「ずっとランドセル」への想い

インスタグラマーのきなこさんといっしょにつくった「ずっとランドセル」。ランドセル誕生までのお話を、こどもと暮らしママ店長タナカとパパデザイナーのイチカワが話しました。ぜひ最後までご覧になってください。

もくじ

1 多様化するランドセル


2019年の春に、お店で取り扱っているランドセルの販売のため、私たちはランドセルの展示会に参加させてもらいました。
そのときに、たくさんのランドセルメーカーさんがいらっしゃって、たくさんのランドセルを見ました。

そうですね。本当にたくさんのランドセルでした。
そして、ランドセルを探してたくさんの方が来てくださいましたね。


ランドセルを選んで購入する活動、いわゆる、「ラン活」をはじめて体験して驚きました。
ラン活はしましたか?

我が家の場合は、ここで買いたい、と思うお店があったので、子供と色を決めるところで話しあったくらいでした。

そうですか。うちもそんなに迷うことなく買いました。
僕たちが小さいころはラン活なんてなかったですよね。


そうですね。
私たちが小さいころは、男の子は黒、女の子は赤、っていうイメージでしたよね。


ランドセルについてちょっと調べたのですが、こんなに選べるようになったのは、2000年以降なんですってね。
大手が色を選べるようにして多様性が生まれて、工房系が出現して希少価値が生まれて。

革の種類、かぶせのカタチ、刺繍、様々なランドセルが登場しましたよね。


ホントに。
少子化ではあるけれど、ランドセルの種類はどんどん増えました。
私たちが参加した展示会場だけでも、かなりの数のランドセルがあったから、みなさんが迷われているのをすごく肌で感じることができましたね。


たしかに。僕たちのブースに来られたときには、すでに疲れ果てたご様子の方もいました。
「もう、お兄さん、決めて」って。(笑

その気持ち、わかる気がします。
たくさん見れば見るほど決めるのは難しくなりますよね、きっと。

機能性や好みで比較しても、正直、それぞれの違いをまとめることも難しいくらい、多様化しましたからね。

2 モノの買い方が変わった


ランドセルの展示会を終えて私たちが一番印象に残ったのは「もう、お兄さん、決めて」でした。

そうなんです。目の前の僕を信頼してくださったお客様は、オススメするランドセルをご購入してくださいました。
このときの感覚が、SNSで起きていることと似ているかもと思ったんです。
インターネットで調べればいろんな情報を得ることができるんだけれど、こっちの人はこう言っていて、あっちの人はああ言っている。
自分にとってどちらが正解か、情報を並べて比較するよりも、価値観が似ている人の意見を頼りにするっていう、SNSを介した僕たちの思考や行動に似ているかもと思いました。


たしかに、以前は雑誌を読んで、編集者さんがセレクトした洗練された情報を頼りにしていたけれど、最近は私も、フォローしているママ友のSNSで、いいね!している商品がステキと思って購入した経験があります。

いいなと思える人との距離感が縮まりましたよね。店員さんやコンシェルジュのような人だけの意見じゃなく、身近な人、友人、ちょっと憧れの人の投稿が、その商品を知るきっかけになったり、商品購入の後押しになったり。


フォローしたいと思う人も、裏方のスタイリストさんだったり、実際に商品を使っている人だったり、写真もリアルなんですよね。

なるほど。「リアル」なんですね。
こどもと暮らしでもSNSからご購入いただくケースが増えましたよね。

ありがたいことに私たちの商品を実際に使っていただいて、それをSNSにアップしていただいていたり。

投稿を見つけた時うれしいですよね!


モノの買い方、選び方が変わっているのを感じますよね。

自分たちと価値観が近い人の情報を頼りにすることは、膨大な情報の中から比較して出す正確かもしれない情報よりも、リアルなのかもしれないですね。

私たちがたてたこの仮説を後押ししてくれたのが、今回いっしょにランドセルをつくることになった「きなこさん」の存在でした。

3 いっしょにつくること


きなこさんを知ったのは、きなこさんがプロデュースする商品を取り扱ったのが最初だった気がします。

そうですね。すでにファンだったスタッフもいました。
私もインスタの投稿とブログを読んですぐにファンになりました。

「好きなものが似ている」とあのとき言っていたのを覚えています。
そして「似ている」っていいな、って思ったのも覚えています。「ファン」というよりももう少しライトな感じというか、「身近」というか。

きなこさんのお子さんと向き合う姿勢にとても共感して、勝手ながら感覚が似ていると思えたきなこさんといっしょにモノづくりをしてみたい。そう思うようになりました。


きなこさんも、こどもと暮らしのことを知っていてくださっていて、かぞくのソファに興味を持ってくださっていたのがすごくうれしかったですよね。

そうですね。かぞくのソファを使っていただいている取材もさせていただいて、「いっしょに」という熱がどんどん高まっていきましたよね。<かぞくのソファの取材記事はこちら>


そして2019年、きなこさんと一緒に、お名前シール、お弁当箱、お名前スタンプ、お片付けシール、とたくさんのコラボを実現することができました。

きなこさんのアイデアをイチカワがカタチにして、本当に「いっしょに」生みの苦しみを味わってましたよね。

そうですね。たくさんのお家で使っていただいて本当にうれしいです。男なので味わえないと思っていたけれど、これが産みの喜びなんだなって。(笑

そして、たくさんの入園・入学グッズを作る中でついに、きなこさんといっしょにランドセルをつくることになったんですよね。


すごいことですよね。ランドセルをつくるなんて。しかもきなこさんといっしょに。

こどもと暮らしの軸である子供家具と、子供との生活になくては語れないランドセルもイメージをそろえて展開したい、という想いは以前からずっとありましたからね。

「好きなものが似ている」ことから始まった、きなこさんとつくるランドセルづくりですけど、デザインや製作を担当する中で、これほどスピーディーにつくることができたのは、「好きなものが似ている」ことが大切なんだなと、すごく納得することができました。

4 ずっといっしょ


我が家は子供が二人とも入学したので、もうランドセルを買うことはありません。
けれど、買った後に「こうしたかったな」と思うことはあります。

タナカ家ならシンプルなランドセルを選んだと思いますが、例えばどういうところですか?


細かいところなんですけど、我が家の場合は、まずは素材、それから色を選びました。
材質は長男長女ともに小柄だったので、軽くてすぐに体に馴染むクラリーノを選びました。

男の子は乱暴に扱うこともあるので、大マチの部分にはしっかりとした下地材が重要だと思います。
また、かぶせ裏は汚れが目立つので、柄があったほうが目立たなくてよいなと思いました。

細かいところ、大切ですね。
今回のランドセルづくりでは、その辺も反映してつくったと思いますが、いよいよ「ずっと」ランドセルのお話をしていきたいと思いますが、ずばり、ポイントはなんでしょう。


実際にランドセルを使う中で感じたことを、きなこさんと話し合いながら、デザインを進めていきました。
基本的にはシンプルなデザインながらも、ワンポイントの刺繍を入れたり、かぶせ裏のデザインをこだわったり。
まずは、なんといっても刺繍ですね。

すごくきれいに仕上がりましたよね。
これ、気になるほつれの心配もないんですよね?

そうです。よほどのことがない限り、ほつれる心配のないつくりになっています。

この刺繍のモチーフの「きのみ」と「ミモザ」に対する想いは、タナカの想いというか、ママの想いがたっぷりつまっているなと感じました。
これもきなこさんとほとんどいっしょの想いでしたよね。


そうでしたね。
「きのみ」は「成長」を表す樹木。これから沢山のことを吸収してぐんぐんと伸びて行く「幹」。 そして才能を表す「実」をモチーフにしました。
そして「ミモザ」はミモザの花ことばでもある、「友情」。 親友のようにずっと寄り添って、わたしたちと一緒に成長を見守る、 そんな想いをモチーフにしました。

すばらしい。見なくても言えるのが流石です。(笑
「ずっと」というコンセプトにもママの想いがつまっていると思いました。

ランドセルは小学校生活という新たに始まる旅にずっと寄り添ってくれるお守りのような存在だと思います。
いつまでもずっと見守ってくれるお守りの「しるし」として刺繍に想いをこめました。

ステキですね、お守りのようなランドセル。


そして、全体的なデザインも大切にしたことがあります。購入する大人も嬉しくなる、家に置いてあっても可愛い、高学年になっても使いやすい落ち着いたスモーキーカラーを選びました。

そうなんですよね。ランドセルは6年間使うものだから、高学年になっても飽きないように「かわいい」よりも「オシャレ」を意識してデザインしましたね。
普遍性のあるまるやさんかくを使った半かぶせ裏のデザイン。刺繍のモチーフもボテっとなりすぎないように細い線にしたので、職人さんの刺繍技術には脱帽でした。
あと、作りながら、半かぶせもカジュアルなイメージでいいなと思いました。

そうですね。こどもと暮らしで取り扱っているランドセルの中でも、半かぶせが一番人気ですよね。
今回つくってみて私も娘に半かぶせのランドセルを選んであげたかったと思いました。


個人的に一番気に入っているポイントは、前ポケットの名札入れのところがお家のカタチになっているところですね。

そこはランドセル工場の職人さんとも何度も話をしました。かぶせを開けるたびにお家のカタチが見えたら、子供もうれしい気持ちになりますよね。


本当ですね。
「いってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」という声が聞こえてきそうです。
ランドセルが多様化して、モノの買い方が変わる中でも、学校へ向かう子供を見送る親心と何度もこちら振り返る子供心は、ずっと変わらない風景かもしれないですね。


そうですね。そんな想いを紡いでつくった「ずっとランドセル」。たくさんの人に触れていただき、6年間ずっといっしょに旅をしていただけることを願っています!
展示会場でみなさまにお会いできるのを、スタッフ一同楽しみにしております。

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