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Joshin 試用レポート
三脚が使えない場所は手持ちで攻める。機動性にこだわったOM-D E-M1X

オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X

去年、各社がこぞってフルサイズのミラーレス一眼カメラを発表したのは、まだ記憶に新しい。
フルサイズセンサーのミラーレス機が増える中、オリンパスはマイクロフォーサーズでシステムとしての「機動力」で勝負!
その機動性にこだわったというフラグシップ機『OM-D E-M1X』は、いったいどんなカメラなのか、試してみました。

ライター:ぴよこ

  • 左がOM-D E-M1 MarkII、 右がOM-D E-M1X。大きいな…
    左がOM-D E-M1 MarkII、 右がOM-D E-M1X。見た感じは大きく感じます。
  • 背面
    背面
  • 上から
    上から

OM-D E-M1 MarkIIと並ぶオリンパスのフラグシップ機として、新たに登場したOM-D E-M1X。今後はフラグシップがOM-D E-M1 MarkIIとOM-D E-M1Xの2ラインから選択できるように展開されていくようです。
縦グリップがボディと一体化し、グリップは縦横の2個、バッテリーも2個、画像処理エンジンも2個、スロットも2個!という仕様になっています。ちなみに、バッテリーチャージャーも電池に合わせて2個付属。
OM-D E-M1 MarkIIとOM-D E-M1Xを並べてみると、縦グリップが付いて一見大きく感じますね。

ボディはマグネシウム合金で、防塵・防滴構造に加え、耐低温性能なタフボディ。メモリーカードやバッテリー収納部がより頑丈になっているのでその辺りは、また後ほど。

OM-D E-M1 MarkII
OM-D E-M1X
サイズ(mm):W×H×D
(CIPA準拠 幅 × 高さ × 奥行き 突起部含まず)
134.1×90.9×68.9144.4×146.8×75.4
質量(本体のみ) 約498g 849g
記録媒体 スロット1はUHS-T・II、
スロット2はUHS-T対応
スロット1,2共に
UHS-T・IIに対応
電源 BLH-1×1 BLH-1×2
GPS
フィールド センサーシステム
-
撮像画面サイズ 17.4mm×13.0mm
撮像センサー 4/3型Live MOSセンサー
カメラ部有効画素数 2,037万画
使用可能温度 −10〜+40°C(動作時)、-20〜+60°C(保存時)
使用可能湿度 30〜90%(動作時)、10〜90%(保存時)

センサーはOM-D E-M1 MarkIIと同じLive MOSセンサーを採用し、有効画素数は約2037万画素。画像処理エンジンも同じTruePic VIIIを採用しているのですが、それを2基搭載することで、起動時間などを短縮する他、「インテリジェント被写体認識AF」や「手持ちハイレゾショット」、「ライブND」といった撮影が可能になりました。

フラグシップ機が、撮影者の好みに応じてボディが選べるようになったのは嬉しい。今だけ100周年記念モデルとして、OM-D E-M1 MarkIIはシルバーも選べます(全世界2000台限定)。オールドデザイン感じるシルバー…良いなぁ…。

  • ED40-150 F2.8 PROを装着
    ED40-150 F2.8 PROを装着
  • 豊富なレンズラインナップ
    豊富なレンズラインナップ

去年、M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROを含めた新しいレンズが登場しましたが、M.ZUIKO PROレンズのラインナップも揃ってきています。
小型軽量設計レンズなので、超望遠レンズを付けたとしても、他社のカメラに比べると小さめです。ここがシステム機動力という強みになっています。これまでのオリンパスのカメラと比較すると大きいものの、600mm相当のPROレンズでも手持ちでいけるとなると、同クラスのカメラと比べれば小型軽量です。三脚が使えない場所でも豊富なレンズ群すべてが手持ちで責められるというのは、やはりシステムの強みではないでしょうか。

PROレンズも防塵・防滴構造ですが、レンズの交換時に万が一、ボディ内部にゴミが入り込んだとしても、カメラのダストリダクションシステムによって超高速振動で弾き飛ばします。 OM-D E-M1Xには従来の機種に比べて新たにセンサーにゴミが付着しにくくするコーティングも施されていて、更に安心な仕様になっています。

  • OM-D E-M1Xを横持ち OM-D E-M1Xを横持ち
    OM-D E-M1Xを横持ち
  • 縦持ちでもシャッターやダイヤルの位置が変わらない 縦持ちでもシャッターやダイヤルの位置が変わらない
    縦持ちでもシャッターやダイヤルの位置が変わらない

OM-D E-M1Xのグリップは、医療デザインのノウハウを活かし、長時間握っていても疲れず、縦持ちに変えても操作性が変わらないボタン配置になっているなど、ホールディング性や操作性にこだわった設計になっています。長時間使っていると、そのフィット感が体感できるかと思います。グリップが大きい分、小指までしっかり安定します。重さは従来機種よりはやはり重いのですが、グリップが握りやすいので実際に片手で持ち歩きながら撮影していてもそんなに負担になっている感覚はありませんでした。

そしてOM-D E-M1Xは、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROレンズとの組み合わせで最大7.5段という手ぶれ補正を実現!同組み合わせで最大6.5段だったOM-D E-M1 MarkIIでも強力でしたが、最大7.5段とさらに強力に!
1〜2秒という低速シャッターでも手持ち撮影が実現可能とも言われており、暗い場所や不安定な場所での撮影にも心強いですね。

  • 左側の操作ボタン
    左側の操作ボタン
  • ボタンの配置にも工夫がある
    ボタンの配置にも工夫がある
  • ボディの前後に埋め込みダイヤル
    ボディの前後に埋め込みダイヤル
  • バリアングル式モニター
    バリアングル式モニター
  • マルチセレクター
    マルチセレクター
  • ボタン設定画面
    ボタン設定画面

ボタン部の配置も高さを変えたり、ボタンに突起があったりと、ファインダーを覗きながら操作を行う際に、指先の感触でどのボタンなのか判断しやすいよう工夫されています。
埋め込み式ダイヤルは前と後ろの両方に配置。さらにマルチセレクターが新たに配置され、AFエリアを素早く移動できます。このマルチセレクターも、縦横どちらの撮影でも操作可能となるように、親指で操作が行える位置に2つ配置されていますよ。
更にOM-D E-M1Xはボタンへの機能割当設定が設定画面でカメラの絵と機能を一覧で確認しながら行えます。分かりやすいですね。

  • ハイレゾショットが
    ハイレゾショットが
  • 手持ちでも可能に!
    手持ちでも可能に!
  • AFのサイズなどは
    AFのサイズなどは
  • パターンを設定できます
    パターンを設定できます

設定画面を調べてみましょう。撮影方法の選択並びに、OM-D E-M1 MarkIIでも搭載されていたハイレゾショットがありますが、『手持ち』モードが追加になっています!
OM-D E-M1 MarkIIでは三脚を使って固定し、50M画素相当の高解像写真(OlympusViewer3などを使用すれば80M)を生成していましたが、OM-D E-M1Xでは手持ちハイレゾショットでも50M画素相当の撮影が行えます。

AFターゲットモード設定は新たにグループ25点が追加され、更にAFエリアが縦11点、横11点から任意のパターンをして指定できるようになっています。マルチセレクターの搭載などにより、AFの操作性はOM-D E-M1 MarkIIよりも向上しています。

  • つまみを回すとロックが解除
    つまみを回すとロックが解除
  • 電池が抜き取れる
    電池が抜き取れる
  • バッテリーのステータス画面
    バッテリーのステータス画面
  • USBによる充電/給電にも対応
    USBによる充電/給電にも対応
  • 堅牢性を高めたOM-D E-M1Xのバッテリー挿入部はカートリッジ式で、側面のつまみを回して引くと2つの電池が出てきました。2つのバッテリー使用時、通常撮影なら約870枚、低消費電力撮影なら約2580枚もの撮影が可能。
    バッテリー残量や、2つのバッテリーのどちらを優先的に使用するかなど、設定画面で確認も行えます。 ちなみに、バッテリー1つでも問題なく使用できます。

    さらにUSBによる充電/給電にも対応(端子はmicro-USB Type-C)しています。いざという時にモバイルバッテリーから充電ができるのは便利ですね!

  • SDカードもつまみを回してカバーを開ける
    SDカードもつまみを回してカバーを開ける
  • UHS-II対応のダブルスロットです!
    UHS-II対応のダブルスロットです!

カードスロット部も同じようにつまみを回してカバーを開ける、安全に配慮された設計です。メモリーカードはUHS-II対応ダブルスロットとなっています。ここもOM-D E-M1 MarkIIより良くなっていますね。

ライブND

  • ライブND撮影設定画面
    ライブND撮影設定画面
  • レンズそのままND効果!
    レンズそのままND効果!
  • しかも手持ちで撮影できる
    しかも手持ちで撮影できる

OM-D E-M1 MarkIIにもなかった新たな機能『ライブND撮影』。NDフィルターを使わずとも、NDフィルターを使ったかのような撮影が行える「ライブND」。
露光した複数の画像を合成し、スローシャッター効果が得られるという撮影機能です。シャッターを押さなくてもファインダーや液晶画面で効果も確かめられ、設定によりND段数も調整できます。

実際に流れる水を撮影してみました(モード:ND32)。難しい設定もいらず、楽にND効果が得られました。しかも手持ちで撮れました。こんなに簡単に撮れていいものなのか。しばらく同じ場所で水ばっかり撮影していました。

レンズの形状からフィルター装着ができない「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」や「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」との併用は特にお薦めです。

インテリジェント被写体認識AF

  • モータースポーツ・飛行機・鉄道が選択可能
    モータースポーツ・飛行機・鉄道が選択可能
  • 【動画】ミニカー置いて試してみよう
    【動画】ミニカー置いて試してみよう
  • 運転席をとらえました
    運転席をとらえました

ディープラーニング技術を活用してアルゴリズムを開発した『インテリジェント被写体認識AF』。画像処理エンジンを2基搭載することでリアルタイム処理を実現。
追尾被写体設定を見てみると【モータースポーツ】【飛行機】【鉄道】と選択が行えます。それぞれの被写体モードを選ぶと、カメラが自動的にその被写体の認識をはじめ、シャッターを半押しすると、鉄道であれば運転席にピントを自動的に合わせます。

ミニカーでも反応したのでAFの動きを動画でご確認ください。白い枠が出て車の識別をし、シャッターを半押しすると、運転席にピントを合わせる緑の枠に変わります。
ピントを合わせるのをカメラに任せ、構図に集中して撮影したい、という場面で一役買ってくれます。より良い撮影に繋がる機能になっています。

作例

  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例
  • オリンパス ミラーレス一眼カメラ OM-D E-M1X 作例

一目見た時、あまりの大きさにマイクロフォーサーズの良さが消えちゃった!と思ってしまいましたが、使ってみるとグリップのフィット感が高いからか、ずっと持ちながら歩いていました。
重さにすぐに慣れたようです。エンジンが2基付いた事で、手持ちでハイレゾショットが可能になり、ライブND機能が追加され、AFの性能がアップしています。
指定レンズとの組み合わせで最大7.5段という手ぶれの強さもあり、三脚を使わなくても撮影できる場面も増えますので、使い勝手は良いのではないでしょうか。ライブNDが手持ち撮影できるのは感動しました。

筆者が使うのはどっち?と言われると、技量もないし、小型軽量に重きを置いているのでOM-D E-M1 MarkIIになってしまいますが…風景やスポーツなど、レンズを何本も持ってカメラを撮影されるカメラマンなら、縦グリップがあって、縦にしてもボタン配置が変わらず、三脚が立てられないような場所でも手持ちでハイレゾショットができて…などと、OM-D E-M1Xを選びたくなる要素があります。新たな選択肢として作り出されたOM-D E-M1X。どちらのフラグシップ機にするか、悩んでみてください。

2019.2.15 ぴよこ


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