当主のグレゴワール・ペロンは2002~2004年をジュラの、ジャン・フランソワ・ガヌヴァの元で研修をしながら、マコンの醸造学校へ行き、醸造の栽培・醸造についてのBTSを取得(2003年)。その後は、ボルドー、コート・ド・ローヌ、ブルゴーニュ、アメリカ、ニュージランドとサヴォワで醸造家として仕事をしてきた。2009年の3月の事、0.4haのプルサーの古樹の畑を見つけたことから、本格的に自身のドメーヌを起ち上げることを考える。その区画は”Combe aux Reves(夢みる谷)”と呼ばれており、表土の薄い、苔で覆われた岩だらけの斜面に100歳を超えるプルサーが立っている。その区画名はそのままドメーヌ名となった。翌年の2010年には、ドメーヌを起ち上げ、最初のグレゴワール自身のワインを、古くは牛舎で造り、2011年には現在の住居兼セラーを購入。
畑はほぼ、全てが、混植されており、品種ごとに造るよりも、畑単位でワインを造る。古い畑を購入し、ブドウ樹が必要な際は、周りに植わっている品種とはわざわざ違うものを植える徹底ぶり。どれも小さな畑で、総面積は2.2haほどにもかかわらず、15以上の区画を所有している。不作が続いたことから、2014年にネゴスを始めた。
ドメーヌの(自社畑)のワインは、La Combe aux Revesの文字と羽の生えた牛のスタンプ、ネゴスのワインには、Foudre Escampetteの文字と、大樽を運ぶトラックのスタンプが押されている。
【2018年5月 合田玲英のフィールド・ノートVol.59】
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《 Domaine de la Combe aux Rêves 》
ジュラ県とサヴォワ県の境、西アルプスの麓ジュルナンスの村の周辺には樹齢100年を超えるプルサーがまだ僅かに残っています。表土もほとんどなく、育つ植物は苔くらい、という土地に100年前にブドウを植えた人も植えた人だけれど、フランス各地で十数年ワイン造りを行ってきたグレゴワール・ペロンは、この畑を見るや、ここでワインを造りたいと思ったのだそうです。岩を破砕して、若木に植え替えることもできたけれど、それよりもグレゴワールはいびつに剪定された古樹に魅了されました。
所有面積は2haという小さなワイナリーですが、畑の数は15もあります。なるべく樹齢の高い畑を、と探した結果だそうですが、樹齢が高いだけでなく、ほとんどの畑で、複数の品種が混植されていて、仕立て方法をはじめ、手入れをそれぞれの品種によって変えているそうです。なので、良い手入れをするには常に感覚を働かせている必要があります。混植されたブドウはそのまま混醸されて、ゆっくりと1年以上時間をかけてワインへと変化していきます。
冬には家畜を畑に放ち、ワイン造り中心の生活ではなく、田舎の生活の中での情熱を持ったワイン造りを見事に体現しています。グレゴワールのワインは、田舎の牧歌的な風景の中で健康に育ったブドウと、アルプスの麓の空気がそのまま液体となったようで、山の静けさ、涼しさと冬の厳しさが感じらます。