2馬力ボートは、小さくても動力船で、ボート免許(小型船舶操縦士免許)を持っていなくても乗ることができ、長さ3メートル未満の船と、2馬力以下の出力の船外機を組み合わせたものを「2馬力ボート」と呼ぶ。微小な動力船とはいえ、海や湖、川など、全国の水辺で活用でき、釣りをはじめ、いろんな遊びに使えるボートだ。沿岸で釣りをしこいた人たちは、2馬力ボートで行ける範囲で十分こ満足できるといえる。
また、これまで岸から釣りを楽しんでいた人が、「もう少し沖を狙いたい」、「もう少し深いポイントを探りたい」、「陸から行けないあそこで釣りをしたい」という思いをかなえるために、2馬力ボートに乗り始めることも動機の一つとなる。2馬力ポートは、大きなボートに乗っていた人や、これまでボートに乗ったことのない人でも、その魅力に十分浸れる乗り物となりえる。
ガソリン船外機は少し音が大きいので、ほぼ無音のエレキモータで運行することにより、大きな音に敏感な犬や、小さな子供を乗せ、湖での水上ピクニックやクルージングで、四季折々の風景を楽しんだり、絵画や写真、バードウォッチンクなど、遊びの幅がぐーんと広がるだろう。
長さ3メートル未満のポートと、2馬力以下の出力の船外機を組み合わせたものが、2馬力ボートとよばれているが、2馬力ボートといっても、ボート本体の形状や材質はさまざま。
動力の船外機と、エレキモーターの種類も数多い全長3メートルのインフレ一夕ブルボートなら、ちょっと腕に力があれば、肩に担いで運ぶこともできるほど手軽なボートだし、2馬力専用のボートなら、軽量に造られているため、FRP製の一体型ボートであっても、女性でも簡単に動かせる。
2馬力ボートは小さくて狭いが、大人2人くらいなら十分に釣りを楽しむことがでる(なお全長3メートル以上のボートに2馬力船外機を搭載すると2馬力ボートではなくなるので要注意。)。
陸上の自動車などが「車検」を受ける必要があるように、動力を装備した船舶は「船検」(船舶検査)を受ける必要がある。レジャーに使われる小型船舶も、船検を受けなければ航行することができない(一部例外もある)。
しかし、2馬力ボートに関しては、この船模を受ける必要がなく、まさに手軽な水上の乗り物となっている。ただ、船検不要ということは、ボート本体や船外機の安全性については、ユーザーの自己責任に委ねられている、ということになる。船検では安全備品が定められており、検査時に厳しくチェックさるため、2馬力ボートでも最低限の安全装備を持つことは当然と考えてほしい。
2馬力ボートは、3.33メートル未満であれば、2馬力ボートとして使えることになる。また、ボートの動力源となる船外機は、ガソリン船外機を主体に「馬力」表示が一般的で、正式な出力の表示は「ワット」となっている。法律では長さ3メートル未満のボートに組み合わせることで、ボート免許と船検不要で乗ることのできる動力は「出力1.5キロワット未満」と規定してあるので、この1.5キロワットを馬力に摸算すると、2.039馬力となり、2馬力と表示されている船外機は、1.5キロワット以下の動力ですので、船検不要となる。
2馬力ボートは、全長が規定されているだけで、その他のボートサイズに関しては、とくに規定はない。船内の深さや重量は、長さ3メートルというサイズに対して、自動的にある程度は決まってくるが、横幅に関しては面白い発想がいろいろとでき、極端な場合、3メートル×3メートルのイカダ型ボートもあり得る。
ボートの安定性を高めるためには、ある程度ボートの幅が広いほど有利で、幅1メートルよりも1.5メートルのボートのほうが、圧倒的な安定性を得られる。
インフレ一夕ブルボートに比べて安定性の低いFRPボートに装着する補助浮力体などは、2馬力ボートではかなり人気のあるオプションパーツとなっている。
2馬力船外機を装着した長さ3メートルのポートは、実際のところそんなに速くはない。オールで漕ぐよりはるかに移動が楽な程度だが、2馬力ポートのスピードでも十分に楽しめる。
平均的な体重の大人1人乗りでは、時速9キロ前後が2馬力ボートのスピード。また、小型のボートには1馬力のガソリン船外機という選択肢もある。こちらのスピードは、エレキモーターと同じ、時速5キロ前後となる。
2馬力ボートの最大サイズとなる長さ3メートルのボートに2馬力のガソリン船外機を組み合わせるのが最もポピュラーで、大人1人が乗った状態では、時速8〜10キロが平均的なスピードとなり、歩くスピードが平均時速4キロ程度なので、軽くランニングする程度と考えて良い。
また、ボートが小さく、船外機の出力も微小だから、荷物の量や乗る人の体重によってスピードはかなり変わってくるし、ボートに乗る位置によっても時速1〜2キロの違いが出る。
実際に走航する時には、できるだけボートの姿勢を水面に対し、平行になるように、荷物を載せる位置や人の乗船位置を調整し、バランス配分を考えることが重要だ。スピードに影響するのはもちろんのこと、スピードの出るボート姿勢=燃費の良い走航にもつながることを頭の片隅に入れておいてほしい。
豆知識になるが、船外機の出力は2馬力で共通している場合でも、トルクなどがモデル(メーカー)によって異なり、同じボートでも船外機によってスピードに違いが出る。とくに排気量の大きな船外機ほどパワーが大きくなる傾向があることは車と同じである。また、プロペラが樹脂製かアルミ製かによっても変わってくる。
バッテリーを動力源とし、モーターによってプロペラを回転させるエレキモーター(エレクトリックモーター)は、電動船外機とも呼ばれ、12ボルト仕様のモデルでは平均速度が時速5キロほどになり、人の歩くスピードとほぼ変わらない。
24ボルト仕様や36ボルト仕様でも2馬力ボートとして使えるモデルもあるが、重量20キロ以上あるバッテリーを2個も3個も積むのは、小さな2馬力ボートではあまり現実的ではなく、お勧めしない。
また、2馬力ボートのガソリン船外機は、2馬力仕様がほとんどだが、1馬力のガソリン船外機もある。非常に軽量なので、持ち運びも楽だし、価格も安い。ただし、現存モデルは音が大きい空冷だけなのが最大の難点である。この1馬力のガソリン船外機もエレキモーターと同じくらいで、時速5キロ前後が平均スピードとなる。
繰り返しになるが、2馬力ボートは小さいので、荷物を載せる位置や、乗員の座る位置によって、ボートの姿勢は大きく変わる。後部こ装着されている椅子に座って走行すると、極端な例ではあるが、船首が上がりすぎて効率の悪い走航姿勢となる。スピードも遅いし、燃費も悪くなる。ボート中央に乗り、ボートを水平姿勢にすると、スピードは速くなるし、燃費もよくなる。まずは人や荷物を載せる位置を調整し、良好な走航姿勢を作り出すことが大事となる。
・2馬力ボートは万が一の時のために、オールは必携。もちろん予備燃料を持つことも忘れずに。
・2馬力ボートの頭上タンク容量は1リットル前後。アウトドアショップなどで買える小型のガソリン式コンロの燃料タンクも携帯しやすい。船外機の頭上タンクには入れやすいが、揺れた海の上では簡単にはいかないので注意が必要。
繰り返しになるが、ガソリンを燃料とする2馬力船外機は、船外機本体に燃料タンクを持つ頭上タンク式になっている。このタンクの容量はメーカーによって異なり、1リットル前後が普通。この1リットル前後の燃料で全速走航すると、30分から1時間程度で燃料が空になる。走航時間にかなりの差があるのは、船外機の構造や排気量、装着するボートの種類やボートの積載重量(人と荷物の重さ)、水面や風の状況によって大きく変わるからというのは前述のとおり。
水面に波もなく無風の状態は、最もスピードが出る条件であり、同時に燃費も良くなる。また、走航効率のよいボートかどうか、積載重量はどうかなども、燃費に大きく影響する。しかし、ボートの場合、単純に軽ければ燃費がよいというわけにはいかない。いくら軽いボートでも、走航時の抵抗が大きな船型だと、燃費はかなり悪い。フルスロットルで走ってスピードが出ない場合は、燃費も悪いことが多い。燃費やスピードに関しては、船型や船外機との相性などが複雑にからむので、なかなか難しい。まずは入門モデルで感覚を身につけよう。
繰り返しになるが、2馬力ボートはエンジンや電動の船外機を装着することができ、走航能力は手漕ぎと同じと考えたほうがよい。最高速度は手漕ぎよりも速いし、予備燃料の準備さえあればかなりの距離を走れる。しかし、天候が一変し風が吹き始めれば、2馬力程度の出力では全く進まなくなる。それどころか、沖へ流されることもゼロではない危険も考慮しておこう。
2馬力ボートには、万が一のためにオールー式を携行するのが常識となっている。急激な天候変化、船外機の故障などに対応できるよう携行するためだ。よって、手漕ぎで無理なく帰ることができるエリアが、2馬力ボートの航行範囲と心がけたい。
手漕ぎで難なく帰ることができる範囲というのも、人によってかなり解釈が異なるので目安としては、「陸にいる人が何をやっているか分かる距離」と覚えておくといい。海岸釣りザオを握っている様子などが分かれば、その距離が2馬力ボートの安全圏となる。ただし、陸にいる人が見えたとしても、そこが「緊急着岸」できる場所でなければ安全圏ではないので勘違いしないよう。
オールの携行と同様、予備燃料も必ず持つようにすること。ガソリン用の携行缶はホームセンターなどでも売られており、2リットルの小型タイプが重量の上でも2馬力船外機には最適である。また、アウトドアショップなどに行くと、ガソリンを使う小型コンロ用の燃料タンクを売っており、これの容量が1リットル弱なので、ちょうど2馬力船外機の頭上タンク1回弱こ相当する。
海上で給油するときは、ボートが揺れる中での作業になることと、ボートの最後尾に行くため、ボー卜の安定性が著しく低下する。べ夕凪の海でも面倒な作業を、波が高い状況で行うのはかなり難しいことを注意する。予備燃料を持てば遠くまで行けるが、荒れた海で給油しながら帰ってこられるかどうか、これは必ず頭に入れて行動することが必要だ。
・岸にいる人が見える範囲とはいえ、天候が急変したときに、すぐ着岸(緊急避難)できるような場所でなければ安全圏とはいえない。とくに岩礁地帯で釣りをするときは、天候変化に気を配ろう。
・2馬力ボートでは必ず旗を掲揚する。免許不要で手軽なボートとはいえ、水上へ出れば立派な船舶であり、ちょつとした波やうねりの谷間に入るとすぐ見えなくなのが2馬力ボートなので、自船の存在はしつかりとアピールすることが安全な運行の1歩となる。
2馬力ポートは用途や自分をとりまく環境によってさまざまなタイプから選択できるのが特徴。例えば、FRP製の一体型ボート。ボートとしての基本性能は折り紙付きだが、車への積載方法と自宅での保管場所を考慮する必要がある。インフレ一夕ブルボート(ゴムボート)は、2馬力ボートとしてはユーザー数も多く人気が高い。運ぶための車を選ばないことや、リーズナブルなのが支持される理由である。
2馬力ボートは、一口に長さ3メートル未満の小さなボートだとはいっても、その種業やサイズはさまざま。まず、ボート本体のタイプを4種類に分け、特徴をまとめた。
一体型ボートの長所は、船体剛性が高く、基本的に頑丈であるということ。また木製を除いて、塩や紫外線などによる劣化にも強いため、長年使えるという利点がある。しかし、一体型ボートの短所といえば、車の屋根やボートトレーラーなどに載せて運ばなければならないこと。車の屋根にポートを載せるには、キャリアバーなどを用意する必要があるし、そもそも数十キロのボートが載せられる強度のある屋根を持つ車でなければならない。また、車の屋根にボートを載せる作業はかなりの重労働で、体力も必要となる。さらに、一体型ボートを購入する際には、家での保管場所をあらかじめ考えておくことも必要。つまり、一体型ボートは、自分の車で持ち運べるか、家に置いておけるかという2点をクリアにしておかないと、購入後に大変なことになる。
インフレ一夕ブルボートは、空気注入式ボートという意味である。ゴムボートという言葉のほうがピンとくるかも知れない。このボートの長所は、空気を抜けば、非常に小さくなることであり、持ち運ぶ車の大きさを考慮することもなく、家での保管場所にもそれほど困らない。特に都市部に住む人に人気がある。また、空気を充填したチューブで形成された船体は、水面での安定性が高く、安全性に優れたボートでもある。しかし、短所といえば、準備と片付けが他のボートに比べてかなり面倒なことと、手荒に扱えば穴が開いてしまうことである。耐久性にしても、一体型ボートのFRPやポリエチレン製に比べると劣る。とはいえ、2馬力ボートの一番人気は、このインフレータブルボートであり、車での可搬性、家での保管性、そして安全性(静止安定性のよさ)が他のボートに勝ることが人気の理由になっているのだ。
一体型ボートの短所でもある、運搬性と保管性を向上させたボートが分割式ボートだ。値段が多少高くなるのは難点だが、ベテランで使っている人が多いボートでもある。基本は組み立て式ボートで、船体は折り畳むとサーフボード程度の厚さとなり、保管場所に苦労しない。車での運搬もー体型に比べて楽なのが特徴。
一体型のボートを二つもしくは三つのユニット(個体)に分けられることが多く、ユニット間の接合方式はメーカーによって異なる。分割式ボートの長所は、ボートを分割することにより、元の大きさから、半分もしくは3分の1へと、コンパクトになる点にある。持ち運びやすいのはもちろん、大型の車であれば車内へ積載することもでき、一体型に比べて、家での保管場所も確保しやすい。 短所は、ユニット間に隔壁があることと、総重量がやや重くなることだ。また、分割して重ねるために、後付けでパーツを装着するのが若干難しいこと。インフレ一夕ブルチューブを装着すると、ハイプリツトボートになり、安全性、運搬性、保管性などが増す。
組み立て式のボートは種類が少ないが、代表的なモデルは、船体が縦方向に4つに折れ曲がっており、これを広げて、船体の横方向の部材となる椅子を取り付けることにより、ボートとして組み上げる。組み立て式ボートの長所は、収納時に船体がやや大きめのサーフボードと同じようなサイズになること。船体がペチャンコになるので、分割式のように家での保管場所が確保しやすく、車によっては車内へ積載することができる。 短所は分割式と同じで、船体を折り畳むので、船内にパーツを国定するような改造ができない。また、船体価格が多少高価。
2馬力ポートを購入する際には、考慮すべき点がいくつかある。ボートのデザインや性能だけではなく、自分の釣りのスタイル、現在暮らしている住宅とその周辺環境、そして乗っている車などに関して考慮したうえで自分のお気に入りの1艇を選ぼう。
初めてボートを購入するなら、通販では自分の思い込みだけで購入することになり、思わぬ落とし穴にはまることがある。しっかりと情報を入手したうえで、購入後の船外機のメンテナンスなども考えておこう。船外機に関しては、慣らし運転などが必要なので、しっかりとメンテナンス知識を得ておこう。ボート本体も、雑誌やカタログで見ただけでは大きさのイメージはつかみにくいので注意しておくことが必要だ。
2馬力ボートは、自宅から水辺までボート一式と釣り具などの道具類を運ぶ必要があるため、移動用の車があることはほぼ必須条件になる。ボートを購入するときには、まずボートをどういう車に積めるか、屋根に載せる体力があるか、自宅に置けるかなど、購入するにはさまざまな条件をクリアする必要があるのが一体型ボート。勢いだけで購入するのが最も危険なボートである。どうふうに運ぶかを考えなければならないためだ。
一体型ボートを車の屋根にカートップするなら、キャリアメーカーが出している車の屋根の耐荷重を事前に調べておくことが必要。最近の車は屋根が弱いことが多く、数十キロのボートを積載できないモデルがほとんどだ。
一体型ボートをカートップするなら、屋根ヘボートを載せる体力(腕力)があることも必須条件となる。実際にはかなり大変な仕事だ。
ボートを車内に積載するなら、ボート本体と船外機、釣り具などがきちんと収まるか、あらかじめシミュレーションする必要がある。カタログのボート収納サイズだけで車内積載を決めるのは多少リスクがあることも頭に入れておこう。
ボートの運搬方法の次に考えることは、どこにポートを保管するかだ。基本的には自宅になることが多いと思うが、自宅での保管では時にトラブルが起きることがある。とくに多いのが、店で見ていたときよりも、実際にはかなり大きかったということ。自分では問題ないと思っていた場所も、家族に不評で、結局ボートを手放すことになったという例もあるほどだ。一体型ボートによく起こる典型的なトラブルである。
分割式や組み立て式、特にインフレ一夕ブルボートは、マンションやアパートなどでも置き場所が見つかりやすい。船体がいくつかのパーツに分かれるため、それぞれが持ち運びしやすい大きさや重さになる。車から保管場所まで多少離れていても、なんとかなる場合も多い。
2馬力以上のスモールボートオーナーの中には、ボート専用の車を用意して、自宅でのボートの保管場所は、車の屋根の上や車内という人もいる。また、ボートトレーラーに載せることで、トレーラーの置き場所である駐車場がすなわちボート置き場というパターンも実現できる。
ボートの購入検討時には、使用日的をはっきりとさせておくことが大切。何人で乗ることが多いのか、何の釣りをするのか、どこで(海、川、湖)乗るのかなどなど、さまざまな要素を明惟にしておく必要がある。さらに、前述の運搬性と保管性をクリアした上でボート選びにとりかからなくてはならない。
他には予算やボートの色、デザインなども考慮すべき問題であり、手軽な2馬力ボートとはいえ、自分に最適な1艇にたどりつくには、結構大変だ。しかし、この大変さがとても楽しい作業であることも間違いなく、大いにこの作業と時間を楽しみたいものである。最近の車は屋根の強度が低いモデルが多く、車内積載できる分割式やインフレ一夕ブルボートの人気が高い。自宅での保管性がよいのも理由のひとつ。ボートの分割時の重量はよく把握しておくことが必要だ。
・一体型ボートは、ボートを車の屋根に載せる体力が必要になる。この作業が楽にできるアイテムもある。車内積載するボートであっても、体力に見合ったボートでないといやになる。
・ボートを選ぶときは、使用目的をはっきりさせておく。ボートの降ろし場所も考えておくとさらに良い。とくに一体型ボートの場合は、車を止めた場所から水際まで、階段などがないことが出艇できる条件になる。また、ドーリー(ボート用タイヤ)を使ったとしても、自分の力でボートが動かせるか(とくに砂浜で)ということも重要なこととなる。