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シャンソンのワイン造りの特徴の一つは、低温長期マセレーションである。収穫されたブドウは約25度(外気の温度)で醸造所に届く。そのブドウを7度までに下げなければならない。シャンソンでは最新の冷却機を2013年に導入している。 トンネル状のベルトコンベアで通過する際に徐々に温度を下げていく。他のドメーヌでは、ブドウの温度を下げるためにドライアイスをタンクの中に直接入れてしまうところもあるが、そうすると果皮が火傷をしてしまい、表面のアロマの元となる細胞が壊れてしまう。ゆっくりと温度を下げ、そのまま重力(自然に)でタンクの中にブドウを落とす。そして8~10日間低温で長期マセレーションを行う(通常の発酵は、2~3日程度)。低温に保つことで酵母は働かず、代わりに酵素が働く。この酵素は、ブドウの果皮についており、のちのアロマとなる。よって、長期低温マセレーションを行うことでアロマを最大限に引き出し、ワインに良い影響を与えることができる。 |
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シャンソンのもう一つの特徴的な醸造方法は、全房発酵をしている点である。 全房発酵というと苦味やベジタルなニュアンスがでてしまうと思われがちだが、実際、硬を含んで発酵することによってフローラルでスパイシーかつエレガントに仕上がるという。全房発酵をするには、通常の収穫より1週間後に収穫しなければならない。果実だけでなく、硬や種が成熟する必要があるからだ。硬や種が成熟をする前に収穫をしてしまうと、苦味やベジタルな味わいとなってしまう。収穫時期を通常よりも遅くするということは、リスクを伴う。1週間の間に天候が崩れれば、ブドウが傷んでしまう危険性がある。このため多くのドメーヌは、より早く収穫をしてしまう。全房発酵には、成熟したブドウが不可欠なので収穫時期にブドウを実際に食べて種の色をチェックする。茶色になったら収穫開始のサインだ。また、硬は水分を含むので全房発酵をすることでアルコール度数を通常の1.5%減らすことができる。そうすることで強すぎず柔らかなワインができる。白ワインも全房発酵を行っているが、これは同じ理由からではなく、圧搾の過程で重要となる。硬が圧搾機の中でクッションの役目を果たし、均一にやさしい力が加わる。これにより、ピュアなワインができる。熟成の過程では、テロワールを表現するピュアなワインを造るため、新樽率を白は15%、赤は30%に抑えている。この比率はどのレンジでも共通している。 |
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ヴォーヌ・ロマネの名門出身。2000年よりシャンソンの醸造家として働き始める。低温長期マセレーションと全房発酵の先駆者。今のワインのスタイルが確立したのは2010年ヴィンテージからである。 ワイン雑誌リュブ・ド・ヴァン・フランスでワインメーカーズオブザイヤーにも輝いた醸造家である。 |