2022.04.27
Joshin 試用レポート
本格動画を撮るならコレ! LUMIX GH6ならプロフェッショナル映像の撮影が出来る!
パナソニック ミラーレス一眼カメラ LUMIX DC-GH6 DC-GH6L
パナソニックのマイクロフォーサーズ「G」シリーズに、待望の『GH6』が登場!
GH6は機動性と革新的な映像表現を両立し、今までのLUMIXの常識を覆すプロフェッショナルな動画性能を実現しました。
前モデルの「GH5」はサイズ感やクオリティの高い映像で、映像クリエイターやYouTuberがよく使用する代表的なカメラになりましたが、GH6は確実にその位置を塗り替えるカメラになりそうです。
今回は、進化した動画性能を中心に試用レポートをお届けします。 ライター:すいか
外観
外形寸法:約 | 幅138.4×高さ100.3×奥行99.6mm(突起部を除く) |
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重量:約 | 823g(本体、バッテリー、メモリーカード含む) |
手に持った瞬間、ズシッと重さが伝わります。
嫌な感じではなく、これから撮影するんだと気合が入る感じです。
GH6は、前モデルGH5に比べサイズと重量が変わりました。
幅や高さはほぼ同じですが、背面に吸排気ファンとチルトフリーアングルモニターが搭載されたため奥行きは1.2cm程増え、重量も98g増加しています。
重くはなりましたが、重量バランスは良いので安定して扱う事が出来ます。
グリップは握りやすく、ファインダーを覗くと気分はすっかり撮影モードです。
筆者は撮影前に必ず、機材の各ボタンを触り動作チェックを行います。
最初にWB(ホワイトバランス)とISOを確認。
GH6は上部に新しく搭載されたオーディオ情報表示ボタンで録音レベルも確認できます。
AFモードを確認し、AFONボタンでAFが正しく動くかチェック。
ボタンの配置が考えられていて、とても押しやすいです。
操作方法の変更点として、特に良く利用するWB/ISO/露出補正のボタンは「押している間」と「押した後」(従来の操作方法)のどちらでも設定変更が可能になりました。
複数のカメラを持っている人は慣れている方法に変更出来るのが良いですね。
豊富な端子類
主な端子は、本体の正面から見て右側にまとめて配置されています。
上から、マイク端子/ヘッドホン端子。
マイク端子はライン出力可能な外部音声機器からのライン入力にも対応しました。
充電端子はUSB Power Delivery対応になりとても便利になりました。
今まで長時間撮影する場合は「DCカプラー」を利用していましたが、コンセントが必要なため、近くに無い場合は苦労しました。
GH6では、PD対応のモバイルバッテリーが使えるようになり、外でも長時間撮影ができます。
HDMI端子スペースの都合上Type D端子を搭載しているカメラが多いのですが、GH6は汎用性・耐久性ともに優れたType A端子を採用。
ビデオスイッチャーやレコーダー、モニター等、HDMI端子のある様々な機器と汎用のHDMIケーブル1本で接続できます。
記録メディアスロット
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GH6はCFexpress Type BカードとSDカードのダブルスロットを搭載しています。
正直なところ、最初はなぜ同じメディアのダブルスロットでは無いのか困惑しました。
しかし、実際に利用してみるとGH6のポテンシャルに合った選択なのだと気づかされます。
CFexpress Type Bカードを利用する事で、今まで外部レコーダーで録画していたProRes 422 HQやCinema4K 60p ALL-Iなどの高ビットレート動画がGH6本体だけで撮影が出来ます。
高ビットレート対応のCFexpress Type Bカードと汎用性の高いSDカードが両方使える、非常に良い組み合わせです。
3.0型184万ドット チルトフリーアングルモニター
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可動式モニターと言えばバリアングルモニターとチルトモニターが有名です。
モニターの角度を上下に可動する時は、光軸と同じ位置で変更できるチルトモニターが使い勝手がよく、自撮りする際はレンズ側にモニターが向けられるバリアングルモニターが使いやすい。
けど、チルトモニターは三脚プレートと干渉してプレートが着けられないし、バリアングルモニターは端子から出るケーブルに干渉するし…と、どちらにも良い所と悪いところがありました。
GH6は、そんな悩みを解決してくれる、視認性や色再現性にも優れ、明るい撮影現場でも確認しやすい「チルトフリーアングルモニター」を搭載しました。
ケーブル類を取り付けても干渉しにくく、フリーアングル撮影が可能です。
GH5、GH5M2と性能比較
GH6 | GH5 | GH5M2 | ||
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外形寸法 (約)幅×高さ×奥行mm(突起部を除く) |
138.4×100.3×99.6mm |
138.5×98.1×87.4mm | 138.5×98.1×87.4mm | |
重量(本体、バッテリー、メモリーカード含む) | 約823g | 約725g | 約727g | |
カメラ有効画素数 | 2521万画素 | 2033万画素 | ||
撮像センサー | 4/3型Live MOS センサー | |||
ボディ内手ぶれ補正 | 5軸、Dual I.S.2 超高精度ジャイロセンサー (新デバイス)を搭載 |
5軸、Dual I.S.2 | ||
モニター | 3.0型約184万ドットモニター タッチパネル チルトフリーアングル |
3.2型約162万ドットモニター タッチパネル フリーアングル |
3.0型約184万ドットモニター タッチパネル フリーアングル |
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記録メディア | ・ダブルスロット スロット1.CFexpressカード Type B スロット2.SDカード (UHS-U対応) |
・ダブルスロット スロット1.SDカード スロット2.SDカード (スロット1,2ともにUHS-U対応) |
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ISO感度(※拡張ISO設定時) | 100〜25600 ※L.50-25600 |
200〜25600 ※L.100-25600 |
200〜25600 ※L.100-25600 |
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4K動画撮影 | C4K/120p,4K/120p | 4K/60p | C4K/60p | |
動画フォーマット | MP4 MOV ProRes |
MP4 AVCHD AVCHD Progressive MOV |
MP4 MOV |
|
USB | USB 3.2 GEN2 (SUPER SPEED) |
USB 3.1 GEN1 (SUPER SPEED) |
USB 3.1 GEN1 (SUPER SPEED) |
主な性能
高解像性能と高速性能を両立させた新開発Live MOSセンサー/新世代ヴィーナスエンジン
新開発のセンサーの有効画素数は2521万画素、ローパスフィルターレス設計で解像感も高く、なめらかで階調豊かな映像が撮影できます。
画像処理エンジンは、処理能力がフルサイズミラーレス一眼DC-S1Hと比較して約2倍に向上した新世代のヴィーナスエンジンを採用。
処理能力の高速化とAFアルゴリズムの改善により、オートフォーカスの精度も改善しました。
LUMIXはAFが少し弱いという声もありましたが、確実に進化しています。
5軸7.5段B.I.S/Dual.I.S.2
手振れ補正が進化しました。
"超"高精細ジャイロセンサーを採用し、そのジャイロセンサーの性能を活かす新アルゴリズムを設計。
7.5段の補正能力で撮影時に手振れを防ぎます。
動画撮影時に強力な手振れ補正がかかる場合、すこし違和感のある映像になる事がありますが、GH6の手振れ補正は動画撮影時も自然で滑らかな補正を実現しています。
動画用のカメラによってはジンバル使用を前提に、手振れ補正が搭載されていない機種もありますが、ジンバルを付けると気軽な撮影が難しくなります。
GH6のように本体に高性能な手振れ補正機能が搭載されている方が、いつでも手持ちで撮影出来て便利ですよ。
内蔵マイク・外部マイク24bit音声記録/4ch音声収録
非常に良い音で記録できるようになりました。
24bitになったことで、ノイズが目立たなくなり解像感もアップ。
さらに、4chで音声収録が可能になりました。
人物の声をXLRマイクで収録(2ch)、同時に環境音を本体内蔵/外部のマイクで収録(2ch)など、4ch収録は収録の幅が広がります。
前モデルGH5ではXLRマイクが24bit、カメラ側マイクが16bitで収録後の音声品質の差が大きくありましたが、GH6では24bit収録によりXLRマイクとの品質差が低減されています。
多彩な記録モード
記録モードが一新されました。
GH6は、5.7K60p/C4K120p/Apple ProResなど今までのGHシリーズに無かった多くの記録モードで収録が可能になりました。
記録モードのビットレートも大幅に向上し、ほとんどのモードでセンサークロップレス、色深度10bitでより高画質な映像が得られます。
中でも、C4K60p 4:2:2 10bitでの撮影は、なんと時間無制限で記録が可能。
グレーディング耐性に優れた、4:2:2 10bitの無制限撮影は、長時間の撮影が見込まれる現場でGH6が常用できる証です。
ダイナミックレンジブースト
ダイナミックレンジ(単位 Stop/段)とは、1回の露光時に撮影できる明るさの"幅"の事です。
撮影では、光を取り込みすぎて写真が白くなったり(白トビ)、光が足りないと塗りつぶされたように黒潰れすることがあります。
これはカメラが捉えられる光の量を「オーバーした」/「足りなかった」という事なのですが、この「オーバー」から「足りない」状態までの明るさの"幅"(ダイナミックレンジ)が広ければ、それだけ多くの色が残せる、という事になります。
ダイナミックレンジが広いカメラで撮影すると、屋内で窓から太陽光が差し込んでくるような明暗差の大きなシーンでも白トビや黒つぶれを抑えた階調の広い映像が撮影出来ます。
GH6のダイナミックレンジは通常時12+ stops、そして新たに搭載されたダイナミックレンジブースト※を利用すると13+ Stopsになります。
同社が発売しているフルサイズイメージセンサーカメラのダイナミックレンジは14+Stopsなので、マイクロフォーサーズセンサーとしては驚きの性能です。
※ ダイナミックレンジブースト機能は、クリエイティブ動画モード時、60fps以下の動画撮影時、ISO800-12800(V-LogおよびHLG時はISO2000-12800)において使用可能。
ダイナミックレンジブーストとは、1回の露光時に「低ISO回路」から生成する飽和優先の画像と、「高ISO回路」から生成する低ノイズ優先の画像の2つを
1画素ごとに光量に応じた合成比で合成することにより、低ノイズと高飽和の特性を持った階調豊かでなめらかなHDR映像を実現する機能です。
説明を読んでも難しい機能ですが、色とノイズの"いいとこ取り"です。
ただし、注意書きにもあるようにV-LogおよびHLG時はISO2000-12800となりますので日中の撮影時は強力なNDフィルターが必要になります。
ファームウェアアップデートによる性能向上
発売後もファームウェアアップデートによる性能向上が予定されています。
動画RAWデータ出力、AppleProRes対応の拡充、HDMI出力の向上、USB SSD記録対応
どの項目も驚きの機能です。
現状でもモンスター級の性能を持つカメラがさらに進化を控えているとは…
今後もこのカメラは目が離せません!
作例 写真
動画機能が大きく変化したGH6ですが、静止画もしっかりと進化しています。
解像感と立体感が新インテリジェントディテール機能で改善。
ノイズ対策は、新2Dノイズリダクションに進化し高感度でも自然な立体感のある描写が得られます。
撮影時フォトスタイルを『シネライクD2/V2』に設定するだけで、簡単に映画のような雰囲気の写真を撮影する事も出来ます。
LUMIXシリーズはフォトスタイル機能が非常に良く出来ており、設定を選ぶだけでスグに"映える"キレイな写真が撮れるのが魅力です。
作例 動画
Vlogを撮影してみた
GH6を使い『Vlog』を撮影してみました。
パナソニックはLog撮影の名前が[V-Log]なので少しややこしいのですが…
今回撮影した『Vlog』とは、Video blogの略です。
WEBで日記などを書く、ブログの動画版です。
日常風景を動画で撮影する事で、移り変わる四季やその日にあった出来事などが記録できます。
撮影した動画を動画共有サイトにアップする事で、遠方にお住いのご家族など、普段なかなか合うことが出来ない人たちに近況を見てもらう事も出来ます。
GH6でVlogを撮影するメリットは、クオリティの高い4K動画が気軽に撮影出来る所です。
日々の撮影で様々な内蔵コーデックを試すのも楽しいと思います。
手振れ補正も内蔵されていますので街歩き撮影にも向いています。
この動画の撮影フォーマットはC4K24p ALL-I 4:2:2 10bit V-logで記録しました。
撮影した映像は、解像感やコントラスト、描写が非常に良く編集がとても楽しめました。
Log撮影とカラーグレーディング
初心者にはつまづきやすい"Log撮影"ですが、実際にLog撮影された映像はどのような感じなのか?
カラーグレーディングを行うと映像はどう変化するのか?を動画にしてみました。
動画の左側がLog撮影された動画、右側がグレーディング後の動画です。
左側の動画を見て、「色が薄い?コントラストも低い?」と思われる方も多いと思います。
実は、色が薄くコントラストも低い映像がlog撮影の特徴になります。
理由は、動画を記録メディアに保存する時の容量を減らしつつ、ダイナミックレンジや諧調データをより多く残すために映像を上手に圧縮しているからです。
右側の動画は、log撮影された映像をカラー映像の規格(Rec.709)に変換後、細かい彩色やコントラスト、シャープネスを調整しています。
カラーグレーディングを極めると、映画のような映像表現が楽しめます!
4K120pでの撮影とスローモーション
GH6は4Kの精細な映像で、フレームレートが"120p"の映像が収録できます。
"120p"はスローモーションにすると、※1最大5倍の映像になります。
一部、撮影時に※2機能制限はありますが、ぜひ使ってみてください。
高精細な4K画質で5倍のスローモーション映像は魅力的です。
※1.ベースフレームレート"24p"の場合 ※2.@顔・瞳・人体認識AFがOFF、AHDMI出力が60p、Bダイナミックレンジブースト不可
ワンランク上の撮影を目指すなら…
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外部レコーダーの利用がおすすめ
動画撮影時にワンランク上の映像を記録するために、外部レコーダーを利用して撮影される方が増えてきています。
今回は、GH6にATOMOS社のNINJA Vを装着し撮影してみました。
NINJA Vは中間コーデック(編集がしやすく、低圧縮のコーデック)であるApple ProRes規格の映像を大容量SSDに収録が可能です。
ProRes規格のデータは高ビットレート、高データサイズですが抜群の画像品質を得られます。
大きなディスプレイで映像の確認が行いやすく、NINJA Vにはピントを分かりやすく色付けする機能や露出を適正に合わせるためのグラフを表示する機能も搭載されていますので撮影時に役に立ちます。
撮影した映像を編集してみましたが、データサイズは大きかったですがPCの負担は軽く、編集が非常に行いやすかったです。
※ProResフォーマットで動画編集を行うには高性能PCが必要です。
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使いやすい三脚を用意する
今回GH6+NINJA Vでの撮影に利用した三脚は…
機動力があるカメラと相性がよく、持ち運べ安定してるマンフロット befree GT XPRO アルミニウムT三脚キットです。
この三脚は、EASY LINKと呼ばれる3/8インチのねじ穴を搭載し、マイクロフリクションアームキットを取り付けて外部レコーダーを簡単に接続する事が出来ます。
今回取り付けた小型フルードビデオ雲台(小型フルードビデオ雲台40mmフラットベース)は耐荷重4kgまで、三脚自体は耐荷重10kgまで対応していますので小型システムに最適です。
高さはセンターポールを伸ばした状態で164cm、持ち運びの際は折りたたんだ状態でなんと43cm!このサイズならいつでも持ち運べます。
GH6とあわせてオススメです!
まとめ
プロフェッショナルユースや映像クリエイター向けのGH6ですが、これから本格的な動画撮影に挑戦してみようと思っている初心者の方にも非常にオススメのカメラです。
プロフェッショナル向けの機能が多く、「このカメラは難しいな」と感じてしまうかもしれません。
しかし、GH6は映像制作に必要な機能がほぼ全て搭載されています。
初めは使いこなせなくても、少しずつ勉強しステップアップする時に性能で答えてくれる頼もしいカメラなのです。
2022.04.27 (すいか)