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コツさえつかめば簡単!料理とワインの“マリアージュ”
 ワインの世界でよく聞く「マリアージュ」という言葉。本来フランス語で「結婚」の意味ですが、ワインと料理の組み合わせ(相性)のこともマリアージュといいます。お互いに本来の味をさらに引き立てることができる組み合わせを知ると、ワインライフはより楽しくなります。
マリアージュに決まりはあるの? 食事イメージ

 このワインにはこの料理でなくてはいけないという決まりはまったくありません。マリアージュの「いろは」でよくいわれる「赤ワインに肉、白ワインに魚」というのはあくまで目安で、決まりではないんです。味の好みは十人十色ですから、例えば赤ワインと刺身の組み合わせを、Aさんは合わないと思っても、Bさんが合うと思えば、Bさんにとってそれは立派なマリアージュ。ただ、いろいろな目安をよく知っていると、どんなワインや料理でも失敗が少なく、マリアージュの楽しみの幅が広がるというわけです。

絶対にワインに合わない食べ物ってある?

 1時間目にもあるように、味の好みは十人十色なので絶対ではありませんが、ワインに合わせにくいといわれる食ベ物はいくつかありますので、ご紹介します。でもこれもあくまで目安。調理や味付け次第、またはその人の舌次第ですから、合わないと決めつけられないのが、またワインの面白いところですね。

ウニ、塩辛

●イクラやタラコ、カズノコなどの魚卵類
ワインと合わせると生臭さが強調されるといわれています。同様の理由で、ウニや白子などの海産物、塩辛や干物などの加工品も合わないといわれています。

スープ

●スープや水分の多い料理
食事においてワインが果たす大きな役割は口を潤すということ。すでにスープで潤っている口にワインを足しても、双方の味わいが薄まるばかりで、美味しさを感じることが難しくなってしまいます。

漬物、酢の物

●酢の物や酸味の強い漬物
ワインには酸味があるので、直接舌に感じる酢の味が強い料理にはワインが負けてしまいます。

マリアージュの簡単なコツを教えて!

 いろいろなワインにいろいろな料理を組み合わせてみて、ご自身の愛すべきベスト・マリアージュを探し出すのがいちばんですが、その手がかりとなるマリアージュの実践法をご紹介しましょう。

白ワインに合う料理

▶実践①料理とワインの色を合わせる
仕上がった料理の色、またその色が持つイメージから、合うワインを発想していく方法です。肉とか魚とか食材ではなく、調理後の料理の色に注目します。
例〉
●グリーンの料理×緑色がかった白ワイン
●白〜黄色の料理×黄色がかった白ワイン
●ピンクや赤の料理×ロゼ、ライトボディの赤
●茶や黒っぽい料理×赤ワイン

赤ワインに合う料理

▶実践②ボリューム感で合わせる
料理を食べた時、ワインを飲んだ時のボリューム感(重さ)で組み合わせる方法です。料理の味付けの濃度に注目します。
例〉
●あっさりした味の料理(脂の少ない料理)
 ×爽やかな口当たりの軽いワイン
●こってりした味の料理(脂の多い料理)
 ×ふくよかで濃厚な重口のワイン

マッシュルーム、パセリ

▶実践③香り・風味で合わせる
ワインはぶどうだけでしか造られていないのに、飲んだ時にはいろいろな香味を感じるものです。それに似た料理を合わせる方法で、ワインを先に開けた場合や、知っている味のワインを飲む場合に役立ちます。
例〉
●コショウなどのスパイシーさを感じるワイン×料理の仕上げに黒コショウを振ったり、コショウが味の決め手の料理
●キノコや根菜などの土っぽさを感じるワイン×キノコや根菜類を使った料理
●ハーブや若葉のような青っぽさを感じるワイン×ハーブや葉菜類を使った料理

食事のイメージ

▶実践④料理にそのワインを入れて調理する
料理の味とワインの味を同調させる方法です。高価なワインを飲む場合はもったいないですから(笑)、同じ色のワインで料理に入れても惜しくないものにしましょう。
例〉
●魚介や鶏肉を白ワイン蒸し×白ワイン
●赤ワインを煮詰めたソース×赤ワイン

ムニエル

▶実践⑤ワインを卓上調味料として使う
2時間目で酸っぱい料理はワインに不向きといいましたが、酸味が強いワインを「酸味が欲しい料理」に合わせる方法です。レモンなどを搾る代わりに、いっしょにワインを飲みます。塩コショウなどのシンプルな味付けにすると、ワインの酸味が引き立ちます。
例〉
●白身魚のフライやムニエル、鶏肉のシンプルなグリルや蒸し鶏、サラダなど

世界のワインの有名なマリアージュを教えて!

 数えきれないほどたくさんのワインと、たくさんの料理があり、数限りないマリアージュが存在するわけですが、昔から大切に受け継がれ、定番として人気の高いマリアージュがあります。

ワインに合う料理

●シャブリ×生牡蠣
ブルゴーニュ・シャブリ地区でシャルドネ種100%から造られる白ワイン。シャブリの畑はかつて海で、土を掘り起こすと牡蠣の化石が見られます。牡蠣の貝殻のミネラル分が土壌に溶け出し、ぶどうはそのミネラルを吸収して、きりっと引き締まった辛口のワインが生まれます。そのため、シャブリと牡蠣は抜群の相性といわれるんですね。
●ソーテルヌ×フォアグラ
ボルドー・ソーテルヌ村で造られる濃厚な甘口の貴腐ワイン。ボルドーから南西地方にかけてはフォアグラの一大産地で、伝統的な組み合わせとして食べられていました。実践②のように、フォアグラのこってりとした脂を、貴腐ワインの濃厚な甘味で中和させるのです。また、同じボルドー地方の力強いフルボディの赤ワインは、タンニンがフォアグラの脂を流し、口の中を引き締めてくれる、ステキなマリアージュもあります。