ペーパーグラスについて

コンパクトさの中に機能性と美を秘めた画期的な老眼鏡が発案された。

収納しやすく機能的で美しい老眼鏡、ペーパーグラスのプロトタイプが発案された。デザインチームは眼鏡デザイナー澤田雅広を中心として組織された
そのフレームとは折りたたむと厚みを持たず平板でしかもコンパクトになり、いったん開くとテンプルはダイナミックな曲線を描き、
無理なく顔にフィットしレンズ部は鼻先に収まり本を読む視線に位置するというもの。
一読すると簡単な構造のようだが、その開発は困難を極め、澤田は西村金属に課題を持ち込んだ。

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最薄への挑戦。それは常識への挑戦でもあった。

手帳や本に挟める薄さ。

薄さに挑戦している眼鏡は以前よりあった。
折りたたみ式、スライド式のテンプルで平板に近づこうとするタイプのものだ。通常の眼鏡を俯瞰で見るとわかりやすいが、
実に突起物が多いことに気づく。特にブリッジ、鼻パッド、丁番、テンプルからモダンにいたるカーブ等だ。
ペーパーグラスはブリッジと鼻パッドをなくし、直接鼻にかけるひと山でフロント部を平面化した。
あとは「智(ヨロイ)」と丁番、テンプルの収め方が問題として残った。

西村金属といえば、眼鏡用従来極小ネジ、丁番の金属加工からスタートした企業である。
プロジェクトが最大の難関に取り掛かっていたある日、西村金属社長である西村忠憲がひとつの丁番を持ってきた。
それはリムに対して角度を付けず垂直に枢支軸を設けるというものだった。ここで、最難関であった突起物がなくなった。
次にこの枢支軸に対し、テンプルをどう装着するかである。工場の片隅で、澤田の新しい挑戦が開始された。

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シンプルに見えるひとつひとつの機能が、想像を絶するミーティングと実験によって生まれている。

ペーパーグラス本体の材料にはステンレススチールが採用された。
テンプルにも使用されることになるが、滑らかなカーブを描かせるためにかなりの実験が必要となる。
画期的な丁番と智によって得た平面だが、それに従って閉じたテンプルの重なりを限りなくゼロにしなくてはいけない。

収まった時点では、平面の維持とフロントの天地もダウンサイズするのだ。
澤田は3D-CADでシミュレーションを重ねていった。テンプルに豊かなカーブを付ける、
そして丁番をリムに対して下向きに装着すると思い描いたフォルムができそうだ。
プロトタイプ作成のためにテンプルにカーブをつけていく。

ステンレススチールという素材は、ワイヤー(針金)のようにドラムに巻いた状態になっている。
つまり塑性変形しているワイヤーに改めて繊細なカーブを与えるのだ。
テンプルを開く時のわくわく感、閉じる時のセレモニー的な気持ちにさせるデザインはこうして生まれていった。

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工場の片隅で生まれたペーパーグラスは、鯖江の技術と精神の象徴といってもいい。

販売プロモーション担当 西村明宏

ペーパーグラスは胸ポケットや和服の帯に、すっとはいって持ち運びの邪魔にならない老眼鏡として販売されている。
フィッティングに関しては極めてシンプルなフォルムと、ダイナミックなカーブを持ったテンプルで対応している。

販売プロモーションを担当する西村昭宏が語る。
「ペーパーグラスは、加工屋が作ったフレームです。
このようなプロセスで誕生したフレームは初めてでしょう。
最大の特徴はペーパーグラスに込められた想いや技術が100%福井県鯖江産だということ。
このフレームが世界に流出していく時、鯖江の技術力が無言のプレゼンテーションを始めていくのです。

ペーパーグラスは商品自体が存在を語る、楽しくて美しい老眼鏡なのです。
たたむ時の優越感、開いた時の至福と、一連の動きを見て驚く相手の方と感動を共有できる、そんな老眼鏡なのです。」

ネームホルダーのようなケースから出し、眼鏡を開き顔にフィットさせる、役目を終えてたたみケースに収める。
この一連の行動の隅々に新しい感動があるペーパーグラスをぜひ試していただきたい。

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Made in SABAE BrandStory 細部にこだわったデザインは、心地よい驚きを呼ぶ。 Storyの続きを読む