この記事はこんな方におすすめ!
- こHISTORYのギターをまだ弾いたことがない方
- これからギターを始めてみたいと思っている方
- 2本目、3本目のギターを考えている方
- サブギターを考えている方
目次
HISTORY(ヒストリー)とは

HISTORYはご存知の方も多いかもしれませんが、島村楽器のストアブランド(オリジナルブランド)です。 1994年に「ギタリスト/ベーシストに本当に優れた理想の楽器を使ってもらいたい」という想いを元に発売開始、2019年にはブランド始動から25周年を迎えました。
一番の愛用者は日常で音楽を楽しむ島村楽器のお客様!
店頭で色々なブランドのギターを実際に比較したお客様や、たくさんのギターを実際に取り扱うスタッフの声を集めながら、HISTORYのギターは常に改善を行い続けてきました。
25年を超える長い歴史の中で、様々な出会いもあり、現在ではプロミュージシャン、アーティストの方にも多数ご愛用いただいています。
Artist (アーティスト一覧)アーティスト使用モデルをご紹介しています。
我々の知らないところでご愛用くださっているアーティストの方もいるとかいないとか…
島村楽器のほとんどの店舗に展示しているので、「見たことある」「ギターを試奏していた時にオススメされた」という方も多いと思います。ですが、島村楽器に来たことがない人にとってはもちろん未知のブランド。実際どうなの?良いの?という声もたくさん耳にします。
そこで今回は島村楽器オンライストアギター担当の田中が、「島村楽器スタッフであり、ギターを楽しむ人間」として『HISTORYってどんなギターなんだろう?』というところに迫ってみます。
ラインナップ
現在HISTORYには大きく分けて4つのグレードがあり、型名の先頭のアルファベットから判別することが可能です。シンプルな法則なのでご紹介していきます。

- シリーズ
- HG
- HS
- CZ
- CV
- ボディシェイプ
- SV(STタイプ)
- TV(TLタイプ)
- LS(LPスタンダードタイプ)
- LC(LPカスタムタイプ)
- その他仕様(下記は一例)
- /M(メイプル指板)
- /FM(フレイムメイプルトップ)
この記事では、HISTORYエレキギターのスタンダードラインナップである「HSシリーズ」を紹介しながら、他シリーズとの違いも説明していきます。
HISTORY
HSシリーズの特徴
HISTORYの特徴ってなんですか?
HISTORYユーザーがそう聞かれたときに「品質(つくりの良さ)」について言及する方が多いようです。USA製のF社やG社のギターも使っている私が感じる特徴は、
「管理が楽」「安定してる」「なんだかんだ一番弾いてる」
私の場合は”使える2本目枠”としてHISTORYを弾いてます。
なんでだろうと思い返すと、HISTORYをいろんな人にオススメしてきた理由を改めて認識することができました。
それではHISTORYのスタンダードモデル「HSシリーズ」について、ポイントごとに解説します。
徹底した品質管理と検品による作りの良さ
先ほど「いいギターの判断基準なんて人それぞれ」と言いましたが、ギターとしての「品質」には明確な差があります。
HISTORYのギターは、工場からの出荷前に全数検品を行っています。
フレットごとの弦高やナットの溝の高さなど、HISTORYとして定めた基準から外れてしまったギターが工場から出荷されることはありません。
さらに、HSシリーズ以上のモデルではセットアップも行っています。
持った瞬間にベストな弾き心地になるように、1本あたり40分以上かけてセットアップされるこれらのギターは、初期状態からまさにプロクオリティです!
Setup(セットアップ) Technologiesセットアップ工程紹介ページ。
HISTORYは、高い品質基準を掲げ、工場出荷前に特別なセットアップを行っています。その工程をご紹介いたします。
持った瞬間に感じられる「ネックの安心感」
演奏感に直結し、場合によってはギターの寿命にもなり得るのが「ネック」です。
ギターのクオリティに大きな影響を与える「木材の乾燥・シーズニング」を適切に行った木材を使用して作られる、HISTORYのギターはどれもネックの安定性がめちゃくちゃ高い印象です。
積極的に弦高を低くセッティングできるのもネックが安定しているHSシリーズならではの特徴です。フレットのエッジ処理も芸術的なエリートフィニッシュを採用しており、「弾きやすさ」も重視したい方には間違いなくオススメです。
エリートフィニッシュ
フレットの両端を、手作業でなめらかに仕上げる加工。
スムーズな運指とポジション移動が可能になり、プレイヤーの表現力を引き出します。
※エリートフィニッシュはHSシリーズ全モデルに採用されています。
表現力があるギターの中でも優れた「音作りの幅」
ではサウンドはどうでしょうか。
HSシリーズの中でもモデルごとにサウンドニュアンスは異なりますが、共通する点は「艶がある」「音作りの幅の広さ」だと思っています。
※ここでは「ミドルが厚い、ネックが鳴っている」状態を艶があると表現しています。
HSシリーズに使用される木材「ヘリテイジウッド」にその艶の秘密があります。
ヘリテイジウッド
18世紀中頃から19世紀初頭という、100年以上も前の天然木。湖の底で長期間眠っていたヘリテイジウッドは不純物が取り除かれ、密度の高いギターにとって理想的な木材です。
新たに伐採された木材とは一線を画すヴィンテージ材、ヘリテイジウッドが使われていることがHSシリーズの大きな特徴です。
もう一点「音作りの幅の広さ」は、言い換えると「平準的」ということでもありますが、最近流行ってるアンプやエフェクターの志向を見るとこの音好きな人多いだろうなというサウンドです。
もこもこ感を排除した明瞭なサウンドキャラクターとヘリテイジウッドの持つ鳴りによって、毎回アンプが変わるようなミュージシャンでもひとまずは音作りが形になる。
HISTORY HSシリーズのピックアップは、メタル特化型ギターほど高出力でもなく、ヴィンテージギターほど低出力でもない、だからなんでもこなせる、そんな位置付けになると思います。
ワイドレンジでほどほどの出力設計が特徴のHSシリーズは、あらゆるエフェクターやアンプの特性に素直に寄り添うことができるため相性が悪い機材やアンサンブルがほとんどない点が魅力です。
あるジャンルに特化した音を目指す人には合わないかもしれませんが、この1本でいろんなジャンルの楽曲を演奏したい、そんなプレイヤーには特におすすめできるバランス感を持っています。
HSシリーズ
代表モデル紹介
HS-SV
70年〜250年前から水中保管された木材「ヘリテイジウッド」をネックに使用していることが最大の特徴。
詳しい人は年輪の密度を見ていただけると分かるかと思いますが、とにかくギターにとって理想的な木材を使っています。
強度や安定性は先述の通りで、低い弦高セッティングが好みなら同価格帯でもトップクラスであることは間違いありません。
サウンドの特徴を一言で言うなら「艶やかでニュアンスが出やすい素直なサウンド」です。
例えばブルース志向の人はもっとアンプの出力を上げたときのダークさが欲しい方も多いので、ヴィンテージギターも候補になると思います。
ポップスやギターロック、おしゃれなコードをすっきり鳴らしたい人、ジャキジャキ弾きたい人には相性がいいですね。エフェクターの乗りが良く、表情豊かなサウンドが特徴です。
HS-TV/M
こちらも同様に「ヘリテイジウッド」をネックに使用している点が特徴ですが、HS-SVに比べるとシンプルな構造で「メイプル指板」によってファットなサウンドになっています。
立ち上がりが早くミドルも厚い特徴を持つHS-TV/Mは歪みも心地よく乗って前に出やすいサウンドが特徴です。
あくまで癖のないサウンドで、なんでもこなせるタイプですが、特に歪ませてのギターロックにはよく合うギターです。歪みの乗りがいいギターって、本当にエフェクターやアンプを選ぶのが楽しいんですよね。
HS-LS
ハムバッカーのサウンドは種類によって本当に幅が広いんですが、このギターはゴリゴリのメタルよりもロック〜ハードロック、ジャズっぽいニュアンスが得意です。
そもそも国産ハイクオリティ系でこのタイプって珍しいんですね。USA製の無骨さやラフな感じはありませんが、精巧さを求めたい方には数少ない選択肢の一つです。
動画を見てもらえるとよく分かりますが、モコモコ感のない、すっきり音抜けの良いハムバッカーサウンドが特徴です。
ローゲインでもしっかり抜けるサウンドは大きな特徴ですが、モダンハイゲインにも十分対応できるパワーを持っています。 アンサンブルによってはパワーがありすぎる場面も出てきますが、そんな時は搭載されているコイルタップスイッチを使うと前に出過ぎない太さに調整することができるため、 いわゆる「万能型ハムバッカーギター」といったところです。
HSシリーズが合う人ってどんな人
エレキギターは「弾く人に合うか合わないか」なので、見た目や音色含めここまでの内容であまり好みじゃないなと感じた方にはお店でも違うギターを紹介すると思います。
逆に「自分で弾いてみないと分からない」「わりと好きかも」という方にはみなさんおすすめしたいギターたちですが、そんな中でも特におすすめしたい人はこちら!
これからギターを始める人
初心者だからこそいいもので初めて欲しい、これはギタープレイヤーとしての本心です。
初心者の方には「長く弾きやすいよく鳴るギター」を使ってもらえるとギターの楽しみがぐっと広がるんです。
このシリーズはエレキギター全体の中でどういう位置付けになっているかというと、プロがよく使うギター(40万円〜)と同程度の仕様を持つ普及モデル(スタンダードモデル)です。
例えば野球やサッカーなどのスポーツ用品もある程度しっかりやろうと思ったらプロ仕様を持つ普及モデルで始めることが多いと思いますが、HSシリーズはまさにそんな楽器です。
エレキギターを絶対弾けるようになってやるぞ!という意気込みのある方。せっかくならしっかりしたギターで始めましょう。
エレキギターはハマっていくと違うタイプのギターも欲しくなることが多いですが、最初にこのクラスの楽器を持っておくと買い替えではなく、買い足しになって1本目のギターも2本目のギターも両方しっかり使えると思いますよ!
今使っているギターとは違うタイプのギターが欲しい人
すぐ上にも書きましたが、エレキギターはハマっていくと違うタイプのギターも欲しくなることが多いです。今ギターを弾いていて、違うタイプのギターが欲しくなるまでハマっている人にオススメしたいのがHSシリーズです。
HSシリーズはそのまま生涯の相棒にもなりえますし、別の大本命が現れてもずっと使える1本となります。そんな相棒を持つことはギターライフを充実させます。
いろんなジャンルを演奏する人やスタジオミュージシャン
私はこのタイプなんですが、例えば同時にいろんなジャンルの曲を演奏したくなったりとか、バンドいくつも掛け持ちしてあれもこれも演奏する機会があるとか、ボカロ曲制作などでDTMをやっていて豊富なサウンドバリエーションが必要になったりする人です。
本命ギターも持っていますが、難しいフレーズになるとどうにも弾きにくくストレスで、結局弦高を下げられるHISTORYに頼る、なんてのはHISTORYユーザーあるあるではないでしょうか。
好みのオーバードライブ1発とボリュームコントロールで幅広サウンドが作れるHS-SV、ガンガン歪ませつつ右手で緩急つけやすいHS-TV/M、メタルからジャズ、コイルタップでポップスまでカバーするHS-LS。
いわゆるコンポーネント系のハイエンドギターでやりたいことがHSシリーズも得意といえるギターだと思います。
HISTORY HSシリーズ
スペック一覧
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HS-LC | HS-LS | HS-SV | HS-SV/M | HS-TV/M | |
通常販売価格 | 230,000 | 209,000 | 193,000 | 193,000 | 193,000 |
ボディ材 | マホガニー | マホガニー | アルダー 2P | アルダー 2P | ライトアッシュ 2P |
ピックアップ | HH | HH | S-S-S | S-S-S | S-S |
ブリッジ | トレモロなし | トレモロなし | トレモロ付き | トレモロ付き | 3連チタニウムサドル |
指板 | エボニー | エボニー | グラナディロ | メイプル | メイプル |
トップ材 | BLK:ヘリテイジウッド ハードメイプル WRD:カーリーメイプル on ヘリテイジウッド ハードメイプル |
VCH・TBL:カーリーメイプル on ヘリテイジウッド ハードメイプル TRT・NBK:フレイムメイプル on ヘリテイジウッド ハードメイプル |
なし | なし | なし |
ナット材 | 無漂白牛骨ナット | 無漂白牛骨ナット | 無漂白牛骨ナット | 無漂白牛骨ナット | 無漂白牛骨ナット |
ペグ | GOTOH SG301-20 | GOTOH SD90-SL | GOTOH SD91-05M | GOTOH SD91-05M | GOTOH SD91-05M |
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その他のシリーズ
HISTORYは以下の4シリーズをメインラインナップとして展開しています。(2021年1月現在)
CVシリーズ
シリーズの中で最も安価なモデル。上位機種のノウハウを取り入れ、ボディを海外工場にて製作することでコストを抑える事に成功。
ネックの製造や組み込みは国内工場で行っており、演奏性、耐久性といった部分では同価格帯の海外製ギターには負けません。
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CV-SV | CV-SV/M | CV-TV | CV-TV/M | |
通常販売価格 | 69,300 | 69,300 | 69,300 | 69,300 |
ボディ材 | バスウッド | バスウッド | バスウッド | バスウッド |
ピックアップ | S-S-S | S-S-S | S-S | S-S |
ブリッジ | トレモロ付き | トレモロ付き | トレモロ付き | 6WAY |
指板 | カリマンタンエボニー | メイプル | カリマンタンエボニー | メイプル |
トップ材 | なし | なし | なし | なし |
ナット材 | 牛骨 | 牛骨 | 牛骨 | 牛骨 |
ペグ | GOTOH SD91-05M | GOTOH SD91-05M | GOTOH SD91-05M | GOTOH SD91-05M |
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CZシリーズ
「純国産」にこだわったスタンダードモデル。
「HISTORYならではの高い品質をより手の届きやすい価格帯で実感していただきたい」という想いの元に開発されたシリーズ。今までのHISTORYは20万円前後の価格帯からでしたが、10万円を切ったラインナップとなっています。
いわゆるスタンダードなルックスとサウンドですが、魅力としては上位機種譲りの「作りの良さ」です。
HSシリーズと同じ国内工場にて生産しており、そのノウハウを最大限に活かして製造されています。
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CZ-SV/R | CZ-SV/M | CZ-TV/R | CZ-TV/M | |
通常販売価格 | 88,000 | 88,000 | 83,600 | 83,600 |
ボディ材 | バスウッド | バスウッド | バスウッド | バスウッド |
ピックアップ | S-S-S | S-S-S | S-S | S-S |
ブリッジ | トレモロ付き | トレモロ付き | 6WAY | 6WAY |
指板 | ローズウッド | メイプル | ローズウッド | メイプル |
トップ材 | なし | なし | なし | なし |
ナット材 | 牛骨 | 牛骨 | 牛骨 | 牛骨 |
ペグ | GOTOH SD91-05M | GOTOH SD91-05M | GOTOH SD91-05M | GOTOH SD91-05M |
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HGシリーズ
希少な木材やこだわりの仕様を盛り込んだ、HISTORYを代表するフラッグシップシリーズ。プレミアムな数量限定モデルなども発売しています。
最後に
いかがでしたでしょうか。HISTORYがどんなものか、お店に行かないと意外と情報が少ないギターですが、HSシリーズを中心に紹介しました。あなたにとっていいギターとはあなたが好きなギターです。今回はこの記事を読んで、「自分にとってのいいギターはこんなギターだ」というイメージがつかめてくれたら嬉しいです。
ちなみに私がHISTORYに対して一番気に入っているところは、「定番シェイプ、かつ弦高ペッタペタまで下げられるところ」です。人によって大事なポイントは様々あると思います。性能以外にも、ブランドに対する憧れや好きな人が使っているなどの要素も重要です。もし興味を持った方がいらっしゃいましたら、ぜひお近くの島村楽器へ遊びに来てください!
記事を書いたひとはこんな人
オンラインストア ギター担当 田中
中古買取りもたくさんしてきましたが、HISTORYはコンディションが安定している個体がほとんどだったので調整が楽で助かりました。いいギターです。フェンダー52テレキャスメインで使っていた私が自信をもっておすすめします。