標高600m以上の高地イチジクとNAZDEM社

2019年8月25日

<いざ、高地のイチジクを求めて!>

視察2日目。昨日は長距離運転だったため、午前中はゆっくり休息をとり、まずはお腹を満たすためにレストランでブランチ。

トルコ共和国では、自宅で朝食をとる習慣がありますが、今日は日曜日。家族や大切な人と食事を楽しむ人々で賑わっています。
ボリュームのあるトルコ式の朝食を味わったあと、さあ出発。山道を車で登っていきます。
標高500mぐらいでしょうか、山道の脇に赤いトラックが見えます。
その上の斜面を望むと、数人の農家さんがイチジクを収穫中です。
待ってましたっ!と皆さん笑顔で迎えてくれました。
またまた収穫体験、しかし低地とは全く違うこの斜面。

現地の農家さんと同じようにカゴを腰にぶら下げて、鍵杖を持って崖をよじ登ります。
皆さんに助けてもらいながら、ようやく少し傾斜の緩やかな場所に到達しました。
誰が見ても素人とわかる格好で、それなりにイチジクを摘みます。
木によじ登っても採れないイチジクは、鍵杖を枝に引っ掛けてゆすり、イチジクを落下させて収穫します。


そして、採れたてのイチジクを次から次に「食べてっ!」と渡してくれます。
乾燥途中のちょっとウエットなイチジク、ここでしか味わえない美味しさです。

現在の気温は35.5℃で平年よりも5℃近く高いとのこと。それでも、低地よりも6℃以上低い状況です。
高地のイチジクは、全体的に黒ずみが少なく、表皮も薄いベージュ色で高級感があります。
また、低地と比べてイチジクの表皮は薄く、中の餡も上品な甘さで食べやすい。
イチジクの生育に適した気温は25~35℃。これ以上の高温になると果実は種を守るために表皮を厚くします。
イチジクの表皮が薄いことは、快適な温度帯で育っている証拠でもあります。
こちらの農家さんのイチジクは、昨年日本で販売させていただきました。
まだ10代ですが、後継者もいらっしゃいます。
ハンサムです!
今年も品質の高いイチジクを期待しています!
そのまま山道を進み、村に到着。
まずは、村の皆さんにご挨拶です。
チャイを頂いていると、隣の方が村長さんだと紹介されました。
村長さんもイチジク農家の一人です。
今年収穫したとても大きく綺麗なイチジクをいただきました。感謝です!

そして、こちらがこの村にあるNAZDEM社の仕入オフィスです。
村の入り口には、一時保管倉庫があります。
収穫されたイチジクは、農家が畑で使用しているストッカー(左)から、更に清潔なNAZDEM社のストッカーに移され、生産者毎に管理されます。ストッカーは、床に直接触れないようにパレット上に積まれていきます。
白いストッカーはコンベンショナルのイチジク用、グリーンのストッカーはオーガニックイチジク用として区別して管理されます。床は大理石!さすがは採掘地ですね。清潔感があって安心できます。
最後はジープに乗って仕入オフィスの担当者の畑へ。
彼も高地の農家で、素晴らしいイチジクを収穫していました。ただいま、天日干し中。もう少しすれば、工場へ出荷ですね。
下山途中で働くお馬さんに遭遇。
この時期は毎日頑張って斜面のイチジクを運びます。
大人しくてとても可愛い~。
なぜナズデム社のイチジクは高品質なのか!
そのヒミツはナズデム社の仕入システムにあります。
■通常のドライイチジク加工会社は、図の左のようにブローカーからイチジクを仕入して加工販売しています。(基本的にどこの村の誰がつくったかはわかりません)
■NAZDEM社は、高品質のイチジクの産地である高地にオフィスを構えており、どこの村の誰が作ったイチジクであるのか、すべて確認が出来る仕入システムです。

<更に高地へ。標高800m!>

最後の訪問地は、大粒で最高品質のイチジクが採れるナジッリ地区でも有数の産地。まずは、村の皆さんへご挨拶。日本人を本当に皆さん心から歓迎してくれます。
山からの湧き水。まろやかで美味しい!
地元のカフェに入って奥まで進むと、そこはイチジク産地の大パノラマ!
よく見ると、住宅の屋根やベランダには収穫したてのイチジクが天日干しされています。
眼下に広がる山の斜面にはイチジクの木とオリーブの木が見えます。
更に高い位置には栗の木もあるようです。
さて、ここにもNAZDEM社の仕入オフィスがあります。
少量ですが、ここでは品質の高いイチジクの買い付けが始まっていました。
この村でも、オーガニック栽培の認証農家があり、NAZDEM社は有機栽培のイチジクも買い付けています。
今回の出張でたくさんのイチジクを頂きましたが、ここで食べるイチジクが自分自身は一番のお気に入りです。
皮の薄さ、柔らかさ、中身の甘さとジューシーさ、どれをとっても文句なしの美味しさです!
時計の針は午後の19時。
帰ると思いきや、またもやジープに乗ります。(レース仕様?) アップダウンの細い街中の道をジープが走ります。しばらくすると山道に突入。これから標高800mへ!
車がすれ違えない細い山道、当然舗装もされていない山道。当たり前ですが、ガードレールもありません。
運転手に命を預け、4WDのジープが山道を駆け上がります。
30分ぐらい走ったでしょうか、ようやく到着したその場所は、先ほど村から見ていた大パノラマのイチジク畑でした。
太陽が沈む日没前、心地よい気温です。当然、イチジクも心地よいはず。
日没後、徐々に風が吹いてきました。
この風がイチジクを乾燥させるんですね。
洗濯物と同じで、早く乾かすには太陽に当てるよりも風に当てた方が早く乾きます。生地も傷みにくいですね。
イチジクも同じように思います。熱風ではなく心地よい風に吹かれるとイチジクの熟成がゆっくり進み、時間をかけて美味しさが作り出されていきます。
イチジク畑を歩き回り、ジープに戻る頃には辺りはすっかり真っ暗で、月明かりだけで山道を歩かなければなりませんでした。
この時間になると、日の入りの直後よりも更に風は強く、涼しく吹いています。
短期間の産地訪問にも関わらず、低地と高地の違い、日中と夜間の違いなど、様々な体験をさせていただきました。
少しでも産地の状況や収穫等の苦労を伝えつつ、大切に収穫され、適切な管理のもと日本まで運ばれてくることに感謝し、イチジクの素晴らしさももっと伝えていこうと思います。

追伸

この日は、仕入オフィスの責任者の方の自宅で晩御飯をご馳走になりました。 初対面なのにとても親切にしていただいて... そしてトルコの家庭料理を味わえるなんて幸運!