Rhone 地区、村:Cairanne ケランヌ
造り手:Marcel Richaud マルセル・リショー
出会い:
マルセルのワインを初めて日本にご紹介したのは、1992年のことでした。私が親しく取引させていただいている造り手の中で、もっとも大切な一人です。マルセルが「自然派のワインはこれからの時代のワインだよ」と言ってくれたことがきっかけで、本当に数々の素晴らしい造り手たちに出会うことができました。詳しくは、今月発売の『リアルワインガイド』(第10号)に寄稿した「自然派ワインに魅かれて」をお読みください。どのようにして、私が「自然派」に出会っていったかを書かせていただきました。
創業年:1974年
1974年からワイン造りを始めたマルセルは、当初から協同組合に所属せず、独立を保ちながらワイン造りに集中してきました。1990年代初めには、南部ローヌ最上の造り手としての地位を築きましたが、クオリティの向上をさぐり続けた結果、‘95年前後から「ヴァン・ナチュール」に転換しました。元来、陽気で人生を楽しみ、多方面で活動的なマルセルは、各地で催されるサロンの常連であって、優れた醸造家仲間と意見の交換に熱心です。
最近では、ヴィッラ・ファボリーターでの、イタリアとフランスの自然派の交流会(ヴィニタリーの時期に、ヴェローナ近郊で催される試飲会)で、熱心にバローロの《カッペッラーノ》に「ピエ・フランコ」について質問をしていた姿が印象的です。
1997年に醸造技術者のヤン・ロエルと出会って意気投合し、ともに仕事をするようになりました。数軒の造り手のコンサルタントをするヤン・ロエルがもっとも長く時間を過ごすのも、マルセルのセラーです。ジャック・ネオポールから「酸化防止剤非使用」の醸造法を学んだヤンの勧めで、2003年ヴィンテージに醸造過程もビン詰時にも、全く酸化防止剤を使用せずビン詰めするキュヴェが造られました。柔らかなテクスチュアーの後に、完璧な調和と骨格があり、深いエキスを湛えた、複雑でノーブルな味わいが続きます。間違いなく数年を経て、ローヌで最上のワインへと成長すると信じます。
栽培品種:
赤ワイン用品種 カリニャン、グルナッシュ(樹齢80年)、シラー、ムールヴェードル
白ワイン用品種 クレレット、グルナッシュ・ブラン、マルサンヌ、ヴィオニエ、ルーサンヌ、ブールブラン
自社畑面積:55ha
醗酵容器:コンクリートタンク(50~120L、様々な容量で複数所有)
栽培:2001年より除草剤の使用を完全に停止
酵母も酸も加えず、コラージュも濾過もしない
瓶詰め時に僅かな量の亜硫酸(15mg)を加える。
平均年間生産量:150,000本/年