吾輩は猫である。名前はニャー・M・ジロウ。主人はにゃーさん、にゃんちこ先生、ニャン吉先生と様々な名で呼んでくる。ある意味名前はまだないのかもしれない。
どこで生まれたかとんと見当は…つくので割愛させていただく。
ところでこの主人、やたらめったら模様替えをする。
季節の移り変わりと共に、そこにあった家具があっちへと、そっちへと、壁たる色もよく変わる。なんだか落ち着きのない人間のようだ。
吾輩にとっては2回目の冬が過ぎ、日向ぼっこに最適な季節がやってきた。ともすれば、またまたなにやらゴソゴソと主人が動き出した。
(シャキーンッ)
白から青へ、青から灰色へ変わったかと思えば再び白くなった壁が、今度は森のような深い緑色になるようだ。…吾輩、暗い色は気が落ち着くので嫌いではない。
気がつけば我が城(キャットタワーと呼ばれている)が動かされていた。大きな家具も部屋の中央に集結している。…隠れる場所が多いのは良い。
日々人間の言葉を聞き、多くを理解できるようになった。なにやら今回は「はがせる粉のり」で「輸入壁紙」を貼るそうだ。
主人は壁になにやら透明のとろろのようなものを塗っている。これがはがせる粉のりらしい。ニオイは特にないようだ。
ちょっと味を見てやろうとしたら怒られた。解せぬ。
主人が狭い隙間に吸い込まれていったので、様子を伺ってやった。そこは吾輩が入るべきではないのか?と、訴えたが聞き入れてもらえなかった。人間というものは、なんと自分勝手な生き物か。
のりを塗ったかと思えばすぐになにやら貼っている。
これが輸入壁紙だろう。幅は吾輩の体長と同じくらいだろうか。
端や継ぎ目は刷毛でしっかりとのりを塗る、鉄則だ。(あくび失礼)
2枚目を貼ったところで、『すけっと』と交代したようだ。名はクワさんと呼ばれている。
はて主人は…
何やら反対の壁に霧吹きをかけている。何をしているのだろう?水はあまり好きではないので、やめて頂きたい。
反対の壁も森のような緑色だった。いつだったか吾輩、角の辺りを少々喰んでしまったことがある。
ビリビリと小気味良い音を立てるのでそのまま戯れてやったらなぜか怒られたのだ。
主人もビリビリと壁紙をめくって、同じことをしているのに!あまつさえ水を掛けているのに!誰にも怒られていない…!吾輩、怒られ損ではないか?
ひとまず水が嫌なのでここは『すけっとクワさん』を見守ることにする。
慣れたものだ。どんどん壁が変わっていくぞ。
角もサササっと…
おや…クワさんの動きが止まった。梁の角部分の仕上がりが少し気に食わないようだ。
・・・。
大丈夫だったようだ。最後の窓まで貼りきり、完成の声があがった!
向かいの壁を作業していた主人が戻ってきたぞ。
なにやらセッティングを始めている…終わりも近しい感じだ。
数分後…
吾輩の部屋、やっと完成ー!
照明がしばし反射しておるが、落ち着きのある深緑ではないか。見違えたぞ。
近づいてみると、細かい模様が入っているようだ。
ヘリンボーンというらしい。
真ん中あたりが少しもこっと膨らんで見えるのは、今回はほんの少し重ねているからだそうだ。
なにやら本来重ねなくても大丈夫だが、「濃い色なのでもし目隙したとき目立つかもしれないので重ねよう」と主人たちが言っていた。角度を変えればまったく見えなくなるので不思議だ。
工夫は何事も大事だ。吾輩も日々を楽しむため色々な場所におもちゃを忍ばせている。今回も家具の位置が変わったので、さっそく新しい隙間におもちゃを挟まなければいけない。忙しくなる。
残念ながら今回主人が貼っていた輸入壁紙のロールは完売してしまったようだ。すまない。
しかし吾輩、見つけたのである。
ヘリンボーン柄ではないが、深緑が気になったそなた達におすすめの壁紙を…!
ぜひとも深緑ファミリーに入っていただきたい。
さて、主人が反対の壁で行っていたのは、どうやらはがせる粉のりで貼った国産壁紙をはがしていたようだ。こちらはまた後日、お伝えしようと思う。乞うご期待願いたい。
それでは吾輩、失礼する!
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「暴れるときは、全力で」をモットーに日々過ごしている。怒られてもめげない強い気持ちを持ち、オヤツが欲しい時は潔く甘える。隠れてもすぐ見つかるのが最近の7不思議のひとつ。
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日々振り回される主人。にゃーさんは隠れているつもりのようだが、育ち過ぎたワガママボディが常にはみ出しているのですぐ見つけられる。彼のモットーが変わることを日々願う。