この記事はこんな方におすすめ!
- これからギターを始めよう!という方
- 2本目や3本目のギターを探している方
- 良いもの持ってるけどサブで1本欲しいなぁ…という方
- PACIFICA、すごい気になるけどなかなかお店においてない…!という方
目次
PACIFICAとは

1990年に発表されたYAMAHAが培ってきた技術を総動員してできたギター、以後改良やラインナップ変更を繰り返し、現行品になったのが2012年です。初期はハイエンドな製品が主力でしたが、現行になってから比較的安価なモデルも増え、知る人ぞ知るいいギター、という感じでした。
近年に発売された「PAC612VⅡFM」が動画サイトなどで多く取り扱われ、現在シリーズ問わず爆発的なヒット製品となりました。やや小ぶりなストラト系の形で、各グレードごとにピックアップのレイアウトがありまさにどなたにもオススメできるモデルが網羅されているといえますね。
ラインナップ
現在PACIFICAは大きく分けて4つ(海外限定品とアーティストモデルを除く)のグレードがあり、型名の最初の数字判別することができます。グレード以外にも表記の法則があるのでそちらをご紹介します。

試しにこちらの型名を解説すると…
PACIFICA、600シリーズ、1ハム、2シングル ヴィンテージスタイル(トレモロ付き)、フレイムメイプルとなります。
こちらを踏まえながら本記事を読むと分かりやすくなるかと思います。それでは、各シリーズを分けて比較を交えながらご紹介いたします。
PAC012

島村楽器のネット通販でのみ販売されているモデル。カラーが4種類あります。上位機種の設計・クオリティはそのままに、各部やパーツのコストを抑えることにより、最もお求め安い価格を実現しています。
ボディ材はこれまで低コストな「アガチス」という木が使われていましたが、2024年からレスポールタイプなどでも良く採用される定番材のひとつ「マホガニー」に変更されました。
ちなみにこれ以上のシリーズには一律で「アルダー」という木材を使用しています。バランスの良いサウンドのアルダー材に対して、マホガニーは温かみのある豊かな中低音が特徴とされています。
パーツや木材は異なりますが、上位モデルと設計自体は変わらず、同価格でみればクオリティは高いので、「なるべく安く、でもちゃんとした物で始めたい!」という方におすすめです。
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PAC012 販売価格:¥29,900 |
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ボディ材 | マホガニー |
ピックアップ | S-S-H |
ブリッジ | トレモロ付き |
指板 | ローズウッドorウォルナット |
カラー | 全4種 |
PAC100シリーズ

近年低価格のギターに使用されなくなってきた「アルダー」をボディ材に使用しているのにこの価格は本当に凄いとしか言いようがありません。(現行だと10万前後以上のクラスにならないと使われないことが多い)
また、木材だけでなく音程感や耐久性までも同価格帯の中では一つ頭が出ている感じがしますね。楽器だけではなく、様々な製品の制作や海外の製造拠点を持つYAMAHAの「ものづくりの強みと規模」だからこその価格だと思います。ちなみにこの100番から300番までは基本的な木材やパーツは同じです。
このシリーズより上のクラスから、ハムバッカーピックアップがコイルタップに対応していきます。※コイルタップとは、ハムバッカーピックアップを片方だけ使用し、シングルコイルのような音を出すこと。
またこのシリーズは多様なピックアップレイアウトや左利き用(レフティ)モデルが存在いたします。
この価格でいいものがほしい!という方には本当にオススメですね。
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PAC112V 販売価格:¥38,500 |
PAC112VM 販売価格:¥38,500 |
PAC120H 販売価格:¥38,500 |
PAC112VMX YNS 販売価格:¥38,500 |
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ボディ材 | アルダー | アルダー | アルダー | アルダー |
ピックアップ | S-S-H | S-S-H | H-H | S-S-H |
ブリッジ | トレモロ付き | トレモロ付き | ハードテイル(トレモロなし) | トレモロ付き |
指板 | ローズウッド指板 | メイプル指板 | ローズウッド指板 | メイプル指板 |
カラー | 全6種 | 全6種 | 全4種 | 1種のみ |
PAC200シリーズ

木材やパーツは100シリーズと全く一緒ですが、目を引くのがこの美しさ。メイプルという木を一枚上に貼って、豪華さを演出しています。なによりヘッド側まで加工してあるのがたまらないですね。さながら高級ギターのよう。ちなみにこの木材加工をすると本来であればかなり値段が上がります。
貴重なメイプルの木材を薄く切り、貼り付ける技術があるからこそ、この価格を実現しています。
フレイムメイプル(細目の縞模様)とキルトテッドメイプル(大きめのもしゃもしゃ模様)の2種類のラインナップがあります。木材の模様を生かした見た目のため、似たような見た目はあっても、1本1本表情が違います。
人とはちょっと違う、自分だけの1本がほしい、という方にオススメですね!
PAC300シリーズ

基本スペックは100シリーズですが、少しスペックが変わっています。一際目立つのがピックアップレイアウト。フロントにP90タイプのシングルピックアップとハムバッカーの2ピックアップ仕様となっています。
低価格帯にありがちですが、どうしても低音が出辛く、軽めのサウンドになってしまうことが多いのですが、P90タイプを搭載することによりそれを軽減しているように感じます。リアのハムと組み合わせて、心地よいクリーントーン、滑らかなリードトーンを使い分けることが出来て、シンプルかつ使いやすい仕様なのではないかと思います。
個人的にS-Hレイアウトってすごく使いやすくて好きですね、特に近年の邦楽ロックなんかには特にハマる気がします。このグレード以降はペグにロックタイプ、ナットにタスクを使用しており、チューニングの安定性や音質向上に影響しています。この後ご紹介する611のコストパフォーマンスモデル、とも言えますね。
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PAC311H 販売価格:¥48,400 |
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ボディ材 | アルダー |
ピックアップ | S-Hレイアウト P90タイプ |
ブリッジ | ハードテイルタイプ(トレモロなし) |
指板 | ローズウッド指板 |
トップ材 | なし |
ナット材 | Black TUSQナット(人口象牙) |
カラー | 全3種 |
PAC600シリーズ

PACIFICAの名前を世に広めたモデルといっても良いのではないでしょうか。特にPAC612VⅡFMが発表されて以降、同価格帯であれば常にトップを走り続けているように思います。
販売価格7万円弱でプロアーティストが実際に使用している。という所がこのシリーズのすべてを表しているのではないでしょうか。
SSHレイアウトとSHレイアウトのモデルがあり、多種多様なジャンルに対応ができるラインナップとなっております。
それでは違いを見ていきましょう。まずは高級感のあるボディトップ、ヘッド部分にフレイムメイプル貼り付け。200番よりも少し良い杢目を使用しています。「下位機種と比べると主に外観面での木材仕分けをしている」との事ですが、おそらく音にも多少影響があるのではと思っています。
一番大きい違いはセイモアダンカン社製のピックアップを使用しているという事。個人的にはピックアップだけで音が変わる、とは思っていませんが、やはりここの差はダイレクトに音に影響しています。
下位機種とは一味違う艶があり、コシのある音を楽しむことが出来る気がしますね。よりエレキギターらしいサウンドを出しやすいのでは、と思っています。ブリッジもウィルキンソン社製の物を使用し、チューニングの安定性や適度なサステイン(音の伸び)を持っています。
改めて文字に起こしてみると本当に凄いギターだな、と思いますね。もし良いギターをお持ちの方でも、「気兼ねなく弾ける物」「問題が起きた時のサブ機」なんて使い方もオススメできます。
まさに万能、迷ったらコレ、プロからアマチュアやビギナーにもオススメのモデルです!
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PAC612VⅡFM 販売価格:¥84,700 |
PAC612VⅡX
販売価格:¥84,700 |
PAC611VFM 販売価格:¥79,200 |
PAC611HFM 販売価格:¥74,800 |
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ボディ材 | アルダー | アルダー | アルダー | アルダー |
ピックアップ | S-S-H セイモアダンカン社製 SSL-1/SSL-1 RwRp/Custom5 |
S-S-H セイモアダンカン社製 SSL-1/SSL-1 RwRp/Custom5 |
S-H セイモアダンカン社製 SP90-1/Custom5 |
S-H セイモアダンカン社製 SP90-1/Custom5 |
ブリッジ | トレモロ付き ウィルキンソン社製 VS-50 |
トレモロ付き ウィルキンソン社製 VS-50 |
トレモロ付き ウィルキンソン社製 VS-50 |
ハードテイル(トレモロなし) |
指板 | ローズウッド指板 | ローズウッド指板 | ローズウッド指板 | ローズウッド指板 |
トップ材 | フレイムメイプル(選定) | - | フレイムメイプル(選定) | フレイムメイプル(選定) |
ナット材 | Black TUSQナット(人口象牙) |
Black TUSQナット(人口象牙) |
Black TUSQナット(人口象牙) |
Black TUSQナット(人口象牙) |
カラー | 全3種 | 全3種 | 全3種 | 全3種 |
全機種比較
各グレードごとの違いをポイントにまとめてみます。
モデル名 | PAC012 | PAC100シリーズ | PAC200シリーズ | PAC300シリーズ | PAC600シリーズ |
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ボディ材 | マホガニー | アルダー | アルダー | アルダー | アルダー |
ピックアップ | S-S-H(セラミック) | S-S-H or HH | S-S-H | S-H P90タイプーハムバッカー | S-H セイモアダンカン社製 |
ブリッジ | トレモロ付き | トレモロ付き or なし | トレモロ付き | トレモロなし | ウィルキンソン社製 VS-50 or トレモロなしハードテイル |
指板 | ローズウッド or ウォルナット | ローズウッド or メイプル | ローズウッド | ローズウッド | ローズウッド |
トップ材 | なし | なし | フレイムメイプル | なし | フレイムメイプル(選定) |
ナット材 | ユリア | ユリア | ユリア | Black TUSQナット(人口象牙) | Black TUSQナット(人口象牙) |
ペグ | カバード | ダイキャスト | ダイキャスト | Grover ロッキングチューナー | Grover ロッキングチューナー |
最後に
いかがだったでしょうか?執筆中に私も欲しくなってしまいました。スペックだけ見ても、触っても魅力的なギターだと思います。どのシリーズを見ても、どんな方でも一度はお試しいただきたいですし、これから始める方にも本当にオススメですね。
皆さまのギターライフに少しでもお役立ちできることを願って。ご覧いただきありがとうございました。
記事を書いたひとはこんな人
八王子店 廣瀬 和哉
吹奏楽団に所属していた両親より生まれ、体育会系部活にいそしんでいたものの、大学サークルで軽音楽にのめり込み、好きが高じてそのまま楽器店で働きだした人。ソウル、ファンクに傾倒しておりましたが30歳にしてギターインストやハードロック、ジャズフュージョン系に目覚めた遅咲きのギター好き。年齢と共に歪みが増えつつあるようです。