2021.12.21
Joshin 試用レポート
"音質最優先"の完全ワイヤレスイヤホン Noble「FoKus PRO」を試聴レビュー
Noble Audio 完全ワイヤレス FoKus PRO
完全ワイヤレスイヤホンでも音質は妥協したくない!
そんな方にぜひ聴いてほしいのが、高音質で注目を浴びる「FALCONシリーズ」を手がけるNoble Audioが、さらなる高音質を求めて生み出した『FoKus PRO』。
新採用の大型ダイナミックドライバーと、カスタムIEMメーカーならではの高いフィット感で、ワイヤレスイヤホンとは思えない音楽体験ができます。
アクティブノイズキャンセリングや防水性能を除いた"音質最優先"設計なら、ハイエンドオーディオのような高音質が楽しめる・・・!?
早速ドライバーや外観をチェックして、音を聴きこんでみます!
ライター:もあ
「カスタムIEMを無線化する」をコンセプトに作られた『FoKus PRO』
8.2mm径ダイナミックドライバーを新採用したハイブリッド構成
Web会議やオンライン授業が普及し、音楽以外でイヤホンを使う方が増えました。
しかし「イヤホンとは音楽を聴くもの!音質以外何も求めない」という方も多くいると思います。
今回登場した『FoKus PRO』は、4つの主要オーディオアワードに入賞し、数々のミュージシャンが太鼓判を押す「FALCONシリーズ」を手がけるNoble Audioが、音質だけを求めて作った"音質最優先"の完全ワイヤレスイヤホン。
ちなみに、FALCONシリーズのフラグシップモデル「FALCON PRO」は、数々のイヤホンを試聴してきた筆者が「間違いなく現在でトップレベルの音質だ」と感じたイヤホンであり、その高音質に魅了されて愛用するスタッフも続出しました。
そんなFALCON PROから、さらに音質を追及したというFoKus PRO。
名前が変わっていることから、FALCONシリーズではなく新たなシリーズのファーストモデルとなるようです。
FALCONシリーズは「高音質な完全ワイヤレスイヤホン」ですが、FoKus PROは「カスタムIEMのワイヤレス化」をコンセプトに設計。
音質に影響が出るアクティブノイズキャンセリング(以下:ANC)や防水性能は大胆にカットし、従来のワイヤレスイヤホンではたどり着けなかった、立体感のある深い音を実現しました。
ドライバーユニットはFALCON PROと同じ、2BA+1DDのハイブリッド構成ですが、さらに大型化した8.2mm径ダイナミックドライバーを新採用して低域を増強。
FALCON PROはくもりのないスッと抜けていくような高域と音が細かく分離する様子に感動しましたが、これにさらに低域の厚みが出るとどうなるのか・・・。
早く試聴タイムといきたいですが、まずはFALCONシリーズから大きく変わった本体の外観から見ていきます!
外観と付属品
セット内容 | 本体、充電ケース、イヤーピース(ノーマル:S/M/L、ダブルフランジ:XS/S/M)、充電用USBケーブル(Type-Cケーブル)、ポーチ、ユーザーズガイド、クイックスタートガイド |
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重量(約) | 7g |
対応コーデック | SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive |
本体はカーブのある逆三角形型で、背面にはカスタムIEMのような耳穴にフィットするくぼみがあります。
質感はマットなFALCONシリーズから一変、ツルツルとした触り心地の光沢仕上げに。
ブルーの大理石調のフェイスプレートからは、宝石のような高級感があふれています。
ダイナミックドライバーを大型化した分、FALCON PROより少し大きくなりましたが、装着時の耳穴への収まりとホールド感がとてもよく、重さはあまり気になりません。
コーデックは引き続き、最適な音質と遅延を自動的に調整する「aptX Adaptive※」にも対応。
※「aptX Adaptive」はQualcomm製対応SoCを搭載したAndroidデバイスでご利用いただけます。
FoKus PROは先に海外で発売されていますが、日本で発売するものは、日本の複雑な電波環境に合わせてBluetoothの接続安定性を強めた日本向け特別仕様の『限定生産品』となります。
実際に混雑する駅や電車内で使っても音飛びがほとんどなく、安定して高音質を楽しめました。
シリコン製のイヤーピースは、一般的なホーン形状とカップが2層に重なったダブルフランジの2パターンが付属。
FoKus PROは、装着時のフィット感と耳穴の奥までしっかり届くノズルで遮音性は高めですが、ダブルフランジタイプを使うことでさらに遮音性が増します。
ANCがなくても屋外のザワザワした音や風切り音は聞こえにくくなり、音楽に集中できました。
ホーン形状は圧迫感が少なくより疲れにくいので、長時間音楽を聴きたいときにおすすめです。
ノズルの先端の口径部分は大きめで、音の広がりを感じやすくなっています。
本体で約7.5時間の連続再生、ケース充電は最大3〜4回可能
充電ケース重量(約) | 64g |
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充電時間(約) | 1.5時間 |
本体の連続再生時間(約) | 7.5時間連続再生(※音量50%時) |
充電ケース連続使用回数 | 3〜4回本体充電可 |
充電ケースは青と黒のツートンカラーと、手のひらに収まるコンパクトサイズはFALCONシリーズと変わりませんが、全面金属製になり高級感が大幅にアップ!
ノズルを収める場所は広く、大きめのフォームタイプのイヤーピースに付け替えてもしっかりフタが閉まります。
ケース内の中央にはFALCON PROで突如姿を見せた「リセットボタン」が引き続き配置。
個人的にこれはうれしいポイントでした!
端末を切り替える時や、接続が上手くいかない時のリセット操作が複雑な機種も多いので、物理的なボタンがあるのは本当に助かります。
連続再生時間は本体で約7.5時間、ケースで3〜4回(約22.5〜30時間)となかなかタフネス。
FALCONシリーズ同様「TrueWireless Mirroring※」に対応していて、遅延の少ない安定した接続性だけでなく、バッテリーの片減りも防止しています。
※ TrueWireless Mirroringとは:左右どちらかのイヤホンが端末とBluetooth接続し、もう片方がミラーリングして同時接続を実現する技術。
片方のイヤホンを外した時には素早く接続が切り替わり、途切れることなくそのまま音楽を楽しめる。
試聴してみた
装着感
筆者はノズルが耳穴の奥まで届いてしっかりフィットするタイプのイヤホンが好みで、その点でいえばFALCONシリーズはドンピシャだったのですが、FoKus PROの付け心地はまた全然違います。
付けている感覚はイヤモニとほとんど同じで、あまりの抜群のフィット感に「いつオーダーをお願いしたっけ」と思ったほど。
耳栓のように耳穴全体を覆うので遮音性もよく、ホールド感が高いので頭を激しく振ってもズレることはありません。
これまで膨大な耳型のデータを取ってきたであろうカスタムIEMメーカーの本気を、改めて実感しました。
ペアリング方法
イヤホンを充電ケースから取り出すと、本体にライトが点滅してペアリングモードになるので、スマホのBluetooth設定で「Noble FoKus PRO」を選んで接続します。
本体操作方法
音楽の再生/一時停止 | 右側または左側のボタンを1回タッチ |
ボリューム(+/-) | 左側のボタンを3回タッチ/左側のボタンを2回タッチ |
曲送り/曲戻し | 右側のボタンを2回タッチ/右側のボタンを3回タッチ |
フェイスプレートはタッチセンサーになっていて、音楽再生の操作ができます。
ANCと外音取り込み機能がない分タッチ操作は少なくてすぐに覚えられますが、よく使う操作は専用アプリで細かくカスタマイズしても良さそう。
筆者は音楽を聴きながらボリューム調整をすることが多く、操作の際に「ピッ」と鳴る音、なくてもいいのに・・・と思う派なので、アプリで操作音をオフにできるのは嬉しかったです。
タッチの反応はよく、軽いタッチで操作できてイヤホンがズレることはありませんが、1回タッチの操作は髪やマスクを触ったときに誤操作してしまうことが時々ありました。
ついに試聴タイムです!
まずは新たに採用したダイナミックドライバーの実力を確かめるべく、ベースやバスドラムが中心の重低音サウンドを聴いてみました。
スゴイ・・・キック音1つでも、他の完全ワイヤレスイヤホンとは音の厚みが違うのが分かる・・・!
FALCON PROも音の輪郭はハッキリしていましたが、FoKus PROは音の立体感と情報量が増してものスゴイ迫力!
特にベースソロでのその場の空気が震える感覚は、高級有線イヤホンやハイエンドスピーカーで味わう重低音そのものです。
他の曲を聴くと、低域の主張は確かに強いけど中高域が埋もれることは決してなく、クリアな音が遠くまでスッと伸びていきます。
FALCON PROで印象的だった高域のくもりのなさと解像度はそのままに、低域が増強したことで全体のバランスがさらによくなり、ワンランク上の音になっているように感じます。
ボーカルの声も艶やかで、派手なサウンドの曲でもささやき声までしっかり表現していました。
そして個人的に1番感動したのが、音量を少し大きめにしたとき。
一般的な完全ワイヤレスイヤホンだと音量を上げると、無理に低域を増強してこもり気味になっていたり、高域がキンキンするものが多く、聴いていて疲れやすいと感じてしまいます。
なので筆者は音量を上げて曲をじっくり楽しむ時は有線派だったのですが、FoKus PROの細かな音の輪郭と自然なサウンドは音量を上げても変わらず、いつまでも聴いていたいクリアな音を出し続けます。
「これは他のハイエンドの完全ワイヤレスイヤホンとあまり変わらないかな」と思った曲も、音量を上げることで音の情報量が全然違う!と驚くことが多かったので、1度は耳に負担にならない程度に音量を上げて聴いてみることをおすすめします。
FALCON PROで唯一気になっていたホワイトノイズはかなり軽減され、音を鳴らしていない状態でもほとんど聞こえなくなっています。
静かな曲や独唱もじっくり楽しめるようになり、有線イヤホンから切り替える方も違和感なく聴けると思います。
- bad guy / ビリー・アイリッシュ
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低域を聴きたい時に選ぶ、バスドラム等の重低音が中心の楽曲です。
曲開始時から他の完全ワイヤレスイヤホンとは一味違う厚みのある低音を感じやすく、重みのある演奏なのにボーカルの声は息遣いまでしっかり聴こえます。
最後にテンポがゆっくりになる箇所も走りすぎている感じはなく、曲の良さをそのまま表現できていました。
- 怪物 / YOASOBI
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楽器が複雑に重なる箇所が多く、使うイヤホンによっては音のくもりが分かりやすい曲ですが、FoKus PROの音は1つ1つの楽器の音を追いかけられるくらい分離していて、変わり続けるテンポも自然に表現しています。
またサウンドが目立ちがちになりやすくドンシャリ気味に鳴らすイヤホンも多い中、どの帯域もバランスよく鳴っていて、疲れにくく聴きやすい音になっていると感じました。
聴力測定機能とイコライザー搭載の専用アプリ
専用アプリではイコライザーの設定のほかに周波数テストがあり、結果に基づいた最適なサウンドを楽しむことができます。
イコライザーのパーソナルモードから聴力検査のようなテストを受けると、自動で個人にあったイコライザーが作成されて保存されます。
筆者の場合は切り替えた瞬間から中音域がグワッと前に出てきて、音の迫力がさらに増しました。
プリセットに用意されているものも試しましたが、最終的にはどのジャンルの曲も周波数テストで作ったものが1番聴きやすく感じました。
イコライザーは自由にカスタムもできるので、曲にピッタリな音をじっくり探すのも楽しそうです。
まとめ
2021年は、ANCをはじめ機能性が高く「便利な完全ワイヤレスイヤホン」が多かった印象ですが、まさか最後の最後にここまで音質に特化したモデルが出てくるとは思いませんでした。
『FoKus PRO』はANCや外音取り込み機能、防水性能までもありませんが、1曲聴けばすべてをカットした理由が分かる、圧倒的な高音質を持っています。
音量を上げても音が崩れずホワイトノイズがないことからも「充電式の高級カスタムIEM」という印象で、一般的な完全ワイヤレスイヤホンとは別次元だと感じました。
イヤホンは音質にこだわりたい方やFALCONシリーズファンの方はもちろん、これまで音質面でワイヤレスイヤホンを視野に入れていなかった方も、ぜひ1度チェックしてみてほしいです。 2021.12.21 (もあ)