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LESSON#002 世界のスパークリングワインを極める!
ひと口に「スパークリングワイン」といっても、世界の産地には実にさまざまな名称や製法、使用品種があり、多彩な個性にあふれています。もちろん、味わいもいろいろ。スティルワイン同様に、飲むシチュエーションに合わせてスパークリングワインも楽しみたいですね。そこで今回は、世界のスパークリングワインについてお話ししましょう。
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 しばしばスパークリングワインの総称のように呼ばれるシャンパーニュ(シャンパン・シャンペンも同じ)ですが、正確にはフランス北東部のシャンパーニュ地方の限られた地域で、瓶内二次発酵製法(シャンパーニュ製法)で造ったスパークリングワインだけが、シャンパーニュと名乗れるのです。しかも、使用する品種も、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3つのみが認められています。シャンパーニュの原料になるぶどう畑は約32,000ha、年間約260万hlのワインを生産しています。
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 シャンパーニュ地方以外の7つの産地で、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵製法で造るスパークリングワインです。アルザス、ブルゴーニュ、ロワール、ジュラ、ボルドー、ディー、リムーの7つで、クレマン・ド・リムーのように産地名を付けます。品種や熟成期間の規定も産地により異なり、シャンパーニュにはない魅力を持っています。なかでもリムーは、フランスのスパークリングワイン発祥の地といわれ、シャンパーニュより1世紀以上も前から、瓶内二次発酵のスパークリングワインが造られていました。
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 スペイン北東部、地中海沿岸のカタルーニャ地方のぶどうで主に造られているスパークリングワインです。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵製法で、品質とコストパフォーマンスの高さで、世界的に人気があります。カバとは、カタルーニャ語で洞窟を意味し、1872年から生産が始まりました。品種は、マカベオ、ビウラ、パレリャーダの3つが一般的で、ロゼのカバにはモナストレルやガルナッチャなどの使用が認められています。
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 イタリアではスパークリングワイン全般のことをスプマンテといい、スプマンテの中でも瓶内二次発酵で造られるものをメトド・クラシコと呼びます。格付けワインでは、トレンティーノ=アルト・アディジェ州のDOCトレント、ロンバルディア州のDOCGフランチャコルタやDOCGオルトレポ・パヴェーゼなどが有名です。これらのメトド・クラシコは、シャンパーニュと同じくシャルドネ、ピノ・ネロ(ピノ・ノワール)を使うので、シャンパーニュ・キラーとも称されています。また、イタリアでポピュラーなスプマンテといえば、ヴェネト州のプロセッコと、ピエモンテ州のアスティがあります。
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 スパークリングワインは白やロゼばかりのようですが、赤ワインのスパークリングもあります。やや甘味があり、豊かな果実味と飲みごたえが特長です。フランスでは主にブルゴーニュとロワールで造られています。イタリアでは、DOC格付けのランブルスコやサングエ・ディ・ジューダなどがあります。また、スパークリングワイン消費世界一のドイツでは、ゼクト(ドイツのスパークリングワイン)最高格付けで、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵の赤スパークリングもあります。いずれも産地由来のぶどうを使い、個性豊かなものばかりです。