梅の大辞典 梅の四季

梅っていつ花が咲いて、いつ実をつけるか知ってますか?
ここでは梅の四季についてお話しますね。

梅の開花

桜の開花を告げる「桜前線」があるのと同じように、「梅前線」なるものがあります。南北に長い日本列島では「梅前線」は1月下旬から5月上旬までゆっくりと約3ヶ月かけて北上していきます。

ここみなべ町の「南部梅林」では、1月下旬から2月上旬に花が咲き始め、2月も中旬になると山一面に南高梅の白い花が甘酸っぱいほのかな香りを漂わせながら咲きます。まだ寒い時期に梅の花はたくましく咲き誇り、いち早く春の訪れを知らせてくれるんですよ。

毎年梅の一年はこの開花とともに始まるのです。
というのも、この時期がその年の梅の収穫量を決める大切な時期だからです。
梅は結実するためには他家受粉、いわゆる違う品種の花粉をもらう必要があります。そのため、実梅の周りには同じ時期に花が咲き、花粉が多くて相性のよい受粉樹を植えてます。受粉はミツバチなどの訪花昆虫の活動の他に人の手による人工受粉も行われています。確実に実をつけてもらうために、梅林にはミツバチが放たれます。

ミツバチたちは、よく晴れた日というだけでは働いてくれません。気温が12度以上、風速が3m以下のという環境のであれば活発に活動してくれるんです。いくらこの条件を満たしていても、設置場所を誤ると活動してくれません。ミツバチの巣箱を置く立地条件としては寒い冬の季節風があたらない南側の傾斜斜面がいいとされています。

この時期、寒い日が続くとミツバチたちが活発に活動しなくなるため、その年の収穫に大きく影響するのです。まさに、ミツバチさまさまですね。

青梅の収穫

花もすっかりと散ってしまった梅の木は休む間もなく小さな実をつけます。
3月から5月にかけて徐々に暖かくなる日の光をいっぱい浴びながら、梅の実は少しずつ大きく成長していきます。

花の咲く頃はミツバチに任せておいた梅の木ですが、今度はそうはいきません。
本格的な収穫の時期を迎える前にやっておくことがあります。作業をやり易くするためと大切な養分を奪われないように梅畑の草刈りをしたり、大きな実をつけてもらうために肥料をやったりします。もちろん愛情もたっぷり注ぎます。

いよいよ収穫の時期。
6月に入ってから梅の実は益々大きくなり、その際、果汁のクエン酸や甘味も増します。枝にたわわに実った梅たちは、収穫してくれるのを待ち望んでいるかのように見えます。ここみなべ町の代表的な梅、南高梅は日の当たる部分が鮮やかな紅色に染まります。やがて、完熟した南高梅はやわらかくなって、木から落ちます。まさに、この状態の梅があの「果肉たっぷりで皮が薄い」という南高梅の特徴を発揮できる最高の状態、木成完熟の状態なのです。

みなべ町ではこうして収穫された梅の6割が梅干し用に使われています。

梅の木の剪定

剪定(せんてい)とは、いわゆる梅の木の散髪です。
伸ばしたい放題だと、落葉高木(らくようこうぼく)の梅の木は6~10mにも成長します。そうすると、植物にとって大切な太陽の恵みが行き届かなくなってしまいます。

剪定時期はだいたい10月から冬が訪れる前に行います。梅は前の年に伸びた枝に開花するので、新しい枝を伸ばしてもらうために剪定はとても大事な仕事なのです。梅の実は前の年の貯蔵養分で育ちます。

養分を多くするためにはこの剪定が大切な役割を果たしているのです。
また、その木の寿命にまで影響する大切な仕事なんですよ。

梅の木の休眠

葉っぱもすっかり落ちた梅の木たちは、開花に備えてつかの間の眠りにつきます。
だれよりも早くみんなに春を伝えたい。そうどこからか声が聞こえてきそうですね。

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