シルバーアクセサリーが、温泉などで黒く変色してしまうのはよく知られていますね。
でも、購入して間もないのにシルバーアクセサリーがいつの間にか黄色っぽくなった、黒くなってしまった!
そんな経験されて、がっかりしてしまった方もいるのではないでしょうか。
実はこれ、酸化しておこった「サビ(錆)」ではないんです。
黒く変色してしまう本当の原因を知り、正しいお手入れや保管方法を知ることで、変色を可能な限り防ぐことができます。
この記事では、シルバーアクセサリーの変色の原因や、変色を防ぐための具体的なお手入れ方法、保管のポイントを詳しく解説していきます。
大切なアクセサリーを長く美しく保つために、ぜひ最後までお読みください。
目次
シルバーの変色の原因は硫黄と塩素
錆(さび)だとよく思われているこの変色の正体は、実はシルバーが硫黄成分や塩素に反応して黒く変色する
「 硫化(りゅうか) 」または「 塩化(えんか) 」
という化学反応です。
硫化や塩化ってサビと何が違うの?
時々「シルバーって錆びてしまいますか?」
というご質問をいただくことがあります。
ご安心ください、答えは『 No 』です。
硫化・塩化はサビとは違います。
「錆び」は、鉄などが水に濡れたりして時間が経って、
金属自体が赤茶色になってボロボロになってしまう現象です。
「錆び」は金属に浸食して劣化させてしまい、1度錆びると修復はほぼ不可能です。
ですが、「硫化」は金属表面に「硫化膜」ができているだけで、金属内部に浸食しません。
ですから、表面を磨くだけで元の輝きが戻ります。
何十年も昔の古い10円玉でも磨くとピカピカに戻りますよね?
硫化はそんなイメージです。
実は銀を錆びさせてボロボロにすること自体、
普通の生活ではほぼ不可能だそうです。
長く保管しておいても、ちゃんとしたシルバー製品であれば
金属内部が劣化してボロボロになってしまうことはないので安心してくださいね。
シルバーアクセサリーが半永久的に使える一生ものになるというのは、
こういうことからなんですね。
日常生活の中での変色要因
硫黄について
日常生活の中で硫黄なんて触れることあるの?
と思われる方は多いかもしれません。
硫黄と聞いて思い浮かぶのは温泉だと思うのですが、
実は空気中にも硫黄は存在します。
シルバーアクセサリーを置いておくだけで変色してしまうのはこの為です。
温度や湿度が高いと反応が早まったり、硫化物が湿気に溶け込んで反応しやすくなりますので、夏場や梅雨の時期などは要注意です。
人の皮脂に含まれるタンパク質の成分中にも
わずかに硫黄が含まれているんです。
また化粧品に含まれる界面活性剤にも硫黄分が含まれています。
意外なのが、ゴム・合成ゴムやパーマ液や白髪染め、洗剤。
これらにも実は硫黄分が含まれています。
この他にも、
石油ストーブやファンヒーターの灯油の中には硫黄分があり、燃焼されて室内に硫黄成分が充満しますし、自動車のガソリン中にも硫黄が入っているので、クルマの排気ガスの中には硫黄分が含まれます。
直接触れていなくても、近くに置いておくとこれらの製品から発生した硫化ガスが変色の原因になりますので、シルバー製品と一緒に保管するのは避けましょう。
塩素について
また塩素も銀製品を黒くさせます。
具体的には汗・海水塩分・カルキ・塩素系漂白剤やカビ取り剤・塩化カルシウム系の防虫剤や除湿剤などになります。
他にもドライクリーニングに使われる塩素系有機溶剤も塩化の原因になります。
直接アクセサリーと触れていなくても塩化成分が空気中に含まれていると銀と化学変化を起こしますので、ドライクリーニング後の衣服に近づけたり、防虫剤や除湿剤を使っているタンスの中での保管は控えましょう。
塩素系の消毒液にも要注意です。
やっかいなのは、塩化膜は硫化よりも固く、変色してしまうと戻すのが大変ということ。
「でも塩素って水にも含まれるでしょ!?何か着いてしまった時洗い流せないってこと?」
と思われた方、ご安心ください。
水道水で濡れたまま長時間放置することを繰り返さなければ、神経質になる必要はありません。
洗ったあと、柔らかい布で水分をきちんと取り除いてあげれば大丈夫です。
化粧品や香水など化学製品
上記のように、硫化や塩化の原因になるものは他にもたくさんあります。
化粧品や香水などの化学製品も銀の変色の原因になりやすいので要注意です。
アクセサリーをつけたまま、香水をつけたり、ハンドクリームや化粧品がついたままの手でアクセサリーに触れたりすることで、より変色の原因になってしまいます。
・香水はアクセサリーをつける前に。
・ネックレスに触れる部分は避ける。
・化粧品などが着いたままの手で触れない・着用しない
など、なるべく化学成分との接触を避けましょう。
大事なのは
こまめな拭き取りと着用後の保管方法
え、原因てこんなにあるの?
いちいち硫化や塩化の原因になるか気にして使うのなんて面倒臭いし無理!
そう思われた方もいるかもしれません。
大事なのは、
・塩素分や硫黄分や化学成分に触れた時に、そのまま放置せず早めにきちんと拭いてきれいにしてあげること
・着用後は毎回きれいに拭き取ること
・なるべく原因となる成分に触れない環境で保管すること
です。
でもOps.のアクセサリーは
透明コーティングされているから
変色しにくいんでしょ?
なのにすぐ変色したけど品質が良くないんじゃない?
まれに、
「透明コーティング済みなのに、あっという間に変色してしまったけど何故?」
というお問合せをいただくことがあります。
Ops.のシルバーアクセサリーは、硫化・塩化を遅らせる為の透明コーティングを施しています。
(一部のアクセサリーはデザインや使用素材によりコーティング不可のため対象外)
肌や衣服との擦れで徐々に膜は薄くなっていきますが、このコーティングは、透明膜により無施工状態と比較し変色反応を遅らせることができるものになっています。
しかしながらこちらの透明コーティングは、
・完全に変色を止めるものではない
・アクセサリーを小さなジップ付き袋に入れずにそのままトレーやケースで保管
・その他硫化や塩化の化学反応が起きやすい環境
などでは効果は十分に発揮できませんので、透明コーティング済みの製品でも、下記の方法にて保管・お手入れを行っていただくようおすすめしております。
シルバーの普段のお手入れと保管方法
見た目には何も汚れているように見えなくても、水分や汗・脂・化粧品が付着している場合があります。
普段のお手入れは、使用後に研磨剤などが入っていないセーム革やメガネ拭きなどの柔らかい布でやさしく乾拭きをしましょう。
気になる汚れがある場合はサッと水洗いしてしっかりと水分を拭き取りましょう。
研磨剤入りのシルバー用の磨きクロスと、
そうではないメガネ拭きのような柔らかい布がありますが、
普段のお手入れでしたら研磨剤なしのただの柔らかいクロスだけで十分です。
ゴールドメッキされているアクセサリーは、強く磨きすぎるとメッキ剥がれの原因になりますのでやさしく拭き上げてください。
そして綺麗に汗や皮脂、化粧品などを拭き取った後に、
密閉できるチャックつきの小さなビニール袋などに入れ、
出来るだけ空気を抜いて保存しておきましょう。
2重にしてあげるとより空気中に含まれる原因物質から遮断できます。
・使う度にこまめに拭く
・チャック付き小袋で二重で保管
少し面倒かもしれませんがこれだけでかなり変色を防止することができます。
頑固なシルバーの黒ずみの落とし方
普段からマメなお手入れをしていても、
やはり時間が経てばスペシャルなお手入れが必要になります。
そんな時は、下記の方法を試してみましょう。
<<お手入れ前の注意>>
- ゴールドコーティングされているアクセサリーは コーティングが剥がれて色落ちしてしまうので 下記方法でのお手入れは避けましょう。
- パールや天然石付きのアクセサリーは、石部分を避けて磨くようにしましょう。 天然石やパールにポリッシュ液をつけたり水に濡らすことはやめましょう。
シルバー専用磨きクロス
通販サイトやホームセンターで数百円で手に入ります。
研磨剤が含まれており、磨くと黒ずみが取り除け、艶も出ます。
表面のごく薄い擦り傷なら、磨くことで目立たなくなる場合もあります。
<<使用上の注意>>
- アクセサリーが変形しないように力の入れ方に気を付けること
- 表面に艶消し加工がしてあるアクセサリーの場合は、
クロスで研磨することでマット加工が薄くなってしまうこともある - ゴールドコーティングされているアクセサリーは研磨剤でコーティングが剥がれて色落ちしてしまうので使わない
使用後はアクセサリーに研磨剤が表面についているので、別の柔らかい布で拭いてあげるか 気になる方は水でゆすいであげてください
シルバークリーナー液
1000円〜2000円前後で多く販売されています。
液に数秒程度漬けて、ジャバジャバと揺すってあげるだけで
真っ黒だったアクセサリーも見違えるほど綺麗になります。
クロスでは届かないチェーンや凹凸があるデザインのものも
きれいになるのがクリーナー液の良いところ。
引き揚げたあとは水で十分にゆすいで、しっかり水分を拭いてください。
<<使用上の注意>>
-
表面が白っぽく変色してしまう場合があるので、
- 洗浄液に10秒以上つけないこと
- 頻繁にやりすぎないこと
もし表面が白っぽく変色した場合は、シルバークロスで磨いてあげれば大丈夫です。
ゴールドメッキアクセサリーが変色してしまったら
ゴールドメッキってどれくらい持つの?
ゴールドメッキの持続性は多くの要因に影響されるため、一概に「これくらいの期間持つ」とは言い切れませんが、化学変化や湿度や温度の受けにくい環境・状態で保管できれば1-2年は持つと言われています。実際に筆者の自宅の一般的な環境で約4年間保管した金メッキリングと、メッキ後3週間程のリングの比較画像が以下になります。
やや退色していますが、月1-2回度程度の低い着用頻度であれば、適切な保管でこのくらい金メッキを持たせることも可能です。
<<持続期間に影響する主な要因>>
- 使用頻度: 週に1-2度などの頻度であれば、適切なお手入れと保管方法で、1-2年持たせることも可能です。
毎日使用する場合や、一回の使用時間が長い場合は、持続が数ヶ月になる場合もあります。 - 着用箇所:リングなどは特に肌との接触面積が大きく摩擦や汗・皮脂、水分、化学物質に触れる機会・時間も長くなる為、持続が数ヶ月になる場合もあります。
ネックレスのチェーン部分は、首元の汗が付着しやすく変色しやすい箇所になります。
- 使用状況: スポーツなどをする際にアクセサリーを身につけていると、摩擦や衝撃、汗などでメッキが剥がれやすくなります。このような状況下では、数ヶ月程度でメッキが薄れることが考えられます。
- お手入れの方法: 適切なお手入れを行うと、メッキの持続期間が延びます。しかし、間違ったお手入れ方法を取ると、数ヶ月でメッキが剥がれる可能性があります。
- 保管環境: 変色原因となる硫黄分や塩素の影響を受けにくい場所、また湿度や直射日光の影響を受けずに保管されている場合、メッキは平均で1-2年持つことができます。
- 個人の体質: 皮脂や汗に含まれる硫黄分は変色の原因となります。また皮脂や汗の酸性度が高い体質の方はメッキが薄れやすいことがあります。
- アクセサリーのデザイン: 細部にディテールが多い、または摩擦が多くかかるデザインのアクセサリーは、メッキが薄れやすい場合があります。
ゴールドメッキアクセサリーのお手入れ
ゴールドメッキされているシルバーアクセサリーは、その色合いを保つために普段から変色しないようにこまめなお手入れが必要です。しかし、間違った方法でのお手入れは、メッキ剥がれの原因となります。
シルバー用クロスやクリーナー液の使用は避ける: シルバー用のクロスで磨いたり、シルバークリーナー液に浸けると、メッキ膜が剥がれるリスクがあります。これは、メッキされていないシルバーアクセサリーよりも注意が必要です。
正しい保管環境を選ぶ: 上項で説明の通り、着用後は柔らかいセーム皮やメガネ拭きなどですぐにきれいに拭き上げて、小さなチャック付き袋に2重にして入れる。湿度や直射日光から遠ざけ、変色の原因になるものが近くにない適切な環境で保管することが重要です。
中性洗剤で洗う
万が一、変色してしまった場合には、下記の方法で綺麗にすることも可能です。(※パールや天然石がついているデザインのアクセサリーは不可)
- 耐熱性の容器に、沸騰する手前(80度くらい)のお湯を入れる
- 中性洗剤をその容器に入れ混ぜる。
- そこへアクセサリーを投入する
(アクセサリー同士がぶつかって傷付かないようなるべく重ねずに) - そのまま30分ほど放置し、一つづつ十分にすすぐ。
- アクセサリーの水分をしっかりと拭き取る
ゴールドメッキのかけ直し
上記のお手入れ方法でも綺麗にならない場合には、硫化膜よりも固く落ちにくい塩化膜が張ってしまっている可能性があります。その場合にはメッキの掛け直しを検討しましょう。
Ops.では、メッキの掛け直しを有料で承っております。ただし、アクセサリーのデザインや使用素材、表面の仕上げ方法によっては、メッキの掛け直しが難しい場合もございます。掛け直しを希望される方は、事前にお問い合わせいただくことをおすすめします。