一般的な国産壁紙の多くは『ビニールクロス』と言われるもので、表面の素材が「塩化ビニール」で、裏面が「紙」でできています。
また、ロール巾が約90cm程度で、壁紙の両サイドに「ミミ」という印刷されていない部分があるのが特徴です。
今回ご紹介する施工方法では、この「ミミ」をカットして施工します。
従来は、裏の素材が「紙」の国産壁紙は、水分の含み>乾燥によって伸び縮みが大きいため、下地にしっかりと接着する「でんぷん系の糊」で施工するのが一般的でした。
この糊は接着強度が強く、しっかりと施工する事ができるのですが、きれいに剥がすことが困難でした。
今回は、今まで素材の収縮が少ないフリース素材の壁紙でしかオススメしていなかった、水で溶けやすく、剥がしやすい糊【スーパーフレスコイージー】を使って既存のビニールクロスの上から貼ることで、賃貸住宅でも貼って剥がしやすい施工が国産壁紙でも可能ではないかと検証してみました。
その結果、剥がす際に裏紙が下地に残りますが、水で湿らせる事で再度糊が柔らかくなり、きれいに紙を取り除き、拭き取る事ができました。
やわらかくなったのりで壁がぬるぬるしますので、しっかりと水拭きしてふき取ってください。
ただ、下地によっては、接着しにくかったり、剥がれやすい場合もあるかと思いますので、目立たないところで少し試してから施工してください。
また、この糊【スーパーフレスコイージー】は糊が乾く前の接着力が弱いため、天井や梁下など、剥がれる方向に重力がかかる場所への施工はより難易度が高くなるのでオススメできません。
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スイッチプレートなどの障害物は、外せるものは外しておきましょう。
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まずは 壁面を綺麗に拭き掃除します。
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フレスコのりを作ります。バケットの中に、必要な分量の水を入れ、粉末を静かに沈めてから混ぜます。
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かき混ぜて、でんぷんのりのようになればOK。
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貼り始め(壁の端)から90cmのところにマスキングテープなどでしるしをつけます。
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その印から、ひもに5円玉を結んだものを垂らして垂直を出し、マスキングテープなどで基準線を引きます。
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天井の高さ+10cmの長さに1枚目の壁紙をカットします。
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国産壁紙の両端には「ミミ」と呼ばれる余分があります。
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両端のミミを、定規をあててまっすぐカットします。
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壁紙の裏にのりを塗ります。のりはたっぷり塗ることがポイントです。
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指でなぞった時に模様がつくぐらいたっぷり塗ります。
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のり面同士を合わせるように、じゃばら状に優しくたたみ5分程度オープンタイムをとります。
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上下に5cm程度の余分をつくり、貼り付けます。
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壁紙の左端を基準線に合わせて貼ります。
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左端が貼れたら「なでバケ」を使って図の順番に空気を抜いて全体に貼りつけます。
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まずは右の余分に折り目をつけます。
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つぎに、右の余分を折り曲げた上から、二つ折りで上下の余分に折り目を付けます。
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角に地ベラをしっかりあてて、2枚重ねで上下の余分をカット。
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次に右端の縦の余分も同様にカットします。
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端からめくれてきやすいので、端をめくって刷毛で再びたっぷりとのりを足しておきます。
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貼れたら、床や天井についたのりをスポンジで拭き取ります。
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2枚目から柄合わせが必要なので、柄のリピートを確認しながら必要な長さにカットします。
(無地の場合は1枚目と同じでOK) -
両ミミをカットした壁紙の裏に、のりをたっぷり塗ったら、柄をあわせて2枚目を貼りつけます。
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のりがしっかり塗れていれば、貼り付けてからある程度ずらす事ができるので、微調節が可能です。
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貼れたら、端と継ぎ目にたっぷり糊を足してください。
壁紙の種類によっては、フレスコ糊では重ね部分がうまく接着しない場合があります。その場合は、下地にはつけないように注意し、ボンドなどで貼ってください。
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ジョイントローラーで継ぎ目を圧着します。
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継ぎ目からのりが出てきた場合は絞ったスポンジで拭き取りましょう。
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糊を塗る→貼るを繰り返して2枚目以降を貼っていき、ついに最後の1枚です。
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残りの壁のヨコ巾を測ります。
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最後の一枚を、壁の巾+10cmのヨコ巾にカットし、右側のミミをまっすぐカットします。
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ジョイント部分の柄を合わせ、上下と左端に余分を残して貼りつけます。
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まずは左の余分に折り目をつけます。
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つぎに、左の余分を折り曲げた上から、二つ折りで上下の余分に折り目を付けます。
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角に地ベラをしっかりあてて、2枚重ねで上下の余分をカット。
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左の縦の余分も同様にカットします。
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最後も忘れず端にのりをたっぷり足しましょう。
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スイッチプレートカバーは外しておきましょう。
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コンセントの上から壁紙を貼り、手触りでコンセントの場所を確認します。
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壁にキズを付けないように、コンセントの中央あたりに切込みを入れます。
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コンセントの位置を確認しながら、コンセント部分の壁紙を切り取ります。
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コンセント部分をきれいに切り抜けました。
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カバーをもとに戻します。
壁紙の継ぎ目(ジョイント)を2枚重ねてカットすることで、
ジョイント部分の段差がなくなり、ジョイントが目立たずきれいに仕上がります。
賃貸の場合は、ジョイントをカットするときに下地の壁紙まで切ってしまわないように
ジョイント下敷きを使いましょう。
壁紙の種類によっては、ジョイント部分がすいてくる(目すき)場合があります。
ジョイントをカットした後に、和紙テープを入れると目すきを軽減できます。
目すきが目立つ場合は、ジョイント部分は重ね貼りをおすすめします。
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下敷きをハサミで使いやすい長さにカットしておきます。
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1枚目の壁紙を貼ります。
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2枚目の壁紙を貼ります。ミミのカットは必要ありません。
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壁紙の端をパラパラめくり柄が合っているか確認します。
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上の壁紙の端をめくります。
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1枚目と2枚目のジョイントの中央あたりにジョイント下敷きを置きます。
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反対側の壁紙もめくって下敷きを壁紙の下に入れます。
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ジョイント下敷きがずれないように壁紙をもとに戻します。
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上からなでバケで押さえジョイント部分をしっかりと貼り付けます。
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ジョイント部分の真ん中あたりを、2枚一気に切ります。切りなおすとジョイントがきれいに仕上がらないのでできるだけ一気に切ってください。
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余分な壁紙を取り除きます。
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ジョイント下敷きも外します。
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つなぎ目にのりをたっぷり足しておきましょう。
この時に和紙テープを入れると、目すきを軽減できます。 -
なでバケで空気を抜いて貼り付けます。
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ジョイントローラーをかけてしっかりと圧着します。
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はみ出たのりをきれいにふき取っておきます。
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壁紙の端や 継ぎ目から、下地を傷めないようにゆっくり剥がします。
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残った裏紙に、たっぷり水を塗布します。霧吹きでも良いですが、ローラーがあると早くて楽です。
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しばらくすると、裏紙がふやけて浮いてきます。
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水が乾かないうちにめくります。
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糊が残ってぬるぬるしますので、スポンジ等でしっかりと拭き掃除をして下さい。