2022.07.26 tue

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著者:黒澤

皆様こんにちは!
ring大阪店の黒澤です。

前回のfukuonseiの反響が凄まじく、店頭ではいじられ三昧でした(笑)

ご多忙の中読んでいただいた皆様、本当にありがとうございます!

京都での暮らしにも徐々に慣れ、いよいよお休みを使って大阪に足を延しました。

仕事以外で大阪を訪れたことは無く、行き先を迷っていたところ、ring大阪店の大先輩、脇川さんが以前のfukuonseiで中之島美術館について書かれており、オススメをいただきましたので目的地が決定。

今回もお付き合い頂けますと幸いです。

大阪の中核であり、水都のシンボルである中之島に6000点を超す近現代美術の「夢」を抱えた黒い直方体の建物。

まるで強い日差しが注ぎ込む、雲のない青空に空いた穴。

引き込まれるかのように足を踏み入れた。

夏の訪れと共に愛と創作の人生に出会う。

イタリア・トスカーナ州リヴォルノに生まれ祖国で美術の基礎を学び、21歳で国際的な芸術都市パリへ。各国の芸術家が集うモンマルトル、モンパルナス両地区を行き来して画塾で人体写生を学び、サロン・ドートンヌに絵画を初出品。

冒頭に掲げられた絵画《青いブラウスの婦人像》は、「青の時代」のピカソ作品を連想させ、まだ個性は薄いが、長く強調された首が美意識の在りかを物語る。

彫刻は世界に二十数点しか残っていないが、古代の神殿建築に用いられたカリアティード(梁を支える女性を模した彫像)を念頭に描いた絵画は、希求した立体美がうかがえる。

他の作家25人の絵画や素描が、交友関係も紹介する。百花繚乱とも呼びたくなる、それぞれの作品の個性に目を見張る。絵画も所々に挿入され、見比べることで表現主義的な絵画に対し、抑制した筆致は静謐さが強く感じられる。最先端の表現を吸収しながら古典美への愛着も手放さず、独自性を追求しようとした意志が伝わる。

世間の評価を待たずして貧困と生来患っていた肺結核に苦しみ、大量の飲酒、薬物依存などの不摂生で荒廃した生活の末、35歳の若さで結核性髄膜炎によりこの世を去る。後を追って最後の3年をともに過ごした女性も自宅から飛び降り自殺した。この時、妊娠8ヶ月だったという。

挫折を繰り返すなか、自分が守るべき唯一の「夢」としてひたすらに創作を続けた生き方に触れた。 空に空いた黒い穴はモディリアーニという男の人生に出会う扉だった。

京都へ戻る扉をくぐったのは夕焼けが沈む頃だった。

出迎えは市内の町家の瓦葺きの波に、海のない京都の街を照らす灯台。

まるで落日を見送る雲のない夕空に浮かぶ燈。

導かれるかのように帰路についた。

中之島の空にあいた黒い穴は構想から約40年という異例の時間を経て開けられた。

構想から開館まで立ち会えなかった人も多い。

モディリアーニは「夢」を持ちながら貧困に苦しみ若年で息絶えた。

彼のように「夢」を持って故郷を飛び出した己に、京都の夜風と扉の奥に見える灯台が告げている気がした。


「時間は限られている」と。


18で衣料品業界の扉をくぐり、夏の訪れと共に今年で23を数えていた。


参考:大阪中之島美術館「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─」レポート永田晶子 2022年4月11日


アートや建築には関心があり、オススメをいただきましたので立ち寄った今回ですが、展示内容はとても考えさせられるものでした。本当に来てよかったです!

モディリアーニの会期は7/18までで終わってしまうようですが、豊富なコレクションと素敵な建築でこれからも訪れる人々を魅了してくれることでしょう。

また機会があれば訪れてみようと思います!


23歳も張り切って頑張ります!!



くろさわ める

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