競泳メーカーの高速水着徹底比較
2025年版

   by MIHORO 2025.3 update(随時更新)

2008年のレーザーレーサーの騒動から早15年以上が経ちました。
衝撃からの大幅な規制によって各社の高速水着競争は熾烈を極め、まるで毎年のように感じるぐらい新たな高速水着が次々と開発されました。
ただ、それぞれの機能性や目的が意外と伝わっていなくて、相性の良くない水着を選ぶ水泳選手が多くなっていました。この高速水着徹底比較のページは、そんな時期に作りました。

それが現在、高速水着の技術は非常に高い水準に達し、各社の製品も独自の強みを持ちながらバランスの取れたラインナップとなっています。
開発競争は一段落し、新たなモデルの登場は落ち着いていますが、その分、選手の皆様は自分に最適な水着を選びやすい環境が整ってきました。

比較というには数が少なくなっていますが、その中でも、ちょうどよい水着選びのサポートになれば幸いです。




arena AQUAFORCE STORM
(アリーナ アクアフォース ストーム)


主幹機能:長く改良を続けてきたULITMATEシリーズの名前からSTORMへと名前が入れ替えられました。
今までの水着の良さを残しながらも、革新的な変化として足の内旋を追求しています。
バタ足をただ縦方向に動かすだけでなく、足を内旋させる事で渦を作り推進力を生む泳ぎ方を目指したものです。
arenaさんは過去にアップキックサポートによって泳ぎが早くなるというコンセプトからinfinityシリーズを生み出し、それは現在世界中の水着づくりに影響を与えるほどでした。泳ぎの理想形から逆算して水着を生み出す技術が今回も発揮されるか、気になるところです。
その機能を発揮するために着用の仕方が少し特殊な点も注目



 
アクアフォース CP
男女それぞれに違う形状に配置されたテープによって、男女の体格やボディポジションの違いに対応したサポート
グリップテープでアップキックをサポートさせる事に加えて、ねじり構造によって、キックの推進力を向上させた強いサポートタイプ
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  アクアフォース MF
一枚布で作られることで軽量化と動きの自由さを実現した一枚。
動かしやすさを残しながらもねじり構造によってキックの推進力を向上させる。
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男性用女性用

 

 

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男性用女性用

 

arena POWERSKINシリーズ

主に海外アリーナで展開されているシリーズ。日本での入手は困難です

POWERSKIN Primo


・特徴
2024年に発表されたトップモデルで、新素材「Hyperforce」を採用し、従来モデルに比べ圧縮力が大幅に向上(100%以上の改善とされる)しながら、柔軟性も維持。フィット感や水の抵抗低減を徹底追求。

・(国際的な)評価
一部では「従来のモデルを凌駕するパフォーマンス」と評価される声があるものの、まだ登場間もないため、実際のレースでの実績や使用感については今後の評価に注目が集まっています。

  POWERSKIN CARBON CORE FX


・特徴
主に短距離・スプリント種目向けに設計されたモデル。高い圧縮力により、腹部や脚部をしっかりホールドし、爆発的なパワー伝達を狙う。

・(国際的な)評価
「圧が強い分、スプリントでの推進力向上に寄与している」という意見がある一方、圧縮感が強いため、動きが制限される選手も。 「グライドしやすさ。軽さとコンプレッション」


POWERSKIN CARBON GLIDE


・特徴
2中・長距離種目向けのモデル。圧縮と浮力のバランスが取れており、快適な着心地と流線型の姿勢を実現。

・(国際的な)評価
長距離において「疲労感が抑えられる着心地」ながらも、瞬発力を期待するならCORE FXに軍配があがる。

  POWERSKIN CARBON Air2


・特徴
より軽量で柔軟性を重視したモデル。圧縮力は他モデルに比べ控えめで、動きやすさや自由度を優先。

・(国際的な)評価
泳ぎへの適度なサポート感はあるものの、強いサポートを期待する選手よりも、動きやすさを重視する選手に強く支持されています。





mizuno GX SONIC 6
(ミズノ ジーエックス ソニック シックス)

主幹機能:一時的にNEOシリーズなどを挟み、久しぶりに発売されたGX SONICのナンバリングを持つ新作です。フラットスイムが泳ぎを早くするという考え方からGX SONICの初代から常に前作をベースに改良を続けてきた本作。
GX-6で大切にしたのはゼロベース開発です。あらゆるスイマーの試泳を繰り返しながら、今の泳ぎに合わせて必要な機能はどれかという事を何十、何百の試作を繰り返すことで地道に理想形へと近づけた本作 スイマーひとりひとりに対応すべく生まれたのは以前のように硬い柔らかいの2択ではなく、3択(NV、CR、ET)でした。
全てのシリーズに共通して言えるのは、女性は肩のストラップが非常に伸縮が良く、伸びが良い。伸びが良いために以前よりも何もしていない時は短い設計。そして男女の体格差や泳ぎに合わせてカスタマイズされた男女の仕様の違いです。

 
GX SONIC 6 NV(Noble velocity)
シリーズはSTの継続と言える硬くて力強い速さを実現するシリーズ
後ろにクロステープを付けてアップキックを強くサポート。 姿勢を整えるホールド感で、浮き感を出す
捻転(捩じり)によるパワーを最大化
一言で言ってしまえば「速くするための全乗せ豪華セット」です。
硬い水着にはなるので選手は選びますが、とても魅力ある逸品です。
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  GX SONIC 6 CR(衡)(Compressive release)
GX-SONIC5でいうMRの守備範囲からSLあたりまでをカバーする水着です。
珍しい仕様として、足元の内ももに裏地を配置し、足元の脂肪のゆれを防ぐ効果を狙っています。
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男性用女性用
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男性用女性用ジュニア用

 
 
GX SONIC 6 ET(柔らかい)

ET(emotional technique)は、最も着易く作られたシリーズです。
着易く動きやすいとは言っても機能は高速水着として必要なものを兼ね備えており、お尻のラインにテープが入っていることによってフラットスイム(姿勢保持での浮き感)も実現させています。
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speedo FASTSKIN LZR Pure(ファストスキンレーザーピュア)

LZR RacerシリーズからPureシリーズへ名前変更 根幹となる名前が変更され、新しい発想へと切り替えられたことへのメッセージとも言えるPureシリーズで大事にされたのがサメ肌
以前にもサメ肌と言われる水着(アクアブレード)はあったが、その頃からさらに水中での分析が進んだ。
サメの鱗には大小があり、その違いがシャープな泳ぎにつながっているとの研究結果がが今作に生かされている。
Speedoは他社に比べてボンディング(圧着)部分が多い為、ホールド感が強く、硬いと言われている。

(何人かの着用者からの感想では、硬さでは X>GX4 ST>INTENTという意見がある)


 
FASTSKIN LZR Pure Intent
Xの純粋な後継とは言えず、全く新しい発想で作られた水着
例えば、Xの時はテープがクロスしていたが、今は並行している。
→これによって着やすさがUP
前と後ろのテープの太さが違う。
・サメの鱗を参考に作られた水着で、流水抵抗が大きい所と小さい所はのうろこの大きさにも着目されている。
横の黒い部分にはストレッチ性が設けられており、今までのXでは着用に30分だったのが10分ぐらいの着用時間に減った。
生地が厚くなり重くなったが、浮き感は大幅に上がったとの声が多い
全体的に着やすくした分、コアな部分に硬さを持たせ、性能を向上させている。

着用している人の割合
  ハイウエストジャマー ジャマー
LZR Racer X
LZR Racer Pure

  FASTSKIN LZR Pure Valor
薄くて軽いストレスフリーの水着

エリートとの違い
コアの部分(裏地)のサポート部分が広くなり、コアサポートが高まった。
・Valorは内股の裏地が2枚になっており、2枚になることで戻りやすい。
・中にバンドが入っているためターンに力が入るようになった。
・股上が以前より長くなった。(それによってきついと感じてエリートより小さいと感じる人がいた)
・股下も長くなったことによって、裾部分も若干細くなった。
     
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男性用女性用
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その他…
Jaked
2008年の高速水着時代に一気に名を上げた実力派イタリアの競泳ブランド イタリア独自の発想によって今までにない発想で切り開く発想力を、最先端の圧着技術工場からスタートしている技術で裏打ちしている。

 

Jaked J-EKO
・概要
リサイクル素材「ダイナミックファブリック」を採用した最新環境配慮型モデル。3D構造デザインにより縫い目を削減、優れたフィット感と動作性を実現。

・客観的な評価
使用実績がまだ少ないため、客観的な声がありません。


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  Jaked J-KOMP

海外でも人気が高かったが、試した選手から非常に評判が良かったJ-KOMP
日本国内では流通が難しかった関係で扱いはありませんでしたが、新たに扱いが増えました。
伸縮性の違う生地が混在し、泳ぎを適切にサポートしてくれます。画像からもうっすらわかる縞模様で生地の違いが可視化されています。
着心地が良くKatanaを好んだ選手に人気で、バッタやバックといった泳法で人気を集め、ブレストとも相性が良いとして人気が高い。

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FINIS HydroX(フィニス・ハイドロエックス)

・概要
2023年頃に海外で登場したモデル。内側と外側の二重構造により、内側は快適性、外側は高い撥水・耐水性を実現。特に脚部の浮力向上と体幹の安定性に寄与する設計で、乳酸の蓄積を遅らせる効果も期待される。

・(国際的な)評価
試着したスイマーからは「流線型になり抵抗が低減される」という評価がある一方、耐久性を疑問視する声がある


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  TYR VENZO

・概要
アメリカ発の高圧縮スプリント向け水着。高い圧縮力と独自技術「Surface Lift Technology」により、筋肉サポートとヒップリフト効果を実現。爆発的な反発力(スナップバック効果)が特徴とされる。

・(国際的な)評価
スプリント選手にとって加速性能に優れていると言われる一方で、非常に硬い生地ゆえに着用者を選ぶとの声。
(現在TYRは日本市場から撤退しており、新品の入手は困難となっている点も留意すべきです。

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AQUASPHERE MATRIX

・概要
AQUASPHEREブランドの最新ハイエンド競泳水着で、「Exo-Core」技術を進化させ、高い圧縮力と姿勢補正を重視した設計。背面の補強テープが体幹の安定をサポートし、ストリームラインを維持。主にスプリント種目向けに人気

・(国際的な)評価
「強力なコンプレッションで筋肉のブレを抑え、爆発的な加速を生む」と好評な一方で「着圧が非常に強く、長距離には不向き」着用感はタイトでサイズ選びが難しいとの声。


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男性用女性用
  MP/Phelps XPRESSO

・概要
MPブランド初の競泳高速水着で、「Exo-Core」技術を採用し、筋肉のサポートと柔軟性のバランスを重視し、動きやすさが特徴。股関節の可動域が広く、平泳ぎや個人メドレー種目に適する。高い撥水性を備え、水中での姿勢を高く維持しやすい設計。

・(国際的な)評価
「圧縮力があるが、動きやすく長時間の着用に向いている」おり、「特に平泳ぎや個人メドレーでターンやキックがしやすい」と評価があり、「スプリント向けではないが、汎用性が高く着心地が良い」との意見も。

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男性用女性用


各社が発表をし、当社に情報が入りましたら情報を追加していきます。(公開可能情報に限ります。)

あとがき(2024/10)

2020(2021)の五輪が終わったことを境にして、asicsの競泳撤退に始まり、TYRの日本市場撤退(円高の影響も色濃く)など、競泳用品の業界にとっては寂しい数年となっています。

とはいえ、speedoを擁するGoldwinでは独自技術を活用して高速水着を日本市場に投入するなどの新たな動きも出てきました。

少しずつ外部環境は変わっていきますが、今後も水泳用品選びのサポートをして参ります。



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