心地よく美しい・千鳥蒔絵黒糸目椀
千鳥蒔絵黒糸目椀
ようびでお願いしている椀の内、一番薄い椀です。これほど薄くなると、強度の問題もあって糸目にする必要があります。素地の時は指で押すとこわい程ひわるのですが、とても心地よく美しいので輪島の尚古堂さんに長年造っていただいている椀でございます。 この度は内側に千鳥紋の蒔絵をしてみました。千鳥は季語からすると冬の鳥なのですが、涼を感じさせるものとして雪などと同じように夏に用いることが多いものです。(千鳥とは多くの鳥という意味で、数多く群をなして飛ぶのでそう呼ぶのですが、イカルチドリ、コチドリ、ムナグロなどと美しい鳥が多く、日本では12種類ほどが古来千鳥と呼ばれています。) 金の蒔絵には本金の粒を用いていますので、金の価格の世界的な高騰でとんでもない価格になってしまい、思い切った華やかなものが造れなくなってしまっています。これは蓋にも一面に文様をつけて、それでもかなり美しいものになりました。 志野片口 お酒の銘柄が尊ばれるようになって、机の上に出す酒器は片口が多くなってきました。瀧川恵美子さんのこのセンスのよい形の片口は、お酒の値打ちまで上げるようです。涼しい藍の盃をそえて。
工芸店ようび 店主 真木