニック製のレンズを装着。
レンズキットのLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6は、超広角20mmから標準域60mmまでズームできるほか、PROレンズより軽くてコンパクトなので、どこへ持って行くにも使い勝手のいいレンズです。
「LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.」や「LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.」は、O.I.S.のレンズ内手ブレ補正が搭載しているので、手持ちでもブレの少ない撮影ができます。
レンズを着けると大きくずっしりしているので、両手でしっかり構えて撮影しましょう。
「頭部認識」が追加!追従精度が向上したリアルタイム認識AF
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「顔・瞳認識」「人体認識」のAFに加え、新たに人の頭を認識する「頭部認識」が加わり、自動認識AFの精度が向上しました。
遠くの人の頭を認識したり、振り返ったときもAFが逃さずにピントを合わせ続けます。スタッフにクルクルと回ってもらいましたが、顔から頭へフォーカスし続けています。
これなら、モデルが激しく動いていても瞬間を撮影できます。AIの技術であるディープラーニングの進化によって、顔・瞳認識人体認識や動物認識は約5倍も向上し、顔が傾いた場合や遠くの小さな人物の顔・瞳もしっかりと捉えることができます。
撮影時に役立つ機能
筆者が撮影していて使いやすい!と思ったのは、フォーカス位置を動かせるジョイスティック。
握った時に右親指で操作しやすい位置にあり、ファインダーを覗いたままでも範囲を選択しやすいです。
細かい調整もファインダーから離れてパネルで選ぶ必要がないのは利便性が高いです。
手持ち撮影時に役立つ手ブレ状態スコープは、シャッターを半押しすると、モニタ上にブレの状態を表すポインタが揺れることで、どれほどのブレ感かがわかります。
照準器と一緒に確認できるので、傾きやブレを気にしながら撮影ができますよ。
録画中はフレームが赤くなるので、パッと見ただけで録画中だと分かりやすいです。
録画したつもりができていなかった!という悲しい事態も少なくなりそうです。
ハイエンド機から引き継がれる動画性能
Sシリーズ初!スロー&クイックモードを搭載
動画性能は、S1シリーズで実現した4K/60p 10bit動画記録を、S5にも継承。
動きのある激しいシーンを秒間60フレームでのなめらかな映像で撮影でき、より高精細・高画質な動画に仕上がります。
速い被写体の動きでゆがんでしまう「ローリングシャッター現象」も抑えます。
LUMIX G100に搭載した「スロー&クイックモーション」も追加され、動画撮影にバリエーションが増えました。
フレームレートを低くすると、パラパラと早送りされているようなアニメーションを撮ることができ、高くするとゆっくりと動くスローの様子を撮ることができます。
噴水をスローで撮ってみると、水の粒がしっかりと見え、キラキラと輝いているようにも見えます。
草をクイックモーションで撮ると風でゆらゆらと揺れる様子がワシャワシャ!と動きが活発になり、これまた面白いアニメーションが撮れました。
「スロー&クイックモーション」だと、音声を撮ることはできませんが、楽しい動画作りの幅が広がりますよ。
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LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.を装着して、野鳥を動画撮影してみました。
望遠レンズでも手ブレが少なく、動画でも鳩の頭の先から足の爪までクッキリです!!!キレイすぎて感動…!
首の羽も、1本1本が鮮明です。エサを取られまいと必死で逃げる鳩をスローで撮る…など、同じ場所にいても楽しい動画を撮ることができました。
常用ISO感度が最大51200!拡張ISO204800までノイズを見てみる
DC-S5の常用ISO感度はなんと51200と高感度。
夜景を手持ちで撮影しましたが、ISO6400でもほぼノイズを感じることなく、ISO51200にしても少しノイズが増えた?という程度。
「デュアルネイティブISOテクノロジー」が、高感度でもノイズの少なくしているのが分かります。
拡張ISOになると、反射にだんだんとノイズの量が目立っています。
作例
まとめ
DC-S5は、S1シリーズの機能を継承して小型・軽量化したので、色々なシーンで撮影ができます。
全て手持ち撮影しましたが、強力な手ブレ補正で鳥が動いた瞬間もバッチリとらえていました。
気づいたら、望遠レンズに夢中になってパシャパシャと撮影していたほど…。
ボケ感の美しさにのめり込んで撮影していましたが、LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.のレンズを着けると2.2kgになるので、腕は鍛えられました!
レンズキットのLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6は、持ち運びやすいサイズなので、少し撮影しに行く時にもちょうどよかったです。
一番驚いたのは、動画で撮影した鳩のディティールが美しかったこと!
羽の1本1本の毛並みまで写し出され、首元のモアレもなかったです。
ファインダーを見つつ、フォーカスを親指で動かせるジョイスティックにもずっと頼りっぱなしで、思い通りの撮影ができました。
暗いシーンでも美しく撮影できる、静止画・動画の両刀使いを考えている方にぜひおすすめしたいカメラです。 2021.04.09 (あんまん)