2021.10.22
Joshin 試用レポート
焦点距離は40mm相当!さらに表現の幅が広がったリコー「GR IIIx」でスナップ撮影。
リコー デジタルカメラ GR IIIx
撮りたい時にすぐ撮れる、常にシャッターチャンスを狙うスナップ写真愛好家から人気の、リコーのデジタルカメラ「GRシリーズ」に新モデル『GR IIIx』が登場しました。
外観、操作性は「GR III」をベースに、シリーズで初めて焦点距離40mm相当のGRレンズを採用した"GRシリーズといえば28mm画角"のイメージを覆す挑戦的なモデルです。
画角を変えることで、スナップやポートレート撮影の表現領域はさらに拡大!
また専用のテレコンバージョンレンズをつけてクロップを使う事で、最大107mm相当の焦点距離で撮影できるようになりました。
焦点距離を変えることでさらに進化した「最強のスナップシューター」の実力をみていきましょう!
ライター:もあ
画質・携帯性・速写性がさらに進化した「GR IIIx」
フィルムカメラ「GR1」の発売以降20年以上に渡り、常に持ち歩いて瞬時に取り出して気軽に高画質で撮影できる「最強のスナップシューター」を追求し続けてきた「GRシリーズ」。
2019年に発売された「GR III」は、ポケットに入るコンパクトサイズと単焦点レンズのみのシンプルな操作性で、気軽に撮影できるカメラとして人気を集めました。
今回新たに登場した『GR IIIx』は、GR IIIのコンパクトさと操作性を受け継ぎ、焦点距離35ミリ判換算で40mm相当のレンズを搭載したモデル。
GRシリーズはこれまでほとんどの機種に焦点距離28mmの単焦点レンズを採用していて「GRシリーズ=28mm」は定番、もはや代名詞にもなっていたので、40mmを取り入れたと聞いて驚いた方も多いと思いのではないでしょうか。
GR IIIをベースにすることで、画質・携帯性・速写性というGRシリーズらしさはそのままに、画角を変えてさらに撮影の幅を広げたGR IIIx。
外観はGR IIIとほとんど同じですが描写領域が被らないので、シリーズ愛好者は2台で画角を使い分けられ、28mmは撮影スタイルに合わないと思っていた方も使いやすくなりました。
セット内容:本体、充電式バッテリー(DB-110)、USB電源アダプター、電源プラグ、USBケーブル(I-USB166)、ハンドストラップ
常に持ち歩きできるよう、ボディ素材には軽量かつ本体が変形しにくいマグネシム合金を使用。
GR IIIで初めて搭載された背面モニターのタッチパネルも引継ぎ、素早く思い通りの位置にピントを合わせられます。
後で詳しく見比べますが、本体のサイズや質量はGR IIIとほとんど同じで、片手で軽々持てます。
グリップに厚みがあり、カメラを構えた時に手に馴染む感覚が特に気に入りました!
しっかりとホールドできて手が滑って落としそうになることがないので、安心して持ち歩きできます。
焦点距離40mm相当の新たなGRレンズの魅力
GR IIIxの1番の特徴である、新しくなったGRレンズ。
GR IIIと同じ有効画素数約2424万画素のAPS-Cサイズセンサーですが、焦点距離が変わったことでモニターから見える風景は全く別物です。
シリーズ愛好者は「GRなのにGRじゃないみたいだ」という不思議な感覚になり、慣れるまでは2、3歩下がって撮影することになるかもしれません。
40mmの焦点距離は、定番の35mmよりも少し狭く、50mmよりも広く映り、被写体との距離をとりつつ背景を整理した構図が撮りやすく、ポートレート撮影に特に向いています。
28mmと比べると被写界深度が浅くなるので、近距離で撮影すれば背景のボケを活かした写真も撮れました。
クロップモードを使うと焦点距離は50mm、71mm相当まで近づけます。
GR IIIと併用すると広角から中望遠域をカバーできて、見たそのままの風景や被写体を切り取ったポートレートなど、撮影の幅が大きく広がりますよ!
マクロモードで接写を楽しむ
本体の右側にある十字ボタンの上を押すとマクロモードになり、レンズ先端から12〜24cmの接写ができます。
レンズ交換なしでボタン1つで切り替えできるのはとてもスムーズ!
GR IIIが最短6cmだったので少し距離はできましたが、ピントを合わせた場所以外がキレイにボケて印象的な写真が撮れました。
外観と操作性をチェック
GR IIIx | GR III | |
---|---|---|
寸法(幅×高さ×奥行き) | 約109.4×61.9×35.2mm | 約109.4×61.9×33.2mm |
質量(本体のみ) | 約232g | 約227g |
レンズ構成 | 5群7枚(非球面レンズ2枚) | 4群6枚(非球面レンズ2枚) |
焦点距離 | F値:26.1mm (35ミリ判換算で約40mm相当)、F2.8〜F16 | F値:18.3mm (35ミリ判換算で約28mm相当)、F2.8〜F16 |
クロップモード | 40mm/50mm/71mm | 28mm/35mm/50mm |
マクロモード撮影距離範囲 | レンズ先端から12〜24cm | レンズ先端から6〜12cm |
GR IIIと外観を比較しましたが、見た目に違いはほとんどありません。
強いていえば少し厚みが出て、レンズが気持ち高くなったかな・・・?というくらい。
重さは5gプラスされましたが、実際に持つと違いは分かりませんでした。
ちなみに、最近発売された「iPhone 13 Pro Max」の238gよりも軽いです。
これから寒くなって上着を着るようになれば、常にポケットに入れておけそう。
どちらも軽量なので2つともカバンに入れても重さやかさばりは気になりませんが、外観があまりにも似すぎていて、サッと取り出した時に「こっちの画角じゃない!」となることは多かったです。
画角を使い分けるため2機種を併用する方は、色の違うストラップなどを付ける事をオススメします。
GR III同様USB Type-C充電に対応し、モバイルバッテリーでの給電も可能。
1日ずっと持ち歩いて撮影するとバッテリーが1/3になってしまい、いつ充電が切れるかハラハラしたので、モバイルバッテリーで充電できるのは有難いです。
側面にある動画/無線ボタンは、撮影中に押すと動画モードになり、撮影画像の再生中に押すと専用アプリ「Image Sync」に撮影データが転送されます。
アプリは最新のアップデートで、データの転送時に自動的に画像をリサイズできるようになり、スマホがスリープ状態でもカメラへ位置情報を送信できるようになったようです。
撮影してすぐにSNSでシェアするためにも、アプリはダウンロードしておきましょう。
ちなみに、動画/無線ボタンはFnボタンと同じく他の操作に切り替えできます。
筆者は動画はあまり撮らないので、Fnボタンをクロップ、動画/無線ボタンはイメージコントロールに振り分けて使っていました。
メニュー画面を開かなくてもすぐに操作できて、さらにスピーディーな撮影ができますよ!
ミニファインダーとテレコンバージョンレンズを装着
GR IIIx専用のアクセサリー「ミニファインダー」と「テレコンバージョンレンズ」も使ってみました。
ホットシューとレンズ周りの大きさはGR IIIと似ていますが、外部アクセサリーはそれぞれ専用のもので、併用できません。
ミニファインダーは視野率約85%の光学ファインダーで、覗くと40mm画角のフレームがあります。
筆者は普段は一眼カメラを使っていて、ミラーレスカメラやコンデジで撮影すると無性にファインダーを覗きたくなるので、基本装着して撮影していました。
GR IIIx用に作られているだけあって前後に飛び出さず、小型な本体にマッチしていて見た目もカッコイイです!
テレコンバージョンレンズを付けると通常時で75mm相当、クロップを1段上げると最大107mm相当の焦点距離で撮影できます。
一般的な望遠レンズとは違い自分で自由にズームをすることはできませんが、さらに撮影の幅を広げて遠くの被写体も狙いたい方は必須です。
イメージコントロールで画作りを楽しむ
GRシリーズはデフォルトで撮っても深みのあるシャープな色合いになるイメージですが、それをさらに引き立たせるのが11種類の「イメージコントロール」。
今回はあまり触りませんでしたが、それぞれのテーマをベースに、さらに彩度やコントラストを細かく調整して思い通りの色を作ることもできます。
特に魅力的なのが4種類のモノトーンで、ナチュラルなものからパキッとした力強いコントラストまで、印象的なモノクロのスナップが撮影できます。
これまでもモノクロ撮影はしてきたけれど「シーンによってモノクロを使い分ける」ことはあまりしなかったかもしれない。モノクロも奥が深いなあ・・・。
焦点距離が長くなったことで被写界深度は浅くなり、ボケ感を上手く出せるけれど、全体にピントが合ったシャープな写真も撮りたい。
そんな時は、プログラムラインに新しく追加された機能「深度優先(深い)」を使いましょう!
絞りを絞った状態を優先するモードで、ピントを気にせず気軽に撮影できますよ。
作例
まとめ
カメラのズーム機能に慣れているので、GR IIIxを触ってすぐに「自由にズームができない難しさ」に直面しましたが、被写体を見つけた時にどのように切り取ろうか考えずに、見たままの風景を素直に撮影できる楽しさにどんどんハマっていきました。
常に手に持って歩いてすぐに構えて撮影する、とてもシンプルな動作ですが出来上がる写真は深みのある良い色で、次々と写真を撮りたくなるカメラです。
個人的に被写体を中心に背景はスッキリしている方が好みなので、焦点距離が40mm相当になったGR IIIxは使いやすかったです。
さらに撮影の表現領域を広げたいGRシリーズ愛好者や、普段一眼レフなどを使っていて28mm画角は難しそうと感じていた方は、ぜひチェックしてみてください! 2021.10.22 (もあ)