もの選びの解像度を上げよう。
「なんか、いいジャケット欲しいなぁ。」「そのジャケット、いいね。」 あなたが普段なんとはなしに使っている「いいジャケット」って、具体的に何をさしていますか。雰囲気?色?生地?シルエット?きっとそのいずれもを、理想的なイメージと好みで結び付けて瞬時的に「いい」という表現になっているのではないでしょうか。本ページでは、そんな「いい」の条件から、生地にフォーカスしています。無限といっても過言ではないほど多種多様な生地。今シーズンモダンブルーの主力となってる商品を例に、代表的かつトレンドを探ってみようと思います。
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一見、無地。でも近づくと…
高低差のある生地のこと。映画のトレンドが3Dであるように、生地もまた立体素材でバリエーションを増やしているのが近年の傾向。例えば、遠目でソリッドなネイビー単色であっても、近付いてみると生地はワッフルだったり、ジャガードだったり、唐織やオットマンかもしれないオモシロさが醍醐味。必然的に凹凸が生まれることから、色の濃淡や光の当たり方にも当然影響。色糸で紡がれた能動的な生地に対し、予測がつかない豊かな表情を得られることも魅力のひとつです。
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フォーマルなダブルジャケットと、迷彩パンツを合わせた大胆なイメージ。お洒落番長さながらの挑戦的かつ遊び心に溢れたルックで、周囲の視線を釘付けにできること間違いなし。異なるジャンルのミックスに違和感を感じさせないのが、ジャケットに使われたカジュアルな生地のおかげ。ニットマフラーとの質感も似通ってバランスはバッチリ。巧くフォーマルダウンしています。
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濃淡で作る大人の雰囲気
生地を真っ先に印象付けるのは「色」。2トーン濃淡というのは、デザインに関わらず同系2色のコントラストカラーで仕上がっているものをカテゴライズしています。この魅力が顕著に出るのは、凹凸のないフラットサーフィスな生地において。例えば経糸と緯糸に濃淡を使うだけで、奥行きのある豊かな表情が生まれます。シルクやコットン、ウールなど素材糸のバリエーションや、引き揃えやバーズアイ、ツイルといった生地など、多種多様な組み合わせが存在します。
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全体のトーンをグレーで統一させたシックなオフスタイル。ジャケットはショールカラーのようにたっぷりしたノッチドラペルが作るふくよかなVゾーンが特徴。大人の貫録を印象づけるキーポイントになっています。Vゾーンから覗かせた白シャツが、暗くなりがちな中で唯一の爽やかさをアピール。清潔感と、危うさスレスレの良好イメージです。
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1トーン? …ズームすると多彩な糸が。
名前の通り、複数色が入った生地のこと。代表例はシャネルツイードやタイシルクなど。基本的には意匠糸を用いたものが多く、複雑に絡んだ多彩なカラーによって生み出される色彩の妙が堪能できます。よって先に挙げた例以外でも、引き揃えやツイル、ニット、ジャガードもこのカテゴリに入るものが多数あります。
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全体をシックにまとめたアダルトなイメージ。ワントーンのパンツとシューズ、ニットのコンビネーションに対し、素朴な味わいを持ったツイードジャケットの存在感が絶大。ヌケのある着こなしを実現させた上級のこなし方です。
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大人はやはり霜降り。
「メランジ」とはフランス語でいうところの混合。実態は梳毛の染色糸とそうでない糸を一緒にしたり、異なる色の羊毛をミックスして紡績したものです。そこから発展して、単に霜降りをイメージさせたものに「メランジ」という名前が使われることも多くあります。いずれにせよ、素朴で温かみのあるニュアンスを伝えることのできる素材です。
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ネイビーのソリッドパンツと霜降ジャケットのアンサンブルは、清潔感と牧歌的なイメージのミックス。飽きのこない表情が生まれると同時に、新鮮さを印象付けるファッショナブルなフォーマルコーディネイトになっています。
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