沸点に達した一大イギリスブーム
ここ数年のイギリスブームがいよいよ沸点に達したような過去最大の盛り上がりをみせている日本のファッショントレンド。2015年はモダンブルーの品揃えも英国ブランドが過去に比べてもっとも多く、カジュアルをメインに充実しています。本ページでは今もっとも旬なイギリスのファッションに焦点を当て、モダンブルーで今すぐ買えるブランドと商品を、オリジナルのコーディネイトを交えてご紹介いたします。
今季注目を浴びている英国ファッションの代表ともいえる6大ブランド、マッキントッシュ、トラディショナルウェザーウェア、バブアー、バーバリー、ロンドントラディションを特集。それぞれの特徴とコーディネイトを紹介いたします。
マッキントッシュのデイリーウェアラインとしてスタートした「トラディショナルウェザーウェア」は、日本では早くからセレクトショップが取扱いはじめたこともあり、服好きの間ではすでに有名でした。15年秋冬から母体であるマッキントッシュがリニューアルするに当たり、再び注目を浴びています。
もはや定番となったダイヤ型のキルティングコートを他の人と差をつけるのなら、ブラックウォッチ柄がお薦め。落ち着いた色遣いが大人の女性にも似合います。そんなスタイルにはポンポンがついたニットキャップを被って、思いきりキュートなカジュアル感を楽しみます。
TRADITIONAL WEATHERWEAR
裏地がヒョウ柄になってます。ダブルボタンが特徴になったERITHモデル。
TRADITIONAL WEATHERWEAR
こんなパープル色だと華やかに見えます。裏ボアになっていて着心地もいいです。
LAVENHAM
テーラードのスタイルを取り入れたマニッシュなジャケットです。
グレンチェック柄のキルティングコートは、いかにも英国スタイルの代表といった風貌。クロップで折ったインディゴデニムと白スニ、カレッジスウェットのストリートテイストと組み合わせることで今どきなスタイルが完成。
TRADITIONAL WEATHERWEAR
ベストセラーWAVERLYのショートレングス。ウィンドーペーン柄がまた英国らしい。
LAVENHAM
オリーブグリーンとオークイエローのバイカラーが大人の雰囲気醸し出してます。
BARBOUR
イメージソースは英国の農夫が育んだアウタースタイルという、バブアーの名品。
上流階級のアウトドアライフスタイルを体現するバブアーもまた英国屈指の歴史あるブランド。水夫や漁師のために提供した防水着がきっかけとなったオイルドジャケットは、曇天や雨天が多いイギリスの気候ともマッチして、現在でも英国ファッションの定番として人気の高いスタイルです。
オイルドジャケットはそれだけで主張させるというよりも、コーディネイトの物足りなさを埋めるようにスマートに羽織ってみせると効果的。個性の強いデニム上下のワークスタイルを中和するよう羽織ると不思議とバランスがとれたオシャレに変身。裏地にチェック柄がデザインされていたりするものが多く、フロントをオープンにしてナチュラルな着こなしで愉しむのが正解。
BARBOUR
世界最高品質のワックスジャケットとして評価を得ているブランドを代表するシリーズ。
BARBOUR
こちらはボーダーというモデルで、長身のジェントルマン向けとして考案されたとか。
BARBOUR
ややさらりとした仕上がりで、オイルドクロスはべたつくから苦手という人はこちらを。
英国らしいグレンチェックをナイロンシェルにプリントしたコンテンポラリーな素材づかいがポイントになったダウンJKTと、ラフなウィークエンドカジュアルとミックス。トラッドな雰囲気を漂わせながらアクティブで洗練されたイメージが、まさにロンドンナー風。
英国老舗ブランドが提案するダウンウェアはスポーティなのに、どこかクラシカル。カジュアルスタイルにあわせても上品な雰囲気を醸し出します。天気が不安定な日は、チェック柄がワンポイントのレインブーツを履いて颯爽と出かけませんか。
MACKINTOSH
こちらはマットなブラック。ボリューミーなのに締まったシルエットになってます。
MACKINTOSH
ミドルレングスの膝上丈バージョンはこちら。フードのラムファーがゴージャスです。
BURBERRY BRIT
ダウンウェアでトレンチコートを作ってしまうという、バーバリーらしい一着です。
英国らしいグレンチェックをナイロンシェルにプリントしたコンテンポラリーな素材づかいがポイントになったダウンJKTと、ラフなウィークエンドカジュアルとミックス。トラッドな雰囲気を漂わせながらアクティブで洗練されたイメージが、まさにロンドンナー風。
MACKINTOSH
グレーのグレンチェックが英国ムード。ショートなシルエットが今の空気感です。
MACKINTOSH
モスグリーンのダウンベストも、スタイリッシュ。ボリューミーなのに細身です。
MACKINTOSH
ダブルブレストのダウンジャケットは大人の貫禄を見せてくれます。
英国におけるバーバリーの存在は、ロイヤルワラントによる名誉が示すように、国益に関わる重要ポジションの最たるもの。歴史が古いために本国では年配の嗜好ブランドとして若い世代に浸透していなかったところを、C,ベイリーの指南により、ゼロ年代になってから見事に若返ってみせた。バーバリーのルックはそのいずれもが英国的で奥深く、トレンチコートは特に半永久的にファッションの憧れとして君臨するに違いありません。
シックなバーバーリートレンチをカジュアルダウンしたコーディネイト。ジーンズとスニーカーの定番スタイルに、バッグはチェック柄のボストンタイプ。コートのライニングとさりげなくお揃いにして統一感を演出します。
BURBERRY
こんな淡いベージュ色だととても上品です。定番ケンジントンのロング丈モデルです。
MACKINTOSH
光線のぐあいで色が変化する玉虫グリーン。トレンチの定番カラーです。
MACKINTOSH
取り外しできるウールのライナーがついていたりして、見た目以上の防寒性。
大規模なロイヤル・ネイビー・アソシエーションが在る英国にはミリタリー関係の歴史が深く残っています。ピーコートはその代表例で、ブリティッシュイメージのひとつとして欠かせません。
王道のスタイルをベースに、素材の切り替えで鮮烈な個性作り上げたテクニカルなピーコートをメインにしたモード路線のコーディネイト。余分がないスリムなラインと、洒脱なカラーセレクトも効果的で、遊び心溢れる大人の着こなしが完成しています。
BURBERRY BRIT
貫禄のある襟がカッコ良い。ポケットに施されたスエードトリミングも。
MACKINTOSH
シンプルなピーコートです。ちなみに厚手のウールメルトン生地のため裏地はなし。
LONDON TRADITION
エポーレットなしですっきりとクールな見栄え。でも大きなフラップポケットがちょっと主張。
もともとは漁師の仕事着として採用されていた外套。第一次大戦時に英国ネイビーの防寒着として採用されたのが一般的に広まるきっかけになったといわれていて、カレッジスタイルの代表としても人気の高いルックです。
トラディッショナルなダッフルコートをラフに着こなすならショート丈がお薦め。重たくならずに、すっきりとした印象に仕上がります。首元にチェック柄のストールをぐるぐる巻いて防寒対策もバッチリです。
LONDON TRADITION
こちらはブラック。トグルのデザインまでシャープに仕上げ、印象をガラッと今風にしてます。
LONDON TRADITION
こちらはトグル留部分のデザインに丸みを持たせて、カジュアル感を出したバージョンです。
BURBERRY BRIT
華やかなレッドのダッフルも素敵です。裏地のバーバリーチェックもかわいい。
カレッジルックにモードな要素を加味して完成させたウィークエンドカジュアル。クラシックなスタイルを得意とするロンドントラディションを軸に、全体的に80年代を彷彿させるアナログ感が漂うイメージ。
LONDON TRADITION
シルエットがとってもきれい。これぞ今のロング丈ダッフルスタイル。
LONDON TRADITION
こちらは同じモデルのキャメルカラー。裏地がタータンチェックなのもいい。
SCOTCH&SODA
オランダもダッフルコートの本場というわけで、スコッチ&ソーダ。きれいな作りです。
英国貴族の繁栄と衰退を描いて世界的に大ヒットしたテレビドラマ「ダウントンアビー」。かのシャーロックホームズが現代のテクノロジーを駆使して、盟友ワトソンとともに難事件に挑む人気テレビドラマ「シャーロック」。この2つのドラマが世界的に大ヒットした背景には、徹底的に再現された英国スタイルの影響が少なからずあったように思います。ストリートやヒップホップが長らくファッションのメインストリームだった時期に、英国スタイルの極端なまでに作り込まれた、大河ドラマ的なビジュアルが新しい物を探している若い世代にカッコよく新鮮に映ったことは想像に容易いです。かつての衣類やモチーフが、再生を繰り返して、時代を越えていまに息づかせている姿勢もまた、英国らしいスタイルといえます。
スコットランド発祥のタータン(チェック)は、まさにブリティッシュファッションの代表選手。もともとはスコットランド在住の各一族を分別するアイコニックな役割を担っていました。そのため数多くのデザイン・カラーが存在しています。
JOHNSTONS OF ELGIN
ストール
タータンチェックといえばこのレッドとグリーンの組合せです。カシミアの最高級ストール。
GLEN PRINCE
ストール
こういうニュアンスカラーもいいですね。スコットランドのウールブランドからの逸品。
BURBERRY
ボストンバッグ
バーバリーチェックも、こんなふうにクローズアップすると雰囲気が変わります。
ダイア柄パターンで馴染の深い「アーガイル」もまた、タータン同様にスコットランドが発祥。地名から名前がとられたというだけあり、スコットランド人にとってはシンボリックな深い意味合いを持つといわれています。アーガイル柄を取り入れたファッションは時代やトレンドに関係なく、日本でも男女を問わず定番大人気。セーターから靴下まで、幅広いデザインに落とし込まれています。
PANTHERELLA
靴下
パープルとグリーンの絶妙な配色。英国を代表するソックスブランドです。
ASPINAL OF LONDON
ボストンバッグ
シンプルなブラックレザーのバッグと思いきや、シルクの裏地に潜むアーガイル。
BROOKS BROTHERS
セーター
アメリカブランドだけど、このカラーリングはカッコいい。インナーとして生えます。
参照:DECKARD'S GUIDE
歴史ある英国において傘を取り巻く環境は身分によって異なってきました。貴族の傘を持つのは下僕の役目で、当人は基本的に持ち歩くことはありません。近代における一般中流階級の中で流行したのがステッキとの兼用。雨が一日中降り続けることが滅多にないイギリスでは、傘を持つのは大袈裟とされる傾向にあり、ファッションとしての役割りも担うようになってきました。
FOX UMBRELLAS
傘 ( メンズ )
持ち手にブルドッグをデザインしてます。開いた時の弧を描いたシルエットもカッコ良い。
FOX UMBRELLAS
傘 ( メンズ )
ステッキ傘は持ち手を見よう。こちらは竹です。チャップリンのステッキも竹でした。
FOX UMBRELLAS
傘 ( レディース )
優雅なフリル。これはもうクラシック映画の世界です。こんな傘をぜひ一つは。
参照:DECORATORS BEST
元来ツイードとはスコットランド発祥の毛織物のことです。現在では本家も、ツイード風なものもすべて「ツイード」とされる広い解釈になっています。スコットランド産の羊から採れた毛を手紡ぎによって糸にしたものを手織りで生地にしたものというのが定義されています。かつては上流階級の狩猟着に使われることが多く、防寒機能と丈夫であること、獲物に姿を悟られないカモフラージュの目的もあったといわれています。
DENTS
グローブ
英国王室御用達、手織りのハリスツイードを使った手袋。ヘリンボーン柄も似つかわしいです。
WEEKEND MAX MARA
ダッフルコート
こちらはイタリアブランドですが、厚みのあるメランジツイードが雰囲気抜群です。
PAUL SMITH
マフラー
野性的なツイード地で、ブロックカラーのモダンデザインという面白さ。
イギリスを代表するブランドといえば歴史や伝統に裏打ちされた大御所ばかりが有名で目立ってはいますが、新参者が介入する隙間がないかといえば当然そうではありません。若い世代に向けた新しい感覚のブランドは次々に生まれ、それらがまた新たに英国ファッションの歴史を作っていっています。
グローブ・トロッター
1897年創業、トラベルバッグの名門。そのバッグですが、なんと紙でできてます。特殊紙を何層にも重ね樹脂コーティングして作る製法は19世紀からずっと変わらないといいます。
ジョンストンズ
1797年創業、スコットランドの高級毛ブランド。使う素材はカシミアやキャメルヘアなど贅を尽くしたものばかり。最高のストールを手にするならここ。
ジョン・スメドレー
1784年創業、いわずもがな、ハイゲージニットの代名詞的ブランド。肌触りの良さと、着回しのきくミニマルなデザインのため、リピーターが多い。
フォックス・アンブレラズ
1868年創業、ハンドメイドで傘を作りつづける老舗。閉じたときのステッキとしてのシルエットから、開いた時に描く優雅な曲線まで、完璧。傘をアクセサリーに昇華するブランドです。
マッキントッシュ
1823年創業。ゴム引きコートとして一般名詞化しているほど有名なマッキントッシュですが、今季15年秋冬よりコンセプトを一新、シルエットからディテールまで生まれ変わりました。今、いちばん注目したい英国ブランドです。
サイモン・カーター
1985年にデビューした、カフリンクスを中心とするアクセサリーブランド。「1930年代の英国スタイル」がコンセプトに据えながら、モチーフの自由自在さがこのブランドの魅力です。
ロンドン・トラディション
2000年創立のアウターウェアブランド。美しいシルエット、作りの良さに対し、そのコスパの良さは注目です。バーバリーなど一流メゾンの生産を手がける職人集団でもあります。
ハンコック
2012年にデビューしたカリスマブランド。英国伝統のゴム引きコートを精緻な作りと、一切無駄のないデザインで仕上げてきます。クラシカルなのに、きわめて現代的。
アスピナル・オブ・ロンドン
1999年創業のレザーブランド。一目見て質の高さがわかる高貴な風貌がこのブランドにはあります。この時代にペーパーナイフやレザー製ペン立てを作るディレッタントぶりもカッコいい。
カール・ドノヒュー
1995年にデビュー。毛皮の神髄を見せてくれるアイテムの数々は圧巻です。皮についたままの状態のファーアイテムは、美しく、ゴージャスで、ストレート。
私の初イギリスは28歳のとき。
それからほぼ毎年のように通い、現在までに8回分の渡航記録が私のパスポートにはスタンプされています。

行きはじめた当初は周りから「なぜロンドン?」と、何しに行くの的な質問を多くされるほど、旅先といえばイタリアやフランス、アメリカが圧倒的な人気でした。
その後オリンピックやロイヤルウェディング、トラッドファッションやお洒落なイギリスドラマや映画が次々とブームとなったことで、ここ数年にしてようやくロンドンが旅先としてメジャー化してきたことを実感しています。その証拠に以前のような質問をしてくる人っていなくなりましたから。

私がロンドンを選ぶ最たる理由は、日本を除く私が経験したどの都市よりも滞在が快適だからです。イミグレーションは瞬殺。最寄のヒースロー空港からセントラルロンドンまでは約40分前後と近距離。
街全体はコンパクトで歩きやすいため土地に早くから馴染めるし、地下鉄とバスが充実して移動時間のロスも皆無。
比較的治安が良く夜遊びがちゃんとできるなど、限られた時間内でより多くのことをたのしもうとする旅行者にとってとにかくインフラが理想的。
日本で過ごすスピードと同じ感覚でスムーズに過ごせるもう一つの場所がロンドンなんです。
それでいて異国情緒たっぷりなんて最高じゃないですか。

毎年旅行計画を立てる際、今年は別の場所にしようと一度はロンドンを除外するんですが、最後はロンドンの居心地の良さにやっぱり甘えてしまいます。
西岡