鳴海織部・和食器の愉しみ

 鳴海織部富士型向付・三角



 鳴海織部 - 土が形を教えてくれました
 
1988年に美濃、久々利大平(桃山の織部、志野等の産地)に住む作家(藤井敬之さん)が偶然桃山期に使われていたものとほぼ同一の素性のモグサ土を見つけ、一連の作品を造りました。
この作品は目を見張る如き良い作品ばかりで、作者も「土が形を教えてくれました」と云う程よい雰囲気をもったもので、ようびの特別賞を初めて出したものでした。うれしくてさまざまのものを作っていただき、当初のものはよいお客様のところへ参りましたが、それ以後この土は埋め戻され手に入らなくなり、まぼろしの作品となってしまいました。
切れたもの灰を被ったもの少しゆがみのあるもの等が残り、あまりにもったいなくて弟の花の家が引き取りましたが、作者もその時にトラブルのあったものを捨てるにしのびず工房に大切に残しておりました。
この度それらを見て、古いもののようでもったいないと思い、金継ぎ等してこの様なものをお解り願える方にご覧いただきたく思いました。お気に召す方がありましたら幸いです。
当初よりは随分お安くなっております。

店主 真木啓子







鳴海織部角鉢 鳴海織部山形向付・道
鳴海織部富士型向付・三角






鳴海織部山型向付・道
鳴海織部山型向付・道 山型に道が描かれた鳴海織部です。
藤井敬之
18,900円
  鳴海織部山型向付・道

鳴海織部角鉢
鳴海織部角鉢 大きな角皿です。金継ぎがあります。
藤井敬之
105,000円
  鳴海織部角鉢
 
鳴海織部富士型向付・三角
鳴海織部富士型向付・三角 富士型の鳴海織部です。
藤井敬之
18,900円
  鳴海織部富士型向付・三角




鳴海織部について

加藤土師萌先生著の「織部」(一九六五年 平凡社版)によると、鳴海織部は赤土と白土を継ぎ合せて造り、白土の方には青釉を、赤土の部分には白泥で文様を描きさらにその上に鉄の線描きを入れる。温雅な赤土からの発色と青釉との対象がよく、手鉢、角鉢、向附など板造りのものに多くみられる。沓形茶碗でその緑のところだけ白土をついでロクロで仕上げたものや、まれに土瓶形の水指にこれを見かける。この継ぎ合せの技法は志野の練上手から一段と飛躍した作技で、収縮作用の不均衡な土ではできないこの地方の天与の原土のおかげである。とあります。
 鳴海手と云う名称の由来ははっきりしておりませんが、尾張の鳴海で発見されたからなどと漠然と云われて来ました。この鳴海織部と云われてきたものには優品が多く高い評価を与えられています。
 師の利休が内なる自己に沈潜しようとしたのに対して、織部は明るく強く開放的であり色彩的であり桃山時代的な表現派であったと加藤先生は書かれています。
 その気分を表現するのには白と赤土の対照は大変有効だったと云えます。

店主 真木啓子








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