ド モンティーユ
de MONTILLE

千砂 BIZE

頑固な古典派から大きく脱皮。
ニュイへ、ピュリニーへと拡大した大ドメーヌ「ド モンティーユ」を紹介します。

古典的ワインの銘醸家

ド・モンティーユの軌跡

先代のユベールはディジョンでの弁護士が本業。というのも1947年にドメーヌを相続した時、ブドウ畑の面積はわずか3haしかなかった。
その後、息子のエティエンヌとともにブドウ畑を拡張し、1990年代には7haを超えるまでに広がった。
このエティエンヌもパリのクーパース&ライブランド(現プライスウォーターハウス・クーパース)の会計士として働いていたが、2001年にブルゴーニュに戻り、シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェの経営に就くと同時に、ドメーヌ・ド・モンティーユの当主となった。
もっともエティエンヌ自身は1983年からドメーヌのワイン造りに関与しており、1995年には実質的にドメーヌの主導権を握り、ブドウ栽培をビオロジックへと転換。父から子への継承は着々と進んでいたのである。


エティエンヌの経営

エティエンヌがフルタイムで経営にあたるようになってからというもの、ドメーヌの版図拡大は凄まじい。
1993年にはすでに、ピュリニー・モンラッシェ1級カイユレをジャン・シャルトロンから買い取っていたが、2004年にボーヌ1級エーグロ(白)、特級コルトン・クロ・デュ・ロワ、コルトン・シャルルマーニュを入手。
2005年にドメーヌ・デュジャックと共同でトマ・モワイヤールを買収し、コート・ド・ニュイにも進出した。
この時にヴォーヌ・ロマネ1級マルコンソール、ニュイ・サン・ジョルジュ1級オー・トレイ、特級クロ・ド・ヴージョをラインナップに加えている。

さらに2012年、エティエンヌが経営を任されていたシャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェをオーナーの金融機関から買い取ってしまったのだ。
ただし、シャトーが所有していた特級モンラッシェとバタール・モンラッシェは、この買収に協力したシャトー・ラトゥールのフランソワ・ピノーに譲り、彼のドメーヌ・ドゥージェニーに加わることとなる。

幅広く手掛けられた多種のワイン

白ワインのラインナップ拡充

エティエンヌはともにマイクロ・ネゴスのドゥー・モンティーユを運営していた妹のアリックスを、2006年から白ワインの醸造責任者に任命。 一方、赤ワインはエティエンヌがおもに監督するものの、全体のセラーマスターとしてアメリカ人のブライアン・シーヴが2010年に就任している。

こうしてあまりにも拡大したためヴォルネイの醸造施設では間に合わなくなり、現在は旧ロピトー・ミニョンが所有していたムルソーのセラーでワイン造りをしている。

しなやかで長期熟成にも耐え得る赤ワイン

一般にエレガントとされるヴォルネイでさえも、「いつ開くのかわからない」と言われたドメーヌ・ド・モンティーユのワインだが、今日では若いうちから香り高く、そしてタンニンもしなやかなものとなり、かつ長期熟成にも十分耐え得るスタイルへと大きく変化している。
全房を用いた醸造など、基本的にはユベール時代の様式を継承しながらも、より完熟したブドウを摘み取り、抽出の仕方や発酵温度の管理をより綿密に行うことで、現在のスタイルを築いた。
ムルソーのジャン・マルク・ルーロの元妻であるアリックスが手がける白ワインも秀逸。
シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェ所有のクリマがアリックスの手を経て、どのようなワインとなるのかも楽しみである。

醸造風景 樽熟成の様子

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