桑名隆一郎先生といえば、日本でも珍しい育毛外来を立ち上げ、
現在は薄毛・脱毛治療の脱毛治療の第一線で活躍されている育毛専門医。
この桑名先生に、女性の薄毛治療の実際とその可能性についてとことんお話を伺いました。
薄毛でお悩みの方に耳寄りな情報もいっぱいです。
ぜひ、さいごまでお付き合いください!
私のクリニックでは育毛外来を開設していますが、治療に来られる患者さんは薄毛と円形脱毛症でお悩みの方が半々くらいです。薄毛で来られる患者さんは以前は男性が多かったのですが、今は女性も増えて、1対1くらいですね。年齢的には男性の患者さんは10代、20代が多く、女性の患者さんは若い方、年配の方といろいろいらっしゃいます。80歳代の方もたくさんおられますし、中には90歳の方もいらっしゃいました。
女性の薄毛の場合、若い方と年配の方とでは、若い方のほうが治りにくい傾向にあります。一般的に病気は若くしてなるほうが治りが悪いと言われていますよね。糖尿病でも高血圧でもそうですが、若くして症状が出る人は遺伝的要素が強いから、コントロールが難しいんです。歳を取ってからじわじわ病気になるのは老化が原因のことも多いから、コントロールがしやすいという面があります。薄毛も同じです。20歳くらいですでに薄毛になるのは遺伝子の影響が大きいので、治療の成果が出にくいですね。
●桑名隆一郎博士プロフィール
昭和29年、高知県生まれ。名古屋大学医学部卒。医学博士。シャーレ内でのもう胞細胞培養に成功後、各種育毛剤を開発。育毛に関する国内外での学会多数。高知赤十字病院皮膚科部長時代に、全国でも珍しい「育毛外来」を開設。現在は、桑名皮フ科委員長、日本医学育毛協会理事。主な著書に「よみがえる黒髪」、「桑白皮育毛術」などがある。
男性も女性も、大きく分けて脱毛の原因は遺伝と環境にあります。男性の場合は遺伝の影響が大きくて、女性の場合は若干少ないようです。男性に比べて遺伝的な家計図がわかりにくいのが女性の薄毛の特徴で、いろいろな研究の結果、女性の脱毛は6割くらいが遺伝ではないかと言われています。
薄毛のメカニズムについて現在言われているのは、脱毛遺伝子の設計図に従って作られてくるたんぱく質のひとつが、脱毛を促しているというものです。それプラス、遺伝子の作用によって男性ホルモンが必要以上に強く働き、その結果毛が抜けるということが分かっています。
男性は男性ホルモンをたくさん持っているので、脱毛遺伝子を持っていれば、ちゃんとした生活をしていてもしていても薄毛になるケースが多い。
しかし、女性は男性ホルモンが少ないので、脱毛遺伝子を持っていてもちゃんとした生活をすれば薄毛を防ぐことは十分可能です。
男性の脱毛の場合は、ある程度パターンが決まっています。頭頂部だけ薄くなるとか額の生え際が上がってくるとか。ですからすぐに、若年性脱毛かどうかの判断がつきます。一方、女性の場合は髪の毛全体がだんだん薄くなるので、遺伝からきた薄毛なのか体調が悪くて脱毛しているのか区別がつきにくいのです。そうしたこともあって、女性の脱毛は男性に比べて、
これまでなかなか研究が進んでいませんでした。しかし、先頃パリの学会でも発表されていましたが、最近は遺伝かどうかを調べる検査法もある程度できているようです。今後はそうした女性型脱毛の研究が、さらに進むものと思われます。
女性の薄毛のもうひとつの特徴は、男性に比べて生活習慣の影響を受ける割合が多いということです。ストレスとか間違ったヘアケアとか、極端なダイエットによる脱毛ですね。月に3キロ以上減ったら毛が抜けると言われていますから、急激にやせるのは髪のためにはよくありません。体重が大幅に減るということは栄養が不十分になるということですから、髪にも栄養が行き渡らなくなるのです。
女性の薄毛が最近増えている原因には、他にも環境ホルモンの影響などが考えられます。しかし、やはり大きな原因は必要以上の美意識、清潔意識じゃないでしょうか。必要以上にシャンプーの回数が多いのも考えものです。シャンプーと言うのは両刃の剣で、汚れはきれいに落ちますが、シャンプー剤の選び方や洗髪方法によっては髪を傷めることだって少なくありません。
育毛外来に来られる患者さんや、研究によって明らかにされている女性型脱毛の特徴を考えてみますと、男性よりも女性の方が育毛の効果が出やすいようです。男性に比べて遺伝や男性ホルモンの影響を受けにくいためでしょうか。生活習慣の改善や、育毛剤の使用によって、髪が生えやすい人が多いようです。
また、髪が生えるか生えないかと言うことに関しては、女性の場合、ある程度の年齢以上になると年齢は関係ないようです。私の患者さんでも、80歳を超えた薄毛の方でも髪が生えて来る方はたくさんいらっしゃいました。生物学的には何歳までしかだめというのはありません。なんとか薄毛を解消したい、若さを保ちたいという意識があると、育毛にも熱心に取り組みますしね。要はご本人のやる気しだい。育毛剤を使いたい、髪を元気にしたいと言う意欲があれば、何歳であってもいい結果が出ます。逆に50歳でも、そうした意欲がなければ育毛は難しいのではないでしょうか。
いろんな病気の治療でも、やる気があればいいホルモンが出て直りが早くなるという話がありますよね。女性の育毛もそれと同じことではないかと思います。
季節に関係なく、気がついた時から始めてください。食事や運動などの生活習慣を改善したり、育毛剤を使用するのは、早ければ早いほどいいと思います。毛髪量の変動からいえば、髪が抜けやすいのは秋頃です。秋の抜け毛を少しでも抑えるためには、6月頃から食事に気をつけたり育毛剤でのヘアケアを念入りにすることをおすすめします。抜けやすいシーズンには抜け毛を抑える、生えてくるシーズンには、より生えてくるように促す。そうすることで薄毛が改善されるのです。
髪の毛は歳をとれば一般的に減るものです。20歳のときの毛量を100%とすれば80歳の時は70%とか、髪の毛の直径が細くなって髪が減っていくのは普通です。それはたぶん遺伝的にプログラムされていることですから。ただ、それ以上に減っていると病的です。ダイエットやストレスなどの生活習慣によるものでなければ、甲状腺ホルモンの異常や膠原病、亜鉛の欠乏といた病気が原因であることも考えられるので注意が必要です。
女性の育毛のポイントは、"男性より生えやすい"といことと"あきらめなければ誰にでも可能性はある"ということです。薄毛の大きな原因は遺伝とも言いますが、それはまだはっきりしていないことでもあります。しかも、遺伝をどうこうすることはできなくても、育毛の方法はいくらでもあります。お母さんやおばあさんが薄毛だったとしても、薄毛を予防したり改善したりすることはできますから、希望を捨てずに育毛に取り組んでいただきたいですね。意欲さえあれば、育毛剤だって積極的に続けることができます。とにかく、自信を持ってやること。それが、育毛にもっとも大切なことだと思います。
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