サントネで光り輝く存在

David Moreau  ダヴィット・モロー

 

 

 
 
サントネのピノ・ノワールのイメージを覆すほどの力量を持つドメーヌ。 1984年生まれのダヴィッド・モローは、若くして叡智に輝き常に前進している。 2009年に祖父の畑を受け継ぎ、ドメーヌをスタート。すでにディジョンのブルゴーニュ大学でエノロゴ資格を取得していた。ボーカステル、ユベール・ラミー、 DRCのほか、ニュージーランドでも経験を積んでいる。耕作は祖父と同様に馬で行い、栽培もリュット・レゾネを徹底。「より自然な畑に戻すことが自分たちの使命」と語る。サントネに所有する三つのプルミエ・クリュのうち二つは 1964年植樹、マランジュは 1943年と 47年植樹の貴重な古木のみ。醸造初期には6日前後、 13℃前後の低温浸漬を経て、バリックの新樽を1/3ほど使用するが、不自然に造り込まれたトーンは皆無。ヴィンテッジによりサントネの1級が、上質なシャンボール・ミュジニーかモレ・サン・ドニの1級を思わせる、純粋で洗練され、きめ細かな質感と優美なニュアンスを帯びることは、この造り手では珍しくない。
ダヴィット・モロー ダヴィット・モロー ダヴィット・モロー ダヴィット・モロー ダヴィット・モロー1 ダヴィット・モロー ダヴィット・モロー2 ダヴィット・モロー
2018年は口にして驚いた。今までのドライですぐ飲めるがいい感じになるまでちょっと時間のかかるイメージがとても明るくなり印象の良さが倍増した!
 
2018年VTという暑いVTの特徴を感じさせながらも、しつこい果実味を感じさせないダヴィッド・モローのワイン。シャトー・ヌフでの醸造の経験も、一役買っているのだろうか?年々暑く乾燥する年が増えていくことが予想されるが、そのような年でもバランスのとれた、その年の良さを引き出すようなワイン造りをしていってくれるだろうと期待させてくれる。
Santenay Blanc 1er Cru - Beaurepaire 2019
サントネ・ブラン・プルミエ・クリュ・ボールペール 2019
栽培品種:シャルドネ
土壌:小石で覆われた、ジュラ紀(オックスフォード階)の泥炭岩
標高:270m
畑の向き:南
栽培面積:0.38ha
仕立:ギュイヨ
植栽:1991年・1998年
植樹本数:10000本/ha
収量: 48hl/ha
収穫日:2014年9月13日
マセレーション:なし
酵母の添加:なし
アルコール発酵期間:2~3ヶ月
アルコール発酵の温度管理:20-24℃
熟成容器:木樽(300L)に2/3、ステンレスタンクに1/3を仕込む。
熟成期間: 17か月。新樽を(3割)使用
澱引き:瓶詰め前の最後のアッサンブラージュの際。
総亜硫酸量:73mg/L
So2添加のタイミングと量:マロラクティック発酵の後に35~40mg/L
年間生産本数:1588本
【コメント】
素晴らしくバランスの取れたヴィンテッジ。たっぷりとした口当たり。ミネラルを感じ、上品に仕上がっている。
Santenay 1er Cru - Clos Rousseau 2019
サントネ・プルミエ・クリュ・クロ・ルソー 2019
栽培品種:ピノ・ノワール
土壌:酸化鉄を含んだやせた土地、石灰岩
標高:265m
:南向き
栽培面積:0.45ha
仕立・整枝:コルドン・ロワイヤ
植栽:1967
植樹本数:10000/ha
収量:37hl/ha
収穫日:2014917
マセレーション:あり(発酵初期に低温(12-15)にて7日間)
酵母の添加:なし
アルコール発酵:19日間(25-30)
熟成期間: バリック(228L)で17か月、新樽を30%使用。
濾過/清澄:あり
澱引き:瓶詰め前に一回
総亜硫酸量:57mg/L
年間生産本数:2555
【コメント】
リコリスと黒い果実の香り。力強いタンニンも伴い、ミネラルで濃密な味わいが口に広がる。
Santenay 1er Cru - Beauregard 2019
サントネ・プルミエ·クリュ・ボールガール 2019
品種:ピノ・ノワール100%
植樹:1980年
位置:312m、南東向き
土壌: 泥灰土、粘土石灰土壌
セメントタンクで2週間マセレーション
12カ月樽熟成し、ブレンド
ステンレスタンクで6カ月熟成。
Beau=良い、regard=景色、の名の通り小高い丘の上の区画で、サントネとシャサーニュの村を一望できる。

Santenay 2019
サントネ 2019
栽培品種:シャルドネ
土壌:石灰質粘土
標高:219m
畑:南東
栽培面積:0.22ha
仕立・整枝:ギュイヨ・プーサール
植栽:1965
植樹本数:10000/ha
収量:50hl/ha
収穫日:2014919
マセレーション/酵母の添加:なし
アルコール発酵:3週間
アルコール発酵温度管理:あり(20-24℃)
熟成期間: 12ヶ月
熟成容器:木樽(300L)20%、タンクに80%を仕込む。
清澄/濾過:あり
澱引き:瓶詰め前の最後のアッサンブラージュの際。
総亜硫酸量:76mg/L
So2添加のタイミングと量:マロラクティック発酵の後に3540mg/L
年間生産本数:1077
【コメント】
桃やアプリコットのような夏の果実のアロマ。ミネラルさが際立つ芯の通ったワイン。細く長い余韻がある。
Santenay - Cuvee S 2019
サントネ・キュヴェ・エス 2019
栽培品種:ピノ・ノワール
土壌:村の中心部に位置する。やせた土地
標高:255m
畑の向き:南東
栽培面積:1ha
仕立・整枝:コルドン・ロワイヤ
植栽:1965
植樹本数:10000/ha
収量:38hl/ha
収穫日:201491820
マセレーション:あり(発酵初期に低温(12-15)にて6日間)
酵母の添加:なし
アルコール発酵:21日間(25-30℃)
熟成期間: バリック(228L)17か月 新樽25%使用。
濾過/清澄:あり
澱引き:瓶詰め前に一回
総亜硫酸量:37mg/L
年間生産本数:6070
【コメント】
黒い果実の香り。燻製香やスパイシーさも感じられる。柔らかく、肉感的で長く繊細な余韻が広がる。

Sold Out

Bourgogne Pinot Noir 2019
ブルゴーニュ・ピノ・ノワール 2019
栽培品種:ピノ・ノワール
土壌:石灰質泥炭岩
標高:250m
畑の向き:西
栽培面積:1ha78
仕立・整枝:コルドン・ロワイヤ、ギュイヨ式
植栽:1976-1977年
植樹本数:10000株/ha
収量:49hl/ha
収穫日:2014年9月21日
マセレーション:あり(発酵初期に低温(12-15℃)にて7日間)
酵母の添加:なし
アルコール発酵期間:19日間(25-30℃)
熟成期間: タンクで11ヶ月
濾過/清澄:あり
澱引き:瓶詰め前に一回
総亜硫酸量:57mg/L
年間生産本数:3573本
【コメント】
華やかで芯がしっかりとしている、少し酸味のあるサクランボのニュアンスもあり、非常にバランスの取れた仕上がり。

Cote de Beaune Village 2019
コート・ド・ボーヌ・ヴィラージュ [2019]
畑:南東向き
栽培品種:ピノ・ノワール
台木:セレクション・マサールのみ
植樹本数:10000/ha
自社畑面積:1ha
植栽:En Boichot :1985年、 Les Champs Claude :1964年、 Les Prarons :1964
仕立・整枝:コルドン・ド・ロワイヤ
収穫日:2010914日。912日の雹の被害により20%収量減、手摘みで仕分けしながら収穫し、醸造所に運んだ後手作業で選別。
収量: 25hl/ha
醸造:完全に除梗、フリーランマストを使用。野生酵母使用。マセレーション期間14日間。ピジャージュ一日一回を繰り返し、その後マセレーション終了まで軽くポンピング・オーヴァーする。
熟成期間: バレルで17か月
30%の新樽使用。
樽のロースト: 弱火で長く。
フィルター:荒目にフィルターかけ。
ビン詰め: 2012220
Santenay 1er Cru - Beaurepaire 2019
サントネ・プルミエ・クリュ・ボールペール 2019
栽培品種:ピノ・ノワール
品種:ピノ・ノワール
植樹:1990年・1991年
位置:斜面の中腹
土壌: 固いマール地層
一部を全房仕込みでコンクリートタンクで17~23日間発酵。オーク樽で12カ月熟成後(うち新樽が2割)ブレンドしタンクで6カ月熟成。

Sold Out

Bourgogne Aligote 2019
ブルゴーニュ・アリゴテ 2019
【アリゴテ100%】
品種:アリゴテ
植樹:1999年
位置:斜面の麓
土壌:沖積土
80%はステンレスタンクで、20%は古いオーク樽にて12カ月熟成。

Santenay - Les Hates 2019
サントネ  レ·アット 2019
品種:ピノ・ノワール100%
植樹:1966-67年
位置:標高270-300m、真南向き
土壌:崩積土、泥灰土壌、酸化鉄が豊富。
発酵初期に低温(12-15℃)で6日間のマセレーション
25%を228Lの新樽、75%を228Lの旧樽で17ヶ月の熟成
1級畑ではないが、クロ・デ・ムーシュに隣接する畑。
 
1967年にダヴィッドの祖父が植樹した区画。ダヴィッドがドメーヌに戻って来た頃はエネルギーが強すぎて期待通りのバランス落ち着くまで5年間は下草をはやしたままにしておいた。そして2016年に初めて生産した。
 
ちなみに、キュヴェ名であるHateのHはリエゾンをしないHなので、発音はレ・アットでよい。
Maranges Rouge 2019
マランジュ・ルージュ 2019
栽培品種:ピノ・ノワール
土壌:粘土質/砂質/石灰質粘土
標高:250270m
畑の向き:南東
栽培面積:0.55ha
仕立・整枝:コルドン・ロワイヤ
植栽: Aux Rouères :1947年、En Creveche :1943
植樹本数:10000/ha
収量:46hl/ha
収穫日:2014920 
マセレーション:あり(発酵初期に低温(12-15)にて5日間)
酵母の添加:なし
アルコール発酵:22日間(25-30)
熟成期間: バリック(228L15%新樽)17か月
濾過/清澄:あり
澱引き:瓶詰め前に一回
総亜硫酸量:76mg/L
年間生産本数:3674
【コメント】
赤い果実の繊細な香り、フレッシュさが際立つ。なめらかなタンニンがあり、最後には軽く胡椒のようなニュアンスが感じられる。
Santenay 1er Cru - Clos des Mouches 2019
サントネ・プルミエ・クリュ・クロ・デ・ムーシュ 2019
栽培品種:ピノ・ノワール
土壌:板状の石灰質基盤、わずか数センチの深さ
標高:265m
畑の向き:南東
栽培面積:0.90ha
仕立・整枝:ギュイヨ・プーサール
植栽:1964
植樹本数:10000/ha
収量:38hl/ha
収穫日:2014917
マセレーション:あり(発酵初期に低温(12-15)にて6日間)
酵母の添加:なし
アルコール発酵:20日間(25-30)
熟成期間: バリック(228L)17か月。新樽を30%使用。
濾過/清澄:あり
澱引き:瓶詰め前に一回
総亜硫酸量:63mg/L
年間生産本数:3825
【コメント】
赤や紫の果実の香り、柔らかさを纏い、上品でふんわりとした味わいが長く広がる。

Meursault - Les Pellans 2019
ムルソー・レ・ペラン 2019
【シャルドネ100%】
品種:シャルドネ
植樹:1950年頃
位置:南東向きの斜面の麓
土壌:白泥灰岩
12時間をかけて全房プレス。3週間の発酵後、20%を300Lの木樽で、80%をタンクで12ヶ月間熟成
Santenay 2018
サントネ 2018
栽培品種:シャルドネ
土壌:石灰質粘土
標高:219m
畑:南東
栽培面積:0.22ha
仕立・整枝:ギュイヨ・プーサール
植栽:1965
植樹本数:10000/ha
収量:50hl/ha
収穫日:2014919
マセレーション/酵母の添加:なし
アルコール発酵:3週間
アルコール発酵温度管理:あり(20-24℃)
熟成期間: 12ヶ月
熟成容器:木樽(300L)20%、タンクに80%を仕込む。
清澄/濾過:あり
澱引き:瓶詰め前の最後のアッサンブラージュの際。
総亜硫酸量:76mg/L
So2添加のタイミングと量:マロラクティック発酵の後に3540mg/L
年間生産本数:1077
【コメント】
桃やアプリコットのような夏の果実のアロマ。ミネラルさが際立つ芯の通ったワイン。細く長い余韻がある。

Sold Out

Santenay 2017
サントネ 2017
栽培品種:シャルドネ
土壌:石灰質粘土
標高:219m
畑:南東
栽培面積:0.22ha
仕立・整枝:ギュイヨ・プーサール
植栽:1965
植樹本数:10000/ha
収量:50hl/ha
収穫日:2014919
マセレーション/酵母の添加:なし
アルコール発酵:3週間
アルコール発酵温度管理:あり(20-24℃)
熟成期間: 12ヶ月
熟成容器:木樽(300L)20%、タンクに80%を仕込む。
清澄/濾過:あり
澱引き:瓶詰め前の最後のアッサンブラージュの際。
総亜硫酸量:76mg/L
So2添加のタイミングと量:マロラクティック発酵の後に3540mg/L
年間生産本数:1077
【コメント】
桃やアプリコットのような夏の果実のアロマ。ミネラルさが際立つ芯の通ったワイン。細く長い余韻がある。

Maranges Rouge 2018
マランジュ・ルージュ 2018
栽培品種:ピノ・ノワール
土壌:粘土質/砂質/石灰質粘土
標高:250270m
畑の向き:南東
栽培面積:0.55ha
仕立・整枝:コルドン・ロワイヤ
植栽: Aux Rouères :1947年、En Creveche :1943
植樹本数:10000/ha
収量:46hl/ha
収穫日:2014920 
マセレーション:あり(発酵初期に低温(12-15)にて5日間)
酵母の添加:なし
アルコール発酵:22日間(25-30)
熟成期間: バリック(228L15%新樽)17か月
濾過/清澄:あり
澱引き:瓶詰め前に一回
総亜硫酸量:76mg/L
年間生産本数:3674
【コメント】
赤い果実の繊細な香り、フレッシュさが際立つ。なめらかなタンニンがあり、最後には軽く胡椒のようなニュアンスが感じられる。
Santenay Blanc 1er Cru - Beaurepaire 2018
サントネ・ブラン・プルミエ・クリュ・ボールペール 2018
栽培品種:シャルドネ
土壌:小石で覆われた、ジュラ紀(オックスフォード階)の泥炭岩
標高:270m
畑の向き:南
栽培面積:0.38ha
仕立:ギュイヨ
植栽:1991年・1998年
植樹本数:10000本/ha
収量: 48hl/ha
収穫日:2014年9月13日
マセレーション:なし
酵母の添加:なし
アルコール発酵期間:2~3ヶ月
アルコール発酵の温度管理:20-24℃
熟成容器:木樽(300L)に2/3、ステンレスタンクに1/3を仕込む。
熟成期間: 17か月。新樽を(3割)使用
澱引き:瓶詰め前の最後のアッサンブラージュの際。
総亜硫酸量:73mg/L
So2添加のタイミングと量:マロラクティック発酵の後に35~40mg/L
年間生産本数:1588本
【コメント】
素晴らしくバランスの取れたヴィンテッジ。たっぷりとした口当たり。ミネラルを感じ、上品に仕上がっている。
Santenay 2015

Sold Out

Cote de Beaune Village 2018
コート・ド・ボーヌ・ヴィラージュ [2018]
畑:南東向き
栽培品種:ピノ・ノワール
台木:セレクション・マサールのみ
植樹本数:10000/ha
自社畑面積:1ha
植栽:En Boichot :1985年、 Les Champs Claude :1964年、 Les Prarons :1964
仕立・整枝:コルドン・ド・ロワイヤ
収穫日:2010914日。912日の雹の被害により20%収量減、手摘みで仕分けしながら収穫し、醸造所に運んだ後手作業で選別。
収量: 25hl/ha
醸造:完全に除梗、フリーランマストを使用。野生酵母使用。マセレーション期間14日間。ピジャージュ一日一回を繰り返し、その後マセレーション終了まで軽くポンピング・オーヴァーする。
熟成期間: バレルで17か月
30%の新樽使用。
樽のロースト: 弱火で長く。
フィルター:荒目にフィルターかけ。
ビン詰め: 2012220

Santenay 1er Cru - Clos Rousseau 2018
サントネ・プルミエ・クリュ・クロ・ルソー 2018
栽培品種:ピノ・ノワール
土壌:酸化鉄を含んだやせた土地、石灰岩
標高:265m
:南向き
栽培面積:0.45ha
仕立・整枝:コルドン・ロワイヤ
植栽:1967
植樹本数:10000/ha
収量:37hl/ha
収穫日:2014917
マセレーション:あり(発酵初期に低温(12-15)にて7日間)
酵母の添加:なし
アルコール発酵:19日間(25-30)
熟成期間: バリック(228L)で17か月、新樽を30%使用。
濾過/清澄:あり
澱引き:瓶詰め前に一回
総亜硫酸量:57mg/L
年間生産本数:2555
【コメント】
リコリスと黒い果実の香り。力強いタンニンも伴い、ミネラルで濃密な味わいが口に広がる。

Sold Out

Bourgogne Aligote 2018
ブルゴーニュ・アリゴテ 2018
【アリゴテ100%】
品種:アリゴテ
植樹:1999年
位置:斜面の麓
土壌:沖積土
80%はステンレスタンクで、20%は古いオーク樽にて12カ月熟成。
 
 
 

ダヴィット・モローとは

 
 

地域Bourgogne  

地区、村: Santenay サントネ
造り手: David Moreau ダヴィッド・モロー
 

合田泰子のラシーヌ便り_no88,2月号より

サントネの固定観念をくつがえす驚くべき造り手が、世代交代に伴って彗星のように現れました。ダヴィッド・モロー、28歳。祖父ジャン・モローから2009年にドメーヌを相続した、新世代です。
アペラシオンを聞かずにブラインドで飲めば、シャンボール・ミュジニかモレ・サンドニの1級産のワインと思っても無理はありません。素直で純粋で、テクスチュアがきめ細かくて優美きわまる印象。不自然に造りこんだ形跡はみじんもなく、よほど手練れの名手が難なくこしらえたような印象すら与えます。20数年にわたる私のブルゴーニュ通いを通じて、このような資質をあわせもつワインに私は出会ったことがないと断言できます。
ダヴィッド本人については、まだ十分にはその人柄をつかみきっていないのですが、まっすぐに相手を見つめて話す様子から、思慮深い資質と、瞬時に決断ができる用意、しっかりとした日常の思考の深さと強さを感じました。祖父からドメーヌを継ぐやいなや、すぐさま大胆に栽培と醸造方法を変え、経験から学んだ方法を実行したからには、おそらくワイン造りに大切なこととしてはいけないことが、明確にわかっていると思われます。
サントネについては、赤ワインは、タニンが強くて土っぽく、荒々しい味わいで、せいぜい良質なものでも期待するほどのものでないと一般にいわれています。けれども、ダヴィッドのワインは、ブルゴーニュならではのピノ・ノワールの上質な魅力をたたえて、飲み手に深い喜びをもたらしてくれます。
ダヴィッドは1999年、ボーヌの醸造学校に入学、ディジョン大学でエノロゴの資格を所有するまでの10年間、さまざまなドメーヌで経験を積みました。2003年のシャトー・ド・ボーカステルに始まり、2005年にニュージーランドにわたり、新世界のピノとシャルドネを学びました。ブルゴーニュではドメーヌ・ユベール・ラミ(2004年と2007年)とドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(2008年)で修業しました。ドメーヌを受け継いだ直後から、自然な栽培に取り組んでいます。
いつも思っていることですが、優れたワインの条件は、誰がどのように造るかであって、テロワールが優れていることは必ずしも最重要ではありません。むろん、優れたワインがさらに複雑さと奥行き、深い味わいを表現できるためには、テロワールの質や格がものをいう。とすれば、コート・ドールの最南端にある、ぱっとしないアペラシオンのマランジュとサントネのワインを、コート・ドールの優れたクリュのワインと比べるのは格違いだから、無理というもの。せいぜいのところカリテ・プリどまりで、いいヴィンテッジの1級畑を選べばお買い得ぐらいなもの、ということになるでしょう。

しかし、ダヴィッドのワインを味わって、驚嘆せずにおれませんでした。ジャスパー・モリスは『ブルゴーニュワイン大全』の序章でもって、ブルゴーニュの精髄を体得していた巨人モーリス・ヒーリーの次の名言を引用しています。「私が人生で出会ったすばらしいものといえば、数本のみごとなブルゴーニュだ。別にグラン・クリュだったわけでもなく、偉大なヴィンテッジだったわけでもない。だがそのワインは最初のひとかぎだけで、造り手が、その年のその畑にできたブドウで、あらん限りの仕事をしおおせたことを如実に示していた」。
私にとってダヴィッドのワインは、まさに人生で出会った数本の見事なブルゴーニュです。ラシーヌ創立10周年を迎える今春、このようなワインをご紹介できることの幸せで、いま胸がいっぱいです。3月のリリース
(予定)に、ぜひご期待ください。
合田 泰子
 
ドメーヌ創業年:2009
 

ドメーヌ解説

ダヴィッド・モローは1984年生まれ。祖父のワインを小さい頃から飲んで育ち、自然とワインに興味をもったダヴィッドは1999年にボーヌの醸造学校に入学、ワイン造りを本格的に学び、ディジョンのブルゴーニュ大学でエノロゴの資格を所有するまでの10年間に様々なドメーヌで研修し経験を積んだ。2003年のシャトー・ド・ボーカステルに始まり、2005年には新世界のピノとシャルドネを知るためにニュージーランドへ渡る。ブルゴーニュではドメーヌ・ユベール・ラミー(2004年と2007年)とドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(2008年)で研修を経験し、その時に「ワインはテクニックで造るものではない」ことに気付いたという。
  2009年に25歳の若さで祖父ジャン・モローの畑の一部を受け継ぎ、当初から自然な栽培と醸造に取り組んできた。ダヴィッドの父は家を継ぐつもりはなかった様だが、孫のダヴィッドがそれに対し前向きだったため、祖父は80歳まで当主を続け、ドメーヌの解体や売却をせずにダヴィッドが相続をする時を待ったという。世代交代後は醸造・栽培においてそれまでの方針を大きく転換した。澱引きや瓶詰めの日は月カレンダーに従って決めている。祖父が以前そうだったように、馬で耕作を行い、より自然な畑に戻すことを使命として、日々ひたむきにワイン造りに努めている。
 
畑面積:5ha
栽培:リュット・レゾネ
土壌:石灰質(バトニアン石灰岩、バジョシアン石灰岩)
仕立て:ギュイヨ式、コルドン・ロワイヤル式
主要品種:ピノ・ノワール、シャルドネ
年間平均生産量:1800019200
 
収穫年の状況
2014春はとりわけ暑く、乾燥していた。78月は例年に比べ寒く、雨量が多い。しかし幸いにも9月は乾燥し天気に恵まれた。

 

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