理想のパン作りのお手伝い

食パン、菓子パン、惣菜パン……パン作りに欠かせない小麦粉。
パンの種類やそれぞれの用途によって、美味しく仕上がる「向いている」お粉は異なってきます。
小麦粉の特性により、パンの風味や食感も様々。
ぜひ、お好みの強力粉を見つけてパン作りをお楽しみください。

パンを美味しく、好みの焼き上がりにするために

日本では、小麦粉についてたんぱく質量や性質を基準に強力粉・中力粉・薄力粉に分類しています。
パンには主に強力粉が使われますが、パンの種類や用途、好みによって向いている強力粉があります。
ふんわりとしっかり膨らませたいパンや、香ばしさ、噛み応えを重視したいパン。
小麦粉の味わいを楽しみたいパンや、具材やフィリングを使ったサンドなど他の素材の味を引き立たせたいパン。
それぞれに合わせて強力粉を選び、より美味しく好みのパンを焼いていただきたい。
そのための粉選びについて、このページをご参考いただければ幸いです。

小麦粉の分類と特性

種類 グルテンの形成量 グルテンの質 蛋白含有量(目安) 粒の細かさ(質感) 適した料理
強力粉

多い

強靭

約12.0~約13.5%

粗い(さらさら)

パン・餃子の皮

中力粉

やや軟

約9.0~約10.5%

うどん・中華麺

薄力粉

少ない

軟弱

約7.0~約8.5%

細かい(しっとり)

菓子・天ぷら

パンを膨らませるために不可欠!
グルテンとは?

小麦粉に含まれているたんぱく質の約85%がグルテニンとグリアジンです。このふたつに水分を加えて捏ねたり混ぜ合わせたりすることで、粘弾性と伸展性のある網目状の構造のグルテンが形成されます。
パン作りにもお菓子作りにも重要なものですが、パンの場合はしっかりと形成させたグルテン構造と酵母により発生するガスを利用してパンを膨らませているため、特に重要です。
強靭なグルテン構造を形成する必要があるパン作りには、グルテンを形成する元となるたんぱく質量が多い強力粉が主に使われます。

高い栄養価と強い味わい。
灰分とは?

灰分(かいぶん)とは、カリウムや鉄、マグネシウムなどの食品中の無機質の量のことです。小麦の皮部や胚芽部に多く含まれ、灰分が少ないと白く、多いと褐色の粉になります。
また、灰分が高いほど、繊維質、ミネラル分が多く酵素活性も高くなります。
栄養価が高く、しっかりと焼き込めば小麦の香りや味わいも強くなりますが、生地がだれやすくなるためパンが膨らみにくくなります。さらに、白色ではないため焼き上がったパンの色にも影響が出ます。
しかし、灰分の高い強力粉で作るパンの香ばしい香りや栄養価の高さは、味わい深いパンを焼きたい方や健康面を気にする方に人気があります。

品種や産地で違う性質が影響。
食感と風味

ふっくら、もっちり、しっとり、あっさり、豊かな風味……人によってパンの好みは様々です。同じ山型食パンでも、ふっくらふわっとした食感が好きな方もいれば、もっちりとした食感が好きな方もいます。
その違いは製法や配合、作り手の技術によるのはもちろんですが、小麦粉の違いも大きく関係します。
目安の一つ、たんぱく値や灰分値がよく似た強力粉でも、小麦の品種や産地の違いで性質が違うため吸水量やグルテン形成の様子が違ってきたりします。また、食感には小麦粉に含まれるでんぷんの量と質も関わってきます。

強力粉を選ぶポイント

強力粉を選ぶ際、基準にするポイントを紹介します。
様々な要因で出来上がりが変化するパン作り。
その時その時の状況にあったお好みの強力粉を選んでください。
※各基準値は収穫年度によって変動があります。
お買い物の際は商品ページの記載をご確認ください。

Point01作りたいパンに合わせる

パンの種類によってもおすすめの強力粉が変わってきます。
ここでは、代表的なパンの種類を挙げて向いている強力粉とレシピを紹介します。
使用して作った際の食感や味わいなど特徴も併せてご紹介していますので、強力粉選びの参考にして下さいね。

山型食パン

イギリスパンと呼ばれる事もある、パン生地を型に入れ蓋をせずに焼成した食パンです。
生地がストレスなく上に伸びて膨らむので、焼きあがったパンの気泡が縦長になっています。
ふんわりとした食感と軽い口溶けが特徴で、トーストするとより美味しく召し上がれます。

おすすめの強力粉

Recipe

山型食パンのレシピ

角食パン

プルマンブレッドと呼ばれる事もある、パン生地を型に入れた後に蓋をして四角い形に焼成した食パンです。
蓋を閉めて焼くことで、型の中で均一に膨らみ水分の蒸発が山型食パンに比べて少ないため、密度の詰まったしっとりとした食感とほんのりとした甘味が感じられる仕上がりになります。

おすすめの強力粉

Recipe

角食パンのレシピ

菓子パン

あんやクリームを包んだりアイシングを上掛けするなどの甘い味付けのパンです。
パン自体も砂糖が多めに使われた甘い生地を使われることが多く、お菓子のような側面も持っています。
配合や製法、強力粉の違いだけでなく、フィリングやトッピング次第でバリエーションの幅が無限に広がります。

おすすめの強力粉

※各基準値は2022年3月時点のものです。
収穫年度によって変わるので最新の値は商品ページをご確認ください。

Recipe

菓子パンのレシピ

惣菜パン

調理パンや食事パンと呼ばれる事もある、甘くない具材を包み込んだりトッピングしたりして仕上げたパンです。
マヨネーズやチーズなどの油分が多い素材を使ったものやカレーパンのように油で揚げるものなど種類が豊富で、調理方法と具材の組み合わせを含めてバリエーションの幅が広いパンでもあります。

おすすめの強力粉

Recipe

惣菜パンのレシピ

ホームベーカリー食パン

ご家庭で簡単にパンを焼くことができるホームベーカリー。
機械が生地を捏ねて焼成するまでを自動で行うので、型から一度も出されることなく焼成されます。そのため、生地を丸める工程がなく気泡が大きめになり、きめがやや粗めに焼き上がります。
その分、歯切れが良くふんわりとしたパンになるので、トーストした時にサックリとした食感が楽しめます。

おすすめの強力粉

おすすめPoint

どの強力粉でも失敗しにくいのがホームベーカリーですが、もっちりとしたパンがお好みの方はもちもちに仕上がる北海道産強力粉がおすすめです。
反対に、トーストした際のさっくりした食感やジャムやスプレッドの味を引き立たせるシンプルな味わいがお好みの方はイーグルのようにクセのない強力粉がおすすめです。
また、具材を混ぜ込むと膨らみが足りなくなる場合がありますが、スーパーキングのようにボリュームが出やすい強力粉を使うと失敗しにくくなります。

※各基準値は2022年3月時点のものです。
収穫年度によって変わるので最新の値は商品ページをご確認ください。

Recipe

ホームベーカリー食パンの
レシピ

Point02たんぱく質と灰分を目安にする

一般的にたんぱく質量が多い方がグルテン形成量が多く、ふっくらと大きく窯伸びしやすいと言われます。
また、灰分が高い方が、栄養価が高くしっかりと焼きこんだ際に香りが良く仕上がりますが、吸水に影響するため作業性が下がります。
たんぱく質と灰分の数値は分かりやすいためよく参考にされますが、一概にそれだけで判断はできません。
小麦品種の性質の違いにより、吸水の良さなど作業性を含めて焼き上がりに違いが出るので、数値は参考にとどめて好みの出来上がりや風味、味わい、作業性など色々と試してみるのがおすすめです。

たんぱく質の多い強力粉

灰分の高い強力粉

Point03産地を見る

強力粉を選ぶ際のひとつの目安に、国産か外国産かという産地による分け方があります。
大きく分けた時に、国産と外国産の多くの小麦粉でおおよそ似通った傾向があるからです。
もちろん、ひとくくりに出来るものではなく必ず当てはまるものでもありませんが、おおまかな傾向として参考にして下さい。
国産強力粉の傾向 外国産強力粉の傾向
・小麦の風味が豊か
・きめが細かくもっちりした食感
・たんぱく質量が少なめで控えめなボリュームになりやすい
・吸水できる量が少なめのため生地の扱いにコツが必要な場合がある
・あっさりした味わい
・ふんわり軽い食感
・たんぱく質量が多いため焼き上がりにボリュームが出やすい
・製パン性が高く生地が扱いやすい事が多い
国産強力粉の傾向
・小麦の風味が豊か
・きめが細かくもっちりした食感
・たんぱく質量が少なめで控えめなボリュームになりやすい
・吸水できる量が少なめのため生地の扱いにコツが必要な場合がある
外国産強力粉の傾向
・あっさりした味わい
・ふんわり軽い食感
・たんぱく質量が多いため焼き上がりにボリュームが出やすい
・製パン性が高く生地が扱いやすい事が多い
育つ環境が違えば収穫した小麦の性質も違ってくるのはもちろんですが、その土地に適した品種を栽培することになるため、日本で多く流通しているヨーロッパ産と北米産の小麦は、国内栽培の小麦と品種が違います。

●国産の強力粉は、日本人の好みにあったもっちりとした食感と豊かな小麦の風味が感じられるパンが焼けるため人気がありますが、たんぱく質量が外国産に比べて少な目の物が多い傾向にあります。
また、吸水できる量も外国産に比べて少ないものが多く、パンを作る際の生地の扱いにコツが必要になることもあります。ただし、近年では品種改良が進むなど生産者さんの努力により製パン性が向上し、扱いやすい国産強力粉も増えています。

●外国産の強力粉はカナダやアメリカの北米産が多く、たんぱく質量が多くボリュームが出やすい事と製パン性の高い事が特徴のものが多く、ふんわり軽い食感とあっさりとした味わいに仕上がる傾向にあります。

風味豊かな国産強力粉
小麦の風味をより楽しみたい方に

製パン性が高い外国産強力粉
ボリュームのあるパンや初心者さんに

オールマイティに使える
スタンダードな強力粉

特徴のはっきりした強力粉は向いているパンを作るには良いですが、個性がはっきりしているために向いているパン以外を作るには経験とパンに対する造詣が必要になってきます。
同じ強力粉で多種類のパンを作りたい方や初めてパン作りをする方には、失敗しにくく作業性の良いスタンダードな強力粉がおすすめです。

全粒粉・ふすまについて

全粒粉は外皮を取り除かずにそのまま小麦全てを粉状に粉砕した小麦粉で、ふすまは外皮の部分のみを粉砕したものです。
どちらも食物繊維を多く含み、健康意識が高まるにつれ、注目を浴びています。
外皮そのものなので灰分が高く、香ばしく味わい深い風味と噛み応えのあるパンを焼くことができますが、全粒粉やふすま100%ではうまく膨らまず目が詰まった硬いパンになりやすくなります。
そのため、強力粉に対して10~30%程度を加えて使うのがオススメです。
全粒粉やふすまを加える際の強力粉は、たんぱく質量が多い膨らむ力の強い粉を選んでください。

おすすめの全粒粉

Recipe

全粒粉・ふすまを使った
レシピ

全粒粉・ふすまを加える際に
おすすめの強力粉

小麦粉の基礎知識

Difference

強力粉と薄力粉の違い

強力粉と薄力粉の大きな違いはたんぱく質の量と質。
たんぱく質の数値が高めのものを強力粉、低めのものを薄力粉に、中間のものを中力粉に分類されます。
また、強力粉は「硬質小麦品種」を製粉して作られる「硬質の小麦粉」、薄力粉は「軟質小麦品種」を製粉して作られる「軟質の小麦粉」で、粒子の大きさや手触りも違います。
強力粉は粒子が粗いためサラサラした感触に、薄力粉は粒子のきめが細かいため吸湿しやすくしっとりした感触になります。

※中力粉は軟質小麦と中間質小麦から作られ、薄力粉と強力粉の中間の特性を持っています。うどんなどの麺類に使われることの多い小麦粉です。

How To Keep

保存について

小麦粉の賞味期限
小麦粉の賞味期限は、たんぱく質の量が多い強力粉で製粉後6か月、中力粉と薄力粉で1年程度が一般的です。
外皮を含む全粒粉はもっと短いなどの例外や、製粉会社によって多少前後があるものの、大きくは変わりません。
ただし、開封して空気に触れると風味が飛んでしまったり品質が劣化していくので、賞味期限に関わらずできるだけ早く使い切るのが大切です。

保存に適した場所
直射日光が当たらず湿度の低い場所がおすすめです。

小麦粉はとても吸湿しやすく、湿度が高いところではダニやカビが繁殖しやすくなってしまいます。
また、においが付きやすい特性もあるため、においの強いものの近くで保管しないようにご注意ください。

結露に注意
夏場など室温や湿度が高い時は高温多湿を避けるために冷蔵庫等で保存される方もいらっしゃいますが、冷蔵庫のドアの開閉による冷蔵庫内の温度変化により小麦粉の袋の中で結露が起きて、カビが生えたり水分に小麦粉が反応して非常に硬い塊になることがございます。ご注意ください。

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