ヴァルディソーレは2015年初めに、ロエロ地域内のコルネリアーノ・ダルバに、ジュゼッペ・アマートが耕作放棄された0.5haの畑を、中古不動産オンラインショップで購入したことから始まる。畑は全て、ロエロ内のヴァル・ディ・ステファーノと呼ばれる地域にある。
その畑には、アルネイズと古木のネッビオーロが植わっていて、植樹や畑を買い足したりしながら、少しずつ畑を広げている。太陽(ソーレ)の谷(ヴァル)の名の通り、南向きの斜面に植えられた、耕作するにも骨の折れそうな、斜面の畑は、ジュゼッペの情熱を掻き立てた。
家業がワイナリーではなかったジュゼッペだが、ガストロノミーの世界には常に、興味をひかれていて、趣味として料理教室へ複数通ったりもしていた。料理への興味は、ワインペアリングへの興味となり、次第にワインそのものへの興味へと深く向かっていくことになる。以前はほとんどアルコールを飲まなかったというジュゼッペ。しかし、ソムリエコースの受講をし、一度ワインの勉強を始めると、ワインの世界全体へと興味は広がり、ワインの味だけではなく、歴史や醸造についても深く掘り下げていくことになった。
ヴァルディソーレはこのようにジュゼッペの好奇心から生まれた。ワインへの強い情熱と独創的で本質的だと感じれば、どんなことにでも情熱を傾けるジュゼッペは、常に古い習慣や新しい技術を実験している。このことが彼らのワインが伝統的だと評されにくい理由にもなっている。
彼らのワインにはしばしば、予期するような「典型的」ではない色や香りがあるが、彼らにとって、その色や香りは進化し続ける哲学の表出であり、時に幻想的で、時には狂気的である。
ひとつだけ、不変的な原則があるとすれば、ブドウ畑からワイナリーまで、ワイン造りに使われる唯一の原料は葡萄であることだ。ヴァルディソーレでは、化学合成の農薬や近代醸造のあらゆる醸造補助・促進剤を使わずにナチュラルな慣習に厳密に従っている。
ワイナリー創業年: 2015年
主要栽培品種:アルネイズ、モスカート、ネッビオーロ、フレイザ
平均生産量: 10,000本/年
通常の色ではないワイン。白でも赤でもなく、濃く、常識ではない色。オレンジワインを好むと好まざるとかかわらず、平静を保つことはできない。しかしそれらの色はどこからきているのだろうか?どんな物語があるのだろう?ワイン醸造技術の進化以前は、白ブドウは発酵工程時には、伝統的に赤ワインと同様にマセレーションを行ってきた。マセレーションは数日から数か月かかるが、果皮との長期的な接触が、ワインに特徴的な琥珀色を与える。マセレーションはワインに色だけではなく、ワインにとって重要な栄養素を与え、さらには質感と命を与えるのである。オレンジワインは、ワイン造りの伝統的な製法にのっとったシンプルなワインだ。品種、マセレーションの期間、そしてアンフォラ、樽やセメントなどの容器を使うことで、これらのワインは鮮烈な香りを放ち、かつ複雑な味わいになる。白ブドウでのマセレーションをするためには、葡萄は成熟し、高い品質で、介入は可能な限り最小限である必要がある。ここまで徹底してこそ、最終的に出来上がるワインが、潜在的に高品質なものとなる。