アサヒおいしい水プラスカルピスの乳酸菌 開発者インタビュー

7月21日(木)、今月新発売となったばかりの【アサヒ飲料 おいしい水プラス カルピスの乳酸菌】の開発者インタビューをさせて頂くため、中江店長とわたくし塚本の2人で当店がある和歌山からアサヒグループの本社がある東京・浅草まで伺ってきました。 あの金色のオブジェ(右)とビールジョッキをイメージしたビル(左)で有名なこちらでございます。 アサヒビールさんのHPによりますと、あの金色のオブジェは「聖火台の炎」で「新世紀に向かって飛躍するアサヒビールの燃える心」を表しているそうです。 ビールジョッキをイメージした【アサヒビールタワー】からオブジェを撮ってみました。
真横から見られる事なんてめったにないですからね。ありがやありがや!

ちなみこの日は日帰りでの東京出張となりました。一体何時間の東京滞在だったのでしょうか?
答えはインタビューの最後で発表します!
今回開発者インタビューに答えてくれたのはアサヒ飲料株式会社の荒川慎司さん。
カルピスの乳酸菌が入ってるのに透明な【おいしい水プラス カルピスの乳酸菌】、一体どうやって透明にしたのか? それでは開発者の荒川さんのインタビューをどうぞ。
今日はよろしくお願いいたします。
まずは荒川さんはアサヒ飲料さんでどんなお仕事をされてきたんでしょうか?
入社してから12年間、工場の生産技術に携わってました。新しい容器のテストや工場のコスト削減などです。そして本社の生産技術へ異動して提携してくれている工場の管理をしてました。
その後は今も所属しているマーケティングセクションへ異動し商品開発などをしています。
私が所属するマーケティング二部はお茶類と水・機能性の開発をしており、私はおいしい水ブランドやスーパーH2O、ファイバー7500といった商品を担当しています。
今年1月にアサヒ飲料さんとカルピスさんが経営統合しましたが、「おいしい水」と「カルピス」のコラボとなるこの商品の企画はいつごろスタートしたのですか?
ちょうど1年近く前です。構想までいれると1年半くらいになります。
「おいしい水」と「カルピス」。もともと別の会社で生まれた商品をコラボするうえで苦労した点などありますか?
この商品のコンセプトが「カルピスの乳酸菌を入れているのに透明」なんです。
アサヒとしても乳酸菌を使用したり、カルピスとしても乳酸菌を入れて透明という事は初挑戦となるコンセプトでしたね。
この商品の開発にはどれくらいの方が携わったんです?
マーケティング第二チームから現場が3人と上長2人、そして研究開発から2人をコアメンバーとして活動していました。
もともとカルピスにいらした方もチームに参加されたんですか?
チームには参加してないんですが、アドバイザーとして2名携わってもらいました。
カルピスの乳酸菌を使う上で、味や乳原料のハンドリングの部分でアドバイスを貰いました。やはり乳酸菌飲料のことに精通されてるので。 ただ「透明」にする事に関してはアドバイス出来ません!とのことでした。カルピスは白いままですからね笑
そうですよね笑
そのカルピスの乳酸菌が入ってると白くなりそうなんですが、どうやって透明にしてるんですか?
このおいしい水プラスには【カルピス酸乳】というカルピスを作る途中のものを使ってます。
カルピス酸乳とは脱脂した生乳を1次発酵してできる液体で、乳成分と乳酸菌を含んでいます。牛乳みたいに真っ白な外観ではなく、白っぽい感じの液体です。
はいはい。
カルピスにする場合はこのカルピス酸乳に砂糖などの原料を加え、さらに2次発酵させるんですが、おいしい水プラスではこの段階のものを使ってます。
このまま混ぜると白く濁って見えるのですが、これは乳のタンパク質成分に由来するものです。
そこでアサヒのクリアウォーター製法という方法を用いて透明にしているんですが、配合する原料の相性や液の性質を配合上でコントロールして、乳タンパク質の影響による液色の白濁化を押さえています。

>>透明だけれど、しっかりカルピスと同じ乳酸菌。数々の試行錯誤で生まれた透明感です。

と言うことは白色の液体から脱色して透明にした訳ではないと言うことですね。
そうです。混ぜるうえで白く濁らないようにしてます。 透明にするために配合のコントロールを行いながら目標とする味を作り上げるという点は非常に難しかったですね。
単純にカルピスを水で薄めて作ったという事ではないんですね。
同じ乳酸菌は入ってますがカルピスとは別物ですね。

いつもより〇倍の試作品!?

透明と味の両立が難しいとのことですが、開発していた際にどれくらいの試作品を作ったのでしょうか?
概ね150種類くらいは作っています。試作品を作るための試作品もいれるともっと多くなります。普段の商品開発に比べるとかなり多かったですね。1.5倍くらいかな。
どんな所が難しかったんですか?
この商品のように薄味の商品は少し味を調整するとまったく変わった印象になってしまいます。味の評価で開発陣も頭を悩ませる事も多かった。これまでのアサヒ飲料の商品の中でもこの様に薄味のものは少なく経験が無かったので非常に難しかったですね。
へー。
あとは開発の時にはありがちなんですが改良したつもりが味の評価は散々だったり…
それに研究開発は実質1人でしたので、そこも大変だっと思います。約1年で150種類以上の試作品ですからね。
あと味に関してはこの商品に限らずですけど、開発チームのスタッフ同士でも意思の疎通が非常に難しいんですよね。スッキリした感じに と言っても僕が思ってるのと他の人が思ってるのは違ったりしますしね。 そこらへんの感覚をお互いに理解しあうのも結構大変なんですよ。
感覚の話になってしまうと正解がないですもんね。
あとはなかなか透明になる事も大変でした。透明にするには原料の調整なども必要だったので透明な見た目と味、この2つを同時に追う事をやったことがなかった。実を言うと透明に出来るかどうかもわからない状態でのスタートだったんです。
えーそれはそうとうなプレッシャーだったでしょうね。
その開発の際、もっともこだわった所はどこですか?
カルピスの爽やかな甘さが感じられ、同時にごくごく飲めることを両立した味作りですね。甘さと酸味のバランス取りには特にこだわりました。
たしかに乳酸系の酸っぱさをほのかに感じますね。
通常のカルピスと比べると味覚・乳酸菌についてなど違いがあるんですか?
「カルピス」についてはカルピス酸乳を酵母でさらに発酵させている商品ですので、味や香りは大きく異なります。乳酸菌については「カルピス」に使用されている乳酸菌ですので違いはありません。実際にカルピス工場で作られたカルピス酸乳を使っています。 カルピス酸乳は飲んでみると酸味があるんですよ。僕もカルピスの群馬工場で飲んでみました。
ちなみに競合サントリーさんから先に発売されている商品は意識されましたか?どこか違いを出そうとしたりしました?
他社さんの商品は意識しなかったと言ったら嘘になりますが違いを出そうとは意識しなかったですね。 せっかくカルピスの乳酸菌を使っているのだからカルピスを意識した味に仕上げる。そうは言ってもカルピス味に近づけすぎるとカルピスウォーターを薄めただけみたいになってしまう…
そうですね笑
カルピスとしてではなく、「おいしい水」のブランドから出すという事もあるので、味のバランスには気を使って開発しましたね。
パッケージに「朝いちばん」というキーワードを入れているのはどうしてですか?
乳酸菌が入っているので健康をイメージするロケーションという事で朝というワードを入れてます。ヨーグルトなど乳酸菌が入ってるものと言うと朝ってイメージですしね。天然水を使用し、すっきりとした甘さが特徴の商品ですので、朝の清々しさと健やかさを感じていただけると思います。
もちろんそこにはWONDAモーニングショットの時間軸での切り口の成功体験はありましたよね?
あの商品を初めて見たときは僕もとっても予想外でした笑。社内でもかなりビックリしてたと思います。そういった商品の成功もありましたしね。やっぱり乳酸菌と言ったら朝のイメージですから。
あと乳酸菌という事で例えば「乳酸菌が◯億個」などの打ち出し方は考えなかったのですか?
そういった部分をアピールするのは設計の基本においていなかったです。水分補給に健康感を出すという方向です。ただちゃんと乳酸菌は入ってますよ笑

デザインでも相当苦労しました

おいしい水というと六甲と富士山ですが、この商品には採水地の記載はないですが何か狙いがあるんですか?
この商品では「おいしい水」の従来の採水地ではなく、採水地の縛りは敢えてつけないようにしています。
そう言えばおいしい水プラスにはカルピスの乳酸菌の前に第一弾商品がありますよね。あの「7つの健康素材」はどうですか?
あの商品は「マンゴー味」なんですけど表記が目立たなくって水だと思う人が多かったですよね。味感が伝わらなかったのかなと反省してます。ちょうどタイミングも熊本地震のタイミングで水の供給不足もあり、「おいしい水」ブランド自体もこのタイミングでのリニューアルだったんですが、中々お知らせ出来ずに認知頂けませんでしたね。
そうだったんですね。
今回で言えばパッケージのデザインでも苦労しましたね。
水のブランド自体が競合他社さんほど立ってないので「おいしい水」を大きくし、カルピスの水玉は敢えて控え気味にしてます。
「カルピス」という大きなブランドを使うので、いかに「おいしい水からの提案である」ということを分かっていただくか?「おいしくて健康感を直感で感じていただけるか?」と言う部分でデザインの試作も100に近い数を作って大いに悩みました。普段よりも倍近いデザイン量ですね。
正面から見ると両サイドに水玉がありますもんね。
さらに容器についてもですが、最近の水のブランドがペットボトルの軽量化が標準になってきて比較的やわらかいペットボトルも多いと思うんですが、ロケット型でここまでしっかりしているのはどうなんですか?
容器もいろいろと候補があったんですが、当社がおこなった容器に関するアンケートで 軽量化されているペットボトルについて「潰せる・エコ」といったお声とともに「持った時に破れてしまわないか不安・かばんに入れた時にカシャカシャ音がする」などの声もありました。
アサヒでも容器の軽量化はしてますが、水としての質感をデザインに取り入れたり、スリムに見えるボトルを意識した上でしっかりとしている容器にしています。
他社ではない違う路線を狙いたいと考えてます。
容量が600mlなのはどうなんでしょう?持った時に結構ずっしりとした感じですが?
600mlにしたのはごくごく飲めるものを目指したからですね。あとおいしい水ブランドでは600mlというイメージもありますしね。8月には女性がバッグに入れて持ち歩けるように小さいサイズも用意してます。
この商品がターゲットとしているお客様の層などはありますか?
最もコンビニを利用している30代・40代男性をターゲットにしていますが普段飲む水に新たな提案というのがテーマであり、非常に飲みやすい設計となっていますので、全ての人に飲んでいただける自信がありますが、強いて言えば普段の水分補給にちょっとした健康感を求めていらっしゃる方に是非飲んでいただきたいですね。 とくにこの時期での発売になりますし、甘いものを敬遠したくなる夏場でもゴクゴク飲めてしまう爽やかな甘さを体験していただきたいです。

おいしい水ブランドについて

各社ミネラルウォーターブランドを使ったニアウォーターシリーズを発売してます。
ここ数年アサヒさんではニアウォーター市場に三ツ矢ブランドの「三ツ矢のきれいな水」やオリジナルの「なないろwater's」や「すきっとレモン」などを出されていて、遂に「おいしい水」ブランドでの登場となりました。そのへんについてはどうでしたか?
社内でも「おいしい水」を使ってという話がなかったわけではないです。 ただ「おいしい水」ブランドの認知度としてまだ難しいよねとの判断でした。 「おいしい水」のブランドは西日本、特に関西では認知度はとても高いですが、東に行くごとにその認知度が低いため、このブランドでの発売が今年になったというのもあります。

>>西はおいしい水六甲、東はおいしい水富士山と東西で商品名が違う。

そうなんですね。六甲のおいしい水っていうと当店がある和歌山ではかなり一般的だと思うんですが…
関西ではやっぱり六甲って馴染みがありますしね。あと2Lサイズは浸透しているんですが600mlなどの小型サイズが他社に比べると認知されてなかった事もありますね。
今回はCMなどはどうなんですか?
このおいしい水ブランドをリニューアルして立ち上げたばかりなので、ブランド全体を信頼感のある中村勘九郎さんにお願いしています。
今回のおいしい水プラス カルピス乳酸菌も勘九郎さんに出演していただいてます。発売日前後でテレビCMなども流れますよ。
せっかく「おいしい水」と「カルピス」のコラボなのでCMでも勘九郎さんとカルピスのCMでもおなじみの長澤まさみさんがコラボしたら面白いかなと…笑
今回のCMではコラボしてないんですが、それも面白いですね笑
今後の展開にも期待ですね笑。今日はインタビューありがとうございました。

当日は中江店長とわたくし塚本とでお邪魔したんですが、本当にインタビューの時間があっという間に終わってしまったと感じるくらい色々と興味深いお話をお伺いできました。
この夏の時期にもゴクゴク飲みやすい甘さと酸味のバランスになってる商品だと思います。
気になる方は是非一度お試しください。

荒川さんインタビューありがとうございました。

ちなみに東京の滞在時間はこちらでした。

うん、仕事のできるスーパーサラリーマンみたいなスケジュールでした!(イメージです笑)

今回インタビューに答えてくださった方
荒川慎司さん
サヒ飲料株式会社 マーケティング本部 マーケティング二部
商品開発グループ 第二チーム 統括課長
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※このインタビュー記事は2016年10月のものです。リンク先の商品ページは内容等がリニューアル・改廃している場合がございます。